Exp. Anim. 41(4), 537-540,

1992

Note

Cryopreservation

of Spermatozoa

of a Transgenic

Mouse

Naomi NAKAGATA***, Kazuya MATSUMOTO*, Masayuki ANZAI*, Akio TAKAHASHI*, Yumi TAKAHASHI *, Yuichi MATSUZAKI*, and Kenji MIYATA* *NT Science Co., Ltd., 2221-1Shinmachi, Ome-shi, Tokyo 198 and **Nippon Institute for Biological Science, 2221-1Shinmachi, Ome-shi, Tokyo 198, Japan (Received 5 February

Spermatozoa gene One

was

of

fourth

of

Thirty-six were

lucif

the

of 65 transferred

23/36)

were erase

transgenic

a homozygous

expressed

under frozen

to born. gene

tranasgenic the

control

sperm

oocytes

was

(55.4%) the All

of

young

expression.-KEY

later

4 June 1992)

mouse,

of ƒÀ-actin

to

in

and the

WORDS:

the were

used

2-cell

pseudopregnant analyzed

which

promoter,

thawed

developed

oviducts of

1992/Accepted

for

stage.

in All

recipients carried

the

and

firefly

vitro the

fertilization. embryos

young and

of

at-196•Ž.

2-cell

23

transgene

cryopreservation

luciferase

frozen

(63.9%, showed

mouse

the sperm,

mouse

中 潟 直 己*,**・

松 本 和 也*・ 安 斉 政 幸*・ 高 橋 明 男*

高 橋 由 美*・ 松 崎 雄 一*・ 宮 田 堅 司* *株 式 会 社 エ ヌテ ィ ーサ イ エ ンス **財 団 法 人 日本生 物 科 学 研 究所

近 年,マ

ウ ス精 子 の凍 結 保 存 が 可 能 とな り,人 工 授精

モ個 体 一匹(15週

齢)を 用 いた 。 即 ち,C57B:L/6N雌



あ る いは 体 外 受 精 ・胚 移 植 に よ り,そ れ ら 凍 結 精 子 を

Jcl:ICR系

用 い て の産 児 の作 出 が 相 次 い で 報 告 され て い る[2,5,7,

受 精 卵 に遺 伝 子 を注 入 した後,偽 妊 娠 第1日

10]。 私 た ち も精 子 の 融 解 後 の 処 理 法 な どの 改 良 に よ り,

に移 植 す る こ とに よ り,雄 の ヘ テ ロ トラ ンス ジ ェニ ック

実 用 性 の高 い マ ウ ス精 子 の凍 結 保 存 法 を 確 立 しつ つ あ り

マ ウス を作 製 した。 続 い て,こ の ヘ テ ロマ ウ ス と正 常 な

[4,8,11],当

C57BL/6N雌

研 究 室 で 作 成 して い る トラ ン ス ジ ェ ニ ック

雄 を交 配 し,得 られ た 体 内受 精 由来 前 核 期 目の 受 容 雌

マ ウス を交 配 して得 られ た 雌 雄 の ヘ テ ロ

マ ウス につ い て も既 に,精 子 の 凍 結 保 存 を 開 始 して い

マ ウス 同士 を さ ら に 兄妹 交 配 し,ホ

る。 そ こで,本 実 験 で は,一 例 で は あ るが,凍 結 した ト

[3]。 な お,導 入 した遺 伝 子 は,プ

ラ ンス ジ ェニ ック マ ウ ス精 子 の 一 部 を 融 解 し,そ の 生存

ワ トリの β-ア クチ ン遺 伝 子 の5’上 流 領 域 約1.5kbを

性 につ い て検 討 した 結 果,若 干 の 知 見 を 得 た の で報 告 す

い,そ の 下流 にホ タル ・ル シ フェ ラーゼ[1,6]のcDNA

る。

お よびSV40の

供 試 動 物:凍 結 実 験 に は,β-ア

クチ ン/ル シ フ ェ ラ ー

ゼ融 合 遺 伝 子 を 導 入 した トラ ン ス ジ ェ ニ ックマ ウ ス雄 ホ

モ雄 マ ウスを得 た ロモ ー タ ー と し て ニ 用

ス プ ライ シ ング領 域 と ポ リAシ グ ナ ルを

付 け た全 長 約4.3Kbの

断 片 で あ る(Fig.1)。

凍 結 融 解 操 作:凍 結 融 解操 作 は,ほ ぼ前 法に従 った[4,

中 潟 直 己 ・松 本 和 也 ・安 斉政 幸

538 8,11]。

即 ち,organ

3037)内

の0.4mlの

tissue

ム ミル ク を そ れ ぞ れ18%お に 加 え,60℃

culture

保 存 液(ラ

dish(FALCON,

フィノー スお よび スキ

よ び3%と

な る よ うに蒸 留 水

の 温 水 中 で 溶 解 後,10,000gの

ゼ イ ン ミセ ル を 除 去 し た 上 清)に の 精 巣 上 体 尾 部2個

を 入 れ,保

一 に 懸 濁 後 ,約0.1m1ず

存 液 中 で 細 切,精

つ0.25mlの

解 は,凍

ス 中 に 約10分

っ た(融

静 置

に 浸漬 した。 ま

結 し た サ ン プ ル の うち,一 体

り取 り出 し,3∼5分,室

子を均

牛精子凍結保存用

却 速 度:30∼40℃/min),LN2中

た,融

遠心 にて カ

上 述 した ホ モ雄 マ ウ ス

プ ラ ス チ ッ ク ス ト ロ ー に 詰 め,LN2ガ 後(冷



をLN2よ

温 に 放 置 す る こ と に よ り行 な

解 速 度:50∼80℃/min)。

融 解 後 の精 子 浮 遊 液 の希 釈 ・洗 浄:融 解 した 精 子 浮 遊 液 をorgantissueculturedish内

の0.4m1の

Fig. 1. Structure of transgene used for microinjection. Fusion genes contain 1.5 kbp of the chicken 9-actin 5' franking region fused to 1.8 kbp of the firefly luciferase c DNA 0.8 kbp of SV 40 splicing region and SV 40 polyadenylationsite.

培 養液 下

部 に静 か に 挿 入 し,培 養 器 内で30分 静 置 す る こ とに よ り 緩 徐 に精 子 浮 遊 液 の希 釈 を 行 な った 後,0.45uの フ ィル タ ー(ミ リポ アSLHAO250S)を 用 い て 精子 浮 遊液 を 濾 過 し,完 全 に 保 存 液 を 除 去 した 。 体 外 受 精:体 外 受 精 は 豊 田 らの 方 法 に 従 った[9]。 なわち,5iu

PMsGと5iuHcGを48時

間 間 隔 で腹腔

内投 与 し,過 排 卵 処 理 を施 したICR系 齢)の 卵 管 膨 大 部 よ りHCG注



雌 マ ウ ス(10週

射 後16∼17時 間 に採 取 し

た卵 子 を1.5時 間 前 培 養 した 凍 結精 子 懸濁 液 内 に 導 入 す るこ とに より授 精 を行 な った(精 子 濃 度:2000精

子/μl)。

卵 子 は 授 精後6時

体 の放 出

間 に 倒 立顕 微鏡 下 で,第2極

と雌 雄 前 核形 成 を 指 標 と して受 精 の 有無 を 検査 し,そ の 後,更 に18時 間 培 養 し,2細

胞期 へ の発 生 につ い て観 察

した 。 胚 の 移 植:2細

胞期 へ 発生 した胚 は偽 妊 娠 第 一 日 目の

受 容雌(Jcl:MCH)の

卵 管 へ移 植 し,新 生 児 へ の 発 生

に つ い て 検討 した。 導 入 遺 伝 子 の 検 定 お よび 発 現 の 解 析:得

られ た産 児 に

つ い て は 尾 部 の 細 胞 よ り抽 出 ・精 製 し た 高 分 子DNA を 試 料 と し,以

下 に示 す サ ザ ン プ ロ ッテ ィン グお よび フ

ィ ル タ ー ハ イ ブ リダ イ ゼ イ シ ョ ン法 に よ っ て,導

入 した

遺 伝子 断 片 の マ ウス の染 色 体 上 へ の 組 込 み を 検 索 した 。 す な わ ち,制

限 酵 素BamHIで

の 高 分 子DNAを1%ア

完 全 に 消 化 させ た10μg

ガ ロ ー ス 中 で 電 気 泳 動 し た 後,

ナ イ ロ ン フ ィ ル タ ー にDNAを プ ロ ー ブ を 用 い,ECL (RPN2101,ア

固 定 さ せ,Fig.1に

GENE

マ シ ャ ム)に

DETECTION

よ って フ ィル タ ーハ イ ブ リ

ダ イ ゼ イ シ ョ ン を 行 な っ た 。 ま た,ル に つ い て は,尾 KH2PO4,1mM

示す

SYSTEM

シ フ ェ ラ ーゼ活 性

部 組 織 よ り抽 出 用 バ ッ フ ァ ー(100mM DDT,pH7.5)で

ホ モ ジナ イ ズ して

Fig.

2.

試 験 管 内 の350μ1の

反応 液

blot

mouse.

Tail and

ed

analysis

cryopreserved

BamHI, with

that kbp)

bands

integration

of are

(10ƒÊg)

15 young

above

of was

fragments

probe

hybridizing

numbers

DNA

(1.9

of

sperm

the

a

fragment

the

得 ら れ た 細 胞 抽 出 液20μ1を

Southern

from

were was

from (1.9

kbp

injected the

a the

a

digested blot

with

hybridiz-

BamHI-BamHI transgene.

; arrow) fragments.

line.

derived transgenic

The indicate Mouse

トラ ン ス ジ ェ ニ ックマ ウス精 子 の 凍結 保 存

Table

Table

(25mM

TD4000)に 100μ1を

1. Fertility of the cryopreserved luciferase transgenic mouse sperm assessed by in vitro fertilization

2. Development to live young of 2-cell embryos produced by in vitro fertilization with the cryopreserved lucif erase transgenic mouse sperm

glycylglycine,5mM

に 加 え て 混 和 し,ル

ATP,15mMMgSO4)

ミ ノ メ ー タ ー(ラ

セ ッ ト し た 後,1mMル



シ フ ェ リ ン溶 液

注 入 す る こ と に よ り反 応 さ せ,そ

よびTable2に



ボ サ イ エ ン ス,

の 発光 量 を 測

β-ア クチ ン/ホ タ ル ・ル シ フ ェラーゼ融 合遺伝 子を導 入 した トラ ンス ジ ェニ ッ ク雄 マ ウ ス(1匹)の

定 し て ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 を 検 出 し た[1]。

Table1:お

539

遺 伝 子 導 入 凍 結 マ ウ ス精

精 巣 上 体尾

部 か ら得 られ た精 子 を凍 結 保 存 後,そ の1/4を

融 解 し,

子 の 体 外 受 精 お よび 得 られ た 胚 の 移 植 成 績 を 示 す 。 供

そ の生 存 性 につ い て検 討 した 。 凍 結 融 解 した精 子 を 用 い

試 卵65個 中,そ の55.4%に

て体 外 受 精 を行 な っ た結 果,検 査 卵65個 中36個 が 受 精

当 た る36個 が 受精 し,培 養

に よ りす べ ての 受 精 卵 が2細

胞 期 へ 発 生 した(Table

(55.4%)し,2細

胞 期 へ 発 生 した 。 さ ら に こ れ ら胚 を

1)。 さ らに,こ れ らす べ て の 胚 を2匹 の 受 容 雌 に 移 植

偽 妊 娠 第 一 日の 受 容 雌 の卵 管 に移 植 した とこ ろ,23匹

した とこ ろ,23匹(63.9%,23/36)の

(63.9%,23/36)の

た(Table2)。

また,得

新生児が得 られ

られ た 新 生 児 の内,無

作為に

新 生 児 が 得 られ た 。 また,得

新 生 児 の 一 部(15匹)に

られ た

つ い て,サ ザ ンプ ロ ッ ト法 にて

選 ん だ15匹 を サザ ン プ ロ ッ トに よ り解 析 した 結 果,全 例

DNAの

に導 入 遺 伝 子 の伝 達 が 確 認 され た(Fig2)。

伝 子 が 伝達 され て い る こ とが確 認 され た。 また,得

得 られ た新 生 児 す べ て にお いて,そ

さ らに,

の細 胞 抽 出 液 に ル シ

フ ェ ラー ゼ の活 性 が 認 め られ た 。 以上,本 実 験 結 果 か ら,ト

られ

た新 生 児 す べ て に お い て ル シ フ ェ ラー ゼ遺 伝 子 の発 現 が 確 認 され た 。

ラ ンス ジ ェニ ック マ ウ ス精

子 の凍 結 保 存 は可 能 で あ り,融 解 後,そ 体外 受 精 を行 な い,得

解析 を行 な った結 果,す べ て の新 生 児 に 導 入 遺



の精 子 を 用 い て

られ た胚 を 受 容 雌 へ 移 植 す る こ と

[1]

に よ り,導 入 遺 伝 子 が伝 達 され た新 生 児 へ 発 生 す る こ と が 知 られ た。

[2]

現 在,い ろ い ろ な 目的 で,種 々 の外 来 遺 伝 子 を導 入 し た トラ ン ス ジ ェ ニ ッ クマ ウス が次 々 と作 出 され てお り, 今後 そ の 数 は急 速 に増 加 し,膨 大 な数 に な る もの と思 わ

[3]

れ る。 した が って,精 子 の凍 結 保 存 は,胚 の凍 結 保 存 と と もに,こ れ らマ ウス の系 統維 持 ・保 存 に きわ め て有 効

[4]

な 手 段 に な り得 る もの と考 え られ る。

[5]



DeWet, J.R., Wood, K.V., DeLuca, M.D., Herinski, D.R., and Subramani, S. (1987). Mol Cell Biol, 7, 725-737. Graham, E.F., Schmehl, M.L.K., Evensen, B.K., and Nelson, D.S. (1978). Semen preservation in non-domestic mammals. Symp zool Soc. Lond, 43, 153-173. Matsumoto, N., Takahashi, A., Nakagata, N., Takahashi, Y., Matsuzaki, U., and Miyata, K. (1991). Cell structure and f unction, 16, 608. Nakagata, N. and Takeshima, T. (1992). Theriogenology. 37, 1283-1291. 奥 山 学 ・磯 貝 滋 樹 ・佐 賀 正 彦 ・浜 田 宏 ・尾 川 昭 三 (1990).日 本 受 精 着 床 学 会 雑誌,7,116-119.

540

[6]

[7] [8]

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[Cryopreservation of spermatozoa of a transgenic mouse].

Spermatozoa of a homozygous transgenic mouse, in which the firefly luciferase gene was expressed under the control of beta-actin promoter, were frozen...
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