〔695〕
完全静脈栄 養用微量元素 製剤TE-5の 微量 元素 欠乏飼料 飼育 ラ ッ トに対す る効果 松
田
佐
藤
晃
彦*1,熊
谷
早
容*1,片
岡
美 紀 子*1
誠*1,木
村
美 恵 子*2,糸
川
嘉
則*2
*1森 下 ル セ ル(株)総 合研 究 所 ,*2京 都 大 学 医 学 部 衛 生学 教 室
Effects of an Essential for Total Parenteral
Trace Element Agent (TE-5)
Nutrition
on the Mineral Nutrition
in Rats Fed a Trace Element-deficient Akihiko
Matsuda*1,
Makoto
Sato*1,
Sayo Mieko
Kumadani*1,
Kimura*2
Diet
Mikiko
Kataoka*1,
and Yoshinori
Itokawa*2
*1Research Laboratories , Roussel Morishita Co., Ltd., Shiga *2Department of Hygiene , Faculty of Medicine, Kyoto University, Kyoto
TE-5 is an essential trace element agent containing iron, zinc, copper, manganese and iodine for total parenteral nutrition (TPN). We have already reported that TE-5 improved the reduction of trace element concentrations induced by TPN. However,
effects
of TE-5 on the changes in biological
function
relating
to trace elements
are
poorly understood. The present study was designed to clarify the effects of TE-5 on these functions. Rats fed a trace element (iron, zinc, copper, manganese and iodine) -deficient diet for 7 weeks showed reductions in the following parameters: plasma and various tissue concentrations of iron, zinc, copper, manganese and iodine,
growth
rate,
erythrocyte
(iron),
(iron), plasma alkaline phosphatase carboxylase activity (manganese) On
the
respectively)
other
hand,
when
TE-5
was intravenously
hemoglobin
(iron),
hematocrit
activity (zinc), serum ceruloplasmin and serum thyroxine concentration (0.008,
administered
0.04
and 0.2ml/kg:
×0.2,
(iron),
mean corpuscular
concentration (iodine). ×1
and
(copper),
×5 the
once a day for 7 weeks under the conditions
usual
constants
liver pyruvate clinical
described above,
dose,
there
was a tendency to prevent the reductions of plasma and various tissue concentrations of iron, zinc and manganese. In addition, TE-5 prevented the reductions of growth rate, iron metabolism functions, plasma alkaline phosphatase activity,
serum ceruloplasmin
concentration
and liver pyruvate
carboxylase
activity.
The present study shows that TE-5 prevents both reductions of trace element contents and trace element-related functions, and suggests that TE-5 is useful for treatment of trace element deficiency in TPN.
Key words:
Trace element agent for total parenteral Mineral
nutrition,
Trace element deficiency,
nutrition
完 全 静 脈栄 養 用 微 量 元 素製 剤,微 量 元素 欠 乏,ミ ネ ラル栄 養
成 績 は飛 躍 的 に 向上 した2)。 しか し,そ の 一 方 でTPN液
緒言 1968年,完
全 静 脈 栄 養(TPN)法
が グル コ ー ス,電 解 質,ア の 発 明 に よ り1)患者 の
栄 養 管 理 が充 分 に行 え るよ うにな り,種 々の 疾 患 の治 療
ミノ酸 な ど,極 めて 純 粋 な栄
養 素 成 分 か ら構成 され て い るた め,長 期 に渡 ってTPNを 施行 した 場 合 に,あ るい は潜 在 的 微 量 元素 欠 乏 状態 に あ
〔696〕
日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻
第3号1992年8月
3.実
る患 者 にTPNを 施 行 した場 合 に,重 篤 な微 量 元 素欠 乏 症 が生 じることが明 らか とな り,大 きな問題 とな ってい る3∼5)。 TE-5はTPNに
よ って 生 じる微 量 元 素 欠 乏 症 の 予 防 と
治 療 を 目的 と して 開 発 され た 鉄,亜 鉛,銅,マ
ンガ ン お
験方法
各 群 間 の 体 重 に偏 りが な い よ うに5群(1群7匹)に
分
け,そ れぞ れ標 準 飼料 飼 育群,微 量 元 素 欠乏 飼料 飼 育群, 微 量 元素 欠 乏 飼料 飼 育+TE-5(0.008,0.04,0.2ml/kg;
よ び ヨ ウ素 を含 ん だ 必須 微 量 元 素製 剤 で あ る。 わ れわ れ
臨床 用量 の そ れぞ れ1/5,1,5倍
量 に相 当)投 与群 と した。
は 既 にTPNの 施 行 に よ り低 下 した生 体 内微 量 元 素含 量 が
被 験 液 の 投 与 容量 は2ml/kgと
し,1日1回7週
TE-5の 補 給 に よ り改 善 す る こ と を ラ ッ トを用 い て 明 ら
静 脈 か ら投 与 した。 なお,標 準 飼 料 飼 育群 お よび 微量 元
か に して い る6,7)が,補 給 され た微 量 元 素 が実 際 に生 体
素 欠 乏 飼 料 飼 育群 には 同 容量 の生 理 食塩 液 を投 与 した。
で 利 用 されて い るか ど うかは 不 明 で あ った 。 今 回,こ の 点 を明 らか にす るた め,ラ
最 終 投 与24時 間 後(非 絶 食)に ペ ン トバ ル ビ ター ルNa (35mg/kg,i.p.)麻
ッ トを微 量 元 素 欠 乏 飼料 で 飼
育 しなが らTE-5を 投 与 し,TE-5の
間,尾
酔 下 で 腹 部 大 動 脈 か ら無処 理 の試 験
管(血 清 生 化 学 値 測 定 用),ヘ
生 体 内微 量 元 素 濃 度
お よび 各元 素 に関 連 した機 能 に 及 ぼす 影 響 を 検討 した の
パ リ ン処 理 した試 験 管(血
漿 生 化 学 値 測 定 用,微 量 元 素 定 量 用)お よ びEDTA処
で 報 告 す る。
Table 2
Compositions
理
of the diet
実験材料および方法 1.実
験動 物 お よび 飼育 環 境
3週 齢 のSD系 雄 性 ラ ッ ト(日本 チ ャー ル ス ・リバ ー (株))を 購 入 し,1週
間 の 予 備 飼 育 の の ち,順 調 に生 育
した もの を実 験 に用 い た。 予 備 飼 育 お よび 実験 期 間 中, 動物 は温度21∼25℃,湿 度45∼70%,照
明時 間7:00∼19:00
の 飼 育 室 で飼 育 した 。 な お,実 験期 間 中は 脱 イ オ ン水 お よび 以 下 に示 す 配 合飼 料 を 自 由に摂 取 させ た 。 2.TE-5お
よび 飼 料
TE-5の 組 成 をTable 1に 示 す 。TE-5は1ア
ンプ ル2ml
で 成 人1日 必 要 量 が補 給 で き る よ うに設 計 され て い る。 TE-5は 必 要 に 応 じて 生 理 食 塩 液 で希 釈 して 実 験 に 使 用 した 。 今 回 用 い た 配 合 飼 料 の 組 成 をTable 2に,ま
た飼料 中
の各 微 量 元素 濃 度 の実 測 値 をTable 3に 示 した 。 Table 1
Composition
of TE-5
(a)
Table 3
n.d.:
Concentrations
not detected.
of iron, zinc,
copper,
The vitamin mixture contained (mg/100g diet): Vitamin A, 2.341 (500,000 IU/g); D3, 0.059 (100,000 IU/25mg); B1, 1.50; B2,1.56; B6,1.02; B12, 0.005; E, 20.00; K, 0.40; biotin, 0.50; Ca-pantothenate, 4.00; p-aminobenzoic acid, 10.15; nicotinic acid, 10.15; inositol, 15.00; folic acid, 0.20; choline chloride, 300.00; corn starch, 633.115.
manganese
and iodine in diets
松 田 ・熊 谷 ・片 岡 ・佐 藤 ・木 村 ・糸 川: 完 全 静脈 栄 養 用 微 量元 素 製 剤TE-5の 微 量 元素 欠 乏 飼 料飼 育 ラ ッ トに 対 す る効 果 した試 験管(血 液 性 状 測定 用)に そ れ ぞれ 血液 を採 取 した 。
て 分 離 し,保
存 用 緩 衝 液(0.25M
無 処理 お よ びヘ パ リン処 理 した血 液 をそ れ ぞ れ遠 心 分 離
5mM
(1700×g,10min,4℃)し,血
濁 した の ち,凍
了 後,脳,心
清 と血 漿 を得 た 。 採 血 終
臓,肝 臓,脾 臓,腎 臓,精 巣,大 腿 筋 お よ
び脛 骨 を採 取 した。 4.微
potassium
phosphate
蒸 留 水 で20倍 希 釈 し,こ
Assay mixture 1ml
量 元 素 の 定量
NADH,
NaH14CO3, 250mg/l vateお
よ る フ レー ム ゼ ー マ
お よび マ ンガ ン濃 度 を測 定 した 。 た
Triton
度計((株)日 立製 作所,180-80)に
80℃ の ホ ッ ト プ レ ー ト上 で10分
よ る グラフ ァイ トフ ァー
血 漿 お よび飼 料 中の ヨ ウ素 濃度 は比 色 法9)に よ り測 定 した。 な お,硝 酸 お よ び過 塩 素酸 は重 金属 測 定 用(ナ カ ライ テ ス ク(株))の も の を用 い,器 具 類 は す べ て塩 酸 処 理 し た もの を 用 い た。 液 性 状 の測 定
均 赤血 球 容積(MCV),平
マ トク リッ
均 赤 血球 血 色 素
均 赤 血球 血 色 素 濃 度(MCHC)お
球 数(WBC)の
測 定 は 自動 血 球 計 数 装 置(東 亜 医 用 電 子
よ び 白血
用 いて 行 った 。
間 放 置 した 。 そ の 後,
Japan)10mlを
添 加 し,液 Japan,
体 シ
TRI-CARB
よ り放 射 活 性 を 測 定 した 。 計 処 理15)
成 績 は 平 均 値 ± 標 準 誤 差 で 示 し,微
量 元 素 欠乏 飼 料 飼
定 し,等
ー タ をBartlettの
方 法 で 等分 散 性 を 検
分 散 あ るい は対 数 変換 したの ちに 等分 散 で あ れ
ばBonferroniの
方 法 で 有 意 差検 定 を 行 っ た。 ま た 対 数
変換 して も不 等 分散 の場 合 に は対 数 変 換 前 の デ ー タを 順 位 づ け した の ち,Non-parametric
Bonferroniの
方法で
有 意差 検 定 を 行 った。
よ びThyroxine(T4)は
イ ム ノ ア ッセ イ 法10)で,CeruloplasminはRavinの
方
Urea nitrogen
立 製 作 所,7150)を
用 い,以
下の
(BUN),
Creatinine (GOT),
(GPT),
phosphatase
(ALP),
cholesterol
(T-CHO),
Total
(GLU),
(CRE),
Transferrin
(Tf),
Albumin-Globulin cholesterol
(PL),
Albumin ratio ratio
ミ トコ ン ドリ ア のPyruvate
pyruvic Alkaline
(F-CHO),
Phospholipid (TP),
Glutamic
Glutamic
Free cholesterol
protein
cholesterol-Total
重 は,飼 育 開始2週
た 実 験 開 始7週
目の ラ ッ ト
示す。微 量元素欠乏飼料飼 育群の体 目か ら標 準 飼 料 飼 育群 に比 べ 有 意 に
低 い値 を 示 し,飼 育 期 間 が長 くな るに従 って そ の 差 は大
transaminase
transaminase
重
の写 真 をFig.2に
項 目 を 測 定 した 。
oxaloacetic
1.体
成 長 曲 線 をFig.1に,ま
漿 生化 学 値 の 測 定
自 動 分 析 装 置((株)日
実験 成 績
ラジ オ
法11)に 従 っ て 測 定 した 。
8.肝
(Packard
液 シ ン バ イ ア ル に 移 し,
清 生化 学 値 の 測 定
Triiodothyronine(T3)お
(TG),
清0.5mlを
た 。 す な わ ち,デ
モ グ ロ ビン量(Hb),ヘ
量(MCH),平
7.血
9.統
た の ち,
育 対 照群 との 有 意 差検 定 には 同 時 多重 比 較検 定 法 を用 い
赤 血球 数(RBC),ヘ
6.血
10mM sodium pyru-
ン チ レ ー シ ョ ン カ ウ ン タ ー(Packard 4640)に
(株),E-4000)を
間)後,上
Hionic-Fluor
15mM
よ り反 応 を 停 止 さ せ た 。 遠 心 分 離(1700
×g,15分
ネ ス法 で 測 定 した。
2.5mM 0.225mM
で60分 間incubateし
だ し,血 漿 中 の マ ン ガ ン濃 度 は偏 光 ゼ ーマ ン原 子 吸 光 光
ト値(Ht),平
(pH7.8),
dehydroxylase,
X-100,
よ び 粗 酵 素]を37℃
10%TCA0.5mlに
懸
れ を粗 酵 素 と した。
malate
度 計((株)日 立 製 作 所,Z-8100)に
EDTA,
存 した 。 分 析 直 前 に 解 凍 し
[100mM Tris-HCl
5000units/l
を用 いて 湿 式 灰化8)し た の ち,偏 光 ゼ ー マ ン原 子 吸 光 光
5.血
0.5mM
(pH7.4))1mlに
sodium ATP, 5mM MgCl2, 0.1mM Acetyl-CoA,
血漿 は硝 酸 を,組 織 お よび飼 料 は硝 酸 お よび過 塩 素 酸
ン法 で鉄,亜 鉛,銅
sucrose, buffer
結(-80℃)保
〔697〕
Total
Triglyceride
(ALB), (A/G),
Glucose Esterized
与群の体重は微量元素欠乏
0.04ml/kgで4週
目か ら,ま た0.2ml/kgで3週
目か ら
有 意 差 が 認 め られ た 。 2.微
量 元 素濃 度
1)鉄 成 績 をFig.3に
示 す 。血 漿,脳,心
臓,肝 臓,脾 臓,
腎臓,精 巣,大 腿 筋 お よび脛 骨 に お け る鉄 濃 度 は微 量 元
(EC/TC). carboxylase活
き くな った 。 一 方,TE-5投
飼 料 飼 育 群 の それ に比 べ,用 量 依 存 的 に 高 い値 を 示 し,
性の測
素 欠 乏 飼料 飼 育 に よ り有意 に低 下 した 。 これ らの低 下 は TE-5の 投 与 に よ り,用 量 依 存 的 に抑 制 され る傾 向(脳,
定 Pyruvate
carboxylase活
よ びBallardら13)の た 。 約1gの
性 の 測 定 はScruttonら12)お
方 法 を 一 部 改 変 した も の を用 い て 行 っ
肝 臓 か ら粗 ミ ト コ ン ド リ ア を 常 法14)に 従 っ
肝 臓,腎 臓,精 巣)に あ った が,標 準 飼 料 飼 育 群 の レベ ル に まで は 回復 しな か った。
日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻
〔698〕
Fig. 1 Effects of TE-5 on the growth element-deficient diets
第3号1992年8月
of rats fed trace
TE-5 was intravenously administered once a day for the indicated number of weeks. All points represent
Fig. 3 Effects of TE-5 on the iron concentrations of several tissues in rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2 ml/kg) . TE-5 was intravenously administered once a day for 7 weeks. At 24 hours after the last administration of TE-5, rats were sacrificed for analysis. All values represent
mean
± S.
E.
of
6-7
mean
± S.
E.
of
5-7
animals.
animals.
筋)に
おけ る亜 鉛 濃 度 は 微 量 元 素 欠 乏 飼 料 で 飼 育 して も
低 下 せ ず,TE-5(0.2ml/kg)の れ な か っ た 。 な お,血
投 与 に よ り変 化 も 認 め ら
漿 に お い て はTE-5の0.2ml/kgで
上 昇 が観 察 され た 。 3)銅 成 績 をFig.5に
示 す 。 微 量 元 素 欠 乏 飼 料 飼 育 に よ り,
組 織 中 銅 濃 度 は 有 意 に 低 下(脳,腎 は 有 意 に 上 昇(脾 臓,脛
Fig. 2 Effects of TE-5 on the growth of rats fed trace element-deficient diets Rats (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg), deficient diet+ TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg). TE-5 was intravenously administered once a day for 7 weeks.
臓,大
骨)し た が,血
腿 筋),あ
漿,心
鉛
よ び 精 巣 の 銅 濃 度 に 変 化 は 認 め ら れ な か っ た 。TE-5の
4)マ
ンガン
成 績 をFig.6に
示 す 。 肝 臓,脾
臓,腎
成 績 をFig.4に
組 織(血
臓 お よ び精 巣
に お け る マ ン ガ ン 濃 度 は 微 量 元 素 欠 乏 飼 料 飼 育 に よ り有 投与 に
よ り抑 制 あ る い は 抑 制 さ れ る 傾 向 に あ っ た が,0.04ml/kg 示 す 。 脛 骨 に お け る亜 鉛 濃 度 は 微 量
元 素 欠 乏 飼 料 飼 育 に よ り有 意 に 低 下 し,こ (0.2ml/kg)の
るい 臓 お
投 与 は これ らの変 化 に ほ とん ど影 響 を与 え なか った。
意 に 低 下 した 。 こ の 低 下 はTE-5(0.008ml/kg)の 2)亜
臓,肝
の 低 下 はTE-5
投 与 に よ り 抑 制 さ れ た 。 一 方,そ
漿,脳,心
臓,肝
臓,脾
臓,腎
臓,精
の他 の 巣,大
腿
以 上 の 投 与 用 量 で は マ ン ガ ン濃 度 の 上 昇 が 観 察 さ れ た 。 一 方 ,脳,心
臓,大
腿 筋 お よ び 脛 骨 に お け る マ ン ガ ン濃
度 は 微 量 元 素 欠 乏 飼 料 で 飼 育 し て も 変 化 せ ず,TE-5の 投 与 に よ り用 量 依 存 的 に 上 昇 し た 。
松 田 ・熊 谷 ・片 岡 ・佐 藤 ・木 村 ・糸 川: 完全 静 脈栄 養 用 微 量 元 素製 剤TE-5の 微 量 元 素 欠 乏飼 料 飼 育 ラ ッ トに対 す る効 果
Fig. 4 Effects of TE-5 on the zinc concentrations of several tissues in rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg) . All
values
represent
mean
± S.
E.
of
5-7
For other details, of Fig.
3.
animals.
〔699〕
Fig. 5 Effects of TE-5 on the copper concentrations of several tissues in rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg), deficient diet+ TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg). All
values
represent
see the legend
mean
± S.
E.
of
6-7
For other details, of Fig.
animals.
see the legend
3.
Fig. 6 Effects of TE-5 on the manganese concentrations of several tissues in rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008 ml/kg), deficient diet+ TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg). All
values
represent
For
other
mean
details,
± S.
E.
of
6-7
see the legend
animals.
of Fig.
3.
日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻
〔700〕 5)ヨ
第3号1992年8月 3.血
ウ素
成 績 をFig.7に
血 液 生 化 学 検 査 の 成 績 をTable
示 す 。 血 漿 中の ヨ ウ素 濃 度 は 微 量 元
素 欠 乏 飼 料 飼 育 に よ り有 意 に低 下 した が,こ
液生 化 学 値
びFig.9に
の 低 下 はTE-5
の 上 昇 はTE-5を
For
represent
mean
other
details,
Table 4
Effects
± S.
E.
of
5-7
see the legend
All
animals.
of Fig.
CRE: creatinine,
values
represent
mean
For other
3.
of TE-5 on the blood biochemistry
BUN: blood urea nitrogen,
投 与 して も 抑 制 さ れ な か っ た 。
Fig. 8 Effects of TE-5 on the alkaline phosphatase activities in plasma of rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg), deficient diet+ TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg) .
Fig. 7 Effects of TE-5 on the iodine (I), triiodothyronine (T3) and thyroxine (T4) concentrations of blood in rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg) , deficient diet+ TE-5 (0.04ml/kg) , deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg) . values
details,
± S.
E.
seethe
in rats fed trace element-deficient
GOT: glutamic
oxaloacetic
of
6-7
animals.
legend of Fig. 3.
diets
transaminase,
GPT: glutamic
pyruvic transaminase, Tf: transferrin, F-CHO: free cholesterol, T-CHO: total cholesterol, PL: phospholipid, TG: triglyceride, TP: total protein, ALB: albumin, Glu: glucose, A/G: albumin-globulin ratio, EC/TC: esterized cholesterol-total cholesterol ratio. TE-5 was intravenously administered once a day for 7 weeks. At 24 hours after the last administration, blood
biochemistry
was
よ よ びTf
は 標 準 飼 料 飼 育 群 に 比 べ 有 意 に 高 い 値 を 示 した 。 これ ら
を投 与 して も抑 制 され なか った 。
All
4,Fig.7,Fig.8お
示 す 。 微 量 元 素 欠 乏 飼 料 飼 育 群 のGOTお
determined.
Each
value
represents
the
mean
± S.
E.
of
6-7
anlmals.
松 田 ・熊 谷 ・片 岡 ・佐 藤 ・木村 ・糸 川: 完全 静 脈 栄 養用 微 量 元 素 製剤TE-5の 微 量 元 素 欠 乏飼 料 飼 育 ラ ッ トに対 す る効 果
〔701〕
Fig. 9 Effects of TE-5 on the ceruloplasmin concentrations of plasma in rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg) . All
values
represent
mean
± S.
For
E.
other
of
6-7
details,
animals.
see the legend
of Fig. 3. 微 量 元 素 欠 乏 飼 料 飼 育 群 のT-CHO,EC/TC,TG,PL, TP(以
上Table
4),T4(Fig.7),ALP(Fig.8)お
ceruloplasmin(Fig.9)は 低 い 値 を 示 し た が,TE-5の ceruloplasminの
よび
標 準 飼 料 飼 育 群 に比 べ有 意 に 投 与 に よ りALPお
Fig. 10 Effects of TE-5 on the hematological values in rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg), deficient diet+ TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg) . All
values
mean
± S.
E.
of
6-7
For other details,
低 下 は用 量 依存 的 に抑 制 され た。 of Fig.
4.血
represent
animals.
よび
see the legend
3.
液性状
血 液 性 状 の 成 績 をFig.10に
示 す 。 微 量元 素 欠 乏 飼 料
飼 育 群 のRBC,Hb,Ht,MCV,MCHお
よ びMCHCは
標
準 飼 料 飼 育 群 に 比 べ 有 意 に 低 い 値 を 示 し た 。TE-5 (02ml/kg)の
投 与 に よ りRBC,Hbお
よ びHtは
素 欠 乏 飼 料 飼 育 群 に 比 べ 有 意に 高 い 値 を 示 し,標
微量元 準飼料
飼 育 群 の値 に近 づ い た。 5.肝
ミ トコ ン ドリア のpyruvate
carboxylase活
微 量 元 素 欠 乏 飼 料 飼 育 群 のpyruvate
性(Fig.11)
carboxylase活
は 標 準 飼 料 飼 育 群 に 比 べ 有 意 に 低 い 値 を 示 した が,こ 低 下 はTE-5(0.2ml/kg)の
性 の
投 与 に よ り抑 制 さ れ た 。
考
察
必 須微 量 元 素 は 生体 で は 主 に酵 素 の 機 能維 持,す な わ
Fig. 11 Effects of TE-5 on pyruvate carboxylase activities in liver mitochondria of rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg), deficient diet+ TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg) . All
values
represent
mean
± S.
E.
of
5-7
animals.
ち 補酵 素 的 な 役割 を果 た して お り,こ の た め必 須 微 量 元 素 が欠 乏 す る と生 体 に様 々な障 害 を きた す こと が知 られ
今 回の 実験 に お いて も微 量元 素 欠 乏 飼 料 で ラ ッ トを7 週 間 飼 育 す ると,体 内 の 鉄,亜 鉛,銅,マ
For
other
details,
see the legend
of Fig. 3.
て い る16)。
今 回 の実 験 で 特 に 目立 った 症状 と して 貧 血 と成 長 遅 延
ンガ ンお よび
があ げ られ る。 貧 血 は赤 血 球 数,ヘ モ グ ロ ビ ン量,ヘ マ
ヨ ウ素含 量 は低 下 し,肝 障 害,脂 質 代 謝 異常 お よび 栄 養
トク リッ ト値,平 均 赤 血 球 容 積,平 均 赤 血 球 血色 素 量 お
障 害 な どを 示唆 す る血 液 生 化学 的 検 査値 の異 常 な らび に
よび 平均 赤 血 球 血 色 素濃 度 の 低 下 な らび に トラ ンス フ ェ
成 長遅 延 が 認 め られ た 。
リンの 上昇 か ら判 断 して鉄 欠 乏 に よ る小 球 性低 色 素 性 の
日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻
〔702〕
第3号1992年8月
この よ うな 体 内 鉄 含 量 の低
高 用 量 のTE-5の 投 与 は この ピル ビ ン酸 カル ボ キ シ ラ ー
下 と貧 血 の発 症 を軽 度 な が ら抑 制 した 。 また 成 長遅 延 も
ゼ活 性 の 低 下 を抑 制 して い る こ とか ら,組 織 中 マ ンガ ン
貧血 と考 え られ た 。TE-5は
TE-5の 投 与 に よ り用 量 依 存 的 に 抑 制 され,TE-5の
投与
効 果 が 認 め られ た 。
濃度 は上 昇 して い る が,投 与 され た マ ンガ ンは 生 体 で利 用 され て い る と考 え られ た 。 な お,わ れ われ は マ ンガ ン
今 回 の条 件 で は 完 全 な亜 鉛 欠 乏 状態 にす る こ とは で き
欠乏 に よ り鉄 欠乏 性 貧 血 が生 じる こ とを既 に報 告 して い
なか った。 これ は,微 量 元 素 欠 乏 飼料 中の 亜 鉛 含量 が標
る が22),TE-5の
準 飼料 の 約3分 の1に す ぎ なか った た め と考 え られ るが,
発症 予 防 に もつ な が る と考 え られ る。
活 性 の維 持 に亜 鉛 を 必要 とす るア ル カ リフ ォス フ ァタ ー
投 与 は この マ ン ガ ン 欠 乏 由 来 の 貧 血 の
血 中 のT4お よび ヨ ウ素 濃 度 は ヨ ウ素 の 体 内 プ ー ル の
ゼ16)や 脛 骨 の 亜 鉛 含 量 が低 下 して い た こ とか ら,潜 在
指 標 と して 知 られ て い る23)。こ の た め,今 回 の血 清T4
的 な亜 鉛 欠 乏状 態 に な って い た もの と考 え られ る。TE-5
濃度 お よび 血漿 ヨウ素 濃 度 の低 下 は ヨ ウ素欠 乏 に よる も
(0.2ml/kg)の
の と考 え られ た 。TE-5は
投 与 に よ り血 漿 中亜 鉛 濃 度 お よび アル カ
高用 量 で も この 血 漿 ヨウ素 濃
リフ ォス フ ァタ ーゼ活 性 は上 昇 し,潜 在 的 亜 鉛 欠乏 状 態
度 の 低 下 と血 清T4濃 度 の低 下 を 抑 え る こ とはで きな か っ
へ の 移行 の抑 制 が認 め られ た 。 血漿 中亜 鉛 濃 度 が正 常 値
た 。 これ は,TE-5の
よ りも高 い値 で あ った こ とに つ い て は,亜 鉛 は他 の4元
た ため,一 過 性 に血 中 濃 度 が上 昇 し,体 内で 充 分利 用 さ
素 よ り血漿 消 失 時 間 の 長 い 元 素 で あ り(北川 ら17)に よれ
れ る前 に尿 中 へ排 泄 され た た め と考 え られ た。 事 実,わ
ば ラ ッ トに お け る亜 鉛 の 平 均 滞 留 時 間:262hr,滞 間 の 分 散:78700hr2),前
補 給 を1日1回
の急速投与で行 っ
留時
れ わ れ は 完 全 静 脈 栄 養 施 行 下 で ラ ッ トにTE-5を 徐 々 に
日投 与 した もの が 血 漿 に 残 存
投 与 した場 合 には ヨ ウ素 の補 給 効 果(低 下 したT4濃 度 の 上 昇)を 確認 して い る7)。
して い た ため と考 え られ た。 セ ル ロプ ラ ス ミンは肝 臓 にお け る銅 の 貯 蔵 蛋 白で あ る
今 回,必 須 微 量 元 素 源 と してTE-5を
投 与 して い る に
と同 時 に銅 を各 組織 へ輸 送 す るキ ャ リア蛋 白で もあ り,
も かか わ らず,各 元 素 に つ いて 著 明 な補 給 効 果 が 得 られ
血 中 の セ ル ロ プ ラス ミン濃 度 は 体 内 の銅 代 謝 を把 握 す る
な か った 。 この原 因 と して,既 に ヨ ウ素 に つい て 考察 し
指 標 と して広 く用 い られ て い る18)。今 回,微 量 元 素 欠
た よ うに,急 速 投 与 に よ る利 用 能 の低 下 が考 え られ た が,
乏 飼 料飼 育 で セル ロプ ラス ミン濃 度 の低 下 を 認 め た もの
そ の他 の 原 因 と して,各 元素 の必 要 量 が ヒ トよ りも ラ ッ
の,肝 臓 に おけ る銅濃 度 の著 しい 低下 は認 め られ な か っ た 。 この こ とは 蛋 白非 結 合 型(遊 離 型)の 銅 の 割 合 が肝 臓
トの方 で 高 い とい うこ とが考 え られ た 。事 実,ヒ 要 量24)をNRCの
トの必
報 告 した ラ ッ ト必 要 量25)と 比較 す ると,
で 増 加 して い る可 能性 を示 唆 す る もので あ り,銅 代 謝 異
ラ ッ トの方 が数 倍 か ら数 十倍 高 い ことが わ か る。 しか し,
常 と して 知 られ る ウィ ル ソ ン病19)に 似 た 状 態 に な って
今 回の 実 験 系 に おい て,生 体 に取 り込 ま れた 元 素 は 多少
い る と推 測 され た。TE-5は
に かか わ らず実 際 に生 体 で利 用 され て い る こ とを 示 唆す
微量元素欠 乏飼料飼育に よ
る組織 中銅 濃 度 の低 下 には 影 響 を及 ぼ さな か った が,セ
る成 績 が 得 られ,TE-5は
微 量元素の体内含量の低下 だ
ル ロプ ラス ミン濃度 の低 下 を 抑 制 し,肝 臓 に お け る銅 の
けで な く,こ れ に付 随 して悪 化 した 生体 機 能 も是 正 す る
貯 蔵 異常 の発 生 を抑 制 して い る もの と考 え られ た。 また
ことが 明 らか と な った 。
セル ロプ ラ ス ミンは鉄 を2価 か ら3価 に酸 化 し,ト ラ ン
文
ス フ ェ リンに結 合 し易 くす る作 用 を 有 して い る20)。従 っ て,セ
ル ロプ ラ ス ミン の この よ うな成 績 は 鉄 代 謝 異 常
1)
(貧血)の 発生 の抑 制 に も関連 してい るもの と考 え られた 。 組 織 中マ ン ガン濃度 の低 下は 中用量(0.04ml/kg)のTE-5 の 投 与 に よ り抑 制 され たが ピル ビ ン酸 カル ボ キ シ ラー ゼ 活性 は低 下 した ま まであ った 。 ピル ビ ン酸 カル ボキ シラ ー ゼ は マ ン ガ ン含 有 酵 素21)で あ る が,マ
す るた め,活 性 は 低 下 しな い と す る報 告21)も あ り,今 回 の成 績 は 単純 に マ ン ガ ンの 欠 乏 に よ って の み生 じた も の で は な く,マ ンガ ン と他 の 微量 元 素 の 欠 乏 に よ って 生 じた 「元 素 間 の 相 互作 用 」 も一部 考 え られ た 。 しか し,
S. J.,
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Long-term
parenteral
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with
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and positive nitrogen balance,
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ンガ ンが 欠 乏 し
て もマ グネ シ ウム が マ ン ガ ンの代 わ りに 酵 素活 性 を維 持
Dudrick,
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コ トキ シ コ ロ ジ ー と 臨 床-,
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い た ラ ッ トに お け る 微 量 元 素 の 体 内 動 熊 解 析(第1
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松 田晃 彦,木 村 美 恵 子,横 井 克 彦,加 畑 寿 明,糸 川
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in long-term
15)
Skin lesions during intravenous
hyperalimentation:
〔703〕
(受 付1991年9月27日
受 理1992年3月23日)
完全静脈栄 養用微量元素 製剤TE-5の 微量 元素 欠乏飼料 飼育 ラ ッ トに対す る効果 松
田
佐
藤
晃
彦*1,熊
谷
早
容*1,片
岡
美 紀 子*1
誠*1,木
村
美 恵 子*2,糸
川
嘉
則*2
*1森 下 ル セ ル(株)総 合研 究 所 ,*2京 都 大 学 医 学 部 衛 生学 教 室
Effects of an Essential for Total Parenteral
Trace Element Agent (TE-5)
Nutrition
on the Mineral Nutrition
in Rats Fed a Trace Element-deficient Akihiko
Matsuda*1,
Makoto
Sato*1,
Sayo Mieko
Kumadani*1,
Kimura*2
Diet
Mikiko
Kataoka*1,
and Yoshinori
Itokawa*2
*1Research Laboratories , Roussel Morishita Co., Ltd., Shiga *2Department of Hygiene , Faculty of Medicine, Kyoto University, Kyoto
TE-5 is an essential trace element agent containing iron, zinc, copper, manganese and iodine for total parenteral nutrition (TPN). We have already reported that TE-5 improved the reduction of trace element concentrations induced by TPN. However,
effects
of TE-5 on the changes in biological
function
relating
to trace elements
are
poorly understood. The present study was designed to clarify the effects of TE-5 on these functions. Rats fed a trace element (iron, zinc, copper, manganese and iodine) -deficient diet for 7 weeks showed reductions in the following parameters: plasma and various tissue concentrations of iron, zinc, copper, manganese and iodine,
growth
rate,
erythrocyte
(iron),
(iron), plasma alkaline phosphatase carboxylase activity (manganese) On
the
respectively)
other
hand,
when
TE-5
was intravenously
hemoglobin
(iron),
hematocrit
activity (zinc), serum ceruloplasmin and serum thyroxine concentration (0.008,
administered
0.04
and 0.2ml/kg:
×0.2,
(iron),
mean corpuscular
concentration (iodine). ×1
and
(copper),
×5 the
once a day for 7 weeks under the conditions
usual
constants
liver pyruvate clinical
described above,
dose,
there
was a tendency to prevent the reductions of plasma and various tissue concentrations of iron, zinc and manganese. In addition, TE-5 prevented the reductions of growth rate, iron metabolism functions, plasma alkaline phosphatase activity,
serum ceruloplasmin
concentration
and liver pyruvate
carboxylase
activity.
The present study shows that TE-5 prevents both reductions of trace element contents and trace element-related functions, and suggests that TE-5 is useful for treatment of trace element deficiency in TPN.
Key words:
Trace element agent for total parenteral Mineral
nutrition,
Trace element deficiency,
nutrition
完 全 静 脈栄 養 用 微 量 元 素製 剤,微 量 元素 欠 乏,ミ ネ ラル栄 養
成 績 は飛 躍 的 に 向上 した2)。 しか し,そ の 一 方 でTPN液
緒言 1968年,完
全 静 脈 栄 養(TPN)法
が グル コ ー ス,電 解 質,ア の 発 明 に よ り1)患者 の
栄 養 管 理 が充 分 に行 え るよ うにな り,種 々の 疾 患 の治 療
ミノ酸 な ど,極 めて 純 粋 な栄
養 素 成 分 か ら構成 され て い るた め,長 期 に渡 ってTPNを 施行 した 場 合 に,あ るい は潜 在 的 微 量 元素 欠 乏 状態 に あ
〔696〕
日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻
第3号1992年8月
3.実
る患 者 にTPNを 施 行 した場 合 に,重 篤 な微 量 元 素欠 乏 症 が生 じることが明 らか とな り,大 きな問題 とな ってい る3∼5)。 TE-5はTPNに
よ って 生 じる微 量 元 素 欠 乏 症 の 予 防 と
治 療 を 目的 と して 開 発 され た 鉄,亜 鉛,銅,マ
ンガ ン お
験方法
各 群 間 の 体 重 に偏 りが な い よ うに5群(1群7匹)に
分
け,そ れぞ れ標 準 飼料 飼 育群,微 量 元 素 欠乏 飼料 飼 育群, 微 量 元素 欠 乏 飼料 飼 育+TE-5(0.008,0.04,0.2ml/kg;
よ び ヨ ウ素 を含 ん だ 必須 微 量 元 素製 剤 で あ る。 わ れわ れ
臨床 用量 の そ れぞ れ1/5,1,5倍
量 に相 当)投 与群 と した。
は 既 にTPNの 施 行 に よ り低 下 した生 体 内微 量 元 素含 量 が
被 験 液 の 投 与 容量 は2ml/kgと
し,1日1回7週
TE-5の 補 給 に よ り改 善 す る こ と を ラ ッ トを用 い て 明 ら
静 脈 か ら投 与 した。 なお,標 準 飼 料 飼 育群 お よび 微量 元
か に して い る6,7)が,補 給 され た微 量 元 素 が実 際 に生 体
素 欠 乏 飼 料 飼 育群 には 同 容量 の生 理 食塩 液 を投 与 した。
で 利 用 されて い るか ど うかは 不 明 で あ った 。 今 回,こ の 点 を明 らか にす るた め,ラ
最 終 投 与24時 間 後(非 絶 食)に ペ ン トバ ル ビ ター ルNa (35mg/kg,i.p.)麻
ッ トを微 量 元 素 欠 乏 飼料 で 飼
育 しなが らTE-5を 投 与 し,TE-5の
間,尾
酔 下 で 腹 部 大 動 脈 か ら無処 理 の試 験
管(血 清 生 化 学 値 測 定 用),ヘ
生 体 内微 量 元 素 濃 度
お よび 各元 素 に関 連 した機 能 に 及 ぼす 影 響 を 検討 した の
パ リ ン処 理 した試 験 管(血
漿 生 化 学 値 測 定 用,微 量 元 素 定 量 用)お よ びEDTA処
で 報 告 す る。
Table 2
Compositions
理
of the diet
実験材料および方法 1.実
験動 物 お よび 飼育 環 境
3週 齢 のSD系 雄 性 ラ ッ ト(日本 チ ャー ル ス ・リバ ー (株))を 購 入 し,1週
間 の 予 備 飼 育 の の ち,順 調 に生 育
した もの を実 験 に用 い た。 予 備 飼 育 お よび 実験 期 間 中, 動物 は温度21∼25℃,湿 度45∼70%,照
明時 間7:00∼19:00
の 飼 育 室 で飼 育 した 。 な お,実 験期 間 中は 脱 イ オ ン水 お よび 以 下 に示 す 配 合飼 料 を 自 由に摂 取 させ た 。 2.TE-5お
よび 飼 料
TE-5の 組 成 をTable 1に 示 す 。TE-5は1ア
ンプ ル2ml
で 成 人1日 必 要 量 が補 給 で き る よ うに設 計 され て い る。 TE-5は 必 要 に 応 じて 生 理 食 塩 液 で希 釈 して 実 験 に 使 用 した 。 今 回 用 い た 配 合 飼 料 の 組 成 をTable 2に,ま
た飼料 中
の各 微 量 元素 濃 度 の実 測 値 をTable 3に 示 した 。 Table 1
Composition
of TE-5
(a)
Table 3
n.d.:
Concentrations
not detected.
of iron, zinc,
copper,
The vitamin mixture contained (mg/100g diet): Vitamin A, 2.341 (500,000 IU/g); D3, 0.059 (100,000 IU/25mg); B1, 1.50; B2,1.56; B6,1.02; B12, 0.005; E, 20.00; K, 0.40; biotin, 0.50; Ca-pantothenate, 4.00; p-aminobenzoic acid, 10.15; nicotinic acid, 10.15; inositol, 15.00; folic acid, 0.20; choline chloride, 300.00; corn starch, 633.115.
manganese
and iodine in diets
松 田 ・熊 谷 ・片 岡 ・佐 藤 ・木 村 ・糸 川: 完 全 静脈 栄 養 用 微 量元 素 製 剤TE-5の 微 量 元素 欠 乏 飼 料飼 育 ラ ッ トに 対 す る効 果 した試 験管(血 液 性 状 測定 用)に そ れ ぞれ 血液 を採 取 した 。
て 分 離 し,保
存 用 緩 衝 液(0.25M
無 処理 お よ びヘ パ リン処 理 した血 液 をそ れ ぞ れ遠 心 分 離
5mM
(1700×g,10min,4℃)し,血
濁 した の ち,凍
了 後,脳,心
清 と血 漿 を得 た 。 採 血 終
臓,肝 臓,脾 臓,腎 臓,精 巣,大 腿 筋 お よ
び脛 骨 を採 取 した。 4.微
potassium
phosphate
蒸 留 水 で20倍 希 釈 し,こ
Assay mixture 1ml
量 元 素 の 定量
NADH,
NaH14CO3, 250mg/l vateお
よ る フ レー ム ゼ ー マ
お よび マ ンガ ン濃 度 を測 定 した 。 た
Triton
度計((株)日 立製 作所,180-80)に
80℃ の ホ ッ ト プ レ ー ト上 で10分
よ る グラフ ァイ トフ ァー
血 漿 お よび飼 料 中の ヨ ウ素 濃度 は比 色 法9)に よ り測 定 した。 な お,硝 酸 お よ び過 塩 素酸 は重 金属 測 定 用(ナ カ ライ テ ス ク(株))の も の を用 い,器 具 類 は す べ て塩 酸 処 理 し た もの を 用 い た。 液 性 状 の測 定
均 赤血 球 容積(MCV),平
マ トク リッ
均 赤 血球 血 色 素
均 赤 血球 血 色 素 濃 度(MCHC)お
球 数(WBC)の
測 定 は 自動 血 球 計 数 装 置(東 亜 医 用 電 子
よ び 白血
用 いて 行 った 。
間 放 置 した 。 そ の 後,
Japan)10mlを
添 加 し,液 Japan,
体 シ
TRI-CARB
よ り放 射 活 性 を 測 定 した 。 計 処 理15)
成 績 は 平 均 値 ± 標 準 誤 差 で 示 し,微
量 元 素 欠乏 飼 料 飼
定 し,等
ー タ をBartlettの
方 法 で 等分 散 性 を 検
分 散 あ るい は対 数 変換 したの ちに 等分 散 で あ れ
ばBonferroniの
方 法 で 有 意 差検 定 を 行 っ た。 ま た 対 数
変換 して も不 等 分散 の場 合 に は対 数 変 換 前 の デ ー タを 順 位 づ け した の ち,Non-parametric
Bonferroniの
方法で
有 意差 検 定 を 行 った。
よ びThyroxine(T4)は
イ ム ノ ア ッセ イ 法10)で,CeruloplasminはRavinの
方
Urea nitrogen
立 製 作 所,7150)を
用 い,以
下の
(BUN),
Creatinine (GOT),
(GPT),
phosphatase
(ALP),
cholesterol
(T-CHO),
Total
(GLU),
(CRE),
Transferrin
(Tf),
Albumin-Globulin cholesterol
(PL),
Albumin ratio ratio
ミ トコ ン ドリ ア のPyruvate
pyruvic Alkaline
(F-CHO),
Phospholipid (TP),
Glutamic
Glutamic
Free cholesterol
protein
cholesterol-Total
重 は,飼 育 開始2週
た 実 験 開 始7週
目の ラ ッ ト
示す。微 量元素欠乏飼料飼 育群の体 目か ら標 準 飼 料 飼 育群 に比 べ 有 意 に
低 い値 を 示 し,飼 育 期 間 が長 くな るに従 って そ の 差 は大
transaminase
transaminase
重
の写 真 をFig.2に
項 目 を 測 定 した 。
oxaloacetic
1.体
成 長 曲 線 をFig.1に,ま
漿 生化 学 値 の 測 定
自 動 分 析 装 置((株)日
実験 成 績
ラジ オ
法11)に 従 っ て 測 定 した 。
8.肝
(Packard
液 シ ン バ イ ア ル に 移 し,
清 生化 学 値 の 測 定
Triiodothyronine(T3)お
(TG),
清0.5mlを
た 。 す な わ ち,デ
モ グ ロ ビン量(Hb),ヘ
量(MCH),平
7.血
9.統
た の ち,
育 対 照群 との 有 意 差検 定 には 同 時 多重 比 較検 定 法 を用 い
赤 血球 数(RBC),ヘ
6.血
10mM sodium pyru-
ン チ レ ー シ ョ ン カ ウ ン タ ー(Packard 4640)に
(株),E-4000)を
間)後,上
Hionic-Fluor
15mM
よ り反 応 を 停 止 さ せ た 。 遠 心 分 離(1700
×g,15分
ネ ス法 で 測 定 した。
2.5mM 0.225mM
で60分 間incubateし
だ し,血 漿 中 の マ ン ガ ン濃 度 は偏 光 ゼ ーマ ン原 子 吸 光 光
ト値(Ht),平
(pH7.8),
dehydroxylase,
X-100,
よ び 粗 酵 素]を37℃
10%TCA0.5mlに
懸
れ を粗 酵 素 と した。
malate
度 計((株)日 立 製 作 所,Z-8100)に
EDTA,
存 した 。 分 析 直 前 に 解 凍 し
[100mM Tris-HCl
5000units/l
を用 いて 湿 式 灰化8)し た の ち,偏 光 ゼ ー マ ン原 子 吸 光 光
5.血
0.5mM
(pH7.4))1mlに
sodium ATP, 5mM MgCl2, 0.1mM Acetyl-CoA,
血漿 は硝 酸 を,組 織 お よび飼 料 は硝 酸 お よび過 塩 素 酸
ン法 で鉄,亜 鉛,銅
sucrose, buffer
結(-80℃)保
〔697〕
Total
Triglyceride
(ALB), (A/G),
Glucose Esterized
与群の体重は微量元素欠乏
0.04ml/kgで4週
目か ら,ま た0.2ml/kgで3週
目か ら
有 意 差 が 認 め られ た 。 2.微
量 元 素濃 度
1)鉄 成 績 をFig.3に
示 す 。血 漿,脳,心
臓,肝 臓,脾 臓,
腎臓,精 巣,大 腿 筋 お よび脛 骨 に お け る鉄 濃 度 は微 量 元
(EC/TC). carboxylase活
き くな った 。 一 方,TE-5投
飼 料 飼 育 群 の それ に比 べ,用 量 依 存 的 に 高 い値 を 示 し,
性の測
素 欠 乏 飼料 飼 育 に よ り有意 に低 下 した 。 これ らの低 下 は TE-5の 投 与 に よ り,用 量 依 存 的 に抑 制 され る傾 向(脳,
定 Pyruvate
carboxylase活
よ びBallardら13)の た 。 約1gの
性 の 測 定 はScruttonら12)お
方 法 を 一 部 改 変 した も の を用 い て 行 っ
肝 臓 か ら粗 ミ ト コ ン ド リ ア を 常 法14)に 従 っ
肝 臓,腎 臓,精 巣)に あ った が,標 準 飼 料 飼 育 群 の レベ ル に まで は 回復 しな か った。
日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻
〔698〕
Fig. 1 Effects of TE-5 on the growth element-deficient diets
第3号1992年8月
of rats fed trace
TE-5 was intravenously administered once a day for the indicated number of weeks. All points represent
Fig. 3 Effects of TE-5 on the iron concentrations of several tissues in rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2 ml/kg) . TE-5 was intravenously administered once a day for 7 weeks. At 24 hours after the last administration of TE-5, rats were sacrificed for analysis. All values represent
mean
± S.
E.
of
6-7
mean
± S.
E.
of
5-7
animals.
animals.
筋)に
おけ る亜 鉛 濃 度 は 微 量 元 素 欠 乏 飼 料 で 飼 育 して も
低 下 せ ず,TE-5(0.2ml/kg)の れ な か っ た 。 な お,血
投 与 に よ り変 化 も 認 め ら
漿 に お い て はTE-5の0.2ml/kgで
上 昇 が観 察 され た 。 3)銅 成 績 をFig.5に
示 す 。 微 量 元 素 欠 乏 飼 料 飼 育 に よ り,
組 織 中 銅 濃 度 は 有 意 に 低 下(脳,腎 は 有 意 に 上 昇(脾 臓,脛
Fig. 2 Effects of TE-5 on the growth of rats fed trace element-deficient diets Rats (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg), deficient diet+ TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg). TE-5 was intravenously administered once a day for 7 weeks.
臓,大
骨)し た が,血
腿 筋),あ
漿,心
鉛
よ び 精 巣 の 銅 濃 度 に 変 化 は 認 め ら れ な か っ た 。TE-5の
4)マ
ンガン
成 績 をFig.6に
示 す 。 肝 臓,脾
臓,腎
成 績 をFig.4に
組 織(血
臓 お よ び精 巣
に お け る マ ン ガ ン 濃 度 は 微 量 元 素 欠 乏 飼 料 飼 育 に よ り有 投与 に
よ り抑 制 あ る い は 抑 制 さ れ る 傾 向 に あ っ た が,0.04ml/kg 示 す 。 脛 骨 に お け る亜 鉛 濃 度 は 微 量
元 素 欠 乏 飼 料 飼 育 に よ り有 意 に 低 下 し,こ (0.2ml/kg)の
るい 臓 お
投 与 は これ らの変 化 に ほ とん ど影 響 を与 え なか った。
意 に 低 下 した 。 こ の 低 下 はTE-5(0.008ml/kg)の 2)亜
臓,肝
の 低 下 はTE-5
投 与 に よ り 抑 制 さ れ た 。 一 方,そ
漿,脳,心
臓,肝
臓,脾
臓,腎
臓,精
の他 の 巣,大
腿
以 上 の 投 与 用 量 で は マ ン ガ ン濃 度 の 上 昇 が 観 察 さ れ た 。 一 方 ,脳,心
臓,大
腿 筋 お よ び 脛 骨 に お け る マ ン ガ ン濃
度 は 微 量 元 素 欠 乏 飼 料 で 飼 育 し て も 変 化 せ ず,TE-5の 投 与 に よ り用 量 依 存 的 に 上 昇 し た 。
松 田 ・熊 谷 ・片 岡 ・佐 藤 ・木 村 ・糸 川: 完全 静 脈栄 養 用 微 量 元 素製 剤TE-5の 微 量 元 素 欠 乏飼 料 飼 育 ラ ッ トに対 す る効 果
Fig. 4 Effects of TE-5 on the zinc concentrations of several tissues in rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg) . All
values
represent
mean
± S.
E.
of
5-7
For other details, of Fig.
3.
animals.
〔699〕
Fig. 5 Effects of TE-5 on the copper concentrations of several tissues in rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg), deficient diet+ TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg). All
values
represent
see the legend
mean
± S.
E.
of
6-7
For other details, of Fig.
animals.
see the legend
3.
Fig. 6 Effects of TE-5 on the manganese concentrations of several tissues in rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008 ml/kg), deficient diet+ TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg). All
values
represent
For
other
mean
details,
± S.
E.
of
6-7
see the legend
animals.
of Fig.
3.
日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻
〔700〕 5)ヨ
第3号1992年8月 3.血
ウ素
成 績 をFig.7に
血 液 生 化 学 検 査 の 成 績 をTable
示 す 。 血 漿 中の ヨ ウ素 濃 度 は 微 量 元
素 欠 乏 飼 料 飼 育 に よ り有 意 に低 下 した が,こ
液生 化 学 値
びFig.9に
の 低 下 はTE-5
の 上 昇 はTE-5を
For
represent
mean
other
details,
Table 4
Effects
± S.
E.
of
5-7
see the legend
All
animals.
of Fig.
CRE: creatinine,
values
represent
mean
For other
3.
of TE-5 on the blood biochemistry
BUN: blood urea nitrogen,
投 与 して も 抑 制 さ れ な か っ た 。
Fig. 8 Effects of TE-5 on the alkaline phosphatase activities in plasma of rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg), deficient diet+ TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg) .
Fig. 7 Effects of TE-5 on the iodine (I), triiodothyronine (T3) and thyroxine (T4) concentrations of blood in rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg) , deficient diet+ TE-5 (0.04ml/kg) , deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg) . values
details,
± S.
E.
seethe
in rats fed trace element-deficient
GOT: glutamic
oxaloacetic
of
6-7
animals.
legend of Fig. 3.
diets
transaminase,
GPT: glutamic
pyruvic transaminase, Tf: transferrin, F-CHO: free cholesterol, T-CHO: total cholesterol, PL: phospholipid, TG: triglyceride, TP: total protein, ALB: albumin, Glu: glucose, A/G: albumin-globulin ratio, EC/TC: esterized cholesterol-total cholesterol ratio. TE-5 was intravenously administered once a day for 7 weeks. At 24 hours after the last administration, blood
biochemistry
was
よ よ びTf
は 標 準 飼 料 飼 育 群 に 比 べ 有 意 に 高 い 値 を 示 した 。 これ ら
を投 与 して も抑 制 され なか った 。
All
4,Fig.7,Fig.8お
示 す 。 微 量 元 素 欠 乏 飼 料 飼 育 群 のGOTお
determined.
Each
value
represents
the
mean
± S.
E.
of
6-7
anlmals.
松 田 ・熊 谷 ・片 岡 ・佐 藤 ・木村 ・糸 川: 完全 静 脈 栄 養用 微 量 元 素 製剤TE-5の 微 量 元 素 欠 乏飼 料 飼 育 ラ ッ トに対 す る効 果
〔701〕
Fig. 9 Effects of TE-5 on the ceruloplasmin concentrations of plasma in rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg) . All
values
represent
mean
± S.
For
E.
other
of
6-7
details,
animals.
see the legend
of Fig. 3. 微 量 元 素 欠 乏 飼 料 飼 育 群 のT-CHO,EC/TC,TG,PL, TP(以
上Table
4),T4(Fig.7),ALP(Fig.8)お
ceruloplasmin(Fig.9)は 低 い 値 を 示 し た が,TE-5の ceruloplasminの
よび
標 準 飼 料 飼 育 群 に比 べ有 意 に 投 与 に よ りALPお
Fig. 10 Effects of TE-5 on the hematological values in rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg), deficient diet+ TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg) . All
values
mean
± S.
E.
of
6-7
For other details,
低 下 は用 量 依存 的 に抑 制 され た。 of Fig.
4.血
represent
animals.
よび
see the legend
3.
液性状
血 液 性 状 の 成 績 をFig.10に
示 す 。 微 量元 素 欠 乏 飼 料
飼 育 群 のRBC,Hb,Ht,MCV,MCHお
よ びMCHCは
標
準 飼 料 飼 育 群 に 比 べ 有 意 に 低 い 値 を 示 し た 。TE-5 (02ml/kg)の
投 与 に よ りRBC,Hbお
よ びHtは
素 欠 乏 飼 料 飼 育 群 に 比 べ 有 意に 高 い 値 を 示 し,標
微量元 準飼料
飼 育 群 の値 に近 づ い た。 5.肝
ミ トコ ン ドリア のpyruvate
carboxylase活
微 量 元 素 欠 乏 飼 料 飼 育 群 のpyruvate
性(Fig.11)
carboxylase活
は 標 準 飼 料 飼 育 群 に 比 べ 有 意 に 低 い 値 を 示 した が,こ 低 下 はTE-5(0.2ml/kg)の
性 の
投 与 に よ り抑 制 さ れ た 。
考
察
必 須微 量 元 素 は 生体 で は 主 に酵 素 の 機 能維 持,す な わ
Fig. 11 Effects of TE-5 on pyruvate carboxylase activities in liver mitochondria of rats fed trace element-deficient diets Bars (left to right): normal diet, deficient diet, deficient diet + TE-5 (0.008ml/kg), deficient diet+ TE-5 (0.04ml/kg), deficient diet + TE-5 (0.2ml/kg) . All
values
represent
mean
± S.
E.
of
5-7
animals.
ち 補酵 素 的 な 役割 を果 た して お り,こ の た め必 須 微 量 元 素 が欠 乏 す る と生 体 に様 々な障 害 を きた す こと が知 られ
今 回の 実験 に お いて も微 量元 素 欠 乏 飼 料 で ラ ッ トを7 週 間 飼 育 す ると,体 内 の 鉄,亜 鉛,銅,マ
For
other
details,
see the legend
of Fig. 3.
て い る16)。
今 回 の実 験 で 特 に 目立 った 症状 と して 貧 血 と成 長 遅 延
ンガ ンお よび
があ げ られ る。 貧 血 は赤 血 球 数,ヘ モ グ ロ ビ ン量,ヘ マ
ヨ ウ素含 量 は低 下 し,肝 障 害,脂 質 代 謝 異常 お よび 栄 養
トク リッ ト値,平 均 赤 血 球 容 積,平 均 赤 血 球 血色 素 量 お
障 害 な どを 示唆 す る血 液 生 化学 的 検 査値 の異 常 な らび に
よび 平均 赤 血 球 血 色 素濃 度 の 低 下 な らび に トラ ンス フ ェ
成 長遅 延 が 認 め られ た 。
リンの 上昇 か ら判 断 して鉄 欠 乏 に よ る小 球 性低 色 素 性 の
日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻
〔702〕
第3号1992年8月
この よ うな 体 内 鉄 含 量 の低
高 用 量 のTE-5の 投 与 は この ピル ビ ン酸 カル ボ キ シ ラ ー
下 と貧 血 の発 症 を軽 度 な が ら抑 制 した 。 また 成 長遅 延 も
ゼ活 性 の 低 下 を抑 制 して い る こ とか ら,組 織 中 マ ンガ ン
貧血 と考 え られ た 。TE-5は
TE-5の 投 与 に よ り用 量 依 存 的 に 抑 制 され,TE-5の
投与
効 果 が 認 め られ た 。
濃度 は上 昇 して い る が,投 与 され た マ ンガ ンは 生 体 で利 用 され て い る と考 え られ た 。 な お,わ れ われ は マ ンガ ン
今 回 の条 件 で は 完 全 な亜 鉛 欠 乏 状態 にす る こ とは で き
欠乏 に よ り鉄 欠乏 性 貧 血 が生 じる こ とを既 に報 告 して い
なか った。 これ は,微 量 元 素 欠 乏 飼料 中の 亜 鉛 含量 が標
る が22),TE-5の
準 飼料 の 約3分 の1に す ぎ なか った た め と考 え られ るが,
発症 予 防 に もつ な が る と考 え られ る。
活 性 の維 持 に亜 鉛 を 必要 とす るア ル カ リフ ォス フ ァタ ー
投 与 は この マ ン ガ ン 欠 乏 由 来 の 貧 血 の
血 中 のT4お よび ヨ ウ素 濃 度 は ヨ ウ素 の 体 内 プ ー ル の
ゼ16)や 脛 骨 の 亜 鉛 含 量 が低 下 して い た こ とか ら,潜 在
指 標 と して 知 られ て い る23)。こ の た め,今 回 の血 清T4
的 な亜 鉛 欠 乏状 態 に な って い た もの と考 え られ る。TE-5
濃度 お よび 血漿 ヨウ素 濃 度 の低 下 は ヨ ウ素欠 乏 に よる も
(0.2ml/kg)の
の と考 え られ た 。TE-5は
投 与 に よ り血 漿 中亜 鉛 濃 度 お よび アル カ
高用 量 で も この 血 漿 ヨウ素 濃
リフ ォス フ ァタ ーゼ活 性 は上 昇 し,潜 在 的 亜 鉛 欠乏 状 態
度 の 低 下 と血 清T4濃 度 の低 下 を 抑 え る こ とはで きな か っ
へ の 移行 の抑 制 が認 め られ た 。 血漿 中亜 鉛 濃 度 が正 常 値
た 。 これ は,TE-5の
よ りも高 い値 で あ った こ とに つ い て は,亜 鉛 は他 の4元
た ため,一 過 性 に血 中 濃 度 が上 昇 し,体 内で 充 分利 用 さ
素 よ り血漿 消 失 時 間 の 長 い 元 素 で あ り(北川 ら17)に よれ
れ る前 に尿 中 へ排 泄 され た た め と考 え られ た。 事 実,わ
ば ラ ッ トに お け る亜 鉛 の 平 均 滞 留 時 間:262hr,滞 間 の 分 散:78700hr2),前
補 給 を1日1回
の急速投与で行 っ
留時
れ わ れ は 完 全 静 脈 栄 養 施 行 下 で ラ ッ トにTE-5を 徐 々 に
日投 与 した もの が 血 漿 に 残 存
投 与 した場 合 には ヨ ウ素 の補 給 効 果(低 下 したT4濃 度 の 上 昇)を 確認 して い る7)。
して い た ため と考 え られ た。 セ ル ロプ ラ ス ミンは肝 臓 にお け る銅 の 貯 蔵 蛋 白で あ る
今 回,必 須 微 量 元 素 源 と してTE-5を
投 与 して い る に
と同 時 に銅 を各 組織 へ輸 送 す るキ ャ リア蛋 白で もあ り,
も かか わ らず,各 元 素 に つ いて 著 明 な補 給 効 果 が 得 られ
血 中 の セ ル ロ プ ラス ミン濃 度 は 体 内 の銅 代 謝 を把 握 す る
な か った 。 この原 因 と して,既 に ヨ ウ素 に つい て 考察 し
指 標 と して広 く用 い られ て い る18)。今 回,微 量 元 素 欠
た よ うに,急 速 投 与 に よ る利 用 能 の低 下 が考 え られ た が,
乏 飼 料飼 育 で セル ロプ ラス ミン濃 度 の低 下 を 認 め た もの
そ の他 の 原 因 と して,各 元素 の必 要 量 が ヒ トよ りも ラ ッ
の,肝 臓 に おけ る銅濃 度 の著 しい 低下 は認 め られ な か っ た 。 この こ とは 蛋 白非 結 合 型(遊 離 型)の 銅 の 割 合 が肝 臓
トの方 で 高 い とい うこ とが考 え られ た 。事 実,ヒ 要 量24)をNRCの
トの必
報 告 した ラ ッ ト必 要 量25)と 比較 す ると,
で 増 加 して い る可 能性 を示 唆 す る もので あ り,銅 代 謝 異
ラ ッ トの方 が数 倍 か ら数 十倍 高 い ことが わ か る。 しか し,
常 と して 知 られ る ウィ ル ソ ン病19)に 似 た 状 態 に な って
今 回の 実 験 系 に おい て,生 体 に取 り込 ま れた 元 素 は 多少
い る と推 測 され た。TE-5は
に かか わ らず実 際 に生 体 で利 用 され て い る こ とを 示 唆す
微量元素欠 乏飼料飼育に よ
る組織 中銅 濃 度 の低 下 には 影 響 を及 ぼ さな か った が,セ
る成 績 が 得 られ,TE-5は
微 量元素の体内含量の低下 だ
ル ロプ ラス ミン濃度 の低 下 を 抑 制 し,肝 臓 に お け る銅 の
けで な く,こ れ に付 随 して悪 化 した 生体 機 能 も是 正 す る
貯 蔵 異常 の発 生 を抑 制 して い る もの と考 え られ た。 また
ことが 明 らか と な った 。
セル ロプ ラ ス ミンは鉄 を2価 か ら3価 に酸 化 し,ト ラ ン
文
ス フ ェ リンに結 合 し易 くす る作 用 を 有 して い る20)。従 っ て,セ
ル ロプ ラ ス ミン の この よ うな成 績 は 鉄 代 謝 異 常
1)
(貧血)の 発生 の抑 制 に も関連 してい るもの と考 え られた 。 組 織 中マ ン ガン濃度 の低 下は 中用量(0.04ml/kg)のTE-5 の 投 与 に よ り抑 制 され たが ピル ビ ン酸 カル ボ キ シ ラー ゼ 活性 は低 下 した ま まであ った 。 ピル ビ ン酸 カル ボキ シラ ー ゼ は マ ン ガ ン含 有 酵 素21)で あ る が,マ
す るた め,活 性 は 低 下 しな い と す る報 告21)も あ り,今 回 の成 績 は 単純 に マ ン ガ ンの 欠 乏 に よ って の み生 じた も の で は な く,マ ンガ ン と他 の 微量 元 素 の 欠 乏 に よ って 生 じた 「元 素 間 の 相 互作 用 」 も一部 考 え られ た 。 しか し,
S. J.,
Wilmore,
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Long-term
parenteral
nutrition
with
development
and positive nitrogen balance,
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ンガ ンが 欠 乏 し
て もマ グネ シ ウム が マ ン ガ ンの代 わ りに 酵 素活 性 を維 持
Dudrick,
献
曲 直 部 壽 夫,岡 朝 倉 書 店,東
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北 川 泰 久,和
田 攻:ノ
コ トキ シ コ ロ ジ ー と 臨 床-,
ン コ ン パ ー ト メ ン ト理 論 を 用
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伊 勢 川 順 一,寺
vertebrate
島 建 樹,佐 鉛,銅,マ
藤
誠:市
販 製 剤 中 の微
ン ガ ン,ヨ
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松 田晃 彦,木 村 美 恵 子,横 井 克 彦,加 畑 寿 明,糸 川
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床 検 査 へ の 統 計 学,朝
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in long-term
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Skin lesions during intravenous
hyperalimentation:
〔703〕
(受 付1991年9月27日
受 理1992年3月23日)
