Cernitin

pollen

extract(CN-009)の

摘 出 膀 胱 平 滑 筋

お よび 生 体 位 膀 胱 内 圧 に 対 す る作 用

小野寺 禎 良，吉 永

雅 一 ，武永

邦 三 ，豊嶋

穆，内山

利満

東邦大学医学部薬理学教室* (1991年1月18日〔 特〕)

要 約:cemitin

pollen

extract(CN-009)は

数 種 の 花 粉 の 抽 出 物 で ， 前 立 腺 肥 大 に よる排 尿 困難 に使 用 さ

れ て い る ． しか し， 排 尿 機 構 に 対 す る 作 用 は ， 未 だ 完 全 に は 解 明 さ れ て い な い ．CN-009の

膀 胱 に及 ぼす

影 響 を ， 摘 出 下 部 尿 路 平 滑 筋 お よ び ラ ッ ト生 体 位 膀 胱 を 用 い ， い くつ か の 薬 物 の 作 用 と 比 較 検 討 し た ． CN-009は

ラ ッ ト， モ ル モ ッ ト， ネ コ の 摘 出 排 尿 筋 を 濃 度 依 存 的 に 収 縮 さ せ た ． ラ ッ トに:お け るCN-009

の 排 尿 筋 収 縮 作 用 はatropineに

よ り抑 制 さ れ た が ，diphenhydramine，phentolamine，indomethacinで

抑 制 さ れ な か っ た ． モ ル モ ッ トの 摘 出 排 尿 筋 に 対 す る 収 縮 作 用 はatropineお り抑 制 さ れ ，cimetidineに

よ り増 強 され た ． 成 熟 ラ ッ ト(11∼23週

内 投 与 で 用 量 依 存 的 に 膀 胱 内 圧 上 昇 を 示 し た ．CN-009に 老 齢 ラ ッ ト(2年 てCN-009の

齢 ，350∼770g)に

膀 胱 内 圧 上 昇 作 用 はatropineに

よ

はCN-009は

よ る 膀 胱 内 圧 上 昇 反 応 は ，ACh反

静脈

応 低 下 を示 す

よ り完 全 に ，phentolamine，guanethidineに

よ り一 部 抑 制 さ

間 経 口 投 与 は 基 礎 膀 胱 内 圧 の 上 昇 傾 向 を 示 し ，serotoninに

る 反 応 が 有 意 に 増 強 さ れ た ． 以 上 の 結 果 はCN-009は 唆 す る ． ま た ，CN-009長

齢 ，200∼350g)で

お い て も 成 熟 ラ ッ トと 同 様 で 差 を 認 め な か っ た ． 成 熟 ラ ッ トに お い

れ た ． ま た ラ ッ トに お け るCN-009の3週 体 ， 動 物 種 に よ っ て はH1受

は

よ びdiphenhydramineに

主 に 副 交 感 神 経M受

よ

容 体 を 介 し，交 感 神 経 α受 容

容 体 を 介 し て 膀 胱 平 滑 筋 を 収 縮 さ せ る こ と に よ り膀 胱 内 圧 を 高 め る こ と を 示 期 投 与 は ， 膀 胱 平 滑 筋 の薬 物 感 受 性 に影 響 を与 え ，膀 胱 平 滑 筋 の 収 縮 力を 高 め

る こ と に よ り ， 排 尿 に 対 し促 進 的 に 作 用 す る こ と を 示 唆 す る ．

今 回 ，著 者 らは摘 出膀 胱 平 滑 筋 お よび 膀 胱 内圧 に 対 す 緒

言

cemitinpollenextract(CN-009)は 抽 出 さ れ た 水 溶 性 成 分T―60と

るCN-009の 数 種 の花粉 よ り

， 脂 溶 性 成 分GBXと

の

混 合 物 で ， 前 立 腺 肥 大 抑 制 作 用D， 抗 炎 症 作 用2》 な ど が

作 用 を ， 自律 神 経 系 を 中 心 と した 薬 物 の 膀

胱 に 対 す る作 用 と比 較 検 討 し，CN-009の

排 尿促進作用

の 作 用機 序 を 検討 した ． さ らにCN-009の

作用の加齢に

よる 差違 も観 察 した ．

報 告 され ，前 立 腺 肥 大 な どに よ る排 尿 困 難 の 改 善 に 使 用 さ れ て い る ． しか し ，CN―009の

実 験 材 料 お よび 実 験 方 法

排尿機構に対す る作用

1． 実 験 動 物

は ，未 だ 十 分 には 解 明 され て い な い． 膀 胱 が 交 感 神 経 お よび 副 交 感 神 経 の 支 配 を 受 け て い る

摘 出 膀 胱 平 滑 筋 に対 す る作 用 の 検 討 に はWistar系

こ と は 古 くか ら 知 ら れ て い る が ， 必 ず し も 自 律 神 経 の 交

性 ラ ッ ト(200∼250g，

感 ， 副 交 感 神 経 二 重 支 配 に よ り調 節 さ れ て い る わ け で は

Hartley系 雄 性 モ ル モ ッ ト(250∼450g，

な い3)． 平 滑 筋 の 収 縮 と 弛 緩 は 神 経 伝 達 物 質 が 重 要 な 役

物 資 材 研 究 所)お

割 を 演 じ て お り ， 交 感 神 経 系 で はnoradrenaline(NA)，

用 いた．

副 交 感 神 経 系 で はacetylcholine(ACh)，

さらにモデ ュ

レ ー タ や オ ー タ コ イ ドと して のATP，histamine(Hist)， prostaglandin(PG)類

， 血 管 作 動 性 小 腸 ポ リペ プ チ ド

(VIP)，substanceP，enkephalinな 考 え られ て い る ．

ども関与 している と

日本 医科 学 動

よび 雌 雄 雑 種 ネ コ(2．5∼3．5kg)を

膀 胱 内 圧 測 定 実 験 に はWistar系 350g，11∼23週

雌 性 ラ ッ ト(200∼

令 ， 日本 医科 学 動 物 資 材 研 究 所)を

京 都 大 田 区 大 森 西5 -21-16

用

い た ．動 物 は1週 間 以 上 予 備 飼 育 後 ， 健 常 な もの を 実 験 に供 した ．老 齢 ラ ッ トは ， 同 ラ ッ トを2年 間 飼 育 し健 常 な動 物(350∼770g)を

使 用 した ．

動 物 は 温 度23±2℃ ，湿 度60±5%，7:00a．m． *〒143東

雌

日本 医 科 学 動 物 資 材 研 究 所)，

∼7:00

p．m．の12時 間 明暗 サ イ クル の環 境 下 で ，固 形 飼 料(ラ

ッ

ト:CE・2，

日 本 ク レ ア;モ

タ ル 酵 母;ネ

ル モ ッ ト:RC-4，

コ:CFE-2，

ナ リエ ン

日本 ク レ ア)， 水 道 水 の 自 由

ACh3×10-4g/m1ま を100%と

た はCN-0093×10―3g/mlの

反応

して表 した ．

摂 取 に て 飼 育 管 理 した ．

2)膀 胱 内 圧

2． 使 用 薬 物

生 体 位 膀 胱 内 圧 の 測 定 方 法 は 豊 嶋 ら4)の 方 法 に 従 っ

cemitinpollenextract(CN・009，Cemilton⑭ 品)，acetylcholinechloride(ACh， 製 薬)，adrenaline(Adr，

，東菱薬 オ ピ ソ ー ト⑬， 第 一

ボ ス ミ ン ⑪，第 一 製 薬)，isopro-

terenolhydrochloride(IPr，

プ ロ タ ノ ー ルL注

学)，serotonincreatininesu廷ate(5-HT，

⑧， 日 研 化 和 光 純 薬)，

histaminedihydrochloride(Hist，

和 光 純 薬)，prosta―

glandinF2．(PGF加

，プ ロ タ モ ジ ン⑪， 東 菱 薬 品)，atro-

pinesulphate(Atr，

東 京 化 成)，phentolaminemesylate

た ． ラ ッ トをurethane(500mg/kg， び α一chloralose(80mg/kg，

和 光 純 薬)お

東 京 化 成)腹

よ

腔 内投与 に

よ り麻 酔 し，背位 に固 定 した ．気 管 切 開 後 ，気 管 カ ニ ュ ー レに よ り気 道 を確 保 し， 総 頚 動 脈 よ りカ ニ ュ ー レを 挿 入 し圧 トラ ン ン ス デ ュー サ ー(MPU-0．5，

日本 光 電)を

介 して血 圧 を測 定 した ． さ らに 外 尿 道 口 よ り膀 胱 内 に ポ リエ チ レ ン製 カ ニ 。 一 レ(外 径1㎜

， ヒ ビキNo．3)

を挿 入 して結 紮 した ， 一 度 膀 胱 内 の尿 を 抜 き， 膀 胱 を 空

(レ ギ チ ー ン ⑪， 武 田 薬 品)，hexamethoniumbromide

に した の ち 一 定 量 の 生 食 を 注 入 し，圧 トラ ン ス デ ュ ー

(C6，

サ ー(LPU-0．1，

メ トプ ロ ミ ン⑬， 山 ノ 内 製 薬)，propranololhydro-

chloride(イ

ま ず ，膀 胱 内圧 の安 定 後 ， 基 礎 膀 胱 内圧 を 測 定 した ． 膀

ン デ ラ ル ⑭ ， 住 友 製 薬)，guanethidine

suhlate(Sigma)，cimetidine(タ

ガ メ ッ ト⑬，SKF藤

日本 光 電)を 用 い膀 胱 内 圧 を 測 定 した ．

沢)，

tetrodotoxin(TTX，Sigma)，indomethacin(Sigma)

胱 内 容量 は尿 管 を結 紮 してい ない た め ， 尿 生 成 に 従 い ， 時 間 と と もに膀 胱 内容 量 が 増 加 す る可 能 性 が 考 え られ る の で ，実 験 中 に適 時(15∼30分

を用 い た ． 摘 出 排 尿 筋 に 対 す る 作 用 で は ，CN-009以

外 の薬物は

蒸 留 水 に 溶 解 し て ，CN-009は10%HCO・60(日

光 ケ ミ

に 一 度)膀 胱 内 の 生 食 を

注意 深 く抜 き， 内 容量 を 確 認 調 整 し， 一 定 の 膀 胱 内 容 量 で 実験 を試 み た ．膀 胱 内圧 の変 化 は薬 物 を 静 脈 内 投 与 し

カ ル ズ)水 溶 液 に 溶 解 して 用 い た ．対 照 と し て ，CN-009以

た あ との膀 胱 内圧 の最 大 値 ま たは 最 小 値 と投 与 前 基 礎 膀

外 に 対 し て は 蒸 留 水 を ，CN-009に

胱 内 圧 との差 を測 定 し， 解 析 した ．一 過 性 の 内 圧 上 昇 に

60水

対 し て は10%HCO―

引 き続 く内圧 低下 が観 察 され た場 合 には ， 内 圧 上 昇 の 値

溶液を用いた．

一 回 急 速 静 注 に よ る 膀 胱 内 圧 に 対 す る 作 用 で は ，CN009お 食)溶

よ びPGF2、

は10%HCO-60含

液 に 溶 解 し ，indomethacinは

の み を採 用 し，結 果 の解 析 に用 い た ．薬 物 の 投 与 容 量 は

有 生 理 食 塩 液(生

原 則 と して0．1ml/kgと

無水 エ タノールに

グ ラ フ上 に 同時 に記 録 し， 結 果 は 総 て 水 銀 圧(mmHg)

溶 解 し た も の を 使 用 直 前 に 生 食 で 懸 濁 して 用 い た ． そ の 他 の 薬 物 は 総 て 生 食 を 溶 媒 と した ．CN-009の3週 続 投 与 は ，CN-009を1%HCO・60水

間連

溶 液 に 懸 濁 し用 い

で表 した ．血 圧 に つ い て は ラ ヅ トの実 験 条 件 の指 標 と し て 用 い ， 作用 薬 とそ の拮 抗 薬 の有 効 性 の指 標 と した が ， 詳 細 に は 検討 せ ず ，結 果 に は示 さ なか った ．

た ． 対 照 動 物 に は そ れ ぞ れ の 溶 媒 を 対 照 と して 用 い た ．

3)ラ

3． 実 験 方 法

ラ ヅ トのCN・009長

1)摘

出排 尿 筋

を 摘 出 し ， 浦 川 と 中 川3)の

方 法 に 準 じ て 縦 約15mm，

排 尿 筋 条 片 を 作 成 し た ． ラ ッ トも 同様 に

膀 胱 を 摘 出 し た の ち ， 三 角 部 以 下 を 除 去 した 縦 走 筋 方 向 に 縦 約15mm，

横 約3mmの

pentobarbita1(ネ

条 片 を 作 成 した ． ネ コは

に 従 い189mg/kg/day，1260mg/㎏/dayを 間 連 日1日1回

用 い ，2週

経 口投 与 した ．

4)実 験結 果 の統 計 的 処 理 実 験 結 果 の 検 定 は 原 則 と してStudentの'検 定を， 一 部 対 応 の あ る'検 定 も用 い ，P