〔704〕
脂 質 成 分 に及 ぼす カ ドミウム の影 響 -甲状 腺 ホ ル モ ン お よ び 成 長 ホ ル モ ン と カ ド ミ ウ ム の 関 連 性-
藤
田
大
輔
兵庫医科大学公衆衛生学教室
Effect Relation
of Cadmium
of Cadmium
on Lipid
to Thyroid
Hormone
Daisuke Department
To clarify components,
of Public Health,
the relationship 4-week-old
of cadmium
Components: and Growth
Hormone
Fujita
Hyogo College of Medicine, Nishinomiya
(Cd),
thyroid
hormone
SD rats were dosed orally with Cd (CdCl2)
(TH) and growth
hormone
at a dose of 2.0mg/kg
(GH) to lipid
body weight five
times a week, orally with TH at a dose of 2.5mg/kg body weight five times a week and subcutaneously GH (somatropin) at a dose of 1.0 IU/kg body weight three times a week, all for 4 weeks. fatty
As lipid components, the serum concentrations acids were determined.
We have devised chromatography-mass
of triglycerides,
with
free fatty acids, lipid peroxides and long-chain
a new method for determining the fatty acid composition in the femur using gas spectrometry and made a simultaneous analysis of fatty acids, from myristic acid (C14:0)
to cholesterol. 1.
The results of the present study led to the following conclusions. Cd may inhibit lipogenesis by binding with SH of coenzyme A, thereby
acids and lipid peroxides. 2. When TH and Cd were administered lipid components, 3.
although
an interaction in lipid components. When GH and Cd were administered effect of somatomedin was suggested.
4.
in combination,
on the lipid metabolism.
the addition
of Cd produced
the lipid metabolism. Cd modulated
The inhibitory
an inhibitory
Therefore,
effect
on
Cd and TH may have
the action of GH, which enhanced
effect of Cd on somatomedin
activity
the
via Zn
A sex difference was found in the composition of fatty acids in blood. The males had higher proportions of palmitic acid (C16:0) and linoleic acid (C18:2), while the females had a higher proportion of arachidonic acid (C20:4).
5.
in combination,
TH given alone stimulated
reducing the serum levels of free fatty
There was no sex difference
in fatty
acid composition
It was confirmed that TH produced a peroxide of dehydrocholesterol, of the femur in the increased
metabolic
Key words : Cadmium,
in the femur. a precursor of vitamin D3, in the diaphysis
state.
Thyroid hormone,
Growth
hormone,
Fatty
acids in bone, Fatty
acids in blood カ ド ミ ウ ム,甲
状 腺 ホ ル モ ン,成
長 ホ ル モ ン,骨
中 脂 肪 酸,血
見 解 に よ って,カ 緒
言
イ タ イ イ タイ病(以 下 イ 病 と略 記)は,1968年
中 脂肪 酸
ド ミウ ム(以 下Cdと
略 記)に よ る公 害
病 と して広 く認 識 され る にい た った。 しか し臨 床 症 状, の 厚 生省
病理 所 見,実 験 結果 な ど につ い て多 面 的 な 整合 性 は 見 い
藤 田:脂 質 成 分 に 及 ぼす カ ド ミウム の影 響-甲 状 腺 ホル モ ンお よび成 長 ホ ル モ ン と カ ド ミウムの 関 連 性だ さ れ ず,Cdと
骨 障 害 の 関 係 につ い て は,な
お多 くの
当教 室 で はCdの 生 体 内 動 態 お よび そ の 作 用 につ い て
され,そ
は 甲 状 腺 ホ ル モ ン単 独 投 与 群(TH群),
III群 は 成 長 ホ ル モ ン 単 独 投 与 群(GH群),IV群
検 討 を必 要 と して い る1)。
研 究 して き た結 果,Cdは
1群 は 対 照 群,II群
成 長 期 に体 内 へ 積 極 的 に蓄 積
の蓄 積 量 に性 差 が認 め られ る こ と2,3),さ らに
そ の 蓄 積量 には 数 百 倍 に及 ぶ 種 属 差 の あ る こ とを観 察 し て い る4∼7)。 特 に種 属 差 に つい て は,1977年
にK.R.Bull
投 与 群(Cd群),V群
は 成 長 ホ ル モ ン+Cd投
投 与 方 法 は,甲
状 腺 ホ ル モ ン と してThyroid(帝
し,週5回 (Nova
い る。 これ に ヒン トを得 て,当 教 室 で はCd非 汚 染 地 域
3回 皮 下 注 射 した 。Cdは,CdCl2を
製)を
体 重 あ た り1国
重 あ た り2.0mg/kgと
経 口 投 与 した 。 な お 本 実 験 中,雄
用 に よ って換 羽 す る こと,他 の 鳥類 に比 べ て 早 く成 長 す る こ とな どが知 られ て い る9)。そ こで,脂 質 代 謝 に関 連 す る 甲状 腺 ホル モ ン お よ び成 長 ホ ル モ ン に対 して,Cd
で2匹
亡 し た た め,こ
のCd群
が,雌
2.血
血 清 中 の 脂 質 代 謝 関 連 項 目 と して,遊 ト リ グ リ セ ラ イ ド(TG),過
ロロ
ら10)に よ るCdの エ ネル ギ ー代 謝 に 関 す る実 験 の 中で, 多 少 の 関与 を示 唆 す るデ ー タが あ るのみ で あ る。 そ こで
子 工 業 社 製)を 用 い て 測 定 した 。TBARSは
成 長 ホ ル モ ン お よび 甲状 腺 ホル モ ンを投 与 した ラ ッ トの
法 に よ り,チ
脂 質成 分 に対 す るCdの 影 響 に つい て 検討 を行 った 。
計(MPF-4
Fluorescence
3.血
Spectrometer;
メ タ ノ ー ル=2:1の
そ こで 今 回 ガ ス ク ロマ トグ ラ フ ィー ・マ ス スペ ク トロ メ
て 抽 出 した 後,窒
清200μlを20倍
た 。 得 られ た 粗 脂 質 を5%塩
て 密 栓 し,100℃
で60分
齢 のJCL-SD系
を 開始 した。 飼育 条 件 は,室 温19∼20℃,湿
齢 か ら投 与 度50∼60%,
(GC-6A,島 は,水
津 社 製)に
素 流 量30ml/min.,窒
流 量0.81/min.,試 ぞ れ280℃
飼料(MF,オ
温 分 析 を 行 った。
リエ ン タル酵 母 社 製)を 自由摂 取 させ た 。 と して,
メ
ャ ピ ラ リー カ thickness
製)を 装 着 し た ガ ス ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー
12時 間 間 隔 の 明 暗交 替 に設 定 し,飼 料 に は 通常 の飼 育 用
実験 群 は,雌 雄 の ラ ッ トを そ れ ぞれ1群6匹
成 の 測 定 は,キ
DB-17,30m×0.53mmφ,Film
1.0μm,J&W社
ラ ッ トで あ り,日 本
ア ク チ バ イ ア ル 中 に入 れ
間 加 熱 して メ タ ノ リ シ ス を 行 い,
タ ノ ー ル に 溶 解 さ せ て 測 定 試 料 と した 。 抽 出 さ れ た 血 清LCFA組
被験 動物 は,3週
カ ラ
再 び 窒 素 気 流 下 で 溶 媒 を 蒸 発 さ せ た 。 そ の 後200μlの
ラ ム(Megabore
ク レア社 よ り購 入 した。1週 間馴 化 後,4週
略 記)を 用 い
酸 メ タ ノ ー ル 溶 液(ナ
イ テ ス ク 社 製)に 溶 解 さ せ,リ
験 動 物 と投 与方 法
容 の ク ロ ロ ホ ル ム:
素 気 流 下60℃ 熱 板 上 で 溶 媒 を 蒸 発 さ せ
い て,成 長 ホル モ ン と 甲状 腺 ホル モ ン お よ びCdを 投 与
1.被
製)
抽 出 方 法 は,Folchの
溶 媒(以 下CM2:1と
開 発 を試 み,一 方 法 を確 立 す る こと がで きた 。 本法 を用
法
HITACHI社
清 脂 肪酸 の抽 出 と分析
血 清 中 の 長 鎖 脂 肪 酸(LCFA)の 方 法11)に 準 拠 して,血
方
八 木 法 ・蛍 光
を 用 い て マ ロ ン ジ ア ル デ ヒ ド濃 度 に 換 算 し て 測 定 し た 。
脂 質は 測定 が困難 で,今 まで ほ とん ど報 告 されて い ない 。
した ラ ッ トにつ い て,大 腿 骨 中構 成 脂 質 の 組 成 を 明 らか
光 光 度 計(大 塚 電
オ バル ビ ツー ル酸 反 応 物質 濃 度 を 蛍 光 光度
骨 中脂 質 に も着 目す べ きで あ る と考 えた が,骨 中 の 構成
に す る ことが 出 来 た ので 血 清 脂 質 と併 せ て 報 告 す る。
各濃 度
販 の キ ッ ト(い ず れ も和 光 純 薬 工 業 社 製)を 用 い て
フ ェ ノ ー ル 法 に よ り,MULTUM-35分
略 記)を 用 い て 新 た な 測 定 方 法 の
離 脂 肪 酸(FFA),
酸 化 脂 質(TBARS)の
測 定 し た 。FFAはACS-ACOD法,TGはGPO-p-ク
ト リー(以 下GC-MSと
が死
清 脂 質 の測 定
脂質代 謝 とCdの 関連 につ いての研 究報告 は少な くDi-Giulio
しか し,イ 病 の 病 態 が骨 の変 化 を特 徴 とす る こと か ら,
で1匹
れ ら を実 験結 果 の分 析 対 象 か ら除 外 して
を,市
検 討 に あた って,血 中脂 質 に 関 しては 測 定 上 の方 法 論
とCd+GH群
のCd群
検 討 した 。
が 何 らか の 関与 を有 す るので は ない か と考 え た。 しか し,
が 確 立 され て い るの で,こ れ を 応用 す る こ とが で きた。
して体
な る よ う に 調 整 した 溶 液 を 週5回
で 各1匹,Cd+TH群
りの 準備 時 期 に エ ネ ル ギ ー源 と して 多量
際 単 位/kg,週
用 い,Cdと
い,渡
渡 り鳥 は,渡
国臓
な る よ うに調 整
経 口投 与 した 。 成 長 ホ ル モ ン は,Somatropin Nordisk社
に棲 息 して い る数 十種 類 の鳥 類 に つ いて 重 金 属 分析 を行
の 脂 肪 を蓄 積 す る こ と,渡 りの 前 に 甲状 腺 ホル モ ンの作
与 群(Cd
与 群(Cd+GH群)
器 製 薬 社 製)を 体 重 あ た り2.5mg/kgと
し,海 洋 汚染 の指 標 とな るの で は な い か との 報 告 を して
積 す る こと を 明 らか に した。
独
よ りな る 。
ら8)が 渡 り鳥 の 肝 臓 お よ び腎 臓 中 に 高濃 度 のCdを 検 出
り鳥 や ペ ン ギ ン が留 鳥 に比 べ てCdを 高 濃 度 に 蓄
はCd単
は 甲 状 腺 ホ ル モ ン+Cd投
+TH群),VI群 の6群
〔705〕
よ り行 っ た 。GC-6Aの
料 注 入 口 お よ びFID部
に 設 定 し,カ
検 出 さ れ たLCFAは,い
測定条件
素 流 量30ml/min.,空
ラ ム は160℃
気
の温度はそれ
よ り4℃/min.の
ず れ も 標 準 物 質(シ
昇
グ マ 社 製)
日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻
〔706〕
の リテ ン シ ョン タ イム との比 較 に よ り同定 し,定 量 は 内 部 標 準 物 質 と してPentadecanoic Acid(C15:0)を
用い
第3号1992年8月 量 の1/20量
の ク ロ ロ ホ ル ム に 溶 解 させ て 測 定 試 料 と し た 。
な お 大 腿 骨 構 成 脂 質 の 定 量 は,コ
レス テ ロ ー ル ま で を 一
て算 出 した 。
斉 分 析 す る た め に,n-Heptacosanoic
Acid(C27:0)を
4.大
内部 標 準 と して行 った 。
腿 骨 中脂 質 の 抽 出 と分 析
大腿骨 中脂質 の抽 出は,前 記血 清の場 合 と同様 に,Folch の方 法 に 準拠 して,図1に
示 した操 作 手 順 で 行 った。
大 腿 骨 周 囲 の筋 肉 や腱 を,ハ サ ミや メ ス を用 い て除 去
次 に 大 腿 骨 中 極 性 脂 質 を 分 離 す る た め に,前 に よ り抽 出 さ れ た 構 成 脂 質 の 一 部 を,シ (Waters社
製)に
入 れ,溶
述 の操 作
リ カSep-Pak
媒 と して ベ ンゼ ンを用 い て無
した 後,ア セ トンで脱 脂 して お い た ペ ーパ ー タオ ル を用
極 性 脂 質 を 取 り 出 し,そ
いて,さ
を 分 離 し た 。 こ の 極 性 脂 質 に つ い て,BSTFA(N,O-Bis
らに周 囲 組織 を剥 離 除 去 し,す み や か に大 腿 骨
の 後 メ タ ノ ー ル に よ り極 性 脂 質
湿 重 量 を測 定 した 。 測定 後 骨 幹 部(骨 髄 組 織 を 含 む)と 骨
(trimethylsilyl)-trifluoroacetamide;ナ
端 部 と に 分 離 ・秤 量 し,そ れ ぞ れ を 少 量 のCM2:1中
社 製)を 用 い てTMS化
に入 れ 細切 し,さ らに バ イ オ トロ ンや ウル トラ ソニ ケ ー ターを 用 い て粉 砕 した 。 脂 質 の 抽 出 は,20倍 後,3000rpmで10分
で よ く混 和 した
間 遠 心 分 離 を行 い上 清 を採 取 した 。 られ た抽 出液 を 窒素 気 流
下60℃ 熱 板上 で 蒸 発 乾 固 し,粗 脂 質量 と して 秤 量 した。 得 られ た粗 脂質 は,前 記 血 清LCFAの 5%塩
水 解 後 の 骨 中 脂 質 の 測 定 に は,GC-MS(GC-05, JMS-DX300,JMA-DA5000,日
容 のCM2:1中
本 操 作 を3回 繰 り返 した後,得
カ ライ テ ス ク
した もの を測 定 試 料 と した。
場 合 と 同様 に,
酸 メ タノ ール に よ りメ タ ノ リシ ス を行 った 。 そ の
後,窒 素 気流 下60℃ 熱板 上 で 溶 媒 を 蒸発 させ て,粗 脂 質
イ ン して 使 用 し,脂
本 電 子 社 製)を
マ ス ス ペ ク ト ロ メ ト リー の 測 定 条 件 は,イ 20eV,イ
オ ン 化 電 流300μAと
パ レ イ タ ー 部 の 温 度 は,そ
し,試
れ ぞ れ265℃
リ ア ー ヘ リ ウ ム 流 量 は25ml/min.に
160℃ よ り4℃/min.の
オ ン化電 圧
料 注 入 口お よ び セ と290℃ に,キ 設 定 し,分
ム は 血 清 脂 肪 酸 の 場 合 と 同 じMegabore
5.大
オン ラ
質 の 同 定 お よ び定 量 を行 った 。
DB-17を
ャ
離 カ ラ 装 着 し,
昇 温 法 に よ り分 析 した 。
腿 骨 金 属 濃度 の 測 定
筋 肉 や 腱 を 除 去 し た 大 腿 骨 の 湿 重 量 を 秤 量 した 後,硝 酸 を 用 い て 湿 式 灰 化 を 行 っ た 。 測 定 した 金 属 は,Cd,Ca, P,Zn,Cuの5種
類 で,い
ず れ も 大 腿 骨 湿 重 量(g)あ
た
りの濃 度 で 算 出 した。 測 定 方 法 は,Cdは Cuの3金
フ レー ム レ ス原 子 吸 光 法 で,Ca,Zn,
属 濃 度 は フ レ ー ム 原 子 吸 光 法 で,Pはp-メ
ル ア ミ ノ フ ェ ノ ー ル 還 元 法(Phosphor よ り測 定 し た 。 な お 雄 のCd+TH群 りCd濃 6.統
C-Test
は 実 験 上 の ミス に よ
度 が測 定 で きな か っ た。 計的処理
得 ら れ た デ ー タ の 統 計 学 的 処 理 は,PC-SAS version
チ
Wako)に
6.03を
用 い て 行 っ た 。 設 定 し た2群
Release 間 の検 定 に
は ノ ン パ ラ メ ト リ ッ ク検 定 の う ち 分 散 分 析(ANOVA)を, CdとTH,CdとGHの2種 般 線 形 モ デ ル の2要
類 の 実 験 計 画 に つ い て は,一 因 型 分 散分 析 を行 った 。
結 1.血
果
清 脂 質 成分 につ い て
図2に 各 群 の 血 清 中FFA濃
度 を雌 雄 別 に 示 した 。 測
定 値 につ い て分 散 分 析 を行 った 結 果,性 差 が 認 め られ (p
脂 質 成 分 に及 ぼす カ ドミウム の影 響 -甲状 腺 ホ ル モ ン お よ び 成 長 ホ ル モ ン と カ ド ミ ウ ム の 関 連 性-
藤
田
大
輔
兵庫医科大学公衆衛生学教室
Effect Relation
of Cadmium
of Cadmium
on Lipid
to Thyroid
Hormone
Daisuke Department
To clarify components,
of Public Health,
the relationship 4-week-old
of cadmium
Components: and Growth
Hormone
Fujita
Hyogo College of Medicine, Nishinomiya
(Cd),
thyroid
hormone
SD rats were dosed orally with Cd (CdCl2)
(TH) and growth
hormone
at a dose of 2.0mg/kg
(GH) to lipid
body weight five
times a week, orally with TH at a dose of 2.5mg/kg body weight five times a week and subcutaneously GH (somatropin) at a dose of 1.0 IU/kg body weight three times a week, all for 4 weeks. fatty
As lipid components, the serum concentrations acids were determined.
We have devised chromatography-mass
of triglycerides,
with
free fatty acids, lipid peroxides and long-chain
a new method for determining the fatty acid composition in the femur using gas spectrometry and made a simultaneous analysis of fatty acids, from myristic acid (C14:0)
to cholesterol. 1.
The results of the present study led to the following conclusions. Cd may inhibit lipogenesis by binding with SH of coenzyme A, thereby
acids and lipid peroxides. 2. When TH and Cd were administered lipid components, 3.
although
an interaction in lipid components. When GH and Cd were administered effect of somatomedin was suggested.
4.
in combination,
on the lipid metabolism.
the addition
of Cd produced
the lipid metabolism. Cd modulated
The inhibitory
an inhibitory
Therefore,
effect
on
Cd and TH may have
the action of GH, which enhanced
effect of Cd on somatomedin
activity
the
via Zn
A sex difference was found in the composition of fatty acids in blood. The males had higher proportions of palmitic acid (C16:0) and linoleic acid (C18:2), while the females had a higher proportion of arachidonic acid (C20:4).
5.
in combination,
TH given alone stimulated
reducing the serum levels of free fatty
There was no sex difference
in fatty
acid composition
It was confirmed that TH produced a peroxide of dehydrocholesterol, of the femur in the increased
metabolic
Key words : Cadmium,
in the femur. a precursor of vitamin D3, in the diaphysis
state.
Thyroid hormone,
Growth
hormone,
Fatty
acids in bone, Fatty
acids in blood カ ド ミ ウ ム,甲
状 腺 ホ ル モ ン,成
長 ホ ル モ ン,骨
中 脂 肪 酸,血
見 解 に よ って,カ 緒
言
イ タ イ イ タイ病(以 下 イ 病 と略 記)は,1968年
中 脂肪 酸
ド ミウ ム(以 下Cdと
略 記)に よ る公 害
病 と して広 く認 識 され る にい た った。 しか し臨 床 症 状, の 厚 生省
病理 所 見,実 験 結果 な ど につ い て多 面 的 な 整合 性 は 見 い
藤 田:脂 質 成 分 に 及 ぼす カ ド ミウム の影 響-甲 状 腺 ホル モ ンお よび成 長 ホ ル モ ン と カ ド ミウムの 関 連 性だ さ れ ず,Cdと
骨 障 害 の 関 係 につ い て は,な
お多 くの
当教 室 で はCdの 生 体 内 動 態 お よび そ の 作 用 につ い て
され,そ
は 甲 状 腺 ホ ル モ ン単 独 投 与 群(TH群),
III群 は 成 長 ホ ル モ ン 単 独 投 与 群(GH群),IV群
検 討 を必 要 と して い る1)。
研 究 して き た結 果,Cdは
1群 は 対 照 群,II群
成 長 期 に体 内 へ 積 極 的 に蓄 積
の蓄 積 量 に性 差 が認 め られ る こ と2,3),さ らに
そ の 蓄 積量 には 数 百 倍 に及 ぶ 種 属 差 の あ る こ とを観 察 し て い る4∼7)。 特 に種 属 差 に つい て は,1977年
にK.R.Bull
投 与 群(Cd群),V群
は 成 長 ホ ル モ ン+Cd投
投 与 方 法 は,甲
状 腺 ホ ル モ ン と してThyroid(帝
し,週5回 (Nova
い る。 これ に ヒン トを得 て,当 教 室 で はCd非 汚 染 地 域
3回 皮 下 注 射 した 。Cdは,CdCl2を
製)を
体 重 あ た り1国
重 あ た り2.0mg/kgと
経 口 投 与 した 。 な お 本 実 験 中,雄
用 に よ って換 羽 す る こと,他 の 鳥類 に比 べ て 早 く成 長 す る こ とな どが知 られ て い る9)。そ こで,脂 質 代 謝 に関 連 す る 甲状 腺 ホル モ ン お よ び成 長 ホ ル モ ン に対 して,Cd
で2匹
亡 し た た め,こ
のCd群
が,雌
2.血
血 清 中 の 脂 質 代 謝 関 連 項 目 と して,遊 ト リ グ リ セ ラ イ ド(TG),過
ロロ
ら10)に よ るCdの エ ネル ギ ー代 謝 に 関 す る実 験 の 中で, 多 少 の 関与 を示 唆 す るデ ー タが あ るのみ で あ る。 そ こで
子 工 業 社 製)を 用 い て 測 定 した 。TBARSは
成 長 ホ ル モ ン お よび 甲状 腺 ホル モ ンを投 与 した ラ ッ トの
法 に よ り,チ
脂 質成 分 に対 す るCdの 影 響 に つい て 検討 を行 った 。
計(MPF-4
Fluorescence
3.血
Spectrometer;
メ タ ノ ー ル=2:1の
そ こで 今 回 ガ ス ク ロマ トグ ラ フ ィー ・マ ス スペ ク トロ メ
て 抽 出 した 後,窒
清200μlを20倍
た 。 得 られ た 粗 脂 質 を5%塩
て 密 栓 し,100℃
で60分
齢 のJCL-SD系
を 開始 した。 飼育 条 件 は,室 温19∼20℃,湿
齢 か ら投 与 度50∼60%,
(GC-6A,島 は,水
津 社 製)に
素 流 量30ml/min.,窒
流 量0.81/min.,試 ぞ れ280℃
飼料(MF,オ
温 分 析 を 行 った。
リエ ン タル酵 母 社 製)を 自由摂 取 させ た 。 と して,
メ
ャ ピ ラ リー カ thickness
製)を 装 着 し た ガ ス ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー
12時 間 間 隔 の 明 暗交 替 に設 定 し,飼 料 に は 通常 の飼 育 用
実験 群 は,雌 雄 の ラ ッ トを そ れ ぞれ1群6匹
成 の 測 定 は,キ
DB-17,30m×0.53mmφ,Film
1.0μm,J&W社
ラ ッ トで あ り,日 本
ア ク チ バ イ ア ル 中 に入 れ
間 加 熱 して メ タ ノ リ シ ス を 行 い,
タ ノ ー ル に 溶 解 さ せ て 測 定 試 料 と した 。 抽 出 さ れ た 血 清LCFA組
被験 動物 は,3週
カ ラ
再 び 窒 素 気 流 下 で 溶 媒 を 蒸 発 さ せ た 。 そ の 後200μlの
ラ ム(Megabore
ク レア社 よ り購 入 した。1週 間馴 化 後,4週
略 記)を 用 い
酸 メ タ ノ ー ル 溶 液(ナ
イ テ ス ク 社 製)に 溶 解 さ せ,リ
験 動 物 と投 与方 法
容 の ク ロ ロ ホ ル ム:
素 気 流 下60℃ 熱 板 上 で 溶 媒 を 蒸 発 さ せ
い て,成 長 ホル モ ン と 甲状 腺 ホル モ ン お よ びCdを 投 与
1.被
製)
抽 出 方 法 は,Folchの
溶 媒(以 下CM2:1と
開 発 を試 み,一 方 法 を確 立 す る こと がで きた 。 本法 を用
法
HITACHI社
清 脂 肪酸 の抽 出 と分析
血 清 中 の 長 鎖 脂 肪 酸(LCFA)の 方 法11)に 準 拠 して,血
方
八 木 法 ・蛍 光
を 用 い て マ ロ ン ジ ア ル デ ヒ ド濃 度 に 換 算 し て 測 定 し た 。
脂 質は 測定 が困難 で,今 まで ほ とん ど報 告 されて い ない 。
した ラ ッ トにつ い て,大 腿 骨 中構 成 脂 質 の 組 成 を 明 らか
光 光 度 計(大 塚 電
オ バル ビ ツー ル酸 反 応 物質 濃 度 を 蛍 光 光度
骨 中脂 質 に も着 目す べ きで あ る と考 えた が,骨 中 の 構成
に す る ことが 出 来 た ので 血 清 脂 質 と併 せ て 報 告 す る。
各濃 度
販 の キ ッ ト(い ず れ も和 光 純 薬 工 業 社 製)を 用 い て
フ ェ ノ ー ル 法 に よ り,MULTUM-35分
略 記)を 用 い て 新 た な 測 定 方 法 の
離 脂 肪 酸(FFA),
酸 化 脂 質(TBARS)の
測 定 し た 。FFAはACS-ACOD法,TGはGPO-p-ク
ト リー(以 下GC-MSと
が死
清 脂 質 の測 定
脂質代 謝 とCdの 関連 につ いての研 究報告 は少な くDi-Giulio
しか し,イ 病 の 病 態 が骨 の変 化 を特 徴 とす る こと か ら,
で1匹
れ ら を実 験結 果 の分 析 対 象 か ら除 外 して
を,市
検 討 に あた って,血 中脂 質 に 関 しては 測 定 上 の方 法 論
とCd+GH群
のCd群
検 討 した 。
が 何 らか の 関与 を有 す るので は ない か と考 え た。 しか し,
が 確 立 され て い るの で,こ れ を 応用 す る こ とが で きた。
して体
な る よ う に 調 整 した 溶 液 を 週5回
で 各1匹,Cd+TH群
りの 準備 時 期 に エ ネ ル ギ ー源 と して 多量
際 単 位/kg,週
用 い,Cdと
い,渡
渡 り鳥 は,渡
国臓
な る よ うに調 整
経 口投 与 した 。 成 長 ホ ル モ ン は,Somatropin Nordisk社
に棲 息 して い る数 十種 類 の鳥 類 に つ いて 重 金 属 分析 を行
の 脂 肪 を蓄 積 す る こ と,渡 りの 前 に 甲状 腺 ホル モ ンの作
与 群(Cd
与 群(Cd+GH群)
器 製 薬 社 製)を 体 重 あ た り2.5mg/kgと
し,海 洋 汚染 の指 標 とな るの で は な い か との 報 告 を して
積 す る こと を 明 らか に した。
独
よ りな る 。
ら8)が 渡 り鳥 の 肝 臓 お よ び腎 臓 中 に 高濃 度 のCdを 検 出
り鳥 や ペ ン ギ ン が留 鳥 に比 べ てCdを 高 濃 度 に 蓄
はCd単
は 甲 状 腺 ホ ル モ ン+Cd投
+TH群),VI群 の6群
〔705〕
よ り行 っ た 。GC-6Aの
料 注 入 口 お よ びFID部
に 設 定 し,カ
検 出 さ れ たLCFAは,い
測定条件
素 流 量30ml/min.,空
ラ ム は160℃
気
の温度はそれ
よ り4℃/min.の
ず れ も 標 準 物 質(シ
昇
グ マ 社 製)
日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻
〔706〕
の リテ ン シ ョン タ イム との比 較 に よ り同定 し,定 量 は 内 部 標 準 物 質 と してPentadecanoic Acid(C15:0)を
用い
第3号1992年8月 量 の1/20量
の ク ロ ロ ホ ル ム に 溶 解 させ て 測 定 試 料 と し た 。
な お 大 腿 骨 構 成 脂 質 の 定 量 は,コ
レス テ ロ ー ル ま で を 一
て算 出 した 。
斉 分 析 す る た め に,n-Heptacosanoic
Acid(C27:0)を
4.大
内部 標 準 と して行 った 。
腿 骨 中脂 質 の 抽 出 と分 析
大腿骨 中脂質 の抽 出は,前 記血 清の場 合 と同様 に,Folch の方 法 に 準拠 して,図1に
示 した操 作 手 順 で 行 った。
大 腿 骨 周 囲 の筋 肉 や腱 を,ハ サ ミや メ ス を用 い て除 去
次 に 大 腿 骨 中 極 性 脂 質 を 分 離 す る た め に,前 に よ り抽 出 さ れ た 構 成 脂 質 の 一 部 を,シ (Waters社
製)に
入 れ,溶
述 の操 作
リ カSep-Pak
媒 と して ベ ンゼ ンを用 い て無
した 後,ア セ トンで脱 脂 して お い た ペ ーパ ー タオ ル を用
極 性 脂 質 を 取 り 出 し,そ
いて,さ
を 分 離 し た 。 こ の 極 性 脂 質 に つ い て,BSTFA(N,O-Bis
らに周 囲 組織 を剥 離 除 去 し,す み や か に大 腿 骨
の 後 メ タ ノ ー ル に よ り極 性 脂 質
湿 重 量 を測 定 した 。 測定 後 骨 幹 部(骨 髄 組 織 を 含 む)と 骨
(trimethylsilyl)-trifluoroacetamide;ナ
端 部 と に 分 離 ・秤 量 し,そ れ ぞ れ を 少 量 のCM2:1中
社 製)を 用 い てTMS化
に入 れ 細切 し,さ らに バ イ オ トロ ンや ウル トラ ソニ ケ ー ターを 用 い て粉 砕 した 。 脂 質 の 抽 出 は,20倍 後,3000rpmで10分
で よ く混 和 した
間 遠 心 分 離 を行 い上 清 を採 取 した 。 られ た抽 出液 を 窒素 気 流
下60℃ 熱 板上 で 蒸 発 乾 固 し,粗 脂 質量 と して 秤 量 した。 得 られ た粗 脂質 は,前 記 血 清LCFAの 5%塩
水 解 後 の 骨 中 脂 質 の 測 定 に は,GC-MS(GC-05, JMS-DX300,JMA-DA5000,日
容 のCM2:1中
本 操 作 を3回 繰 り返 した後,得
カ ライ テ ス ク
した もの を測 定 試 料 と した。
場 合 と 同様 に,
酸 メ タノ ール に よ りメ タ ノ リシ ス を行 った 。 そ の
後,窒 素 気流 下60℃ 熱板 上 で 溶 媒 を 蒸発 させ て,粗 脂 質
イ ン して 使 用 し,脂
本 電 子 社 製)を
マ ス ス ペ ク ト ロ メ ト リー の 測 定 条 件 は,イ 20eV,イ
オ ン 化 電 流300μAと
パ レ イ タ ー 部 の 温 度 は,そ
し,試
れ ぞ れ265℃
リ ア ー ヘ リ ウ ム 流 量 は25ml/min.に
160℃ よ り4℃/min.の
オ ン化電 圧
料 注 入 口お よ び セ と290℃ に,キ 設 定 し,分
ム は 血 清 脂 肪 酸 の 場 合 と 同 じMegabore
5.大
オン ラ
質 の 同 定 お よ び定 量 を行 った 。
DB-17を
ャ
離 カ ラ 装 着 し,
昇 温 法 に よ り分 析 した 。
腿 骨 金 属 濃度 の 測 定
筋 肉 や 腱 を 除 去 し た 大 腿 骨 の 湿 重 量 を 秤 量 した 後,硝 酸 を 用 い て 湿 式 灰 化 を 行 っ た 。 測 定 した 金 属 は,Cd,Ca, P,Zn,Cuの5種
類 で,い
ず れ も 大 腿 骨 湿 重 量(g)あ
た
りの濃 度 で 算 出 した。 測 定 方 法 は,Cdは Cuの3金
フ レー ム レ ス原 子 吸 光 法 で,Ca,Zn,
属 濃 度 は フ レ ー ム 原 子 吸 光 法 で,Pはp-メ
ル ア ミ ノ フ ェ ノ ー ル 還 元 法(Phosphor よ り測 定 し た 。 な お 雄 のCd+TH群 りCd濃 6.統
C-Test
は 実 験 上 の ミス に よ
度 が測 定 で きな か っ た。 計的処理
得 ら れ た デ ー タ の 統 計 学 的 処 理 は,PC-SAS version
チ
Wako)に
6.03を
用 い て 行 っ た 。 設 定 し た2群
Release 間 の検 定 に
は ノ ン パ ラ メ ト リ ッ ク検 定 の う ち 分 散 分 析(ANOVA)を, CdとTH,CdとGHの2種 般 線 形 モ デ ル の2要
類 の 実 験 計 画 に つ い て は,一 因 型 分 散分 析 を行 った 。
結 1.血
果
清 脂 質 成分 につ い て
図2に 各 群 の 血 清 中FFA濃
度 を雌 雄 別 に 示 した 。 測
定 値 につ い て分 散 分 析 を行 った 結 果,性 差 が 認 め られ (p
