〔634〕
反 復 昼 夜 逆 転 が 脂 質 代 謝 に及 ぼす影 響 (脳卒中易発性高血圧自然発症 ラットを用いて) 小
川
福
島
博,西
川
友
世,
一,笹
川
祐
成
晋
近畿大学医学部衛生学教室
Effects of Repeated Phase Shifts in Light-Dark in Stroke-Prone
Spontaneously
Hiroshi Shinichi
Ogawa,
Hypertensive
Tomoyo
Fukushima
Cycles on Lipid Metabolism
and
Rats (SHRSP)
Nishikawa,
Sukenari
Sasagawa
Department of Hygiene, Kinki University School of Medicine, Osaka
In the present paper,
we employed
the stroke-prone
model and the Kyo: Wistar
rat (WKY) as a control,
cycles on lipid metabolism.
First,
In both
strains,
the
activities
we investigated
of
lipoprotein
spontaneously
hypertensive
rat (SHRSP) as an animal
and studied on the effect of repeated phase shifts in light-dark diurnal
lipase
(LPL)
rhythms and
of the lipid metabolism
hepatic
microsomal
in SHRSP and WKY.
cholesterol
in the dark period were significantly higher than those in the light period. In addition, apoA-IV level in the dark period was also higher than that in the light period.
7α-hydroxylase
in SHRSP,
the serum
Next, we repeated the phase shifts in light-dark cycles twice a week with elongation of the light period for 4 weeks. LPL activity in the light period increased in response to the repeated phase shifts in both strains. This might be a defensive
reaction
to maintain
homeostasis
in the lipid metabolism
in addition
to energy production.
Moreover, we performed repeated phase shifts in rats fed a high-fat and high-cholesterol diet containing 0.1% propylthiouracil to elucidate the effect on the development of hypercholesterolemia. The repeated phase shifts increased the levels of atherogenic the effect was more marked in SHRSP.
lipoproteins and the atherogenic index (apoB/apoA-I). In particular, This deleterious effect could be due to the overproduction of very low
density
in the
lipoprotein
(VLDLI,β-VLDL)
Key words:
liver.
Stroke-prone spontaneously hypertensive rats (SHRSP), Diurnal rhythm, Phase shift in light-dark cycle, Lipid metabolism, Hypercholesterolemia 脳卒 中易 発 性 高血 圧 自然 発症 ラ ッ ト(SHRSP),日 高 コ レス テ ロー ル血 症
内 変 動,昼 夜 逆 転,脂 質 代 謝,
また,医 師,看 護 婦 をは じめ とす る病 院 勤務 者,夜 警,
緒 我 々 は 日中 活 動,夜
言
た 約24時 間 の 概 日 リ ズ ム(circadian 常 性(homeostasis)を の 発 展,技
タ クシ ー運 転 手 等昼 夜 逆 転 生活 を余 儀 な く され る人達 も
間 休 息 と い う明 暗 サ イ ク ル に 従 っ rhythm)に
従 って恒
際 化 等 に 伴 っ て,昼
この よ うな 強制 昼 夜 逆 転 あ る いは 反 復昼 夜 逆 転 は,生
済
体 に と って 都 合 が 良 いは ず が な く,抵 抗期 で あ れ ば それ
夜 の リズ
に対 して 防 衛反 応 が働 くと考 え られ る。 しか し,疲 弊 期
保 ち 生 活 して い る 。 し か し,経
術 の 高 度 化,国
多 い。
ム を 喪 失 す る機 会 が 多 くな って き て い る の が 現 状 で あ る 。
を過 ぎ る と,や がて 成 人 病 を 中心 とす る各 種 の 疾 病 を発
小 川 ・西 川 ・福 島 ・笹 川:反 復 昼 夜 逆 転 が脂 質 代 謝 に及 ぼ す 影 響 (脳卒 中易 発 性 高血 圧 自然 発症 ラ ッ トを用 い て)
〔635〕
症 す る こ とに な る と考 え られ る。 そ こで,我 々の 研 究室
Immunoprecipitation法5)と,Schotzら6)の
で は脂 質 代 謝 の研 究 を 進 め て い る点 か ら,本 研 究 で は,
し たtri-[1-14C]oleateを
反 復 昼 夜 逆 転 が,ア テ ロー ム性 動 脈 硬化 性 疾 患 発 症 と脂
法 の 組 合 せ に よ っ て 測 定 し た 。 ま たplasma中
質 代 謝 に 及 ぼす 影 響 を 検討 す る こ とを 目的 と した 。
白類(apoA-I,A-IV,B,E)の
この よ うな研 究 を ヒ トで行 うには,種 々の 社 会 条 件, 環 境 条 件 等 多 くの 複 雑 な条 件 が加 わ って くる こ とは 明 ら
方 法 に 準拠
基 質 と した リパ ー ゼ 活 性 測 定 の ア ポ蛋
定 量 はLaurell法7)に
準拠
し た ロ ケ ッ ト免 疫 電 気 泳 動 法 に て 行 っ た8)。 肝 臓 は,生
食 に て 充 分 灌 流 後 摘 出 し,Folch法9)に
て
か であ る。従 って まず 妥 当 な モ デル 動物 の選 択 が 急務 で
脂 質 を 抽 出 した 。 更 に 常 法 に て 肝 臓 ミ ク ロ ゾ ー ム 分 画 を
あ る が,我
々 は,脳 卒 中 易 発 性 高 血 圧 自然 発 症 ラ ッ ト
得,ミ
(SHRSP)が
良 きモ デ ル 動 物 と な り う る と考 え た 。 ラ ッ
(7α-hydroxylase)活
トは ヒ トと逆 に夜 行 性 動物 で あ るが,昼 間休 息,夜 間活
ク ロ ゾ ー ム 分 画 中 のcholesterol-7α-hydroxylase 性 を 荻 島 ら10)の 方 法 に 準 拠 したHPLC
法 に て 測 定 した 。Plasma中
動 とい う24時 間 の 概 日 リズ ム を 有 して い る1)。 更 に,
ン脂 質(PL),ト
SHRSPは,こ
レ ス テ ロ ー ル(肝 臓TC),リ
Kyoto
れ ま で に,対 照 とす る正 常 血圧 のWistar
rat (WKY)に
比 較 し,交 感 神 経 系 の亢 進2),自
発 運 動 量 の亢 進3)が 知 られ て お り,外 的 負 荷(刺 激)に 対 しよ り過敏 に反 応す る ことを示 唆 してい る。加 えて,我 々 はSHRSPの
加齢 に伴 う行 動 変 化 を 明 らか に す る 目的 で,
自発 運 動 量 及 び 情 動 反 応 性 の 変 化 をWKYと SHRSPは,若 Am
比 較 し,
齢 期 か らす で に 自 発 運 動 量(Rearing,
bulation)が 多 く,ま た 情 動 反 応 性[特 に驚 愕 反 応
(Startle response)]が
高 く,こ の 亢 進 状 態 は9ヵ 月 齢
の コ レ ス テ ロ ー ル(TC),リ
リ グ リ セ ラ イ ド(TG)含
リ ン脂 質B-テ ワ コ ー,い
ス ト ワ コ ー,ト
次 に,強
制 反 復 昼 夜 逆 転 を 行 っ た 場 合,脂
SHRSPとWKYを
と水 道 水 は 自 由 摂 取 さ せ た 。L期 8時30分,そ
次 に,強 制 反 復 昼 夜 逆 転 を与 え た場 合,1)通
常食摂取
では 脂 質 代謝 に どの よ うな影 響 を 与 え る のか,ま た,2) 高脂 肪 ・高 コ レス テ ロー ル食(HFC食)を
負 荷 し,高 コ
レス テ ロー ル血 症 を 誘 導 した場 合 と併 行 して 行 う とい か な る影 響 が現 わ れ るか,を 検 討 した 。
し て,D期
はPM8時30分
間 後,L期
り ヘ パ リ ン 静 注3分 Post-heparin
に,エ 後,同
plasmaを
て は,高
血 圧 が 確 立 した18週
使 用 し た 。 そ して,昼 夜 間(Dark
time,
飼 料(CE-2,日 Post-heparin
齢 の 雄 性SHRSPとWKYを
間(Light
time,
た よ う に,plasma中 て 定 量 し,脂
D期)はPM10時
に 実 験 を 開 始 した 。
本 ク レ ア)と 水 道 水 は 自 由 摂 取 さ せ た 。 plasmaは,絶
食 せ ず に,エ
ー テ ル軽 麻 酔
下 右 頸 静 脈 よ り ヘ パ リ ン(300units/kgB.W.)静 後,腹 15分)し
部 大 動 脈 よ り全 血 採 血 し,遠 て 得 た 。Plasma中
(Post-heparin
plasma
ポ 蛋 白 リパ ー ゼ(LPL)そ パ ー ゼ(h-TGL)活
注3分
心(3,000rpm,4℃,
の 総 リポ蛋 白分 解 活 性
lipolytic して,肝
性 は,抗
activity;
PH: LA),リ
性 ト リ グ リセ ラ イ ド リ
ラ ッ トh-TGL血
清を用いた
延
ーテ ル麻 酔 下 右 頸 静脈 よ じ 右 頸 静 脈 よ り 採 血 し, してh-TGL でに述べ
の ア ポ蛋 白類 は免 疫 電 気 泳 動 法 に
質 含 量 は 市 販 の 酵 素 法 に よ る キ ッ トに て 測
定 した。 月 齢 の 雄 性SHRSPとWKYを
%プ
使 用 し,上 間 に2回L期
間 継 続 す る と と もに,同
記
延長 時 に0.1
ロ ピ ル チ オ ウ ラ シ ル 含 有 高 脂 肪 ・高 コ レ ス テ ロ ー ル
食(HFC-PTU食)と
L期)はAM10時,
か らAM8時30 間 に2回L期
得 た 。PHLA,LPL,そ
に よ る反 復 昼 夜 逆 転 を5週 検 動物 と し
か らPM
活 性 は 先 に 述 べ た 方 法 に て 測 定 した 。 ま た,す
更 に,6ヵ
脂 質 代 謝 の 日内 変 動 を 調 べ る に あ た り,被
本 ク レ ア)
間 継 続 し て 行 っ た 。 そ して
と 同 様 に タ イ マ ー 切 り換 え に よ り1週
実験方法
月 齢 の雄 性
はAM8時30分
イ マ ー 切 り換 え に よ り,1週
正 常 復 帰1週
脂 質 代 謝 の 日内 変 動 を検 討 した 。
ス ト
質 代謝 に及
使 用 し た 。 飼 料(CE-2,日
長 に よ る 反 復 昼 夜 逆 転 を4週
そ して,ま ず 昼 夜 逆 転実 験 開 始 に あ た り基 礎 的 デ ー タ
リ グ リ セ ラ イ ドE-テ
ぼ す 影 響 を 検 討 し た 。 被 検 動 物 と して,6カ
SHRSPは
を得 るた め,SHRSPの
量 は市 販
ず れ も 和 光 純 薬)に て 測 定 し た 。
分 と し,タ
ことが 考 え られ る。
臓 中の コ
の 酵 素 法 に よ る キ ッ ト(コ レ ス テ ロ ー ルCII-テ ス トワ コ ー,
ま で維 持 さ れ る こ と を 明 ら か に した4)。 この よ うに, よ り過 敏 で あ り,よ り明 白 に反 応 を 発 現 す る
量,肝
ン脂 質(肝 臓PL)含
水 道 水 を 自 由 摂 取 させ た 。 な お,HFC
食 の 組 成 は こ れ ま で と 同 様 の 組 成 を 用 い た11)。 そ して, 上 記 と 同 様L期 Post-heparin
に,右
plasmaを
頸 静 脈 よ り 採 血(1ml)し 得,PHLA,LPL,そ
活 性 を 測 定 し た 。 更 に,4日
後 に,1晩
エ ー テ ル 麻 酔 下 腹 部 大 動 脈 よ り得,血 清 は,こ
れ ま で と 同 様,段
1.020-1.063),高
絶 食 後 の 全血 を 清 を分 離 した 。血
階 的 密 度 勾 配 超 遠 心 法 に て,
超 低 比 重 リ ポ 蛋 白(VLDL:d1.210),に
分 画 した11)。
〔636〕 そ して,血
日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻
第2号1992年6月
清 な らび に各 リポ蛋 白分 画 中の アポ蛋 白含 量
は ロ ケ ッ ト免 疫 電 気 泳 動 法 に て,各
脂 質 含 量 は,市
販の
キ ッ トに て 測 定 した 。 又,肝
臓 は,生
質 をFolch法
脂 質 含 量 は市 販 の キ ッ トに
に て 抽 出 し,各
て 測 定 し た 。 更 に,肝 7α-hydroxylase活 な お,有
計解 析プ ログラム
使 用 したStudentのt-検
定 に よ り行 っ
た。
A.SHRSP脂 1.血
体 重,血
にPLとapo
A-IV含
も に,D期
量 な らび に ア ポ 蛋 白含 場 合,D期
量 の 有 意 な 上 昇 が 観 察 さ れ た 。WKY
性 の 有 意 な上 昇 が認 め られ
は,D期
に お け るh-TGL活
as means ± SE (N=6
性 をTable
に7α-hydroxylase活
B.反
復 昼 夜 逆 転 がSHRSPの
1.血
清脂 質 の 動 態
体 重,血
臓TCな
ら び にPL含
性 が 有 意 に上 昇 した。
脂 質 代 謝 に 及 ぼ す影 響
清 中 のTC,PL,TG含
量 の 動 態 に つ い て は,SHRSP,WKYい
量 な らび に ア ポ蛋 白含 ず れ も実 験 群 と
in each group).
(N=6 in each group).
量,
3に 示 し た 。SHRSP,WKY
Table 2 Diurnal variations of post-heparin plasma lipolytic activity (PHLA), lipoprotein lipase (LPL) activity and hepatic triglyceride lipase (h-TGL) activity in WKY and SHRSP
Values are expressed as means+SE
性比の
性 比 の有 意 な 上 昇 が観 察 され た。
Table 1 Diurnal variations of plasma lipids, apolipoproteins A-I, A-IV, B and E (apoA-I, A-IV, B, E) and apoB/apoA- I ratio in WKY and SHRSP
Values are expressed
ら び にLPL
2に 示 し た 。SHRSP,
臓脂 質代 謝 の 日内 変動
と も に,D期
1に 示 し た 。SHRSPの
にLPL活
た 。 ま た,SHRSPで
7α-hydroxylase活
質代 謝 の 日内変 動
清 中 のTC,PL,TG含
し てh-TGLな
単 位 体 重 当 りの 肝 臓 重 量,肝
果
清脂 質 の 日内変 動
量 の 日 内 変 動 をTable
性,そ 対 す る 比 をTable
有 意 な 減 少 とLPL活 3.肝
結
清 脂 質代 謝 律 速 酵素 活 性 の 日内変 動
PHLA,h-TGL,LPL活
WKYと
だD期
量 の上 昇 傾 向 が観 察 され た 。
活 性 のPHLAに
で 測 定 した。
意 差 検 定 は,MUSCOT統
ず れ も 有 意 な 変 動 は 認 め られ ず,た
にPLとapoE含 2.血
臓 ミ ク ロ ゾ ー ム 分 画 を 得,
性 をHPLC法
(YUKMS,Corp.)を
食 に て 灌 流 後,脂
の 場 合 は,い
小 川 ・西 川 ・福 島 ・笹 川:反 復 昼 夜 逆転 が脂 質 代 謝 に及 ぼ す 影響 (脳卒 中 易 発 性 高血 圧 自然 発症 ラ ッ トを用 い て) Table
3 P.
Diurnal L.),
liver
Values
are
and
variations the
of WKY
and
expressed
in contents
activity
of cholesterol
of microsomal
as
means±SE
(N=6
in each
そ して,h-TGL両 れ ぞ れ のPHLAに 場 合 は,LPL活
2.血
場合,反 復 昼夜 逆転 に よ りLPL
活 性 が有 意 に 上 昇 す る。 しか し,そ 対 す る活 性 比 は変 化 しな い 。WKYの
1.血
Table
(Liver in the
清 脂 質代 謝 律 速 酵素 活 性 の 動 態
6に 示 し た 。HFC-PTU食
と もLPL活
3.肝
性 の 大 き な 上 昇 が お こ る が,実
性 をTable
臓TCな
ら び にPL含
性の有意な上昇が観
場 合 の み,実
験 群 の 肝 臓PL含
量 が 有 意 に 上 昇 した 。
体 重,血 圧,血 清 中 のTC,PL,TG含
量 な らび に ア ポ
蛋 白含 量 の 動態 をTable 5に 示 した 。SHRSP,WKYと に,実 験 群 に てHFC-PTU食
昇 傾 向 が 観 察 され た 。ApoEは,両
4.血
も
摂 取 に よ る高 コ レス テ ロ ー
ル 血 症 が よ り促 進 され,更 に,SHRSPで
はPL含 量 の 上
ス トレイ ン と も実 験
清 各 リ ポ 蛋 白 分 画 に お け る コ レ ス テ ロ ー ル,ア
コ レス テ ロール 含 量 の動 態 血 清 各 リポ 蛋 白 分 画 に お け る コ レ ス テ ロ ー ル 含 量 の 動
態 度 をFig.1に
示 した 。 両 ス ト レイ ン と も に,VLDL,IDL,
群 に有意 な増 加が観 察 され た。 また,apoA-IVは,SHRSP の場 合有意 に減 少 した。加 えて,apoBそ
い の が わ か る 。 特 に,SHRSPの
してapoB/apoA-I
は 両 ス トレイ ン と も上 昇 傾 向 が観 察 され た 。
画 に お い て 実 験 群 の コ レス テ ロ ー ル 含 量 が 大 き 場 合,IDL,LDL分
お け る 有 意 な 増 加 が 観 察 さ れ た 。HDL分
expressed
as means±SE
(N=7
in each
hroup).
画 に
画は両ス トレ
Table 4 Effects of repeated reversion of light-dark cycles on post-heparin plasma lipolytic activity (PHLA), lipoprotein lipase (LPL) activity, hepatic triglyceride lipase (h-TGL) activity, and the ratios of h-TGL/PHLA and LPL/PHLA in WKY and SHRSP
are
ポ
蛋 白含 量 の動 態 a)
LDL分
Values
量,
7に 示 した 。SHRSP,WKY
と も に 実 験 群 に7α-hydroxylase活 察 さ れ た 。 ま た,WKYの
清脂 質 の 動 態
験 群 との間 に
臓 脂 質 の動 態
単 位 体 重 当 りの 肝 臓 重 量,肝 7α-hydroxylase活
脂 質 代 謝 に 及 ぼ す影 響
対 す る活 性 比 を
負 荷 に よ り両 ス ト レ イ ン
有 意 な 差違 は認 め られ な か った 。
性 上昇 の傾 向が認 め られ るが 有 意 な差 違
復 昼 夜 逆 転 が 高 脂 肪 ・高 コ レス テ ロー ル 食 摂 取
SHRSPの
phospholipid (7α-hydroxylase)
血 清 脂 質 代 謝 律 速 酵 素 活 性 とPHLAに
対 す る活 性 比 を
は 出 現 しな か った 。 C.反
and
group).
清脂 質 代 謝 律速 酵 素 活 性 の 動態
血 清 脂 質代 謝 律 速 酵 素 活 性 とPHLAに Table 4に示 した。SHRSPの
T. C.)
7α-hydroxylase
SHRSP
の間 に 有 意 な差 違 は認 め られ な か った。 2.血
(Liver
cholesterol
〔637〕
日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻
〔638〕
第2号1992年6月
Table 5 Effects of repeated reversion of light-dark cycles on pressure (B. P.), serum concentrations of total cholesterol triglyceride (T. G.) and apolipoproteins (apoA-I, A-IV, I ratio in hypercholesterolemic WKY and SHRSP fed the
Values
are
expressed
as
means±SE
(N=7
in each
body weight (B. W.), blood (T. C.), phospholipid (P. L.), Band E), and the apoB/apoAHFC-PTU diet
group).
Table 6 Effects of repeated reversion of light-dark cycles on post-heparin lipolytic activity (PHLA), hepatic triglyceride lipase (h-TGL) activity, lipoprotein lipase (LPL) activity, and the ratios of h-TGL/PHLA and LPL/PHLA in hypercholesterolemic WKY and SHRSP fed the HFC-PTU diet
Values
are
expressed
as means
± SE
(N=7
in each
group).
Table 7 Effects of repeated reversion of light-dark cycles on liver weight (liver W.), contents of cholesterol (liver T. C.) and phospholipid (liver P. L.) in the liver, and activity of hepatic microsomal SHRSP
Values
are
cholesterol fed
the
expressed
7α-hydroxylase
HFC-PTU
as means
(7α-hydroxylase)
diet
± SE
(N=7
in each
group).
in hypercholesterolemic
WKY
and
小 川 ・西 川 ・福 島 ・笹 川:反 復 昼 夜 逆転 が脂 質 代 謝 に及 ぼ す 影 響 (脳卒 中 易 発 性 高血 圧 自然 発症 ラ ッ トを用 い て)
〔639〕
イ ンと も差 違 は認 め られ な か った。 b)
ApoA-I,A-IV含
量 の 動態
血 清 各 リ ポ 蛋 白 分 画 に お け るapoA-I,A-IV含 態 をFig.2に
示 し た 。ApoA-Iは,両
量 の動
ス ト レイ ン と も実
験 群 と の 間 に 差 違 は 認 め ら れ な か っ た 。ApoA-IVは,HDL 分 画 に てWKYの
場 合 有 意 な 上 昇,SHRSPの
場合有意な
減 少 と逆 の 結 果 が観 察 され た 。 c)
ApoE含
量 の 動態
血 清 各 リ ポ 蛋 白分 画 に お け るapoE含
量 の 動 態 をFig.3
に 示 し た 。 両 ス ト レ イ ン と も 実 験 群 のVLDL,IDL分 で 増 加 を 示 して い る 。 特 にSHRSPの い てVLDL,IDL両
場 合,実
画
験群 にお
分 画 に お け る 有 意 な 増 加,WKYの
合VLDL,Lipo-free分
場
画 に お け る有 意 な 増 加 が 観 察 さ
れ た。
考
察
我 々 の 日常 生活 の恒 常 性 は,明 暗 サ イ クル に従 った約 24時 間 の概 日 リズ ム に よ り維持 され て い る。 しか し,高 度成 長,国 際 化 等 に よ りこの概 日 リズ ムを喪 失 す る機会 が 多 くな って きて い るの が 現状 で あ る。概 日 リズ ムの乱 Fig.
1
Distribution
various Vertical
of serum
total
lipoprotein fractions bars indicate the standard
cholesterol
among
れ は や がて 現 代社 会 に おけ る各種 の 疾 病 を生 ず る こ とに な りか ね ない 。 しか し,こ の種 の 研究 は 種 々の 社会 条 件,
error
of the mean.
環境 条 件等 が加 わ り非常 に複雑 多 岐化 して くる。従 って, 実験 条 件 の 単 一化 な ど,研 究 の簡 易 化 が 重 要 と な って く る。 この よ うな 点 を考 慮 し,我 々 は モ デル 動物 と して
Fig. 2 Distribution of serum immunoassayable apoA-I and apoA-IV among various lipoprotein fractions The meanings of marks and bars are described in the legend of Fig. 1.
日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻
〔640〕
Fig.
SHRSPを
第2号1992年6月
3 Distribution of serum immunoassayable lipoprotein fractions The meanings of marks and bars are described
選 択 した 。
ラ ッ トは ヒ トと 逆 で は あ る が,昼
動 パ タ ー ン に は,A型
間 休 息,夜
行 動 パ タ ー ン(Type
B)が
の 行 動 研 究 か ら,敢
間活 動 と
in the legend of Fig. 1.
あ げ ら れ る が,こ
とを 考 慮
行
す る と,D期
に お け る 摂 餌 量 の 増 加 に よ り,外
因 性脂 質
れ ま で のSHRSP
に 比 べ 虚 血 性 心 疾 患 の 発 症 率 が 約2倍
取 り込 み が 上 昇 し,血
質 代 謝,特
清apoA-IVの
考 え られ る 。 更 に,SHRSPの
AはType
B
と も言 わ れ る。 虚
わ ゆ るア テ ロ ーム 性動 脈 硬 化 性疾 患 の
代 表 疾 患 で も あ り,脂
在 の と ころ 脂質 の消 化 吸収 の際
成 が 増 加 す る と さ れ て い る13)こ
A)とB型
る と い う こ と が で き る 。 ヒ トの 場 合,Type
確 に な っ て い な い が,現
生理 作 用 は い ま だ 明
にapoA-IV合
Bに 比 較 的 類 似 した 行 動 パ タ ー ン を と
血 性 心 疾 患 は,い
various
トの 行
え て 当 て は め て み る と,SHRSPはType
A,WKYはType
among
唆 す る 。 そ し て 後 者 は,apoA-IVの
い う24時 間 の 概 日 リズ ム を 有 して い る 。 ま た,ヒ
動 パ タ ー ン(Type
apoE
に近 年 注 目され て い る
す る が(Table
1),こ
上昇 が お こ る もの と
場 合,血
の 血 清PL含
清PL含
の と こ ろ不 明 で あ る。 逆 に,両
ス ト レ イ ン と も,h-TGL活
傾 向 を 示 し た(Table 素 の1つ
性 はD期
2)。h-TGLも
で あ る が,現
在 の と こ ろ,そ
の 生 理 作 用 と して,
LPL作
う な 観 点 か ら もSHRSPとWKYを
ン トの 肝 臓 へ の 取 り込 み14)や,HDLのTG,PLを
ポ蛋 白代 謝
用 に よ り生 成 し たCMレ
に減少
血清脂質代謝律速酵
リ ポ ・ア ポ 蛋 白 代 謝 と 密 接 な 関 連 を 有 して い る 。 こ の よ 使 用 し,リ
量 が増 加
量 増 加 に つ いて は 現 在
ム ナ ソ ト,VLDLレ
ムナ 水解 し
を 中 心 と した 脂 質 代 謝 と反 復 昼 夜 逆 転 と の 関 連 研 究 は 非
肝 臓 へ の 取 り 込 み を 行 う14,15)等 の 作 用 が 示 唆 さ れ て い
常 に 興 味 深 い もの と 考 え る こ と が で き る 。
る 。 従 っ て,D期
そ こ で,ま
ず 脂 質 代 謝 の 日 内 変 動 を 調 べ た と こ ろ,両
ス ト レ イ ン と もD期 た(Table TGに
2)。LPLは
にLPL活
富 む リ ポ 蛋 白 類,す
ロ ン(CM)や
性 が 上 昇す る こ とが わ か っ
血 清 脂 質 代 謝 の 律 速 酵 素 の1つ な わ ち,外
内 因 性 のVLDLを
で,
因性の カイロ ミク
末梢 血 管 床 にて 水 解 す る
生 理 作 用 を 有 す る12)。 こ の 活 性 がD期 トは 夜 行 性 動 物 で あ る こ と か ら,D期
に 高 い の は,ラ にTGに
に お け るh-TGL活
ッ
富 む リポ
ま た,肝
臓 脂 質 含 量 に は ほ と ん ど 日内 変 動 が み ら れ ず,
恒 常 性 が 保 た れ て い る 。 し か し,肝
るD期
に 有 意 に 上 昇 し て お り(Table
作 用 に よ り産 生 さ れ た 遊 離 脂 肪 酸 を 活 動 エ ネ ル ギ ー 源 と
血 清apoA-IVが よ るTGに
上 昇 す る(Table
対 す るLPLの 1,2)。
前 者 は,LPI.に
富 む リポ 蛋 白 の 分 解 が よ り促 進 さ れ る こ と を 示
活動 期 で あ
3),肝
臓 コ レス テ
臓 に お け る コ レス テ ロ ール 生 合成 の 律 速酵 素
(HMG-CoA) 活 性 比,
性16)は
ロー ルの 胆 汁酸 へ の異 化 の 亢進 が考 え られ る。 これ に対
で あ る3-Hydroxy-3-methyl
して利 用 す る必要 性 が あ るた めか も しれ な い。
臓 コ レス テ ロー ル異
化 律 速 酵 素 で あ る7α-hydroxylase活
応 し て,肝
場 合,PHLAに
ム
え られ る 。
蛋 白 代 謝 の 亢 進 が お こ る こ と が 示 唆 され る と と も に,LPL
特 に,SHRSPの
性 の 減 少 は,レ
ナ ン ト リ ポ 蛋 白 の 肝 臓 へ の 取 り込 み 減 少 を 示 唆 す る と 考
reductase活
glutaryl 性17)が
coenzyme
上 昇 し,最
A
終 的 に肝
臓 コ レス テ ロー ル の恒 常 性 が保 たれ て い る と考 え られ る が,reductase活 在HPLCを
性 に つ い て は 今 回測 定 して い な い。 現
使 用 した 簡 便 な 測 定 方 法 を も 含 め て 検 討 を 進
小 川 ・西 川 ・福 島 ・笹 川:反 復 昼 夜 逆 転 が脂 質 代 謝 に及 ぼ す 影 響 (脳卒 中易 発 性 高血 圧 自然 発症 ラ ッ トを 用 い て)
〔641〕
め て い る。 ヒ トの場 合 は,脂 質 代 謝 の 日内変 動 に つ い て
向 に作 用 す る もので あ り,防 御 的 反 応 が維 持 され て い る
の報 告 は 少 な く,推 測 の域 を 出 ない が,恐
こ とが示 唆 され る が,明 確 な ことは わ か って いな い 。
ら くラ ッ トと
逆 の脂 質 代謝 リズ ムの 存在 が考 え られ る。
結
この よ うな 日内変 動 が存 在 す る時,昼 夜 逆 転 を 行 うと 次第 に新 た な時 制 に同 調 す る よ うに な る。 しか し,強 制
SHRSPを
語
モ デル 動 物 と しWKYを
対 照 と して,強 制 反
昼 夜 逆 転 を 反復 して 行 う と,同 調 が で きな くな る と考 え
復昼 夜 逆 転 が脂 質 代 謝 に及 ぼす 影 響 を 検討 した 。
られ る。 この よ うな 場 合,脂 質 代 謝 に ど の よ うな 影響 が
1.ま
ず 最 初,基 礎 的 デ ー タを得 るた め脂 質 代 謝 の 日内
あ らわ れ るか,を 続 け て検 討 して み た 。す る と,通 常D
変 動 を検 討 した 。 す る と,1)両
期 に活 性 が 高 いLPLが,L期
清 脂 質 代 謝律 速 酵 素 の 一 つで あ るLPL活 性 が 夜 間 に高
に も高活 性 の ま ま維持 され
る こと が 明 らか に な った 。 これ は特 にSHRSPに 観 察 さ れ る 。 他 方h-TGL活
性 は,SHRSPの
大きく
場合のみ活
ス トレイ ン と も に血
値 を示 した 。 ラ ッ トは夜 行 性 の 動物 で あ る こ とか ら, 夜 間 に お け るTGに 富 む リポ 蛋 白の 異 化 亢 進 が 示 唆 さ
性 上 昇 が観 察 され た が 大 きな変 動 は み られ な い 。又,血
れ る。2)SHRSPの
清 脂質,ア ポ蛋 白類 含量 へ の影響 は ほ とん どみ られな か っ
吸 収 に 関 与 す る と され るapoA-IVも
た。
臓 で は,7α-hydroxylase活
しか し,こ
の 反 復 昼 夜 逆 転 が 高 脂 肪 ・高 コ レ ス テ ロ ー
ル 食(HFC-PTU食)摂
取 時 に 併 行 し て お こ っ た 場 合 は,
指 数 の1つ
清apoEが
上 昇 し,apoBそ
と さ れ るapoB/apoA-Iが
更 にSHRSPの
して動 脈 硬 化
有 意 に減 少 した 。 この
の 様 な脂 質 代 謝 の 日内変 動 が存 在 す る時 に,一 週
間 に二 回昼 間 延 長 に よる強 制 反 復昼 夜 逆 転 を 行 うと, 両 ス トレイ ンと もにLPLの 活 性 高値 が昼 夜 維持 され た。 これ は,エ ネ ル ギー 産生 と と もに血 中脂 質 の恒 常 性 を 維 持 す るた めの 防 御 的反 応 と も考 え られ る。
高 コ レ ス テ ロ ー ル 血 症 を 詳 細 に 調 べ て み る と,atherogenic な リ ポ 蛋 白 分 画 で あ るVLDL,IDL,LDL分
性 が 両 ス トレ イ ン と も夜
して い る。
上 昇 傾 向 を 示 した 。
み 血 清apoA-IVが
上 昇 す る。3)肝
間 に高 く,コ レステ ロー ル異 化 亢進 が あ る こ とを示 唆
2.こ
血 清 コ レ ス テ ロ ー ル 値 が よ り上 昇 す る 結 果 と な っ た(Table 5)。 こ の 際,血
場 合,同 時 に,外 因性 脂質 の 消化 ・
画におけ る
3.次
い で,高 脂 肪 ・高 コ レステ ロー ル食 を 負 荷 し,高
コ レステ ロール 血 症 を誘 導 す る こ とに よ り,血 中脂 質
コ レ ス テ ロ ー ル な ら び にapoE含
量 の増 加 に よ る もの で
あ る こ と が わ か っ た(Fig.1,3)。
特 にSHRSPで
ス テ ロ ー ル 含 量 は,IDL,LDL両
分 画 に おけ る増 加 が 大
て 行 っ た。 す る と,1)血
き く,こ
昇 が 観 察 され た と考 え
飽和 状態 と考 え られ,変 動は観 察 され ない 。 しか し,2)
の た め 血 清TC,apoE上
る こ と が で き る 。 他 方HDL分
レ
画 は コ レス テ ロ ー ル,apoA-I,
E含 量 は ほ と ん ど 変 動 しな い が,SHRSPの apoA-IVが
は,コ
み実 験 群 にて
よ り減 少 す る 。 こ れ は,HDLの
絶 対量不足
VLDL,IDL,そ ル,apoBそ
清 脂 質 代 謝 律速 酵 素 活 性 は
してLDL分
画 に おけ る コ レス テ ロ ー
してapoE含 量 の 上 昇 が お こ り,又 動 脈 硬
化 指 数 の1つ で あ るapoB/apoA-Iも
上 昇 す る。 従 っ
て 反 復昼 夜 逆 転 に よ り高 コ レステ ロール 血症 が増 悪 さ
と組 成変 化 に基 づ くと考 え られ る。 血 清 脂 質 代 謝 律 速 酵 素 活 性 は,通
の 恒 常 性 を乱 した 場 合 に,強 制 反復 昼 夜 逆 転 を併 行 し
常 食 の 場 合 と 比 較 し,
HFC-PTU食
を 負 荷 した 場 合,食
事 性 のLPL活
お こ る が,実
験 群 と の 差 違 は み られ ず,恐
性上昇が
ら く酵 素 活 性
れ る ことが 明 らか とな った。 特 に,そ の影 響 はSHRSP で よ り著 しか った 。 本 研 究 の一 部 は,第26回
高 血 圧 自然 発 症 ラ ッ ト学 会
が 飽 和 状 態 に な っ て い る も の と 考 え られ る 。 他 方h-TGL
(1990年),第49回
活 性 は,PTUに
回 日本衛 生 学 会 総 会(1991年)に て 発表 した 。 本研 究 は,
よ る 甲 状 腺 機 能 低 下 に よ り酵 素 活 性 が 阻
害 を 受 け 低 下 す る こ と18)が 知 ら れ て お り,活
性低 値 と
肝 臓 脂 質 の 方 は,血
清TC上
昇 に か か わ ら ず 肝 臓TC含
量 は 変 動 し な い 。 し か し,WKYの 群 に て 肝 臓PL含
ま た,コ
場 合 の み,ス
量 が 上 昇 す る(Table
現 在 の と こ ろ 不 明 で あ る が,興
トレス
7)。 こ の 原 因 は,
味 深 い 動 態 の1つ
であ る。
レ ス テ ロ ー ル 異 化 律 速 酵 素 で あ る7α-hydroxylase
活 性 が 両 ス ト レ イ ン と も実 験 群 に て 上 昇 した(Table こ の 上 昇 は,肝
平 成 元年 ・2年 度 文 部省 科 学 研 究費 ・総 合研 究A(Grant No.01304034)の
な る が 実 験 群 と の 間 に 差 違 は み られ な か っ た 。
7)。
臓 コ レステ ロー ル プ ール を減 少 させ る方
日本公 衆 衛 生 学会 総 会(1990年),第61
補 助 を 受 け て行 わ れ ま した。
文
献
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小川
博,塩
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Metabolism,
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(受 付1991年8月26日
受 理1992年1月13日)
rats,
反 復 昼 夜 逆 転 が 脂 質 代 謝 に及 ぼす影 響 (脳卒中易発性高血圧自然発症 ラットを用いて) 小
川
福
島
博,西
川
友
世,
一,笹
川
祐
成
晋
近畿大学医学部衛生学教室
Effects of Repeated Phase Shifts in Light-Dark in Stroke-Prone
Spontaneously
Hiroshi Shinichi
Ogawa,
Hypertensive
Tomoyo
Fukushima
Cycles on Lipid Metabolism
and
Rats (SHRSP)
Nishikawa,
Sukenari
Sasagawa
Department of Hygiene, Kinki University School of Medicine, Osaka
In the present paper,
we employed
the stroke-prone
model and the Kyo: Wistar
rat (WKY) as a control,
cycles on lipid metabolism.
First,
In both
strains,
the
activities
we investigated
of
lipoprotein
spontaneously
hypertensive
rat (SHRSP) as an animal
and studied on the effect of repeated phase shifts in light-dark diurnal
lipase
(LPL)
rhythms and
of the lipid metabolism
hepatic
microsomal
in SHRSP and WKY.
cholesterol
in the dark period were significantly higher than those in the light period. In addition, apoA-IV level in the dark period was also higher than that in the light period.
7α-hydroxylase
in SHRSP,
the serum
Next, we repeated the phase shifts in light-dark cycles twice a week with elongation of the light period for 4 weeks. LPL activity in the light period increased in response to the repeated phase shifts in both strains. This might be a defensive
reaction
to maintain
homeostasis
in the lipid metabolism
in addition
to energy production.
Moreover, we performed repeated phase shifts in rats fed a high-fat and high-cholesterol diet containing 0.1% propylthiouracil to elucidate the effect on the development of hypercholesterolemia. The repeated phase shifts increased the levels of atherogenic the effect was more marked in SHRSP.
lipoproteins and the atherogenic index (apoB/apoA-I). In particular, This deleterious effect could be due to the overproduction of very low
density
in the
lipoprotein
(VLDLI,β-VLDL)
Key words:
liver.
Stroke-prone spontaneously hypertensive rats (SHRSP), Diurnal rhythm, Phase shift in light-dark cycle, Lipid metabolism, Hypercholesterolemia 脳卒 中易 発 性 高血 圧 自然 発症 ラ ッ ト(SHRSP),日 高 コ レス テ ロー ル血 症
内 変 動,昼 夜 逆 転,脂 質 代 謝,
また,医 師,看 護 婦 をは じめ とす る病 院 勤務 者,夜 警,
緒 我 々 は 日中 活 動,夜
言
た 約24時 間 の 概 日 リ ズ ム(circadian 常 性(homeostasis)を の 発 展,技
タ クシ ー運 転 手 等昼 夜 逆 転 生活 を余 儀 な く され る人達 も
間 休 息 と い う明 暗 サ イ ク ル に 従 っ rhythm)に
従 って恒
際 化 等 に 伴 っ て,昼
この よ うな 強制 昼 夜 逆 転 あ る いは 反 復昼 夜 逆 転 は,生
済
体 に と って 都 合 が 良 いは ず が な く,抵 抗期 で あ れ ば それ
夜 の リズ
に対 して 防 衛反 応 が働 くと考 え られ る。 しか し,疲 弊 期
保 ち 生 活 して い る 。 し か し,経
術 の 高 度 化,国
多 い。
ム を 喪 失 す る機 会 が 多 くな って き て い る の が 現 状 で あ る 。
を過 ぎ る と,や がて 成 人 病 を 中心 とす る各 種 の 疾 病 を発
小 川 ・西 川 ・福 島 ・笹 川:反 復 昼 夜 逆 転 が脂 質 代 謝 に及 ぼ す 影 響 (脳卒 中易 発 性 高血 圧 自然 発症 ラ ッ トを用 い て)
〔635〕
症 す る こ とに な る と考 え られ る。 そ こで,我 々の 研 究室
Immunoprecipitation法5)と,Schotzら6)の
で は脂 質 代 謝 の研 究 を 進 め て い る点 か ら,本 研 究 で は,
し たtri-[1-14C]oleateを
反 復 昼 夜 逆 転 が,ア テ ロー ム性 動 脈 硬化 性 疾 患 発 症 と脂
法 の 組 合 せ に よ っ て 測 定 し た 。 ま たplasma中
質 代 謝 に 及 ぼす 影 響 を 検討 す る こ とを 目的 と した 。
白類(apoA-I,A-IV,B,E)の
この よ うな研 究 を ヒ トで行 うには,種 々の 社 会 条 件, 環 境 条 件 等 多 くの 複 雑 な条 件 が加 わ って くる こ とは 明 ら
方 法 に 準拠
基 質 と した リパ ー ゼ 活 性 測 定 の ア ポ蛋
定 量 はLaurell法7)に
準拠
し た ロ ケ ッ ト免 疫 電 気 泳 動 法 に て 行 っ た8)。 肝 臓 は,生
食 に て 充 分 灌 流 後 摘 出 し,Folch法9)に
て
か であ る。従 って まず 妥 当 な モ デル 動物 の選 択 が 急務 で
脂 質 を 抽 出 した 。 更 に 常 法 に て 肝 臓 ミ ク ロ ゾ ー ム 分 画 を
あ る が,我
々 は,脳 卒 中 易 発 性 高 血 圧 自然 発 症 ラ ッ ト
得,ミ
(SHRSP)が
良 きモ デ ル 動 物 と な り う る と考 え た 。 ラ ッ
(7α-hydroxylase)活
トは ヒ トと逆 に夜 行 性 動物 で あ るが,昼 間休 息,夜 間活
ク ロ ゾ ー ム 分 画 中 のcholesterol-7α-hydroxylase 性 を 荻 島 ら10)の 方 法 に 準 拠 したHPLC
法 に て 測 定 した 。Plasma中
動 とい う24時 間 の 概 日 リズ ム を 有 して い る1)。 更 に,
ン脂 質(PL),ト
SHRSPは,こ
レ ス テ ロ ー ル(肝 臓TC),リ
Kyoto
れ ま で に,対 照 とす る正 常 血圧 のWistar
rat (WKY)に
比 較 し,交 感 神 経 系 の亢 進2),自
発 運 動 量 の亢 進3)が 知 られ て お り,外 的 負 荷(刺 激)に 対 しよ り過敏 に反 応す る ことを示 唆 してい る。加 えて,我 々 はSHRSPの
加齢 に伴 う行 動 変 化 を 明 らか に す る 目的 で,
自発 運 動 量 及 び 情 動 反 応 性 の 変 化 をWKYと SHRSPは,若 Am
比 較 し,
齢 期 か らす で に 自 発 運 動 量(Rearing,
bulation)が 多 く,ま た 情 動 反 応 性[特 に驚 愕 反 応
(Startle response)]が
高 く,こ の 亢 進 状 態 は9ヵ 月 齢
の コ レ ス テ ロ ー ル(TC),リ
リ グ リ セ ラ イ ド(TG)含
リ ン脂 質B-テ ワ コ ー,い
ス ト ワ コ ー,ト
次 に,強
制 反 復 昼 夜 逆 転 を 行 っ た 場 合,脂
SHRSPとWKYを
と水 道 水 は 自 由 摂 取 さ せ た 。L期 8時30分,そ
次 に,強 制 反 復 昼 夜 逆 転 を与 え た場 合,1)通
常食摂取
では 脂 質 代謝 に どの よ うな影 響 を 与 え る のか,ま た,2) 高脂 肪 ・高 コ レス テ ロー ル食(HFC食)を
負 荷 し,高 コ
レス テ ロー ル血 症 を 誘 導 した場 合 と併 行 して 行 う とい か な る影 響 が現 わ れ るか,を 検 討 した 。
し て,D期
はPM8時30分
間 後,L期
り ヘ パ リ ン 静 注3分 Post-heparin
に,エ 後,同
plasmaを
て は,高
血 圧 が 確 立 した18週
使 用 し た 。 そ して,昼 夜 間(Dark
time,
飼 料(CE-2,日 Post-heparin
齢 の 雄 性SHRSPとWKYを
間(Light
time,
た よ う に,plasma中 て 定 量 し,脂
D期)はPM10時
に 実 験 を 開 始 した 。
本 ク レ ア)と 水 道 水 は 自 由 摂 取 さ せ た 。 plasmaは,絶
食 せ ず に,エ
ー テ ル軽 麻 酔
下 右 頸 静 脈 よ り ヘ パ リ ン(300units/kgB.W.)静 後,腹 15分)し
部 大 動 脈 よ り全 血 採 血 し,遠 て 得 た 。Plasma中
(Post-heparin
plasma
ポ 蛋 白 リパ ー ゼ(LPL)そ パ ー ゼ(h-TGL)活
注3分
心(3,000rpm,4℃,
の 総 リポ蛋 白分 解 活 性
lipolytic して,肝
性 は,抗
activity;
PH: LA),リ
性 ト リ グ リセ ラ イ ド リ
ラ ッ トh-TGL血
清を用いた
延
ーテ ル麻 酔 下 右 頸 静脈 よ じ 右 頸 静 脈 よ り 採 血 し, してh-TGL でに述べ
の ア ポ蛋 白類 は免 疫 電 気 泳 動 法 に
質 含 量 は 市 販 の 酵 素 法 に よ る キ ッ トに て 測
定 した。 月 齢 の 雄 性SHRSPとWKYを
%プ
使 用 し,上 間 に2回L期
間 継 続 す る と と もに,同
記
延長 時 に0.1
ロ ピ ル チ オ ウ ラ シ ル 含 有 高 脂 肪 ・高 コ レ ス テ ロ ー ル
食(HFC-PTU食)と
L期)はAM10時,
か らAM8時30 間 に2回L期
得 た 。PHLA,LPL,そ
に よ る反 復 昼 夜 逆 転 を5週 検 動物 と し
か らPM
活 性 は 先 に 述 べ た 方 法 に て 測 定 した 。 ま た,す
更 に,6ヵ
脂 質 代 謝 の 日内 変 動 を 調 べ る に あ た り,被
本 ク レ ア)
間 継 続 し て 行 っ た 。 そ して
と 同 様 に タ イ マ ー 切 り換 え に よ り1週
実験方法
月 齢 の雄 性
はAM8時30分
イ マ ー 切 り換 え に よ り,1週
正 常 復 帰1週
脂 質 代 謝 の 日内 変 動 を検 討 した 。
ス ト
質 代謝 に及
使 用 し た 。 飼 料(CE-2,日
長 に よ る 反 復 昼 夜 逆 転 を4週
そ して,ま ず 昼 夜 逆 転実 験 開 始 に あ た り基 礎 的 デ ー タ
リ グ リ セ ラ イ ドE-テ
ぼ す 影 響 を 検 討 し た 。 被 検 動 物 と して,6カ
SHRSPは
を得 るた め,SHRSPの
量 は市 販
ず れ も 和 光 純 薬)に て 測 定 し た 。
分 と し,タ
ことが 考 え られ る。
臓 中の コ
の 酵 素 法 に よ る キ ッ ト(コ レ ス テ ロ ー ルCII-テ ス トワ コ ー,
ま で維 持 さ れ る こ と を 明 ら か に した4)。 この よ うに, よ り過 敏 で あ り,よ り明 白 に反 応 を 発 現 す る
量,肝
ン脂 質(肝 臓PL)含
水 道 水 を 自 由 摂 取 させ た 。 な お,HFC
食 の 組 成 は こ れ ま で と 同 様 の 組 成 を 用 い た11)。 そ して, 上 記 と 同 様L期 Post-heparin
に,右
plasmaを
頸 静 脈 よ り 採 血(1ml)し 得,PHLA,LPL,そ
活 性 を 測 定 し た 。 更 に,4日
後 に,1晩
エ ー テ ル 麻 酔 下 腹 部 大 動 脈 よ り得,血 清 は,こ
れ ま で と 同 様,段
1.020-1.063),高
絶 食 後 の 全血 を 清 を分 離 した 。血
階 的 密 度 勾 配 超 遠 心 法 に て,
超 低 比 重 リ ポ 蛋 白(VLDL:d1.210),に
分 画 した11)。
〔636〕 そ して,血
日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻
第2号1992年6月
清 な らび に各 リポ蛋 白分 画 中の アポ蛋 白含 量
は ロ ケ ッ ト免 疫 電 気 泳 動 法 に て,各
脂 質 含 量 は,市
販の
キ ッ トに て 測 定 した 。 又,肝
臓 は,生
質 をFolch法
脂 質 含 量 は市 販 の キ ッ トに
に て 抽 出 し,各
て 測 定 し た 。 更 に,肝 7α-hydroxylase活 な お,有
計解 析プ ログラム
使 用 したStudentのt-検
定 に よ り行 っ
た。
A.SHRSP脂 1.血
体 重,血
にPLとapo
A-IV含
も に,D期
量 な らび に ア ポ 蛋 白含 場 合,D期
量 の 有 意 な 上 昇 が 観 察 さ れ た 。WKY
性 の 有 意 な上 昇 が認 め られ
は,D期
に お け るh-TGL活
as means ± SE (N=6
性 をTable
に7α-hydroxylase活
B.反
復 昼 夜 逆 転 がSHRSPの
1.血
清脂 質 の 動 態
体 重,血
臓TCな
ら び にPL含
性 が 有 意 に上 昇 した。
脂 質 代 謝 に 及 ぼ す影 響
清 中 のTC,PL,TG含
量 の 動 態 に つ い て は,SHRSP,WKYい
量 な らび に ア ポ蛋 白含 ず れ も実 験 群 と
in each group).
(N=6 in each group).
量,
3に 示 し た 。SHRSP,WKY
Table 2 Diurnal variations of post-heparin plasma lipolytic activity (PHLA), lipoprotein lipase (LPL) activity and hepatic triglyceride lipase (h-TGL) activity in WKY and SHRSP
Values are expressed as means+SE
性比の
性 比 の有 意 な 上 昇 が観 察 され た。
Table 1 Diurnal variations of plasma lipids, apolipoproteins A-I, A-IV, B and E (apoA-I, A-IV, B, E) and apoB/apoA- I ratio in WKY and SHRSP
Values are expressed
ら び にLPL
2に 示 し た 。SHRSP,
臓脂 質代 謝 の 日内 変動
と も に,D期
1に 示 し た 。SHRSPの
にLPL活
た 。 ま た,SHRSPで
7α-hydroxylase活
質代 謝 の 日内変 動
清 中 のTC,PL,TG含
し てh-TGLな
単 位 体 重 当 りの 肝 臓 重 量,肝
果
清脂 質 の 日内変 動
量 の 日 内 変 動 をTable
性,そ 対 す る 比 をTable
有 意 な 減 少 とLPL活 3.肝
結
清 脂 質代 謝 律 速 酵素 活 性 の 日内変 動
PHLA,h-TGL,LPL活
WKYと
だD期
量 の上 昇 傾 向 が観 察 され た 。
活 性 のPHLAに
で 測 定 した。
意 差 検 定 は,MUSCOT統
ず れ も 有 意 な 変 動 は 認 め られ ず,た
にPLとapoE含 2.血
臓 ミ ク ロ ゾ ー ム 分 画 を 得,
性 をHPLC法
(YUKMS,Corp.)を
食 に て 灌 流 後,脂
の 場 合 は,い
小 川 ・西 川 ・福 島 ・笹 川:反 復 昼 夜 逆転 が脂 質 代 謝 に及 ぼ す 影響 (脳卒 中 易 発 性 高血 圧 自然 発症 ラ ッ トを用 い て) Table
3 P.
Diurnal L.),
liver
Values
are
and
variations the
of WKY
and
expressed
in contents
activity
of cholesterol
of microsomal
as
means±SE
(N=6
in each
そ して,h-TGL両 れ ぞ れ のPHLAに 場 合 は,LPL活
2.血
場合,反 復 昼夜 逆転 に よ りLPL
活 性 が有 意 に 上 昇 す る。 しか し,そ 対 す る活 性 比 は変 化 しな い 。WKYの
1.血
Table
(Liver in the
清 脂 質代 謝 律 速 酵素 活 性 の 動 態
6に 示 し た 。HFC-PTU食
と もLPL活
3.肝
性 の 大 き な 上 昇 が お こ る が,実
性 をTable
臓TCな
ら び にPL含
性の有意な上昇が観
場 合 の み,実
験 群 の 肝 臓PL含
量 が 有 意 に 上 昇 した 。
体 重,血 圧,血 清 中 のTC,PL,TG含
量 な らび に ア ポ
蛋 白含 量 の 動態 をTable 5に 示 した 。SHRSP,WKYと に,実 験 群 に てHFC-PTU食
昇 傾 向 が 観 察 され た 。ApoEは,両
4.血
も
摂 取 に よ る高 コ レス テ ロ ー
ル 血 症 が よ り促 進 され,更 に,SHRSPで
はPL含 量 の 上
ス トレイ ン と も実 験
清 各 リ ポ 蛋 白 分 画 に お け る コ レ ス テ ロ ー ル,ア
コ レス テ ロール 含 量 の動 態 血 清 各 リポ 蛋 白 分 画 に お け る コ レ ス テ ロ ー ル 含 量 の 動
態 度 をFig.1に
示 した 。 両 ス ト レイ ン と も に,VLDL,IDL,
群 に有意 な増 加が観 察 され た。 また,apoA-IVは,SHRSP の場 合有意 に減 少 した。加 えて,apoBそ
い の が わ か る 。 特 に,SHRSPの
してapoB/apoA-I
は 両 ス トレイ ン と も上 昇 傾 向 が観 察 され た 。
画 に お い て 実 験 群 の コ レス テ ロ ー ル 含 量 が 大 き 場 合,IDL,LDL分
お け る 有 意 な 増 加 が 観 察 さ れ た 。HDL分
expressed
as means±SE
(N=7
in each
hroup).
画 に
画は両ス トレ
Table 4 Effects of repeated reversion of light-dark cycles on post-heparin plasma lipolytic activity (PHLA), lipoprotein lipase (LPL) activity, hepatic triglyceride lipase (h-TGL) activity, and the ratios of h-TGL/PHLA and LPL/PHLA in WKY and SHRSP
are
ポ
蛋 白含 量 の動 態 a)
LDL分
Values
量,
7に 示 した 。SHRSP,WKY
と も に 実 験 群 に7α-hydroxylase活 察 さ れ た 。 ま た,WKYの
清脂 質 の 動 態
験 群 との間 に
臓 脂 質 の動 態
単 位 体 重 当 りの 肝 臓 重 量,肝 7α-hydroxylase活
脂 質 代 謝 に 及 ぼ す影 響
対 す る活 性 比 を
負 荷 に よ り両 ス ト レ イ ン
有 意 な 差違 は認 め られ な か った 。
性 上昇 の傾 向が認 め られ るが 有 意 な差 違
復 昼 夜 逆 転 が 高 脂 肪 ・高 コ レス テ ロー ル 食 摂 取
SHRSPの
phospholipid (7α-hydroxylase)
血 清 脂 質 代 謝 律 速 酵 素 活 性 とPHLAに
対 す る活 性 比 を
は 出 現 しな か った 。 C.反
and
group).
清脂 質 代 謝 律速 酵 素 活 性 の 動態
血 清 脂 質代 謝 律 速 酵 素 活 性 とPHLAに Table 4に示 した。SHRSPの
T. C.)
7α-hydroxylase
SHRSP
の間 に 有 意 な差 違 は認 め られ な か った。 2.血
(Liver
cholesterol
〔637〕
日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻
〔638〕
第2号1992年6月
Table 5 Effects of repeated reversion of light-dark cycles on pressure (B. P.), serum concentrations of total cholesterol triglyceride (T. G.) and apolipoproteins (apoA-I, A-IV, I ratio in hypercholesterolemic WKY and SHRSP fed the
Values
are
expressed
as
means±SE
(N=7
in each
body weight (B. W.), blood (T. C.), phospholipid (P. L.), Band E), and the apoB/apoAHFC-PTU diet
group).
Table 6 Effects of repeated reversion of light-dark cycles on post-heparin lipolytic activity (PHLA), hepatic triglyceride lipase (h-TGL) activity, lipoprotein lipase (LPL) activity, and the ratios of h-TGL/PHLA and LPL/PHLA in hypercholesterolemic WKY and SHRSP fed the HFC-PTU diet
Values
are
expressed
as means
± SE
(N=7
in each
group).
Table 7 Effects of repeated reversion of light-dark cycles on liver weight (liver W.), contents of cholesterol (liver T. C.) and phospholipid (liver P. L.) in the liver, and activity of hepatic microsomal SHRSP
Values
are
cholesterol fed
the
expressed
7α-hydroxylase
HFC-PTU
as means
(7α-hydroxylase)
diet
± SE
(N=7
in each
group).
in hypercholesterolemic
WKY
and
小 川 ・西 川 ・福 島 ・笹 川:反 復 昼 夜 逆転 が脂 質 代 謝 に及 ぼ す 影 響 (脳卒 中 易 発 性 高血 圧 自然 発症 ラ ッ トを用 い て)
〔639〕
イ ンと も差 違 は認 め られ な か った。 b)
ApoA-I,A-IV含
量 の 動態
血 清 各 リ ポ 蛋 白 分 画 に お け るapoA-I,A-IV含 態 をFig.2に
示 し た 。ApoA-Iは,両
量 の動
ス ト レイ ン と も実
験 群 と の 間 に 差 違 は 認 め ら れ な か っ た 。ApoA-IVは,HDL 分 画 に てWKYの
場 合 有 意 な 上 昇,SHRSPの
場合有意な
減 少 と逆 の 結 果 が観 察 され た 。 c)
ApoE含
量 の 動態
血 清 各 リ ポ 蛋 白分 画 に お け るapoE含
量 の 動 態 をFig.3
に 示 し た 。 両 ス ト レ イ ン と も 実 験 群 のVLDL,IDL分 で 増 加 を 示 して い る 。 特 にSHRSPの い てVLDL,IDL両
場 合,実
画
験群 にお
分 画 に お け る 有 意 な 増 加,WKYの
合VLDL,Lipo-free分
場
画 に お け る有 意 な 増 加 が 観 察 さ
れ た。
考
察
我 々 の 日常 生活 の恒 常 性 は,明 暗 サ イ クル に従 った約 24時 間 の概 日 リズ ム に よ り維持 され て い る。 しか し,高 度成 長,国 際 化 等 に よ りこの概 日 リズ ムを喪 失 す る機会 が 多 くな って きて い るの が 現状 で あ る。概 日 リズ ムの乱 Fig.
1
Distribution
various Vertical
of serum
total
lipoprotein fractions bars indicate the standard
cholesterol
among
れ は や がて 現 代社 会 に おけ る各種 の 疾 病 を生 ず る こ とに な りか ね ない 。 しか し,こ の種 の 研究 は 種 々の 社会 条 件,
error
of the mean.
環境 条 件等 が加 わ り非常 に複雑 多 岐化 して くる。従 って, 実験 条 件 の 単 一化 な ど,研 究 の簡 易 化 が 重 要 と な って く る。 この よ うな 点 を考 慮 し,我 々 は モ デル 動物 と して
Fig. 2 Distribution of serum immunoassayable apoA-I and apoA-IV among various lipoprotein fractions The meanings of marks and bars are described in the legend of Fig. 1.
日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻
〔640〕
Fig.
SHRSPを
第2号1992年6月
3 Distribution of serum immunoassayable lipoprotein fractions The meanings of marks and bars are described
選 択 した 。
ラ ッ トは ヒ トと 逆 で は あ る が,昼
動 パ タ ー ン に は,A型
間 休 息,夜
行 動 パ タ ー ン(Type
B)が
の 行 動 研 究 か ら,敢
間活 動 と
in the legend of Fig. 1.
あ げ ら れ る が,こ
とを 考 慮
行
す る と,D期
に お け る 摂 餌 量 の 増 加 に よ り,外
因 性脂 質
れ ま で のSHRSP
に 比 べ 虚 血 性 心 疾 患 の 発 症 率 が 約2倍
取 り込 み が 上 昇 し,血
質 代 謝,特
清apoA-IVの
考 え られ る 。 更 に,SHRSPの
AはType
B
と も言 わ れ る。 虚
わ ゆ るア テ ロ ーム 性動 脈 硬 化 性疾 患 の
代 表 疾 患 で も あ り,脂
在 の と ころ 脂質 の消 化 吸収 の際
成 が 増 加 す る と さ れ て い る13)こ
A)とB型
る と い う こ と が で き る 。 ヒ トの 場 合,Type
確 に な っ て い な い が,現
生理 作 用 は い ま だ 明
にapoA-IV合
Bに 比 較 的 類 似 した 行 動 パ タ ー ン を と
血 性 心 疾 患 は,い
various
トの 行
え て 当 て は め て み る と,SHRSPはType
A,WKYはType
among
唆 す る 。 そ し て 後 者 は,apoA-IVの
い う24時 間 の 概 日 リズ ム を 有 して い る 。 ま た,ヒ
動 パ タ ー ン(Type
apoE
に近 年 注 目され て い る
す る が(Table
1),こ
上昇 が お こ る もの と
場 合,血
の 血 清PL含
清PL含
の と こ ろ不 明 で あ る。 逆 に,両
ス ト レ イ ン と も,h-TGL活
傾 向 を 示 し た(Table 素 の1つ
性 はD期
2)。h-TGLも
で あ る が,現
在 の と こ ろ,そ
の 生 理 作 用 と して,
LPL作
う な 観 点 か ら もSHRSPとWKYを
ン トの 肝 臓 へ の 取 り込 み14)や,HDLのTG,PLを
ポ蛋 白代 謝
用 に よ り生 成 し たCMレ
に減少
血清脂質代謝律速酵
リ ポ ・ア ポ 蛋 白 代 謝 と 密 接 な 関 連 を 有 して い る 。 こ の よ 使 用 し,リ
量 が増 加
量 増 加 に つ いて は 現 在
ム ナ ソ ト,VLDLレ
ムナ 水解 し
を 中 心 と した 脂 質 代 謝 と反 復 昼 夜 逆 転 と の 関 連 研 究 は 非
肝 臓 へ の 取 り 込 み を 行 う14,15)等 の 作 用 が 示 唆 さ れ て い
常 に 興 味 深 い もの と 考 え る こ と が で き る 。
る 。 従 っ て,D期
そ こ で,ま
ず 脂 質 代 謝 の 日 内 変 動 を 調 べ た と こ ろ,両
ス ト レ イ ン と もD期 た(Table TGに
2)。LPLは
にLPL活
富 む リ ポ 蛋 白 類,す
ロ ン(CM)や
性 が 上 昇す る こ とが わ か っ
血 清 脂 質 代 謝 の 律 速 酵 素 の1つ な わ ち,外
内 因 性 のVLDLを
で,
因性の カイロ ミク
末梢 血 管 床 にて 水 解 す る
生 理 作 用 を 有 す る12)。 こ の 活 性 がD期 トは 夜 行 性 動 物 で あ る こ と か ら,D期
に 高 い の は,ラ にTGに
に お け るh-TGL活
ッ
富 む リポ
ま た,肝
臓 脂 質 含 量 に は ほ と ん ど 日内 変 動 が み ら れ ず,
恒 常 性 が 保 た れ て い る 。 し か し,肝
るD期
に 有 意 に 上 昇 し て お り(Table
作 用 に よ り産 生 さ れ た 遊 離 脂 肪 酸 を 活 動 エ ネ ル ギ ー 源 と
血 清apoA-IVが よ るTGに
上 昇 す る(Table
対 す るLPLの 1,2)。
前 者 は,LPI.に
富 む リポ 蛋 白 の 分 解 が よ り促 進 さ れ る こ と を 示
活動 期 で あ
3),肝
臓 コ レス テ
臓 に お け る コ レス テ ロ ール 生 合成 の 律 速酵 素
(HMG-CoA) 活 性 比,
性16)は
ロー ルの 胆 汁酸 へ の異 化 の 亢進 が考 え られ る。 これ に対
で あ る3-Hydroxy-3-methyl
して利 用 す る必要 性 が あ るた めか も しれ な い。
臓 コ レス テ ロー ル異
化 律 速 酵 素 で あ る7α-hydroxylase活
応 し て,肝
場 合,PHLAに
ム
え られ る 。
蛋 白 代 謝 の 亢 進 が お こ る こ と が 示 唆 され る と と も に,LPL
特 に,SHRSPの
性 の 減 少 は,レ
ナ ン ト リ ポ 蛋 白 の 肝 臓 へ の 取 り込 み 減 少 を 示 唆 す る と 考
reductase活
glutaryl 性17)が
coenzyme
上 昇 し,最
A
終 的 に肝
臓 コ レス テ ロー ル の恒 常 性 が保 たれ て い る と考 え られ る が,reductase活 在HPLCを
性 に つ い て は 今 回測 定 して い な い。 現
使 用 した 簡 便 な 測 定 方 法 を も 含 め て 検 討 を 進
小 川 ・西 川 ・福 島 ・笹 川:反 復 昼 夜 逆 転 が脂 質 代 謝 に及 ぼ す 影 響 (脳卒 中易 発 性 高血 圧 自然 発症 ラ ッ トを 用 い て)
〔641〕
め て い る。 ヒ トの場 合 は,脂 質 代 謝 の 日内変 動 に つ い て
向 に作 用 す る もので あ り,防 御 的 反 応 が維 持 され て い る
の報 告 は 少 な く,推 測 の域 を 出 ない が,恐
こ とが示 唆 され る が,明 確 な ことは わ か って いな い 。
ら くラ ッ トと
逆 の脂 質 代謝 リズ ムの 存在 が考 え られ る。
結
この よ うな 日内変 動 が存 在 す る時,昼 夜 逆 転 を 行 うと 次第 に新 た な時 制 に同 調 す る よ うに な る。 しか し,強 制
SHRSPを
語
モ デル 動 物 と しWKYを
対 照 と して,強 制 反
昼 夜 逆 転 を 反復 して 行 う と,同 調 が で きな くな る と考 え
復昼 夜 逆 転 が脂 質 代 謝 に及 ぼす 影 響 を 検討 した 。
られ る。 この よ うな 場 合,脂 質 代 謝 に ど の よ うな 影響 が
1.ま
ず 最 初,基 礎 的 デ ー タを得 るた め脂 質 代 謝 の 日内
あ らわ れ るか,を 続 け て検 討 して み た 。す る と,通 常D
変 動 を検 討 した 。 す る と,1)両
期 に活 性 が 高 いLPLが,L期
清 脂 質 代 謝律 速 酵 素 の 一 つで あ るLPL活 性 が 夜 間 に高
に も高活 性 の ま ま維持 され
る こと が 明 らか に な った 。 これ は特 にSHRSPに 観 察 さ れ る 。 他 方h-TGL活
性 は,SHRSPの
大きく
場合のみ活
ス トレイ ン と も に血
値 を示 した 。 ラ ッ トは夜 行 性 の 動物 で あ る こ とか ら, 夜 間 に お け るTGに 富 む リポ 蛋 白の 異 化 亢 進 が 示 唆 さ
性 上 昇 が観 察 され た が 大 きな変 動 は み られ な い 。又,血
れ る。2)SHRSPの
清 脂質,ア ポ蛋 白類 含量 へ の影響 は ほ とん どみ られな か っ
吸 収 に 関 与 す る と され るapoA-IVも
た。
臓 で は,7α-hydroxylase活
しか し,こ
の 反 復 昼 夜 逆 転 が 高 脂 肪 ・高 コ レ ス テ ロ ー
ル 食(HFC-PTU食)摂
取 時 に 併 行 し て お こ っ た 場 合 は,
指 数 の1つ
清apoEが
上 昇 し,apoBそ
と さ れ るapoB/apoA-Iが
更 にSHRSPの
して動 脈 硬 化
有 意 に減 少 した 。 この
の 様 な脂 質 代 謝 の 日内変 動 が存 在 す る時 に,一 週
間 に二 回昼 間 延 長 に よる強 制 反 復昼 夜 逆 転 を 行 うと, 両 ス トレイ ンと もにLPLの 活 性 高値 が昼 夜 維持 され た。 これ は,エ ネ ル ギー 産生 と と もに血 中脂 質 の恒 常 性 を 維 持 す るた めの 防 御 的反 応 と も考 え られ る。
高 コ レ ス テ ロ ー ル 血 症 を 詳 細 に 調 べ て み る と,atherogenic な リ ポ 蛋 白 分 画 で あ るVLDL,IDL,LDL分
性 が 両 ス トレ イ ン と も夜
して い る。
上 昇 傾 向 を 示 した 。
み 血 清apoA-IVが
上 昇 す る。3)肝
間 に高 く,コ レステ ロー ル異 化 亢進 が あ る こ とを示 唆
2.こ
血 清 コ レ ス テ ロ ー ル 値 が よ り上 昇 す る 結 果 と な っ た(Table 5)。 こ の 際,血
場 合,同 時 に,外 因性 脂質 の 消化 ・
画におけ る
3.次
い で,高 脂 肪 ・高 コ レステ ロー ル食 を 負 荷 し,高
コ レステ ロール 血 症 を誘 導 す る こ とに よ り,血 中脂 質
コ レ ス テ ロ ー ル な ら び にapoE含
量 の増 加 に よ る もの で
あ る こ と が わ か っ た(Fig.1,3)。
特 にSHRSPで
ス テ ロ ー ル 含 量 は,IDL,LDL両
分 画 に おけ る増 加 が 大
て 行 っ た。 す る と,1)血
き く,こ
昇 が 観 察 され た と考 え
飽和 状態 と考 え られ,変 動は観 察 され ない 。 しか し,2)
の た め 血 清TC,apoE上
る こ と が で き る 。 他 方HDL分
レ
画 は コ レス テ ロ ー ル,apoA-I,
E含 量 は ほ と ん ど 変 動 しな い が,SHRSPの apoA-IVが
は,コ
み実 験 群 にて
よ り減 少 す る 。 こ れ は,HDLの
絶 対量不足
VLDL,IDL,そ ル,apoBそ
清 脂 質 代 謝 律速 酵 素 活 性 は
してLDL分
画 に おけ る コ レス テ ロ ー
してapoE含 量 の 上 昇 が お こ り,又 動 脈 硬
化 指 数 の1つ で あ るapoB/apoA-Iも
上 昇 す る。 従 っ
て 反 復昼 夜 逆 転 に よ り高 コ レステ ロール 血症 が増 悪 さ
と組 成変 化 に基 づ くと考 え られ る。 血 清 脂 質 代 謝 律 速 酵 素 活 性 は,通
の 恒 常 性 を乱 した 場 合 に,強 制 反復 昼 夜 逆 転 を併 行 し
常 食 の 場 合 と 比 較 し,
HFC-PTU食
を 負 荷 した 場 合,食
事 性 のLPL活
お こ る が,実
験 群 と の 差 違 は み られ ず,恐
性上昇が
ら く酵 素 活 性
れ る ことが 明 らか とな った。 特 に,そ の影 響 はSHRSP で よ り著 しか った 。 本 研 究 の一 部 は,第26回
高 血 圧 自然 発 症 ラ ッ ト学 会
が 飽 和 状 態 に な っ て い る も の と 考 え られ る 。 他 方h-TGL
(1990年),第49回
活 性 は,PTUに
回 日本衛 生 学 会 総 会(1991年)に て 発表 した 。 本研 究 は,
よ る 甲 状 腺 機 能 低 下 に よ り酵 素 活 性 が 阻
害 を 受 け 低 下 す る こ と18)が 知 ら れ て お り,活
性低 値 と
肝 臓 脂 質 の 方 は,血
清TC上
昇 に か か わ ら ず 肝 臓TC含
量 は 変 動 し な い 。 し か し,WKYの 群 に て 肝 臓PL含
ま た,コ
場 合 の み,ス
量 が 上 昇 す る(Table
現 在 の と こ ろ 不 明 で あ る が,興
トレス
7)。 こ の 原 因 は,
味 深 い 動 態 の1つ
であ る。
レ ス テ ロ ー ル 異 化 律 速 酵 素 で あ る7α-hydroxylase
活 性 が 両 ス ト レ イ ン と も実 験 群 に て 上 昇 した(Table こ の 上 昇 は,肝
平 成 元年 ・2年 度 文 部省 科 学 研 究費 ・総 合研 究A(Grant No.01304034)の
な る が 実 験 群 と の 間 に 差 違 は み られ な か っ た 。
7)。
臓 コ レステ ロー ル プ ール を減 少 させ る方
日本公 衆 衛 生 学会 総 会(1990年),第61
補 助 を 受 け て行 わ れ ま した。
文
献
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