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日 内 分 泌 会 誌.(Foliaendocrinol.jap.)55,1286∼1295.1979
バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 に お よ ぼ す ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIの 脳 室 内 投 与 の 効 果
新 潟 大 学 医学 部 第 二生 理 (主任:小 林 庄 一 教授) 山
口
賢
一,根
来
英
雄
久
司
新 潟大 学 医 学部 第一 内科 (主任:柴 田 浜
昭 教 授)
斉,鴨
井
新 潟 大学 医 学 部 第一 生理 (主 任:新 島 坂
口
旭 教 授) 武
夫
A Comparison between the Effects of Angiotensin II and Angiotensin III Injected into the Third Cerebral Ventricle on Vasopressin Secretion in Conscious Rats Ken'ichi YAMAGUCHI and Hideo NEGORO TheSecondDepartment of Physiology, NiigataUniversity Schoolof Medicine, Niigata951,Japan (Director: Prof.ShOiti Kobayasi) Hitoshi HAMA and Kyuji KAMOI The First Department of Internal Medicine, Niigata University School of Medicine, Niigata 951, Japan (Director: Prof. Akira Shibata) Takeo
SAKAGUCHI
The First Department of Physiology, Niigata UniversitySchool of Medicine, Niigata 951, Japan (Director: Prof. Akira Niijima) As the greater part of the immunoreactive angiotensin II in cerebrospinal fluid has been suggested to be angiotensin III, a comparison was made between the effects on vasopressin release of angiotensin II and angiotensin III administered into the third cerebral 第55巻
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学
会
雑
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ventricle in conscious male rats. The blood samples were collected 90 seconds after the injection of angiotensin II or angiotensin III by means of decapitation. Plasma vasopressin (µU/ml) extracted and determined by radioimmunoassay were 2.3 ± 0.8, 6.7 ± 5.0, 14.0 ± 2.2, 16.3 ± 4.3 and 20.7 ± 2.5 (mean ± SEM), respectively following the injection of 0, 10, 25, 50 and 10Ong of angiotensin II. The increases in plasma vasopressin produced by angiotensin II 25, 50 and 10Ongwere statistically significant (p< 0.05). On the other hand, plasma vasopressin following the injection of 22.7 and 45.4ng of angiotensin III, which are equimolar to 25 and 5Ong of angiotensin II each, were 14.9 ± 2.7 and 16.3 ± 5.6, respectively. No significant difference was found between the effect on plasma vasopressin of angiotensin II and that of angiotensin III at the dose level of 24.3 or 48.6 p.mol. These data indicate that angiotensin III is equipotent to angiotensin II in terms of vasopressin release when administered into the third cerebral ventricle. The possible role of angiotensin III in the brain on vasopressin secretion is discussed. ま
え
が
き
脳 に は 腎 の レ ニ ンー ア ン ジ オ テ ン シ ン 系 と独 立 し た イ ソ レニ ンー ア ン ジ オ テ ン シ ン系 の 存 在 す る こ とが,Fischer-Ferraroら7),Gantenら9)に
よ っ て 指 摘 さ れ て い る 。 こ の イ ソ レ ニ ンー ア ン ジ オ
テ ン シ ン 系 の 主 要 な 効 果 ペ プ チ ドで あ る ア ン ジ オ テ ン シ ンIIは 中 枢 内 投 与 に よ り,動 加6)11)27),飲 水 行 動 の誘 発8)11)27)に 加 え,バ
脈 血 圧 の 増
ゾ プ レ シ ン 分 泌 を促 進 させ る18)21)32).こ の よ うな 事 実 力も,
脳 イ ソ レ ニ ンー ア ン ジ オ テ ン シ ン系 が 生 理 的 に バ ゾ プ レ シ ン分 泌 に 関 与 して い る可 能 性 が 極 め て 大 き い22)。 最 近,イ
ヌ 脳 脊 髄 液 中 に 存 在 す る ア ン ジ オ テ ン シ ンII様 免 疫 活 性 物 質 の 大 部 分 は,ア
シ ンIIで は な くア ン ジ オ テ ン シ ンIIIであ る と報 告 さ れ て い る14)。 しか しな が ら,ア IIIがバ ゾ プ レ シ ン分 泌 を促 進 す る か 否 か は,こ の バ ゾ プ レ シ ン分 泌 効 果 を調 べ る こ とは,脳
ンジオ テ ン
ンジ オテ ンシ ン
れ 迄 明 らか と な っ て い な い 。 従 っ て,こ
のペ プ チ ド
イ ソ レ ニ ンー ア ン ジ オ テ ン シ ン 系 の バ ゾ プ レ シ ン分 泌
調 節 を考 察 す る う え で 重 要 と考 え られ る 。 そ こ で 本 実 験 で は,無
麻 酔 ラ ッ トの 第III脳室 に ア ン ジ オ
テ ン シ ンIIお よ び ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIを投 与 し,両 ペ プ チ ドの バ ゾ プ レ シ ン分 泌 促 進 効 果 を比 較 ・ 検 討 した 。 材 1.実
験 動 物,薬
物 の 投 与,採
体 重250-300gの
料
と 方
法
血
ウ ィ ス タ ー 系 雄 ラ ッ ト を材 料 と し た 。 ネ ン ブ タ ー ル麻 酔(45mg/kg)下
位 固 定 装 置 を用 い て 第III脳室 に 外 径0.7mmの 筒 は 頭 蓋 骨 に 埋 め た2本
ス テ ン レ ス ス チ ー ル の パ イ プ(外 筒)を
の ビ ス と共 に 歯 科 用 の セ メ ン ト(Shofu,PileB)で
で脳 定
植 え こん だ。外
固 定 した 。 外 筒 と同 長
の ス テ ン レ ス 棒 を 外 筒 に 挿 入 し,脳 脊 髄 液 の もれ を 防 ぐた め そ れ らの 境 界 部 を シ リ コ ンチ ュ ー ブ で パ ッ キ ン グ し た 後,同 J術 後3日 酔 状 態 で,生
様 に 歯 料 用 の セ メ ン トで 覆 っ た 。
目 の 午 前(10:00),外 理 的 食 塩 水,ア
筒 と同 長 の ス テ ン レス スチ ー ル の パ イ プ(内
筒)を
介 して,無
麻
ン ジ オ テ ン シ ンIIま た は ア ン ジ オ テ ン シ ンIII(い ず れ もペ プ チ ド研 究 第55巻
第10号
バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 に お よ ぼ す ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと 1288
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIの 脳 室 内 投 与 の 効 果(山
所)の
生 理 的 食 塩 水 溶 液5,alを
口,他4名)
投 与 した 。 各 溶 液 投 与90秒 後 に 断 頭 し,ヘ バ リン を含 む ビ ー カ ー に
氷 冷 し なが ら採 血 した 。 血 液 は2℃,2500rpmで20分
間 遠 心 し,血 漿 は 一20℃ に 保 存 し,数
日内 に
ラ ジ オ イ ム ノ ア ッ セ イの た め の 抽 出 操 作 を行 っ た 。 外 筒 先 端 が 第III脳室 内 に 固 定 さ れ て い た こ とは 生 理 的 食 塩 水 又 は そ の ア ン ジ オ テ ン シ ン 溶 液 投 与 時 に 外 筒 か ら脳 脊 髄 液 の 逆 流 が 認 め られ る こ と, 断 頭 後,内
筒 を 介 して2%ト
リパ ンブ ル ー 溶 液 を注 入 し て 第III脳室 縁 が 染 色 され る こ とに よ り確 認
した 2.バ
ゾ プ レ シ ンーfree血 漿 の 作 成
血 漿 抽 出 液 の ラ ジ オ イ ム ノア ッセ イ に 対 す る 干 渉 を検 討 す る た め,バ 成 した 。 ウ ィス タ ー 系 の 雄 ラ ッ ト(3SO-一一400g)に 介 して,30分
間 隔 で2度
与 え た 後,体
重 の2%重
体 重 の3%重
ゾ プ レ シ ンーfree血 漿 を 作
量 の12%エ
タ ノー ル 溶 液 を 胃 管 を
量 の 水 道 水 を 同 様 の 方 法 で 与 え,約10分
採 血 し た 。 遠 心 分 離 して 得 た 血 漿 は プ ー ル し,室
温 下 に 一 晩 放 置 し た 後,-20℃
後 に断頭
に 保 存 し,バ
ゾプ
レ シ ン ーfree血 漿 と し て用 い た 。 3.血
漿 の抽 出
血 漿 バ ゾ プ レ シ ン の 抽 出 法 は,Husainら(1973)の を加 え て 掩 拝 後,3000rpmで15分
方 法12)に従 っ た 。 血 漿 に2倍
間 遠 心 し た 。 上 澄 を 回 収 し,用
テ ル を 加 え て 充 分 掩 拝 した 後,2000rpmで5分
い た 血 漿 量 の4倍
量 の 冷 アセ トン 量 の冷石 油 工一
間 遠 心 し た 。 上 澄 の エ ー テ ル 層 を ア ス ピ レー シ ョ ン
に よ り除 去 し,残 留 液 を ロー タ リー エ バ ボ レ ー タ ー を 用 い で 完 全 に 乾 固 させ た 。 残 査 は 用 い た 血 漿 量 の ÷ の 容 量 の 生 理 的 食 塩 水 に 溶 か した 後,-20℃
に 保 存 し,測 定 に 用 い た 。
バ ゾ プ レ シ ン ーfree血 漿 も同 様 の 方 法 で抽 出 し,ロ ー タ リー エ バ ボ レ ー タ ー を 用 い て 乾 固 させ た 残 査 は,抽
出 に 用 い た 血 漿 量 と同 量,-9一量,養
量 の 生 理 的 食 塩 水 に 溶 か し,-20℃
に 保 存 し,バ
プ レシ ン測定法 の基礎 的検討 に使 用 した。
Fig. 1.
A typical standard curve (A) and the influence of vasopressin-free plasma extract on antigen-antibody reaction (B, C). In B and C, standard curve obtained in the same assay system as A (—o) is compaired with the curve acquired in the system to which vasopressin-free plasma extract concentrated by 5 times (—x) or 10 times (-0-) was added. Note that the antigen-antibody reaction was inhibited by the plasma extract concentrated by tenfold but it was not interfered by the plasma extract concentrated by fivefold. 第55巻
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ゾ
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ジ オ イ ム ノア ッセ イ
抗 体 の 作 成,ヨ
ウ 素 化 バ ゾ プ レ シ ン の 作 成 お よ び 精 製 は 既 に 報 告 し た 方 法16)17)に 従 い 行 っ た 。 抗
体,1251-ADH,ス
タ ン ダ ー ドADHの
反 応 は シ オ ノ ギ チ ュ ー ブ(シ
オ ノ ギ 製 薬)を
の た め の ア ッ セ イ に は,1251-ADH溶 367U/mg),抗
体 溶 液,ベ
希 釈 に は ベ ロ ナ ー ル 緩 衡 液(PH7.4)を 用 い てDuplicateで
タ ン ダ ー ド(Sigma,GradeVI,
理 的 食 塩 水 を 各 々100μ1,サ
含 量 測 定 の た め の ア ッ セ イ に は,1251-ADH溶 100,200,100μ1を
行 っ た 。 ス タ ン ダ ー ドカ ー ブ 作 成
液,0.8-200pgのADHス
ロ ナ ー ル 緩 衡 液,生
液,抗
シ オ ノ ギ チ ュ ー ブ に 加 え,4℃
体 溶 液,ベ で7日
各 チ ュ ー ブ に 加 え,遠
間 カ ウ ン トし,畢(%)あ
ロ ナ ー ル 緩 衡 液,サ
分 離 し た 。 各 分 画 は5分
算 出 した 。放 射 活 性 の 測 定 に は オー トウ ェ ル ガ ン マ カ
使用 した。 結
1.バ
ン プ ル を 各 々100,
含 む ベ ロ ナ ー ル 緩 衡 液(PH
心 し,FreeとBoundの1251-ADHを
る い は 長(%)を
ウ ン タ ー(Aloka,ARC-251)を
ン フ.ル 中 の バ ゾ プ レ シ ン
間 イ ン キ ュベ ー シ ョ ン し た 。 イ ン キ ュ ベ
ー シ ョ ン 後 デ キ 冬 ト ラ ン 炭 末(NoritA2mg,DextranT-700・4mg)を 7.4)500μ1を
用 い た ・抗 原 一 抗 体
果
ゾ プ レ シ ンの ラ ジ オ イ ム ノ ア ッセ イ に関 す る 基 礎 的 検 討
本 実 験 に 用 い た 抗 体 に よ る バ ゾ プ レ シ ン の 標 準 曲 線 はFig.1Aに 2P9/tubeで
ラ ッ ト血 漿 の バ ゾ プ レ シ ン レ ベ ル は,数P9/m1と
報 告 さ れ て い る の で,本
濃 縮 し て バ ゾ プ レ シ ン 含 量 を 求 め た 。 従 っ て,濃 干 渉 す る か を 予 め 確 認 し た 。 そ の 結 果,イ 代 え て,バ
ゾ プ レ シ ン ーfree血
実 験 で は5倍
実 験 で は 血漿 抽 出 液 を
ン キ ュ ベ ー シ ョ ン 溶 液 に 加 え た100μ1の
漿 抽 出 液 の5倍
の バ ゾ プ レ シ ン ア ッ セ イ が 干 渉 さ れ,抗
濃 縮 液100μ1を
生 理 的 食塩 水 に
加 え た場合 に は・ 血漿 抽 出 液 の 抗 原 一
濃 縮 液100μ1を
加 え た 場 合 に は,低
に 濃 縮 し た 血 漿 抽 出 液100μ1を
用 い て,バ
漿 を 用 い て,interassayvariabilityお
た 。interassayvariabilityの
検 討 に お い て は,血
ゾ プ レ シ ン含 量 を求 め た ・
よ びintraassayvariabilityを
の 標 識 で 作 成 し た1251-ADHを
assayvariabilityを
求 め た 。20例
saycoefficientofvariationは13.4%だ
加 え(10μU/m1),こ
収 率 及 びintra-
均 ±S.D.),intraas-
バ ゾ プ レ シ ン分 泌 促 進 効 果 々9.7,24.3,48.6,97.1pmol)の
漿 バ ゾ プ レ シ ン 含 量 を 測 定 し た 。 結 果 はFig.2に
与 し た 対 照 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン値 は2.3±0.8(平 25,50,100ng投
れ を 抽 出 し て,回
った 。
無 麻 酔 ラ ッ ト の 第III脳 室 に10,25,50,100ng(各 投 与 し,血
あっ た。バ ゾ
に つ い て の 平 均 回 収 率 は53.1±7.1%(平
室 内 に 投 与 し た ア ン ジ オ テ ン シ ンIIの
ン シ ンIIを
均 ±S.E.M)μU/mlだ
計 検 定 し た 結 果,対
っ た が,ア ン ジ オ テ ン シ ンII10,
バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 促 進 効 果 が 観 察 さ れ た 。Mann-WhitneyのU-testに
照 群 と ア ン ジ オ テ ン シ ンII10㎎
め ら れ な か っ た が,25,50,100ng投
な り, よ り統
投 与 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン レベ ル に 有 意 差 は 認
与 群 と の 間 に は い つ れ も 有 意 差(P〈0.05)が 第55巻
アンジオテ
示 した 。 生 理 的 食 塩 水 を投
与 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン値 は 各 々6.7±5.0,14.0±2.2,16.3±4.3,20.7±2.5μU/mlと
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIの
割 用 い て6か
月 間 に わ た っ て 行 っ た 。 そ の 結 果,interassaycoefficicentofvariationは6・7%で 漿 に ス タ ン ダ ー ドADHを
求 め
漿 抽 出 液 に ス タ ン ダ ー ドADHを20μU/mlの
合 で 加 え た も の を 標 準 検 体 と し て 使 用 し た 。 測 定 は5回
フ・レ シ ン ーfree血
レベ ル
原 一 抗 体 反 応 の 阻 害 さ れ る こ と が 確 認 さ れ た(Fig.1C)。
バ ゾ フ・レ シ ン.free血
2.脳
の 最 小 感 度は
縮 した 血 漿 抽 出 液 が 抗 原 一 抗 体 反 応 に ど の よ うに
抗 体 反 応 に 及 ぼ す 影 響 は 無 視 し 得 る が(Fig.1B),10倍
従 っ て,本
示 し た 通 り で,そ
あ った。
第10号
認 め られた。
バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 に お よ ぼ す ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと 1290
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIの 脳 室 内 投 与 の 効 果(山
Fig. 2.
口,他4名)
The effect of angiotensin II injected into the third cerebral ventricle on mean plasma vasopressin concentration in conscious male rats. The vertical lines indicate standard errors of the means. The number of rats bled is shown at the top of each vertical line.
Fig. 3.
A comparison between the effects of angiotensin II and angiotensin III injected into the third cerebral ventricle on plasma vasopressin level . The number of rats bled is shown at the top or bottom of each bar . The vertical lines represent standard errors of the means. Open columns indicate the effect of angiotensin II and hatched columns that of angiotensin III.
血 漿 バ ゾ プ レ シ ン 含 量 は,25ngま 示 した が,投 3.脳
で ア ン ジ オ テ ン シ ンII投 与 量 に 比 例 し た 比 較 的 急 峻 な 増 加 率 を
与 量 を そ れ 以 上 に 増 し て も,増 加 率 は 緩 慢 な 上 昇 傾 向 を示 す だ け で あ っ た 。
室 内 に投 与 し た ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIのバ ゾ プ レ シ ン分 泌 促 進 効 果
25,50ng(各 45.4ng)を
々24.3,48.6pmol)の
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと 等 モル の ア ン ジ オ テ ン シ ンIII(各々22.7,
投 与 した 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン 含 量 は そ れ ぞ れ14 .9±2.7,16.3±5.6μU/mlで,い
の 値 も生 理 的 食 塩 水 を投 与 した 対 照 群 の 値 に 較 べ て 有 意(P〈0 第55巻
第10号
.05)に
ずれ
高 い こ とが 観 察 され た 。 し
日
か し,24.3,48.6pmolの
本
内
分
泌
学
会
ど ち ら の 投 与 量 に お い て も,ア
雑
ン ジ オ テ ン シ ンIII投与 群 とII投 与 群 の 血
漿 バ ゾ プ レ シ ン値 の 間 に 有 意、 差 は 認、 め られ な か っ た(Fig.3)。 量 の 範 囲 で は,ア
1291
誌
以上 の結 果 か ら本 実 験 で 用 い た 投 与
ン ジ オ テ ン シ ンIIIはア ン ジ オ テ ン シ ンIIと 同 程 度 に バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 を促 進 す る
と考 え られ る。 考
察
無 麻 酔 ラ ッ トの 第III脳室 に ア ン ジ オ テ ン シ ンIIを 投 与 す る と,血 漿 バ ソ"フ.レシ ン含 量 は 著 し く増 加 す る 。 す な わ ち,生 理 的 食塩 水 を投 与 し た 対 照 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン 値 は2.3±0.8μU/mlで た が,ア
ン ジ オ テ ン シ ンII25,50,100ngの
16.3±4.3,20.7±2.5μU/mlと に3-443ng/mlの
投 与 に よ り,そ れ は 有 意 に 増 加 して,各
な る こ と が 認 め ら れ た 。 以 上 の 結 果 は,ネ
あっ
々14.0±2.2,
ン ブ ター ル 麻 酔 し た イ ヌ
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIを 側 脳 室 か ら 大 槽 へ と潅 流 す る と血 漿 バ ゾ プ レ シ ン レベ ル は
投 与 前 の2-一一3倍 に 増 加 す る21),あ る い は 無 麻 酔 ラ ッ トの 側 脳 室 に 注 入 さ れ た50,100ngの テ ン シ ンIIは 血漿 バ ゾ プ レ シ ン 濃 度 を 対 照群 の5-10倍
に 増 加 させ る18),と い う先 の 報 告 を再 確 認
す る もの で あ る 。 ア ン ジ オ テ ン シ ンII投 与 に よ るバ ゾ プ レ シ ン分 泌 は,25ngま た 著 し い増 加 傾 向 を示 す が,投
与 量 を 更 に50,100ngと
ア ン ジオ
では投 与量 に 比例 し
増 加 させ て も,投 与 後 の 血漿 バ ゾ プ レ シ ン含
量 は25ng投 与 後 の 値 に 較 べ て わ ず か な 増 加 傾 向 を示 す だ け で あ る 。KeilとSeversi8)Sl・,5・,1・ ngの ア ン ジ オ テ ン シ ンIIの バ ゾ プ レ シ ン分 泌 能 を観 察 し た結 果,50,100ngの
・
ア ン ジ オ テ ン シ ンII投
与 で 刺 激 され る 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン含 量 の 増 加 は 同 程 度 で あ り,こ れ らの 投 与 量 で バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 の 最 大 反 応 が お こ る と報 告 し て い る 。 以 上 の,脳
室 内 に 投 与 した 大 量 の ア ン ジ オ テ ン シ ンIIに よ っ
て バ ゾ プ レ シ ン分 泌 が プ ラ トー に 達 す る と い う現 象 は,バ ゾ プ レ シ ン分 泌 を誘 発 す る 脳 室 周 囲 組 織 の ア ン ジ オ テ ン シ ン リセ プ タ」 が 飽 和 さ れ る こ とに 起 因 す る た め と考 え られ,こ の 飽 和 は25-50ng の ア ン ジ オ テ ン シ ンIIに よ っ て達 成 され る も の と推 定 さ れ る 。 25,50ngの
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと 等 モ ル の ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIは血 漿 バ ゾ プ レ シ ン値 を有 意 に 増
加 させ る が,そ て,脳
の 増 加 の 程 度 は ア ン ジ オ テ ン シ ンIIに よ っ て 誘 起 され る もの と有 意 差 は な い 。 従 っ
室 内 投 与 に よ る ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIのバ ゾ プ レ シ ン分 泌 能 は 用 い た 投 与 量 の 範 囲 で は ア ン ジ
オ テ ン シ ンIIの そ れ に 匹 敵 す る と考 え られ る.Erikss。nとFyhrquist5)1ま,ヤ ん だ カ ニ ュー レ を 介 して10μ9/m1の ア ン ジ オ テ ン シ ンII,17.7μ9/mlの
ギの側 脳 室 に 撤
込
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIを投 与 し
こ れ ら の ペ プ チ ドの 自由 水 ク リア ラ ン ス 及 び ナ ト リウ レ シ ス に 及 ぼ す 影 響 を検 討 し た ・ そ の 結 果 ・ 彼 等 は ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIはア ン ジ オ テ ン シ ンIIに く らべ 抗 利 尿 効 果 が 弱 い と報 告 し て い る 。 こ の 報 告 と わ れ わ れ の 結 果 と の 矛 盾 を 直 ち に解 決 す る こ とは 困 難 で あ る が,自 バ ゾ プ レ シ ン濃 度 の 変 化 の み な ら ず,他
由 水 ク リア ラ ン ス は 血 漿
の 因 子 に よ っ て も変 動 す る の で,彼 等 の 実 験 結 果 に は バ ゾ
プ レ シ ン以 外 の 因 子 の 影 響 が 加 わ っ て,ア
ン ジ オ テ ン シ ンIIと ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIの効 果 に差 が 現
れ た もの と考 え られ る 。 脳 に は 腎 と独 立 した イ ソ レ ニ ンー ア ン ジ オ テ ン シ ン系 が 存 在 す る7)9).従
っ て,中
枢 由 来の ア ン
ジ オ テ ン シ ンが そ れ 自 身 の 生 理 的 機 能 を担 っ て い る こ とは 充 分 推 測 で き る 。 バ ゾ プ レ シ ン の 分 泌 調 節 も そ の 推 定 し得 る 機 能 の 一 つ で あ る が,脳 ジ オ テ ン シ ン 量 は,ラ
室 内 投 与 で バ ゾ プ レ シ ン分 泌 を促 進 す る に 必 要 な ア ン
・ ソ ト1(1)・ヒ ト28)・ヒ ツ ジ1)等 の 脳 脊 髄 液 中 に 認 め ら れ る ア ン ジ オ テ ン シ ン量
に 較 べ て は る か に 多 量 で あ る 。 従 っ て,脳
イ ソ レ ニ ンー ア ン ジ オ テ ン シ ン 系 が 脳 脊 髄 液 流 を介 して
バ ゾ プ レ シ ン分 泌 を生 理 的 に 調 節 す る か ど うか は 疑 問 で あ る 。 しか しOrganumVasculosumLami一 第55巻
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バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 に お よ ぼ す ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと 1292
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIの 脳 室 内 投 与 の 効 果(山
naTerminalisな
口,他4名)
ど の 脳 室 周 囲 器 官 が バ ゾ プ レ シ ン分 泌 に 関 与 す る との 報 告 も あ る の で24),脳 脊 髄
液 流 を介 し た ア ン ジ オ テ ン シ ン の バ ゾ プ レ シ ン分 泌 調 節 の 有 無 を解 明 す る た め に は,こ 傍 の 局 所 的 な 脳 脊 髄 液 ア ン ジ オ テ ン シ ン 濃 度 を 明 らか に す る必 要 が あ ろ う。 一 方,脳 多量 の ア ン ジ オ テ ン シ ン2)25),さ ら に そ の リセ プ ター が 存 在 し29),ま
れ ら器 官 近
実 質 中 に は,
た 器 官 培 養 し た視 床 下 部 一 下
垂 体 後 葉 組 織 か らの バ ゾ プ レ シ ン分 泌 は 培 養 液 中 に 加 え た ア ン ジ オ テ ン シ ンIIに よっ て刺 激 され るis) 従 っ て,脳
実 質 中 の ア ン ジ オ テ ン シ ン が 生 理 的 に バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 を調 節 す る と考 え る こ と も可 能
で あ る 。 脳 室 内 投 与 に よ っ て バ ゾ プ レ シ ン分 泌 を誘 起 す る た め に は,脳 脊 髄 液 中 の ア ン ジ オ テ ン シ ン 量 に 較 べ て,か
な り大 量 の ア ン ジ オ テ ン シ ン を必 要 とす る とい う本 実 験 の 結 果 は ,投 与 し た ア ン
ジ オ テ ン シ ン が 脳 実 質 中 に 浸 透 し て バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 を促 進 した こ と を 意 味 す る の か も知 れ な い 。 Hutchinsonら
は 近 年,電
気 泳 動 パ ター ン を も とに,イ
ヌ 脳 脊 髄 液 中 の 免疫 活 性 ア ン ジ オ テ ン シ ン
IIの 大 部 分 は ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIで あ る こ と を 明 ら か に し た14)。 本 実 験 で は,例 ラ ッ トを 材 料 と して 実 験 を す す め た が,こ
数 を重 ね る必 要 上
れ ま で の と こ ろ ラ ッ ト脳 脊 髄 液 中 の ア ン ジ オ テ ン シ ン に
占め る ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIの割 合 は 検 討 さ れ て い な い 。しか し,イ ヌ 及 び ラ ッ トは 共 に 脳 に イ ソ レ ニ ン,ア ン ジ オ テ ン シン を 含 記
い ず れ の 動 物 で も脳 室 内 に 投 与 した ア ン ジ オ テ ン シ ンIIは バ ゾ プ レ シ
ン分 泌 を促 進 す る こ と18)21)32),ま た 両 者 の 摂 水 に 関 す る 生 息 環 境 が 類 似 して い る こ と な ど を考 慮 す る り
と ・イ ヌ 及 び フ ッ トの 脳 イ ソ レ ニ ンー ア ン ジ オ テ ン シ ン系 の 特 性 に つ い て は 共 通 性 が あ る と考 え ら れ る ・さ ら に ラ ッ トの 脳 組 織 に お け る ア ン ジ オ テ ン シ ンIIの 存 在 は,螢 光 抗 体 法 を 用 い て 組 織 学 的 に 明 らか に され て い る3)が,こ れ 迄 作 成 さ れ た ア ン ジ オ テ ン シ ンII抗 体 の す べ て に ア ン ジ オ テ ン シ ンIII と の 交 差 反 応 が 認 め ら れ て い る4)13)20)23)2(5)3(1)31縦 っ て,ラ
こ とは 否 定で きな い・本 実 験 は,脳
ッ トの 脳 実 質 。 こ ア ン ジ オ テ ン シ ンIII塒
在す る
室 中 に 投 与 し た ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIのバ ゾ プ レ シ ン分 泌 能 が ア ン
ジ オ テ ン シ ンIIの そ れ に 匹 敵 す る こ と を明 らか に し た 。 この 事 実 を,ラ テ ン シ ン リセ プ ター へ の1251・・ア ン ジ オ テ ン シ ンIIの と り こ み は,ア
ッ ト脳 抽 出 液 中 の ア ン ジ オ
ン ジ オ テ ン シ ンIIに よ る と同 程
度 に ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIによ っ て 阻 害 され る との 報 告(Sirettら1977)29)と
あわせ て考 え る と
,ア
ン ジ オ テ ン シ ンIIIが中 枢 の バ ゾ プ レ シ ン分 泌 促 進 因子 と し て機 能 し て い る 可 能 性 が 推 測 さ れ る 以 上,本
実 験 に お い て わ れ わ れ は,脳
ンIIIのバ ゾ プ レ シ ン分 泌 能 力 を 明 ら か に し,ア 干 の 考 察 を加 え た 。 しか し,い
。
室 中 に 投 与 し た ア ン ジ オ テ ン シ ンIIお よ び ア ン ジ オ テ ン シ ンジ オテ ンシ ンのバ ゾプ レ シン分泌 調節 につ い て若
まだ 内 因性 の 脳 内 ア ン ジ オ テ ン シ ンが,生
を促 進 す る こ と を示 す 確 証 は あ げ ら れ て い な い 。 現 在,わ 結
理 的 に バ ゾ プ レ シ ン分 泌
れわ れは この 問題 を検討 中 であ る。
語
脳 室 内 に 投 与 した ア ン ジ オ テ ン シ ンIIが バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 を刺 激 す る こ と は よ く知 ら れ て い る 。 しか し,ラ
ジ オ イ ム ノ ア ッセ イ 法 で ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと して 測 定 さ れ る 脳 脊 髄 液 中 の ア ン ジ オ テ
ン シ ン の 大 部 分 は ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIであ る と報 告 さ れ ,ま
た免 疫 化 学 的 手 法 に よ り脳 組 織 の ア ン
ジ オ テ ン シ ンII存 在 の証 明 に 用 い ら れ た ア ン ジ オ テ ン シ ンII一 抗 体 が,ア に 交 差 反 応 を 示 す こ とが 知 られ て い る に もか か わ らず,血
ン ジ オ テ ン シ ンIIIとの 間
漿 バ ゾプ レ シン含量 に及 ぼす ア ン ジオテ
ン シ ンIIIの効 果 は これ 迄 検 討 さ れ て い な か っ た 。 そ こ で 本 実 験 で は ラ ジ オ イ ム ノ ア ッセ イ法 に よ る バ ゾ プ レ シ ン の 測 定 を も とに ,血 漿 バ ゾ プ レ シ ン レベ ル に 関 す る ア ン ジ オ テ ン シ ンIIお よ び ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIの第III脳室 内 投 与 の 効 果 を 比 較 ・検 討 した 。 雄 ラ ッ トの 第III脳室 に 慢 性 カ ニ ュ ー レ を植 え 込 み,術 第55巻
後3日
第10号
目に 無 麻 酔 状 態 で こ の カ ニ ュ ー レ か
日 ら ア ン ジ オ テ ン シ ンII,ア 水5μ1を 投 与 し,90秒
本
内
分
泌
学
会
雑
誌
1293
ン ジ オ テ ン シ ンIIIの生 理 的 食 塩 水 溶 液,あ
る い は 対 照 と して 生 理 的 食 塩
後 に 断 頭 屠 殺 に よ り採 血 して 得 た 血 漿 中 の バ ゾ プ レ シ ン 含 量 を 測 定 し た 。 生
理 的 食 塩 水 を 投 与 し た対 照 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン値 は2.3±0.8μU/mlで
あ っ た 。10,25,50,100ng
の ア ン ジ オ テ ン シ ンII投 与 群 の そ れ は 各 々6.7±0.5,14.0±2.2,16.3±4.3,20.7±2.5μU/mlで, 対 照 群 と25,50,100ngの
ア ン ジ オ テ ン シ ンII投 与 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン値 の 問 に 有意 差(P〈0.05)
が 認 め ら れ た 。 一 方,25,50ngの テ ン シ ンIII22.7,45.4ng投
ア ン ジ オ テ ン シ ンII(各 々24.3,48.6pmo1)と
与 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン値 は そ れ ぞ れ14.9±2.7,16.3±5.6μU/mlと
な り,対 照 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン値 との 間 に 有 意 差(P〈0.05)を II25,50ng投
等 モ ルの ア ンジオ
確 認 し た が,ア
ン ジオテ ンシ ン
与 群 の 値 との 問 に 有 意 差 は 認 め られ な か っ た 。
以 上 の 実 験 か ら,脳 室 内 に 投 与 し た24.3,48.6pmolの
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと ア ン ジ オ テ ン シ ン
IIIのバ ゾ プ レ シ ン 分 泌 促 進 能 力 は 同程 度 で あ る と考 え られ,こ の 結 果 は 脳 内 ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIが バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 に 関 し て 役 割 を果 し て い る 可 能 性 を 示 唆 し て い る 。
稿 を終 る に あ た り御 助 言 を賜 っ た 小 林 庄 一 教 授 に 深 謝 す る と と も に,本 隆 夫 助 手,な
本 研 究 の 一 部 は,第51回
な お,本
研究 に御協 力 頂 いた赤石
ら び に 第 一 内 科 学 教 室 伊 藤 正 毅 博 士 に 深 謝 い た し ます 。
日本 内 分 泌 学 会 総 会(昭
和53年)に
お いて発表 した。
研 究 は 昭 和53年 度 文 部 省 科 学 研 究 費 に よ っ た 。 文
1) Abraham, S.F., Baker,
献
R.M., Blaine, E.H., Denton, D.A. and McKinley, M.J.: Water
drinking induced in sheep by angiotensin
a physiological or pharmacological
effect?.
J. Comp. Physiol. Psychol., 88: 503-518, 1975. 2) Changaris, D.G., Demers, L.M., Keil, L.C. and Severs, W.B.: Immunopharmacology of angiotensin I in brain, 233243. Ed. by J.P. Buckley and C.M. Ferrario, Central actions of angiotensin and related hormones,
Pergamon Press Inc., New York, 1977.
3) Changaris, D.G., Keil, L.C.
and Severs, W.B.: Angiotensin II immunohistochemistry of the rat brain. Neuroendocrinology, 25: 257-274, 1977. 4) Emanuel, R.L., Cain, J.P. and Williams, G.H.: Double antibody radioimmunoassay
of renin activity and angiotensin II in human peripheral
plasma. J. Lab. Clin. Med., 81: 632-640, 1973. 5) Eriksson, L. and Fyhrquist, F.: A comparison between the central effects of angiotensin II and its fragments, desi -angiotensin II and des1,2-angiotensin II. Acta. Physiol. Scand., 96: 134-136, 1976. 6) Ferrario, C.M., Gildenberg, P.L. and McCubbin, J.W.: Cardiovascular effects of angiotensin mediated by the central nervous system. Circ. Res., 30: 257-262, 1972. 7) Fischer-Ferraro,
C., Nahmod,
V.E., Goldstein, D.J. and Finkielman, S.: Angiotensin
and renin in rat and dog brain. J. Exp. Med., 133: 353-361,
1971.
8) Fitzsimons, J.T.: Thirst. Physiol. Rev., 52: 468-561,
1972.
9) Ganten, D.,
Marquez-Julio, A., Granger, P., Hayduk, K., Karsunky, K.P., Boucher, R. and Genest, J.: Renin in dog brain. Am. J. Physiol., 221: 1733-1737, 1971. 10) Ganten, D., 第55巻
第10号
バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 に お よ ぼ す ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと 1294
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIの 脳 室 内 投 与 の 効 果(山
口,他4名)
Hutchinson, J.S. and Schelling, P.: The intrinsic brain isorenin-angiotensin system in the rat 一
its possible
role in central
48: 265s-268s, and Ganten,
mechanisms
1975.
11)
of blood
pressure
regulation.
Clin. Sci. Mol. Med.,
Ganten, D., Fuxe, K., Phillips, M.I., Mann, J.F.E.
U.: The brain isorenin-angiotensin
system: biochemistry,
localization,
and
possible role in drinking and blood pressure regulation, 61-99. Ed. by W.F. Ganong and L. Martini, Frontiers in Neuroendocrinology vol. 5, Raven Press, New York, 1978. 12) Husain, M.K., Fernando, N., Shapiro, M., Kagan, A. and Glick, S.M.: Radioimmunoassay of arginine vasopressin in human plasma. J. Clin. Endocrinol. Me tab., 37: 616-625, 13) Hutchinson,
1973.
J.S., Schelling, P., Mohring, J. and Ganten, D.: Effect of intraventricular
perfusion of angiotensin II in conscious normal rats and in rats with hereditary hypothalamic diabetes insipidus. Clin. Sci. Mol. Med., 51: 391s-394s, 1976. 14) Hutchinson , J.S., Csicsmann, J., Korner, P.I. and Johnston, C.I.: Characterization of immunoreactive angiotensin in canine cerebrospinal fluid as des-aspl -angiotensin II. Clin. Sci. Mol. Med. , 54: 147-151,1978.15)石
川 三 衛,斉
床 下 部,下
垂 体 器官 培 養 系 に おけ
る 後 葉 ホ ル モ ン の 分 泌 調 節,(第1報)高
浸 透 圧 お よ び ア ン ジ オ テ ン シ ンIIの 影 響,日
藤寿一
吉 田
尚:視
本 内分 泌 学 会東 部 々 会
講 演 要 旨 集 ・15:39,1978・16)Kamoi,K.andHama,H
.:Radioimmunoassayof
the antidiuretic hormone, I. Methodology. Acta Medica et Biologica, 25: 101-108 , 1977. 17) Kamoi, K. and Hama, H.: Analysis of antidiuretic hormone levels in various clinical states of man by highly sensitive radioimmunoassay, II. Application to plasma. Acta Medica et Biologica, 25: 109-118, 1977. 18) Keil, L.C., Summy-Long, J. and Severs, W.B.: Release of vasopressin by angiotensin II. Endocrinology, 96: 1063-1065 , 1975. 19)小
林 英 司,竹
学 会 第49回
井 祥 郎,上
村 晴 子,和
田
勝:ア
ン ギ オ テ ン シ ンIIに
大 会 予 稿 集 ・53,1978.20)Mendelsohn
measurement
よ る 飲 水 誘 起 現 象 の 進 化,日
本動 物
,F.A.0.:Amethodfor
of angiotensin II in tissue and its application
to rat kidney . Clin. Sci. Mol. Med., 51: 111-125, 1976. 21) Mouw, D.R., Bonjour, J.P., Malvin, R .L. and Vander, A.: Central action of angiotensin in stimulating ADH release. Am. J. Physiol. , 220: 239-242, 1971. 22) Mouw, D.R.: Interrelationships of the renin-angiotensin systems with the release of antidiuretic-hormone,
46-50.
Ed. by V.H.T. James, Endo-
crinology vol. 1, Excerpta Medica, Amsterdam-Oxford, 1977. 23) Oelkers , W., Diisterdieck, G. and Morton, J.J.: Arterial angiotensin II and venous immunoreactive material before and during angiotensin infusion in man. Clin. Sci., 43: 209-218, 24)
1972.
Phillips, M.I., Quinlan, J., Keyser, C. and Phipps, J.: Organum vasculosum of the
lamina terminalis (OV) as a receptor
site for ADH release, drinking and blood pressure
responses to angiotensin II (A II). Fed. Proc., 37: 438, 1978. 25) Reid, I.A.: Interaction between angiotensin II and the central nervous system in the regulation of arterial pressure, 34-39. Ed. by V.H.T. James, Endocrinology vol. 1, Excerpta Medica, Amsterdam-Oxford,
1977. 26) Ruiz-Maya, F., Tiller, D.J. and Walker , W.G.: Measurement of angiotensin II in an ultrafiltrate of plasma. The John Hopkins Medical Journal, 135: 211-228, 1974. 27) Severs, W.B. and Daniels-Severs, A.E.: Effects of angiotensin on the central nervous system. Pharmacol. Rev., 25: 415-449, 1973. 第55巻
第10号
日
28)
本
内
分
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学
会
雑
誌
1295
Severs, W.B., Changaris, D.G., Kapsha, J.M., Keil, L.C., Petro, D.J., Reid, I. A. and
Summy-Long, J.Y.: Presence and significance of angiotensin in cerebrospinal fluid, 225232. Ed. by J.P. Buckley and C.M. Ferrario, Central actions of angiotensin and related hormones, Pergamon Press Inc., New York, 1977. Bray, J.J. and Hubbard, J.I.: Distribution Research, 122: 299-312,
1977.
29)
Sirett, N.E., Mclean, A.S.,
of angiotensin II receptors in rat brain. Brain 30)
Stockigt, J.R., Schizgal, H.M. and Ganong,
W.F.: The immunologic activity and metabolic fate of angiotensin II and related peptides. Excernta Medica International Conaress Series. 241: 290-297. 1971. 31)山
口 賢 一:未
発 表32)Yamamoto,M.,Share,L.andShade,R.E。:Effect
of ventriculo-cisternal
perfusion
with angiotensin
pressin concentration.:
Neuroendocrinology,
第55巻
11 and indomethacin
25: 166-173,
第10号
1978.
on the plasma
vaso-
日 内 分 泌 会 誌.(Foliaendocrinol.jap.)55,1286∼1295.1979
バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 に お よ ぼ す ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIの 脳 室 内 投 与 の 効 果
新 潟 大 学 医学 部 第 二生 理 (主任:小 林 庄 一 教授) 山
口
賢
一,根
来
英
雄
久
司
新 潟大 学 医 学部 第一 内科 (主任:柴 田 浜
昭 教 授)
斉,鴨
井
新 潟 大学 医 学 部 第一 生理 (主 任:新 島 坂
口
旭 教 授) 武
夫
A Comparison between the Effects of Angiotensin II and Angiotensin III Injected into the Third Cerebral Ventricle on Vasopressin Secretion in Conscious Rats Ken'ichi YAMAGUCHI and Hideo NEGORO TheSecondDepartment of Physiology, NiigataUniversity Schoolof Medicine, Niigata951,Japan (Director: Prof.ShOiti Kobayasi) Hitoshi HAMA and Kyuji KAMOI The First Department of Internal Medicine, Niigata University School of Medicine, Niigata 951, Japan (Director: Prof. Akira Shibata) Takeo
SAKAGUCHI
The First Department of Physiology, Niigata UniversitySchool of Medicine, Niigata 951, Japan (Director: Prof. Akira Niijima) As the greater part of the immunoreactive angiotensin II in cerebrospinal fluid has been suggested to be angiotensin III, a comparison was made between the effects on vasopressin release of angiotensin II and angiotensin III administered into the third cerebral 第55巻
第10号
日
本
内
分
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雑
1287
誌
ventricle in conscious male rats. The blood samples were collected 90 seconds after the injection of angiotensin II or angiotensin III by means of decapitation. Plasma vasopressin (µU/ml) extracted and determined by radioimmunoassay were 2.3 ± 0.8, 6.7 ± 5.0, 14.0 ± 2.2, 16.3 ± 4.3 and 20.7 ± 2.5 (mean ± SEM), respectively following the injection of 0, 10, 25, 50 and 10Ong of angiotensin II. The increases in plasma vasopressin produced by angiotensin II 25, 50 and 10Ongwere statistically significant (p< 0.05). On the other hand, plasma vasopressin following the injection of 22.7 and 45.4ng of angiotensin III, which are equimolar to 25 and 5Ong of angiotensin II each, were 14.9 ± 2.7 and 16.3 ± 5.6, respectively. No significant difference was found between the effect on plasma vasopressin of angiotensin II and that of angiotensin III at the dose level of 24.3 or 48.6 p.mol. These data indicate that angiotensin III is equipotent to angiotensin II in terms of vasopressin release when administered into the third cerebral ventricle. The possible role of angiotensin III in the brain on vasopressin secretion is discussed. ま
え
が
き
脳 に は 腎 の レ ニ ンー ア ン ジ オ テ ン シ ン 系 と独 立 し た イ ソ レニ ンー ア ン ジ オ テ ン シ ン系 の 存 在 す る こ とが,Fischer-Ferraroら7),Gantenら9)に
よ っ て 指 摘 さ れ て い る 。 こ の イ ソ レ ニ ンー ア ン ジ オ
テ ン シ ン 系 の 主 要 な 効 果 ペ プ チ ドで あ る ア ン ジ オ テ ン シ ンIIは 中 枢 内 投 与 に よ り,動 加6)11)27),飲 水 行 動 の誘 発8)11)27)に 加 え,バ
脈 血 圧 の 増
ゾ プ レ シ ン 分 泌 を促 進 させ る18)21)32).こ の よ うな 事 実 力も,
脳 イ ソ レ ニ ンー ア ン ジ オ テ ン シ ン系 が 生 理 的 に バ ゾ プ レ シ ン分 泌 に 関 与 して い る可 能 性 が 極 め て 大 き い22)。 最 近,イ
ヌ 脳 脊 髄 液 中 に 存 在 す る ア ン ジ オ テ ン シ ンII様 免 疫 活 性 物 質 の 大 部 分 は,ア
シ ンIIで は な くア ン ジ オ テ ン シ ンIIIであ る と報 告 さ れ て い る14)。 しか しな が ら,ア IIIがバ ゾ プ レ シ ン分 泌 を促 進 す る か 否 か は,こ の バ ゾ プ レ シ ン分 泌 効 果 を調 べ る こ とは,脳
ンジオ テ ン
ンジ オテ ンシ ン
れ 迄 明 らか と な っ て い な い 。 従 っ て,こ
のペ プ チ ド
イ ソ レ ニ ンー ア ン ジ オ テ ン シ ン 系 の バ ゾ プ レ シ ン分 泌
調 節 を考 察 す る う え で 重 要 と考 え られ る 。 そ こ で 本 実 験 で は,無
麻 酔 ラ ッ トの 第III脳室 に ア ン ジ オ
テ ン シ ンIIお よ び ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIを投 与 し,両 ペ プ チ ドの バ ゾ プ レ シ ン分 泌 促 進 効 果 を比 較 ・ 検 討 した 。 材 1.実
験 動 物,薬
物 の 投 与,採
体 重250-300gの
料
と 方
法
血
ウ ィ ス タ ー 系 雄 ラ ッ ト を材 料 と し た 。 ネ ン ブ タ ー ル麻 酔(45mg/kg)下
位 固 定 装 置 を用 い て 第III脳室 に 外 径0.7mmの 筒 は 頭 蓋 骨 に 埋 め た2本
ス テ ン レ ス ス チ ー ル の パ イ プ(外 筒)を
の ビ ス と共 に 歯 科 用 の セ メ ン ト(Shofu,PileB)で
で脳 定
植 え こん だ。外
固 定 した 。 外 筒 と同 長
の ス テ ン レ ス 棒 を 外 筒 に 挿 入 し,脳 脊 髄 液 の もれ を 防 ぐた め そ れ らの 境 界 部 を シ リ コ ンチ ュ ー ブ で パ ッ キ ン グ し た 後,同 J術 後3日 酔 状 態 で,生
様 に 歯 料 用 の セ メ ン トで 覆 っ た 。
目 の 午 前(10:00),外 理 的 食 塩 水,ア
筒 と同 長 の ス テ ン レス スチ ー ル の パ イ プ(内
筒)を
介 して,無
麻
ン ジ オ テ ン シ ンIIま た は ア ン ジ オ テ ン シ ンIII(い ず れ もペ プ チ ド研 究 第55巻
第10号
バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 に お よ ぼ す ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと 1288
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIの 脳 室 内 投 与 の 効 果(山
所)の
生 理 的 食 塩 水 溶 液5,alを
口,他4名)
投 与 した 。 各 溶 液 投 与90秒 後 に 断 頭 し,ヘ バ リン を含 む ビ ー カ ー に
氷 冷 し なが ら採 血 した 。 血 液 は2℃,2500rpmで20分
間 遠 心 し,血 漿 は 一20℃ に 保 存 し,数
日内 に
ラ ジ オ イ ム ノ ア ッ セ イの た め の 抽 出 操 作 を行 っ た 。 外 筒 先 端 が 第III脳室 内 に 固 定 さ れ て い た こ とは 生 理 的 食 塩 水 又 は そ の ア ン ジ オ テ ン シ ン 溶 液 投 与 時 に 外 筒 か ら脳 脊 髄 液 の 逆 流 が 認 め られ る こ と, 断 頭 後,内
筒 を 介 して2%ト
リパ ンブ ル ー 溶 液 を注 入 し て 第III脳室 縁 が 染 色 され る こ とに よ り確 認
した 2.バ
ゾ プ レ シ ンーfree血 漿 の 作 成
血 漿 抽 出 液 の ラ ジ オ イ ム ノア ッセ イ に 対 す る 干 渉 を検 討 す る た め,バ 成 した 。 ウ ィス タ ー 系 の 雄 ラ ッ ト(3SO-一一400g)に 介 して,30分
間 隔 で2度
与 え た 後,体
重 の2%重
体 重 の3%重
ゾ プ レ シ ンーfree血 漿 を 作
量 の12%エ
タ ノー ル 溶 液 を 胃 管 を
量 の 水 道 水 を 同 様 の 方 法 で 与 え,約10分
採 血 し た 。 遠 心 分 離 して 得 た 血 漿 は プ ー ル し,室
温 下 に 一 晩 放 置 し た 後,-20℃
後 に断頭
に 保 存 し,バ
ゾプ
レ シ ン ーfree血 漿 と し て用 い た 。 3.血
漿 の抽 出
血 漿 バ ゾ プ レ シ ン の 抽 出 法 は,Husainら(1973)の を加 え て 掩 拝 後,3000rpmで15分
方 法12)に従 っ た 。 血 漿 に2倍
間 遠 心 し た 。 上 澄 を 回 収 し,用
テ ル を 加 え て 充 分 掩 拝 した 後,2000rpmで5分
い た 血 漿 量 の4倍
量 の 冷 アセ トン 量 の冷石 油 工一
間 遠 心 し た 。 上 澄 の エ ー テ ル 層 を ア ス ピ レー シ ョ ン
に よ り除 去 し,残 留 液 を ロー タ リー エ バ ボ レ ー タ ー を 用 い で 完 全 に 乾 固 させ た 。 残 査 は 用 い た 血 漿 量 の ÷ の 容 量 の 生 理 的 食 塩 水 に 溶 か した 後,-20℃
に 保 存 し,測 定 に 用 い た 。
バ ゾ プ レ シ ン ーfree血 漿 も同 様 の 方 法 で抽 出 し,ロ ー タ リー エ バ ボ レ ー タ ー を 用 い て 乾 固 させ た 残 査 は,抽
出 に 用 い た 血 漿 量 と同 量,-9一量,養
量 の 生 理 的 食 塩 水 に 溶 か し,-20℃
に 保 存 し,バ
プ レシ ン測定法 の基礎 的検討 に使 用 した。
Fig. 1.
A typical standard curve (A) and the influence of vasopressin-free plasma extract on antigen-antibody reaction (B, C). In B and C, standard curve obtained in the same assay system as A (—o) is compaired with the curve acquired in the system to which vasopressin-free plasma extract concentrated by 5 times (—x) or 10 times (-0-) was added. Note that the antigen-antibody reaction was inhibited by the plasma extract concentrated by tenfold but it was not interfered by the plasma extract concentrated by fivefold. 第55巻
第10号
ゾ
日
4.ラ
本
内
分
泌
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雑
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ジ オ イ ム ノア ッセ イ
抗 体 の 作 成,ヨ
ウ 素 化 バ ゾ プ レ シ ン の 作 成 お よ び 精 製 は 既 に 報 告 し た 方 法16)17)に 従 い 行 っ た 。 抗
体,1251-ADH,ス
タ ン ダ ー ドADHの
反 応 は シ オ ノ ギ チ ュ ー ブ(シ
オ ノ ギ 製 薬)を
の た め の ア ッ セ イ に は,1251-ADH溶 367U/mg),抗
体 溶 液,ベ
希 釈 に は ベ ロ ナ ー ル 緩 衡 液(PH7.4)を 用 い てDuplicateで
タ ン ダ ー ド(Sigma,GradeVI,
理 的 食 塩 水 を 各 々100μ1,サ
含 量 測 定 の た め の ア ッ セ イ に は,1251-ADH溶 100,200,100μ1を
行 っ た 。 ス タ ン ダ ー ドカ ー ブ 作 成
液,0.8-200pgのADHス
ロ ナ ー ル 緩 衡 液,生
液,抗
シ オ ノ ギ チ ュ ー ブ に 加 え,4℃
体 溶 液,ベ で7日
各 チ ュ ー ブ に 加 え,遠
間 カ ウ ン トし,畢(%)あ
ロ ナ ー ル 緩 衡 液,サ
分 離 し た 。 各 分 画 は5分
算 出 した 。放 射 活 性 の 測 定 に は オー トウ ェ ル ガ ン マ カ
使用 した。 結
1.バ
ン プ ル を 各 々100,
含 む ベ ロ ナ ー ル 緩 衡 液(PH
心 し,FreeとBoundの1251-ADHを
る い は 長(%)を
ウ ン タ ー(Aloka,ARC-251)を
ン フ.ル 中 の バ ゾ プ レ シ ン
間 イ ン キ ュベ ー シ ョ ン し た 。 イ ン キ ュ ベ
ー シ ョ ン 後 デ キ 冬 ト ラ ン 炭 末(NoritA2mg,DextranT-700・4mg)を 7.4)500μ1を
用 い た ・抗 原 一 抗 体
果
ゾ プ レ シ ンの ラ ジ オ イ ム ノ ア ッセ イ に関 す る 基 礎 的 検 討
本 実 験 に 用 い た 抗 体 に よ る バ ゾ プ レ シ ン の 標 準 曲 線 はFig.1Aに 2P9/tubeで
ラ ッ ト血 漿 の バ ゾ プ レ シ ン レ ベ ル は,数P9/m1と
報 告 さ れ て い る の で,本
濃 縮 し て バ ゾ プ レ シ ン 含 量 を 求 め た 。 従 っ て,濃 干 渉 す る か を 予 め 確 認 し た 。 そ の 結 果,イ 代 え て,バ
ゾ プ レ シ ン ーfree血
実 験 で は5倍
実 験 で は 血漿 抽 出 液 を
ン キ ュ ベ ー シ ョ ン 溶 液 に 加 え た100μ1の
漿 抽 出 液 の5倍
の バ ゾ プ レ シ ン ア ッ セ イ が 干 渉 さ れ,抗
濃 縮 液100μ1を
生 理 的 食塩 水 に
加 え た場合 に は・ 血漿 抽 出 液 の 抗 原 一
濃 縮 液100μ1を
加 え た 場 合 に は,低
に 濃 縮 し た 血 漿 抽 出 液100μ1を
用 い て,バ
漿 を 用 い て,interassayvariabilityお
た 。interassayvariabilityの
検 討 に お い て は,血
ゾ プ レ シ ン含 量 を求 め た ・
よ びintraassayvariabilityを
の 標 識 で 作 成 し た1251-ADHを
assayvariabilityを
求 め た 。20例
saycoefficientofvariationは13.4%だ
加 え(10μU/m1),こ
収 率 及 びintra-
均 ±S.D.),intraas-
バ ゾ プ レ シ ン分 泌 促 進 効 果 々9.7,24.3,48.6,97.1pmol)の
漿 バ ゾ プ レ シ ン 含 量 を 測 定 し た 。 結 果 はFig.2に
与 し た 対 照 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン値 は2.3±0.8(平 25,50,100ng投
れ を 抽 出 し て,回
った 。
無 麻 酔 ラ ッ ト の 第III脳 室 に10,25,50,100ng(各 投 与 し,血
あっ た。バ ゾ
に つ い て の 平 均 回 収 率 は53.1±7.1%(平
室 内 に 投 与 し た ア ン ジ オ テ ン シ ンIIの
ン シ ンIIを
均 ±S.E.M)μU/mlだ
計 検 定 し た 結 果,対
っ た が,ア ン ジ オ テ ン シ ンII10,
バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 促 進 効 果 が 観 察 さ れ た 。Mann-WhitneyのU-testに
照 群 と ア ン ジ オ テ ン シ ンII10㎎
め ら れ な か っ た が,25,50,100ng投
な り, よ り統
投 与 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン レベ ル に 有 意 差 は 認
与 群 と の 間 に は い つ れ も 有 意 差(P〈0.05)が 第55巻
アンジオテ
示 した 。 生 理 的 食 塩 水 を投
与 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン値 は 各 々6.7±5.0,14.0±2.2,16.3±4.3,20.7±2.5μU/mlと
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIの
割 用 い て6か
月 間 に わ た っ て 行 っ た 。 そ の 結 果,interassaycoefficicentofvariationは6・7%で 漿 に ス タ ン ダ ー ドADHを
求 め
漿 抽 出 液 に ス タ ン ダ ー ドADHを20μU/mlの
合 で 加 え た も の を 標 準 検 体 と し て 使 用 し た 。 測 定 は5回
フ・レ シ ン ーfree血
レベ ル
原 一 抗 体 反 応 の 阻 害 さ れ る こ と が 確 認 さ れ た(Fig.1C)。
バ ゾ フ・レ シ ン.free血
2.脳
の 最 小 感 度は
縮 した 血 漿 抽 出 液 が 抗 原 一 抗 体 反 応 に ど の よ うに
抗 体 反 応 に 及 ぼ す 影 響 は 無 視 し 得 る が(Fig.1B),10倍
従 っ て,本
示 し た 通 り で,そ
あ った。
第10号
認 め られた。
バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 に お よ ぼ す ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと 1290
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIの 脳 室 内 投 与 の 効 果(山
Fig. 2.
口,他4名)
The effect of angiotensin II injected into the third cerebral ventricle on mean plasma vasopressin concentration in conscious male rats. The vertical lines indicate standard errors of the means. The number of rats bled is shown at the top of each vertical line.
Fig. 3.
A comparison between the effects of angiotensin II and angiotensin III injected into the third cerebral ventricle on plasma vasopressin level . The number of rats bled is shown at the top or bottom of each bar . The vertical lines represent standard errors of the means. Open columns indicate the effect of angiotensin II and hatched columns that of angiotensin III.
血 漿 バ ゾ プ レ シ ン 含 量 は,25ngま 示 した が,投 3.脳
で ア ン ジ オ テ ン シ ンII投 与 量 に 比 例 し た 比 較 的 急 峻 な 増 加 率 を
与 量 を そ れ 以 上 に 増 し て も,増 加 率 は 緩 慢 な 上 昇 傾 向 を示 す だ け で あ っ た 。
室 内 に投 与 し た ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIのバ ゾ プ レ シ ン分 泌 促 進 効 果
25,50ng(各 45.4ng)を
々24.3,48.6pmol)の
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと 等 モル の ア ン ジ オ テ ン シ ンIII(各々22.7,
投 与 した 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン 含 量 は そ れ ぞ れ14 .9±2.7,16.3±5.6μU/mlで,い
の 値 も生 理 的 食 塩 水 を投 与 した 対 照 群 の 値 に 較 べ て 有 意(P〈0 第55巻
第10号
.05)に
ずれ
高 い こ とが 観 察 され た 。 し
日
か し,24.3,48.6pmolの
本
内
分
泌
学
会
ど ち ら の 投 与 量 に お い て も,ア
雑
ン ジ オ テ ン シ ンIII投与 群 とII投 与 群 の 血
漿 バ ゾ プ レ シ ン値 の 間 に 有 意、 差 は 認、 め られ な か っ た(Fig.3)。 量 の 範 囲 で は,ア
1291
誌
以上 の結 果 か ら本 実 験 で 用 い た 投 与
ン ジ オ テ ン シ ンIIIはア ン ジ オ テ ン シ ンIIと 同 程 度 に バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 を促 進 す る
と考 え られ る。 考
察
無 麻 酔 ラ ッ トの 第III脳室 に ア ン ジ オ テ ン シ ンIIを 投 与 す る と,血 漿 バ ソ"フ.レシ ン含 量 は 著 し く増 加 す る 。 す な わ ち,生 理 的 食塩 水 を投 与 し た 対 照 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン 値 は2.3±0.8μU/mlで た が,ア
ン ジ オ テ ン シ ンII25,50,100ngの
16.3±4.3,20.7±2.5μU/mlと に3-443ng/mlの
投 与 に よ り,そ れ は 有 意 に 増 加 して,各
な る こ と が 認 め ら れ た 。 以 上 の 結 果 は,ネ
あっ
々14.0±2.2,
ン ブ ター ル 麻 酔 し た イ ヌ
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIを 側 脳 室 か ら 大 槽 へ と潅 流 す る と血 漿 バ ゾ プ レ シ ン レベ ル は
投 与 前 の2-一一3倍 に 増 加 す る21),あ る い は 無 麻 酔 ラ ッ トの 側 脳 室 に 注 入 さ れ た50,100ngの テ ン シ ンIIは 血漿 バ ゾ プ レ シ ン 濃 度 を 対 照群 の5-10倍
に 増 加 させ る18),と い う先 の 報 告 を再 確 認
す る もの で あ る 。 ア ン ジ オ テ ン シ ンII投 与 に よ るバ ゾ プ レ シ ン分 泌 は,25ngま た 著 し い増 加 傾 向 を示 す が,投
与 量 を 更 に50,100ngと
ア ン ジオ
では投 与量 に 比例 し
増 加 させ て も,投 与 後 の 血漿 バ ゾ プ レ シ ン含
量 は25ng投 与 後 の 値 に 較 べ て わ ず か な 増 加 傾 向 を示 す だ け で あ る 。KeilとSeversi8)Sl・,5・,1・ ngの ア ン ジ オ テ ン シ ンIIの バ ゾ プ レ シ ン分 泌 能 を観 察 し た結 果,50,100ngの
・
ア ン ジ オ テ ン シ ンII投
与 で 刺 激 され る 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン含 量 の 増 加 は 同 程 度 で あ り,こ れ らの 投 与 量 で バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 の 最 大 反 応 が お こ る と報 告 し て い る 。 以 上 の,脳
室 内 に 投 与 した 大 量 の ア ン ジ オ テ ン シ ンIIに よ っ
て バ ゾ プ レ シ ン分 泌 が プ ラ トー に 達 す る と い う現 象 は,バ ゾ プ レ シ ン分 泌 を誘 発 す る 脳 室 周 囲 組 織 の ア ン ジ オ テ ン シ ン リセ プ タ」 が 飽 和 さ れ る こ とに 起 因 す る た め と考 え られ,こ の 飽 和 は25-50ng の ア ン ジ オ テ ン シ ンIIに よ っ て達 成 され る も の と推 定 さ れ る 。 25,50ngの
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと 等 モ ル の ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIは血 漿 バ ゾ プ レ シ ン値 を有 意 に 増
加 させ る が,そ て,脳
の 増 加 の 程 度 は ア ン ジ オ テ ン シ ンIIに よ っ て 誘 起 され る もの と有 意 差 は な い 。 従 っ
室 内 投 与 に よ る ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIのバ ゾ プ レ シ ン分 泌 能 は 用 い た 投 与 量 の 範 囲 で は ア ン ジ
オ テ ン シ ンIIの そ れ に 匹 敵 す る と考 え られ る.Erikss。nとFyhrquist5)1ま,ヤ ん だ カ ニ ュー レ を 介 して10μ9/m1の ア ン ジ オ テ ン シ ンII,17.7μ9/mlの
ギの側 脳 室 に 撤
込
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIを投 与 し
こ れ ら の ペ プ チ ドの 自由 水 ク リア ラ ン ス 及 び ナ ト リウ レ シ ス に 及 ぼ す 影 響 を検 討 し た ・ そ の 結 果 ・ 彼 等 は ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIはア ン ジ オ テ ン シ ンIIに く らべ 抗 利 尿 効 果 が 弱 い と報 告 し て い る 。 こ の 報 告 と わ れ わ れ の 結 果 と の 矛 盾 を 直 ち に解 決 す る こ とは 困 難 で あ る が,自 バ ゾ プ レ シ ン濃 度 の 変 化 の み な ら ず,他
由 水 ク リア ラ ン ス は 血 漿
の 因 子 に よ っ て も変 動 す る の で,彼 等 の 実 験 結 果 に は バ ゾ
プ レ シ ン以 外 の 因 子 の 影 響 が 加 わ っ て,ア
ン ジ オ テ ン シ ンIIと ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIの効 果 に差 が 現
れ た もの と考 え られ る 。 脳 に は 腎 と独 立 した イ ソ レ ニ ンー ア ン ジ オ テ ン シ ン系 が 存 在 す る7)9).従
っ て,中
枢 由 来の ア ン
ジ オ テ ン シ ンが そ れ 自 身 の 生 理 的 機 能 を担 っ て い る こ とは 充 分 推 測 で き る 。 バ ゾ プ レ シ ン の 分 泌 調 節 も そ の 推 定 し得 る 機 能 の 一 つ で あ る が,脳 ジ オ テ ン シ ン 量 は,ラ
室 内 投 与 で バ ゾ プ レ シ ン分 泌 を促 進 す る に 必 要 な ア ン
・ ソ ト1(1)・ヒ ト28)・ヒ ツ ジ1)等 の 脳 脊 髄 液 中 に 認 め ら れ る ア ン ジ オ テ ン シ ン量
に 較 べ て は る か に 多 量 で あ る 。 従 っ て,脳
イ ソ レ ニ ンー ア ン ジ オ テ ン シ ン 系 が 脳 脊 髄 液 流 を介 して
バ ゾ プ レ シ ン分 泌 を生 理 的 に 調 節 す る か ど うか は 疑 問 で あ る 。 しか しOrganumVasculosumLami一 第55巻
第10号
バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 に お よ ぼ す ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと 1292
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIの 脳 室 内 投 与 の 効 果(山
naTerminalisな
口,他4名)
ど の 脳 室 周 囲 器 官 が バ ゾ プ レ シ ン分 泌 に 関 与 す る との 報 告 も あ る の で24),脳 脊 髄
液 流 を介 し た ア ン ジ オ テ ン シ ン の バ ゾ プ レ シ ン分 泌 調 節 の 有 無 を解 明 す る た め に は,こ 傍 の 局 所 的 な 脳 脊 髄 液 ア ン ジ オ テ ン シ ン 濃 度 を 明 らか に す る必 要 が あ ろ う。 一 方,脳 多量 の ア ン ジ オ テ ン シ ン2)25),さ ら に そ の リセ プ ター が 存 在 し29),ま
れ ら器 官 近
実 質 中 に は,
た 器 官 培 養 し た視 床 下 部 一 下
垂 体 後 葉 組 織 か らの バ ゾ プ レ シ ン分 泌 は 培 養 液 中 に 加 え た ア ン ジ オ テ ン シ ンIIに よっ て刺 激 され るis) 従 っ て,脳
実 質 中 の ア ン ジ オ テ ン シ ン が 生 理 的 に バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 を調 節 す る と考 え る こ と も可 能
で あ る 。 脳 室 内 投 与 に よ っ て バ ゾ プ レ シ ン分 泌 を誘 起 す る た め に は,脳 脊 髄 液 中 の ア ン ジ オ テ ン シ ン 量 に 較 べ て,か
な り大 量 の ア ン ジ オ テ ン シ ン を必 要 とす る とい う本 実 験 の 結 果 は ,投 与 し た ア ン
ジ オ テ ン シ ン が 脳 実 質 中 に 浸 透 し て バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 を促 進 した こ と を 意 味 す る の か も知 れ な い 。 Hutchinsonら
は 近 年,電
気 泳 動 パ ター ン を も とに,イ
ヌ 脳 脊 髄 液 中 の 免疫 活 性 ア ン ジ オ テ ン シ ン
IIの 大 部 分 は ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIで あ る こ と を 明 ら か に し た14)。 本 実 験 で は,例 ラ ッ トを 材 料 と して 実 験 を す す め た が,こ
数 を重 ね る必 要 上
れ ま で の と こ ろ ラ ッ ト脳 脊 髄 液 中 の ア ン ジ オ テ ン シ ン に
占め る ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIの割 合 は 検 討 さ れ て い な い 。しか し,イ ヌ 及 び ラ ッ トは 共 に 脳 に イ ソ レ ニ ン,ア ン ジ オ テ ン シン を 含 記
い ず れ の 動 物 で も脳 室 内 に 投 与 した ア ン ジ オ テ ン シ ンIIは バ ゾ プ レ シ
ン分 泌 を促 進 す る こ と18)21)32),ま た 両 者 の 摂 水 に 関 す る 生 息 環 境 が 類 似 して い る こ と な ど を考 慮 す る り
と ・イ ヌ 及 び フ ッ トの 脳 イ ソ レ ニ ンー ア ン ジ オ テ ン シ ン系 の 特 性 に つ い て は 共 通 性 が あ る と考 え ら れ る ・さ ら に ラ ッ トの 脳 組 織 に お け る ア ン ジ オ テ ン シ ンIIの 存 在 は,螢 光 抗 体 法 を 用 い て 組 織 学 的 に 明 らか に され て い る3)が,こ れ 迄 作 成 さ れ た ア ン ジ オ テ ン シ ンII抗 体 の す べ て に ア ン ジ オ テ ン シ ンIII と の 交 差 反 応 が 認 め ら れ て い る4)13)20)23)2(5)3(1)31縦 っ て,ラ
こ とは 否 定で きな い・本 実 験 は,脳
ッ トの 脳 実 質 。 こ ア ン ジ オ テ ン シ ンIII塒
在す る
室 中 に 投 与 し た ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIのバ ゾ プ レ シ ン分 泌 能 が ア ン
ジ オ テ ン シ ンIIの そ れ に 匹 敵 す る こ と を明 らか に し た 。 この 事 実 を,ラ テ ン シ ン リセ プ ター へ の1251・・ア ン ジ オ テ ン シ ンIIの と り こ み は,ア
ッ ト脳 抽 出 液 中 の ア ン ジ オ
ン ジ オ テ ン シ ンIIに よ る と同 程
度 に ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIによ っ て 阻 害 され る との 報 告(Sirettら1977)29)と
あわせ て考 え る と
,ア
ン ジ オ テ ン シ ンIIIが中 枢 の バ ゾ プ レ シ ン分 泌 促 進 因子 と し て機 能 し て い る 可 能 性 が 推 測 さ れ る 以 上,本
実 験 に お い て わ れ わ れ は,脳
ンIIIのバ ゾ プ レ シ ン分 泌 能 力 を 明 ら か に し,ア 干 の 考 察 を加 え た 。 しか し,い
。
室 中 に 投 与 し た ア ン ジ オ テ ン シ ンIIお よ び ア ン ジ オ テ ン シ ンジ オテ ンシ ンのバ ゾプ レ シン分泌 調節 につ い て若
まだ 内 因性 の 脳 内 ア ン ジ オ テ ン シ ンが,生
を促 進 す る こ と を示 す 確 証 は あ げ ら れ て い な い 。 現 在,わ 結
理 的 に バ ゾ プ レ シ ン分 泌
れわ れは この 問題 を検討 中 であ る。
語
脳 室 内 に 投 与 した ア ン ジ オ テ ン シ ンIIが バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 を刺 激 す る こ と は よ く知 ら れ て い る 。 しか し,ラ
ジ オ イ ム ノ ア ッセ イ 法 で ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと して 測 定 さ れ る 脳 脊 髄 液 中 の ア ン ジ オ テ
ン シ ン の 大 部 分 は ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIであ る と報 告 さ れ ,ま
た免 疫 化 学 的 手 法 に よ り脳 組 織 の ア ン
ジ オ テ ン シ ンII存 在 の証 明 に 用 い ら れ た ア ン ジ オ テ ン シ ンII一 抗 体 が,ア に 交 差 反 応 を 示 す こ とが 知 られ て い る に もか か わ らず,血
ン ジ オ テ ン シ ンIIIとの 間
漿 バ ゾプ レ シン含量 に及 ぼす ア ン ジオテ
ン シ ンIIIの効 果 は これ 迄 検 討 さ れ て い な か っ た 。 そ こ で 本 実 験 で は ラ ジ オ イ ム ノ ア ッセ イ法 に よ る バ ゾ プ レ シ ン の 測 定 を も とに ,血 漿 バ ゾ プ レ シ ン レベ ル に 関 す る ア ン ジ オ テ ン シ ンIIお よ び ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIの第III脳室 内 投 与 の 効 果 を 比 較 ・検 討 した 。 雄 ラ ッ トの 第III脳室 に 慢 性 カ ニ ュ ー レ を植 え 込 み,術 第55巻
後3日
第10号
目に 無 麻 酔 状 態 で こ の カ ニ ュ ー レ か
日 ら ア ン ジ オ テ ン シ ンII,ア 水5μ1を 投 与 し,90秒
本
内
分
泌
学
会
雑
誌
1293
ン ジ オ テ ン シ ンIIIの生 理 的 食 塩 水 溶 液,あ
る い は 対 照 と して 生 理 的 食 塩
後 に 断 頭 屠 殺 に よ り採 血 して 得 た 血 漿 中 の バ ゾ プ レ シ ン 含 量 を 測 定 し た 。 生
理 的 食 塩 水 を 投 与 し た対 照 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン値 は2.3±0.8μU/mlで
あ っ た 。10,25,50,100ng
の ア ン ジ オ テ ン シ ンII投 与 群 の そ れ は 各 々6.7±0.5,14.0±2.2,16.3±4.3,20.7±2.5μU/mlで, 対 照 群 と25,50,100ngの
ア ン ジ オ テ ン シ ンII投 与 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン値 の 問 に 有意 差(P〈0.05)
が 認 め ら れ た 。 一 方,25,50ngの テ ン シ ンIII22.7,45.4ng投
ア ン ジ オ テ ン シ ンII(各 々24.3,48.6pmo1)と
与 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン値 は そ れ ぞ れ14.9±2.7,16.3±5.6μU/mlと
な り,対 照 群 の 血 漿 バ ゾ プ レ シ ン値 との 間 に 有 意 差(P〈0.05)を II25,50ng投
等 モ ルの ア ンジオ
確 認 し た が,ア
ン ジオテ ンシ ン
与 群 の 値 との 問 に 有 意 差 は 認 め られ な か っ た 。
以 上 の 実 験 か ら,脳 室 内 に 投 与 し た24.3,48.6pmolの
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと ア ン ジ オ テ ン シ ン
IIIのバ ゾ プ レ シ ン 分 泌 促 進 能 力 は 同程 度 で あ る と考 え られ,こ の 結 果 は 脳 内 ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIが バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 に 関 し て 役 割 を果 し て い る 可 能 性 を 示 唆 し て い る 。
稿 を終 る に あ た り御 助 言 を賜 っ た 小 林 庄 一 教 授 に 深 謝 す る と と も に,本 隆 夫 助 手,な
本 研 究 の 一 部 は,第51回
な お,本
研究 に御協 力 頂 いた赤石
ら び に 第 一 内 科 学 教 室 伊 藤 正 毅 博 士 に 深 謝 い た し ます 。
日本 内 分 泌 学 会 総 会(昭
和53年)に
お いて発表 した。
研 究 は 昭 和53年 度 文 部 省 科 学 研 究 費 に よ っ た 。 文
1) Abraham, S.F., Baker,
献
R.M., Blaine, E.H., Denton, D.A. and McKinley, M.J.: Water
drinking induced in sheep by angiotensin
a physiological or pharmacological
effect?.
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第10号
バ ゾ プ レ シ ン 分 泌 に お よ ぼ す ア ン ジ オ テ ン シ ンIIと 1294
ア ン ジ オ テ ン シ ンIIIの 脳 室 内 投 与 の 効 果(山
口,他4名)
Hutchinson, J.S. and Schelling, P.: The intrinsic brain isorenin-angiotensin system in the rat 一
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11)
of blood
pressure
regulation.
Clin. Sci. Mol. Med.,
Ganten, D., Fuxe, K., Phillips, M.I., Mann, J.F.E.
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system: biochemistry,
localization,
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川 三 衛,斉
床 下 部,下
垂 体 器官 培 養 系 に おけ
る 後 葉 ホ ル モ ン の 分 泌 調 節,(第1報)高
浸 透 圧 お よ び ア ン ジ オ テ ン シ ンIIの 影 響,日
藤寿一
吉 田
尚:視
本 内分 泌 学 会東 部 々 会
講 演 要 旨 集 ・15:39,1978・16)Kamoi,K.andHama,H
.:Radioimmunoassayof
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林 英 司,竹
学 会 第49回
井 祥 郎,上
村 晴 子,和
田
勝:ア
ン ギ オ テ ン シ ンIIに
大 会 予 稿 集 ・53,1978.20)Mendelsohn
measurement
よ る 飲 水 誘 起 現 象 の 進 化,日
本動 物
,F.A.0.:Amethodfor
of angiotensin II in tissue and its application
to rat kidney . Clin. Sci. Mol. Med., 51: 111-125, 1976. 21) Mouw, D.R., Bonjour, J.P., Malvin, R .L. and Vander, A.: Central action of angiotensin in stimulating ADH release. Am. J. Physiol. , 220: 239-242, 1971. 22) Mouw, D.R.: Interrelationships of the renin-angiotensin systems with the release of antidiuretic-hormone,
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第10号
日
28)
本
内
分
泌
学
会
雑
誌
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