95-58
1992
鼓 膜 切 開 症 例 よ りみ た 乳 幼 小 児 の 急 性 中 耳 炎 い わ ゆ る急性 滲 出性 中耳 炎 の評 価
森
泰 雄,岩
EVALUATION
OF MYRINGOTOMY WITH
YASUO
in 94 infants
features
and children.
microscope
Haibara
of acute
OTITIS
M. D., KENZO KUBOTA,
M. D. and SHUJI
of Otorhinolaryngology,
OF ACUTE
蝶 修 司 MEDIA
AND CHILDREN
IWASAKI,
KINAGA,
1990, the clinical
under an operative
IN INFANTS
MORI, M. D., SATOSHI
Department In January
IN THE TREATMENT
EFFUSION
SHINRI
evaluated
榛原総合病院耳鼻咽喉科 聡,久 保田 賢 三,黄 永 信 理,大
崎
M. D.
OCHO, M. D.
General
Hospital,
otitis media
Shizuoka
(AOM)
were
These cases with AOM were treated
retrospectively
with myringotomy
at their initial visit to our hospital during the five-month
period from
January to May of 1989. These results were as follows; 1)
AOM in infants
and children should be called "acute
otitis media with effusion",
because
AOM can occur at the same phase as otitis media with effusion
(OME) and OME can occur after
AOM, both otitis media have the continuum
condition
2)
For the treatment
reasonable 3)
chemotherapy
"acute
should be performed
We suggest that the number
all of"acute
Key
of recurrent
otitis media with effusion",
生 物 質 の 進 歩 に よ り重 症 化 あ る い
は 重 篤 な 合 併 症 を 示 す も の は 少 な くな っ た と言 わ れ て い る.し
か し遷 延 した り反 復 す る もの や,あ
as well as
at some future time, if
treated.
膜切 開術
A95-0058-22121
の 地 域 性 や 特 殊 性 に よ る 患 者 層 の 違 い に よ り,疾 患 の
は じ め に
乳幼 小児 の急 性 中耳炎 は外来 診療 にお いて頻度 の高 い 疾 患 で あ るが,抗
otitis media will be reduced
can be appropriately
乳 幼 小 児 の 急 性 中 耳 炎,急 性 滲 出性 中耳 炎,鼓
I.
in the middle ear. myringotomy
even with the recent advent of the newer antibiotics.
of chronic
otitis media with effusion"
words:
of the pathological
るいは滲
と ら え 方 や 治 療 法 は 当 然 違 っ て く る と考 え ら れ る.し か し こ れ ら の 報 告 に は鼓 膜 切 開 術 の 適 応 条 件 が 明 記 さ れ て い な い. 著 者 ら は 乳幼 小 児 の 急 性 中 耳 炎 の 治 療 に お け る鼓 膜
た滲
切 開 術 は 一 定 の 適 応 の も とに 施 行 して い る.初 診 時 に
出 性 中 耳 炎 を未 治 療 で放 置 す る と,癒 着 性 中 耳 炎 や 真
鼓 膜 切 開 を必 要 と し た 乳 幼 小 児 の 急 性 中 耳 炎 の94症 例
出 性 中 耳 炎 に 合 併 し た り移 行 す る症 例 も 多 い.ま
珠 腫 性 中 耳 炎 に移 行 す る可 能 性 も指 摘 され て い る. 急 性 中 耳 炎 の 治 療 は 化 学 療 法 と鼓 膜 切 開 術 が 主 体 と な っ て い る が,最 近 の 外 国 の 文 献1)2)で は,抗 生 物 質 の 進 歩 を 反 映 して,鼓
膜 切 開 術 の 有 効 性 を疑 問 視 す る傾
向 が み う け られ る.そ
の 国 の 医 療 レ ベ ル や,治 療 施 設
に お い て,術 後7ヵ
月 か ら1年 後 の 時 点 で,retrospec-
tiveに 手 術 前 後 の 病 態 を調 査 した.そ の 結 果 を ふ ま え, McCracken3)の effusion: AOME(以
言 うAcute
otitis
media
with
下 急 性 滲 出 性 中 耳 炎 と訳 す)と い
う病 態 に つ い て検 討 を 加 え,そ
の 治 療 に お け る鼓 膜 切
日耳 鼻
森 ・他=急 性滲 出性 中耳 炎
95-59
表1
鼓膜 切 開術 の適応
鼓 膜 切 開 術 の 適 応 とな っ た 条 件 と例 数 を示 す. 条 件 が 重 複 し て い た た め,例 数 は 多 くな っ て い る. *急 性 滲 出 性 中 耳 炎 は,Acute Otitis Media with Effusionの 日 本 語 訳 で あ る.狭 義 と は, 鼓 膜 後 上 部 の 膨 隆 が 著 しい に もか か わ ら ず,鼓 膜 前 下 部 は む し ろ 陥 凹 して い る よ う な鼓 膜 所 見 を呈 し,以 前 か ら滲 出 性 中 耳 炎 が 潜 在 し て い た 耳 に 急 性 中 耳 炎 が 発 症 し た と考 え ら れ る症 例 で
図1
あ る.
鼓膜 切 開術 施行 乳幼 小 児急 性 中耳炎 の94症 例
あ る.臨 床 症 状 な らび に既 往 歴 と して は(1) 保 存 的 治 開 術 の 意 義 に つ い て も考 察 す る.
療 に 抵 抗 性 の耳 痛 と発 熱(2)
反 復 性 中 耳 炎,(3)
滲出
性 中 耳 炎 の 既 往 な どで あ り,検 査 所 見 と して は レ ン ト II. 1989年1月
調 査 方 法 お よ び対 象
か ら5月
ま で の5ヵ
ゲ ン写 真 上 の 乳 突 部 陰 影 で あ る.
月 間 で,初
診 時 に鼓 III.
膜 切 開 した 乳 幼 小 児 の 急 性 中 耳 炎 の94症 例 に お い て, 1990年1月
の 時 点 で そ の 病 態 を10項 目 に わ た り検 討 し
1.
果
の割 合
た. 対 象 は8ヵ
結
鼓 膜 切 開 全 症 例 に対 す る 乳 幼 小 児 の 急 性 中 耳 炎
月 か ら11歳 ま で で,平
月 で あ っ た.2歳
均 年 齢 は4歳9ヵ
児 か ら5歳 児 が 多 く,男 女 比 は45:49
で あ った(図1).全
例 手 術 用 顕 微 鏡 下(拡 大 率:10倍)
に鼓膜 切 開 術 を施 行 し,ま
た 可 能 な 限 りイ オ ン トフ ォ
レー ゼ に よ る 鼓 膜 麻 酔 を 行 っ た.
の よ う に 定 め て い た.局
月 間 に 当 科 で鼓 膜 切 開 し た 中 耳 炎 症
例 は151例 で あ っ た.乳 幼 小 児 の 急 性 中 耳 炎 は94例62% と半 数 以 上 を 占 め て い た.幼 27例18%で,他
の30例20%は15歳
所所 見 とし
て は,鼓 膜 所 見 よ り(1) 第 三 度 の 発 赤 ・腫 脹,(2)
後上
2.
以上 の急性 中耳 炎 と
主 訴 と受 診 過 程
乳 幼 小 児 の 急 性 中耳 炎 の 主 訴 は,耳 嫌 が8例
で あ っ た.こ
部 に乳 嘴 状 穿 孔 あ る が 排 膿 不 十 分,(3) 水 疱 形 成,(4) 白
で,先
色膨 隆,(5) 狭 義 の 急 性 滲 出 性 中 耳 炎 な ど で あ る.狭 義
行 治 療 例 の う ち,17例
の急 性 滲 出 性 中 耳 炎 と は,鼓 膜 後 上 部 の膨 隆 が 著 し い に もか か わ らず,鼓
・小 児 の 滲 出性 中 耳 炎 は
滲 出 性 中 耳 炎 で あ っ た.
当科 に お け る乳 幼 小 児 の 急性 中 耳 炎 に対 す る 鼓 膜 切 開術 の適 応 は,次
調 査 期 間 の5ヵ
膜 前 下 部 は む し ろ 陥 凹 して い る よ
痛 が86例,不
機
の うち 発 熱 を伴 っ た もの は30例
行 治 療 さ れ て い た もの は35例 で あ っ た.こ
の先
は 当 院 の 小 児 科 よ り紹 介 さ れ,
7例 は 当院 の 救 急 外 来 を受 診 し投 薬 を 受 け て お り,11 例 は 耳 鼻 科 以 外 の 医 院 で 治 療 され て い た.
うな 鼓 膜 所 見 を 呈 し,以 前 か ら 滲 出性 中 耳 炎 が 潜 在 し
3.
イ オ ン トフ ォ レ ー ゼ 鼓 膜 麻 酔
て い た 耳 に 急 性 中 耳 炎 が 発 症 した と考 え られ る症 例 で
94例 中56例 は イ オ ン トフ ォ レー ゼ に よ る鼓 膜 麻 酔 下
95-60
森 ・他=急
に 切 開 した.鼓 は,2歳8ヵ
性 滲出性 中耳 炎
1992
膜 麻 酔 操 作 が 可 能 で あ っ た最 年 少 症 例
月 の 女 児 で あ っ た が,ほ
歳 以 上 の 症 例 で あ っ た.他
()内
は例数
と ん どが4∼5
の38例 は乳 幼 児 が 多 く,あ
ば れ る た め鼓 膜 麻 酔 操 作 を全 く行 わ な か っ た か あ る い は 途 中 で 断 念 し,抑 制 用 ネ ッ トで 固 定 し鼓 膜 切 開 した . 4.
採 用 され た鼓膜切 開術 の適 応条件
鼓 膜 切 開 術 の 適 応 とな っ た 条 件 と症 例 数 は次 の とお りで あ っ た(表1).局
所 所 見 で は,(1)
の発 赤 ・ 腫 脹 が26例,(2) 1例,(3)
鼓膜 に第三 度
乳 嘴 状 穿 孔 あ り排 膿 不 十 分 が
水 疱 形 成 型 が21例,(4)
白 色 膨 隆 型 が39例,
狭 義 の 急 性 滲 出 性 中 耳 炎 が16例 で あ っ た.臨 (5)床 症 状 な ら び に 既 往 歴 で は(1) 保 存 的 治 療 に抵 抗 性 の 耳 痛 と 発 熱 が11例,(2) 反 復 性 中 耳 炎6例,(3) 既 往 が5例 は9例
で あ った.レ
滲 出性 中耳 炎の
ン トゲ ン写 真 上 の 乳 突 部 陰 影
で あ った.
局 所 所 見,臨
*癒 着 性 中 耳 炎 を除 く
床 症 状 お よ び 検 査 所 見 の それ ぞ れ を 独
立 した 適 応 と定 め て い た が,全
症 例 で1つ
あ るいは重
図2
複 す る鼓 膜 所 見 が 認 め られ た た め 鼓 膜 切 開 を 行 っ た. 結 果 的 に は,局 所 所 見 が 必 須 条 件 で,臨
床症状 や検 査
所 見 は付 帯 条 件 とな っ て い た. 5.
耳 漏 内検 出菌
鼓 膜 切 開 時 に採 取 した 鼓 室 内 耳 漏 の 細 菌 培 養 検 査 は 約30%に
中耳 炎の連 続性 鼓膜 切開術 以前 の 中耳 炎の 既往 と,術 後 の 中耳 炎の発 症 を示 す. 〇:中 耳 炎の既往 ある いは発症 ナ シ AOM:急 性 中耳炎 OME:滲 出性 中耳 炎
行 わ れ た,検
肺 炎 球 菌 が10例,イ
出 菌 は 単 一 菌 感 染 が 大 部 分 で,
ン フ ル エ ンザ 菌 が10例,A群
β型
既 往 は も っ と多 い と思 わ れ る. 8.
急 性 中 耳 炎 発 症 時 の 合併 症
94例 中73例 の 約80%近
くに,何
ら か の 合 併 症 が認 め
た.コ
ア グ ラ ー ゼ テ ス ト陰 性 の ブ ドウ球 菌 の 混 合 感 染
られ た.こ の 半 数 以 上 の51例 が 副 鼻 腔 炎 で,ア レル ギ ー 性 鼻 炎 が7例 ,扁 桃 炎 と咽 喉 頭 炎 が 各4例,ア トピ ー 性 皮 膚 炎 が5例 ,流 行 性 耳 下 腺 炎 が2例 で あ っ た.
が4例
に 認
ま た 口蓋 裂 術 後,喘
息,A.S.D.,V.S.D.,ム
カ ラ イ ドー シ ス,頸
部 リ ンパ 節 炎,肺
溶 血 性 連 鎖 球 菌 が3例,ブ 1例,黄
6.
ラ ンハ メ ラ
色 ブ ドウ 球 菌 が1例,培
カタラ リスが
養 陰 性 が5例
であっ
め られ た.
内 服 抗 生 物 質 な らび に 点 耳 薬
鼓 膜 切 開 後 は 全 例 に 内 服 抗 生 物 質 を投 薬 し た.原 則
例,そ
の 他 が3例
間 で,平 均7日
で あ っ た.投
与 日数 は3日
か ら3週
で あ っ た.副 鼻 腔 炎 な ど を合 併 し て い
る い はFOMを
ん ど全 例 に 使 用 し た が,処
鼓膜 切開 時 に ほ と
方 に よ り点 耳 させ た の は一
た.急
性 中 耳 炎 が18例,滲
中 耳 炎 が1例
で あ っ た.こ
対 象 とな っ た 急 性 中耳 炎 の 治 療 後1年
過 去 に 中耳 炎 で 受診 して い 出 性 中 耳 炎 が10例,癒
着性
の うち11例 に鼓 膜 切 開 術,
1例 に換 気 チ ュ ー ブ留 置 術 の 既 往 が 認 め られ た.こ
れ
ら は 当 科 で 治 療 した 例 数 で あ る の で,実 際 の 中 耳 炎 の
以 内 に何 らか
の 疾 患 の た め 当 科 を 再 受 診 した 症 例 は53例 で あ った.
例,癒
中耳 炎 の既往
94例 中29例 の 約30%は
mastoiditis4)に 進 展
し,耳 漏 が 持 続 し た り永 久 穿 孔 を残 した 症 例 は認 め ら
耳 疾 患 が 多 く,急 性 中耳 炎 が27例,滲
部 の 症 例 に 限 られ て い た. 7.
で 停 止 し,穿 孔 は ほ とん どが1
週 間 以 内 に 閉 鎖 し た.Subacute
れ な か っ た.
る症 例 で は 投 与 日数 が 多 くな って い た. 点 耳 薬 はCMXあ
ずつ
鼓膜 切 開術後 の経過
耳 漏 は 通 常2,3日
CFIXが25例,CVA/AMPCが14例,CFTM-PIが11
炎 が 各1例
認 め られ た. 9.
と して,鎮 痛 剤 の 投 与 は不 要 で あ っ た.CCLが41例,
コ ポ リサ ッ
着 性 中 耳 炎 が1例
そ の 他 の 疾 患 の う ち2例
で,そ
出 性 中 耳 炎 が19
の 他 が6例
で は,中
で あ った.
耳 炎 が 風 疹 と流 行 性
耳 下 腺 炎 の 前 駆 症 状 に な っ て い た. 上 記 疾 患 に 関 連 し て手 術 を 受 け た 症 例 は24例 で あ っ た.鼓
膜 切 開 術 は18例 に 施 行 さ れ,観
以 上 鼓 膜 切 開 し た症 例 は5例
察 期 間 内 に5回
で あ っ た.そ
の 他 は,換
日耳 鼻
森 ・他=急 性滲 出性 中耳 炎
気 チ ュ ー ブ留 置 術 が4例,咽
頭 ・口 蓋 扁 桃 摘 出術+換
95-61
わ れ て い る3)13)14).イン フル エ ンザ 菌 の10∼30%と ンハ メ ラ
各1例
を産 生 す る3)こ と も考 慮 して 抗 生 物 質 を 選 択 す べ きで
で あ った
10.
中 耳 炎 の 連 続 性(continuum
of
otitis
media5)) 調 査 の 発 端 とな っ た 鼓 膜 切 開 術 を必 要 と し た今 回 の の 前 後 に 発 症 した 中 耳 炎 との
連 続 性 を調 べ た(図2).
開 後 も 中耳 炎 で 受 診 し て い な い が,他
の15例 は 急 性 中
は 滲 出 性 中 耳 炎 を発 症 し た.
後 は 中 耳 炎 で 受 診 し て い な い が,他 う1例
の8例
はその
は急性 中耳
は 滲 出 性 中 耳 炎 に な っ た.
の 後 中耳 炎 を発 症 し て い な い が,4例
な お,こ
り,局 所 所 見 が 鼓 膜 切 開 術 の 適 応 の 必 須 条 件 とな っ て い た.
ル ス 性 や 肺 炎 球 菌 性 の 中 耳 炎 で あ る場 合 が 多 い と言 わ れ て い る.流
行 性 耳 下 腺 炎 と風 疹 に 関 連 した4症
耳 痛 は 激 烈 で あ っ た.教
例の
科 書 的 に は,水 疱 形 成 は ウ イ
ル ス 性 鼓 膜 炎 で あ り,鼓 膜 の切 開 は 不 必 要 と さ れ て い
が 急 性 中 耳 炎 を,
る8).著 者 らの 経 験 で は,水 疱 内 は 漿 液 性 の貯 留 液 で あ
が 滲 出 性 中 耳 炎 を 発 症 し た.以
中耳 炎 で あ っ た1例
所 所 見 ・臨 床
示 し た.当 科 で は,
はそ
過 去 に滲 出性 中 耳 炎 の 既 往 が あ っ た10例 中2例
また4例
鼓 膜 切 開 術 の 適 応 とな っ た 条 件 を,局 症 状 ・検 査 所 見 に 分 け て,表1に
鼓 膜 に 水 疱 形 成 を認 め る症 例 は疼 痛 が 著 し く,ウ イ
過 去 に 急 性 中 耳 炎 の 既 往 が あ っ た18例 中9例
炎 に,も
急 性 中 耳 炎 に お け る鼓 膜 切 開 術 の 適 応
手 術 用顕 微 鏡 下 の観 察 に よる鼓 膜所 見 を重視 して お
過 去 に 中 耳 炎 で 受 診 した こ と の な い65例 中36例 は切
耳 炎 を,14例
上 が β-ラ ク タ マ ー ゼ
あ る. 3.
中耳 炎 を基 準 と し て,こ
カ タ ラ リ ス の90%以
ブラ
気 チ ュ ー ブ留 置 術 お よ び咽 頭 ・口 蓋 扁 桃 摘 出 術 の み が
前 よ り癒 着 性
れ ら94症 例 の 急 性 中 耳 炎 の ほ か に,同
る に もか か わ ら ず,鼓 室 内 は膿 性 で あ り,水 疱 だ け で な く鼓 膜 の 切 開 も必 要 で あ る場 合 が 多 か った.
は 同 じ状 態 を 持 続 した. 一期
鼓 膜 の 白色 膨 隆 は 先 行 治 療 例 や ア トピ ー 体 質 児 に 多
間 内 に鼓 膜 切 開 した 幼 小 児 の 滲 出 性 中 耳 炎 が27例 あ っ
く認 め られ た.成
たが,全 例 に お い て 過 去 に 急 性 中 耳 炎 の 既 往 が 認 め ら
な 抗 生 物 質 の 投 与 に よ り急 性 所 見 が 隠 蔽 さ れ た 可 能 性
因 と して は,不 十 分 あ る い は 不 適 切
れ た.
と,ア
レル ギ ー の 関 与 に よ る鼓 膜 の 色 調 に 関 連 して い
る 可 能 性 が 示 唆 さ れ る.耳 鼻 科 医 で も 「急 性 中 耳 炎 の IV. 1.
考
鼓 膜 は赤 い 」 と い う概 念 に 囚 わ れ て い る と,肉 眼 の 診
察
患者背 景
断 で は 見 逃 す こ とが あ る の で,顕
初 診 時 に鼓 膜 切 開 術 を 要 した94症 例 中35例 で 先 行 す
で あ る.し
微 鏡 下 の観 察 が 大 切
か し 白色 膨 隆 型 の 急性 中 耳 炎 が存 在 す る こ
る保 存 的 治 療 が な さ れ て い た.乳 幼 児 で は 小 児 科 医 か
とを 念 頭 に お き,慣 れ て くれ ばWelch
らの紹 介 が 多 く,急 性 中耳 炎 の か な りの 数 が 小 児 科 で
どで の 診 断 も容 易 で あ る,付 記 す れ ば,Welch
治療 され て い る 現 状 が う か が え た.小
児科 医 の間 で も
式 耳 鏡 を 用 い て 軽 度 発 赤 の あ る 中 耳 炎 ま で診 断 で き る
耳 炎 に 関 す る詳 し い 記 載 が
当 院 の 小 児 科 医 で も,白 色 膨 隆 型 の 中 耳 炎 の 診 断 は 不
急性 中 耳 炎 が検 討 さ れ,中
小 児 科 領 域 の 雑 誌 に見 ら れ る こ と も多 い3)6).急 性 中 耳 炎 の 治 療 に お い て は,小 と と もに,母
児 科 医 との 連 携 を 密 に す る7)
親 な ど保 護 者 の啓 蒙 も耳 鼻 咽 喉 科 専 門 医
今 回 の 症 例 は 研 究 の た め の 集 積 症 例 で は な く,日 常
養 の 検 査 率 は 約30%と
studyで
あ る た め,耳 漏 内細 菌 培
低 か っ た.検
イ ン フ ル エ ンザ 菌 が 多 く,そ の 他A群 球菌 や ブ ラ ンハ メ ラ 認 め られ た.そ して い る. 一般 的 に
Allyn
可 能 に近 か っ た. 狭 義 の 急 性 滲 出 性 中 耳 炎 は,鼓 膜 の 後 上 部 の 赤 色 あ る い は 白 色 の膨 隆 が著 しい に もか か わ ら ず,鼓 膜 の 前
る.鼓 室 内 は 漿 液 性 あ る い は膿 性 の 貯 留 液 の 中 に粘 性
起 因 菌 と抗 生 物 質
診療 のretrospective
耳鏡 な
下 部 は む し ろ 陥 凹 して い る 鼓 膜 所 見 を 呈 す る 症 例 で あ
の重 要 な 責 務 と 考 え られ る. 2.
Allyn式
出 菌 は肺 炎 球 菌 と β型 溶血性 連鎖
カ タ ラ リ ス や 黄 色 ブ ドウ球 菌 が
の 比 率 は 諸 家 の 報 告3)13)14)と概 ね 一 致
の もの が 混 在 して い る 場 合 が 多 い.こ
れ は以 前 よ り潜
在 性 に滲 出 性 中 耳 炎 が 存 在 し た 耳 に,急 性 中 耳 炎 が 発 症 した もの と考 え られ る. 4.
鼓 膜 切 開 術 の有 用 性 と意 義
今 回 の 検 討 で鼓 膜 切 開 の 対 象 と な っ た 中耳 炎 は 重 症 の 部 類 に は い る が,鼓
膜 麻 酔 を行 わ な か っ た 症 例 で も
鎮 痛 剤 の 併 用 は 不 要 で あ り,鼓 膜 切 開 術 に 十 分 な 除 痛 ,イ
ン フ ル エ ン ザ 菌 とブ ラ ンハ メ ラ
カタ
ラ リス は 乳 幼 児 に多 く,肺 炎 球 菌 は 年 長 児 に 多 い と言
効 果 が 認 め られ た.し
か し1回
だ けの鼓膜切 開 で は急
性 中耳 炎 の 再 発 率 や 滲 出 性 中 耳 炎 へ の 移 行 率 は 高 か っ
95-62
た.こ
森 ・他=急
れ は 検 討 症 例 が 鼓 膜 切 開 を 必 要 と す る よ うな 重
性滲 出性 中耳炎
率 が12%と
1992
他 の 救 急 病 院 の 切 開 率(50∼70%)に
比較
症 例 に 限 られ て い た こ と と,乳 幼 小 児 の 中 耳 炎 の 特 性
して 低 か っ た の は,早
に起 因 す る と考 え られ る.な
か に は 頻 回 に鼓 膜 切 開 を
っ た た め と述 べ て い る.中 嶋 ら12)は 小 児 急 性 中 耳 炎 を
した こ と に よ り,換 気 チ ュ ー ブ を 留 置 し な い で 済 ん だ
保 存 的 に治 療 し て そ の 経 過 を観 察 した 結 果 か ら,速 や
と考 え られ る症 例 も見 られ た.
か に 治 癒 せ ず 遷 延 傾 向 を 示 す症 例 で は,滲
以 前 よ り急 性 中耳 炎 の 治 療 に お け る鼓 膜 切 開 術 の 有 用 性 に 関 す る議 論 は あ っ た が,最 を反 映 して,そ
近 は抗 生 物 質 の 進 歩
の有 用 性 を疑 問 視 す る傾 向 が 目立 つ.
と な る 可 能 性 が あ る の で,時
出 性 中耳 炎
期 を逸 す る こ と な く鼓 膜
切 開 す べ きで あ る と結 ん で い る. 急 性 中 耳 炎 は 乳 幼 児 期 に 発 症 し や す く,発 症 す る と
月 か ら6
反 復 し や す い13)∼16)と言 わ れ て い る.放 置 さ れ た り不
生 物 質 を10日
適 切 な 治 療 が な され る と,滲 出性 中 耳 炎 や癒 着 性 中耳
1988年 に は ス エ ー デ ン のLidenら1)が,4ヵ 歳 ま で の 再 発 性 の 急 性 中 耳 炎79例 で,抗
期 受 診 例 が 多 く適 応 例 が 少 な か
間 投 与 し た 群 と鼓 膜 切 開 術 も加 え た 群 との2群
間 に,
炎 な らび に 真 珠 腫 性 中 耳 炎 の 発 生 母 地 とな り う る可 能
治 癒 率 ・再 発 率 ・滲 出 性 中 耳 炎 発 生 率 と も差 が な く,
性 を秘 め て い る17)18)が,急 性 中 耳 炎 を 正 し く治 療 して
鼓 膜 切 開 術 の 有 用 性 が な い とい う報 告 を し て い る.
い れ ば,そ
1989年 に は イ ス ラ エ ル のEngelhardら2)が,生 ヵ 月 以 下 の 乳 幼 児 の 急 性 中 耳 炎105例 clavulanate内 服+鼓
後12
を,AMPC/
で,慣
の よ う な 状 況 下 に お け る 鼓 膜 切 開 術 は 手 慣 れ た 耳 鼻科
膜 切 開 術 の 有 用 性 は認
医 に し か で きな い こ とを 自覚 し,適 応 を適 確 に決 定 し
め ら れ な か った と報 告 し て い る. 上 記2つ が な く,1回
れ て い な い と鼓 膜 切 開 を躊 躇 しが ち に な る.こ
膜 切開術 群 の
ラ セ ボ 内 服+鼓
3群 に 分 け て 比 較 し た 結 果,鼓
れ る. 特 に乳 幼 児 は外 耳 道 が 狭 く,あ ば れ る場 合 が 多 いの
服 の み の 群 とAMPC/clavulanate内
膜 切 開 術 の 群,プ
の 可 能 性 の 芽 を 断 つ こ とが で きる と考 え ら
て 積 極 的 に 鼓 膜 切 開 す べ き で あ る.
の 報 告 に は,鼓 膜 切 開 術 の 適 応 条 件 の 記 載 の 鼓 膜 切 開 だ け で そ の 意 義 を論 じ て い る
5.
急 性滲 出性 中耳炎
Paparellaら5)は
動 物 実 験 と ヒ ト側 頭 骨 の 形 態 学 的
点 に 問 題 が あ る.後 述 す る乳 幼 小 児 の 急 性 中 耳 炎 や 滲
研 究 に よ り,病 型 の 異 な る 中 耳 炎 に 連 続 性 が あ る こ と
出性 中 耳 炎 の病 態 の 特 質 を考 慮 す る と,1回
(continuum
の鼓膜 切
開 で 治 癒 し に くい か ら とい っ て 鼓 膜 切 開 術 に 意 義 が な い と は 言 え な い.
示 し た よ う に,我
提 唱 して い る.
々 の 症 例 に お い て も,中 耳
炎 の 反 復 性 と連 続 性 が 高 率 に認 め られ た.乳 幼 小 児 に
しか し鼓 膜 切 開 術 の 有 用 性 に 否 定 的 な 報 告 の 影 響 を 受 け て,最
図2に
of otitis media)を
近 刊 行 さ れ た教 科 書 に も同 様 の 傾 向 が 見 受
け られ る.Shambaughら8),Bluestoneら9)は,鼓
膜切
み ら れ る急 性 中耳 炎 と滲 出性 中 耳 炎 は,耳 発 赤 の 有 無 で 区 別 さ れ て い るが,急
痛 や 鼓膜 の
性 中 耳 炎 が 滲 出性
中 耳 炎 に合 併 した り移 行 す る例 も 多 い.両
中 耳 炎 には
開 術 は 起 因 菌 同 定 の た め に 鼓 室 内 容 液 を 採 取 す る最 善
連 続 性 が あ り明 確 に 区 別 で き ず,同
の 手 段 で あ り,急 性 中 耳 炎 の 治 療 に お け る 鼓 膜 切 開 術
期 の 異 な る 一 病 態 を示 し て い る 可 能 性 が 高 い.
の 適 応 は症 例 を 選 び,保 存 的 治 療 が 無 効 の 時 や 痛 み が 一 方 で は鼓 膜 切 開 術 に有 意 の治 療 効 果 を 認 め た 報 告
McCracken3)は
の 急 性 乳 突 洞 炎 の う ち31例 が 大 量 の 抗 生 物
Otitis Media
studyの
川 ら13)に よ って も指
摘 さ れ て い た.こ う し た 中 耳 炎 の 一 連 の 病 態 に着 目 し,
結果
も多 い.Hawkinsら10)はretrospective か ら,54例
急 性 中 耳 炎 と滲 出 性 中 耳 炎 の 一 連 性 に つ い て は,以 前 か らJuhnら19),Teeleら20),芦
とれ な い 時 に行 う と し て い る.
一 疾 患 に お け る病
乳 幼 小 児 の 急 性 中 耳 炎 をAcute with
Effusion(AOME)と
表 現 して い
質 の 投 与 と鼓 膜 切 開 術 に よ る保 存 的 治 療 に よ り治 癒 で
る.文 献20)の 検 討 か ら,AOME患
き,早 期 に鼓 膜 切 開 す る ほ ど入 院 期 間 が 短 か か っ た と
β-ラ ク タ マ ー ゼ 耐 性 菌 が 起 因 菌 とな っ て い るが,治 療
述 べ て い る.こ
は ア モ キ シ シ リン で も十 分 で あ る と し て い る.こ の 保
れ は 鼓 膜 切 開 に よ り乳 突 洞 な ら び に 鼓
室 か らの 十 分 な 排 膿 と換 気 が 得 ら れ た こ と を示 唆 して
存 的 治 療 終 了 時 に は ま だ 約60%に
い る.
れ る が,1ヵ
最 近 の 本 邦 で の 報 告 を見 て み る と,鼓 膜 切 開 術 に積 極 的 な 意 義 を認 め る もの が 多 い.安 部 ら11)は救 急 外 来 に お け る小 児 急 性 中耳 炎 に つ い て 報 告 し,鼓 膜 切 開 術 の 目 的 は 疼 痛 の 軽 減 と排 膿 で あ っ た と して い る,切
開
児 の 約20∼25%で
中 耳貯 留液 が認 めら
月 後 で は約40%,2ヵ
3ヵ 月 後 で も5∼10%に
は
月 後 で は約20%,
滲 出 液 が 認 め ら れ る と記 述 し
て い る. Yoonら21)は10歳
未 満 の129人 か ら得 た251個 の 側 頭
骨 を 用 い て 形 態 学 的 研 究 を行 い,中
耳 貯留 液 の性状 か
日耳 鼻
森 ・他=急 性滲 出性 中耳 炎
ら滲 出 液 を伴 う 中耳 炎 を,SOME: with
effusion,
POME:
effusion, MOME: の3型 SOMEに
に 分 類 し て い る.急
otitis media
otitis media
と述 べ て い る.こ AOME(急
参考 文献 1) Liden
with effusion
認 め られ,慢 性 炎 症 所 見 はMOMEに
移 行 し,MOMEは
with
性 炎 症 所 見 はPOMEと
く認 め られ る と し て い る.ま MOMEに
serous otitis media
purulent
mucoid
recurrences
Value
of myringotomy.
study
膿 性 滲 出 性 中 耳 炎)は
with
下 部 は む し ろ 陥 凹 し て い る鼓 腰 所 見 を,鼓 膜 切 開 術 の
5) Paparella
中 耳 炎 と 一 連 の 疾 患 で あ り,McCrackenの
言 う
media.
性 滲 出 性 中 耳 炎)
6) Howie
と呼 ん で も よ い病 態 で あ る と考 え て い る.急
Management
Yoon
TH
et al: of otitis
99:17-22,1990. J:
The
Am J Dis Child
尾 寛 治:小
"otitis-
129:676-678,
児 科 医 に よ り発 見 さ れ た 乳 幼
鼻 臨 床80:1377-1385,1987.
GE, Girgis
mastoiditis.
Chapt.
TF: 28.
Acute
otitis media and
in Paparella
WB Saunders,
MM et al Philadelphia,
II, 1991, pp1343-1348. CD: Diseases
chian tube-middle
法 は精 密 で 高 度 と な り,薬 剤 も長 足 の 進 歩 を遂 げ た 現
MM et al
在 で も,急 性 中 耳 炎 の 診 断 と治 療 に お い て は,顕
Philadelphia,
微鏡
10) Hawkins toiditis
とい って た だ 単 に 抗 生 物 質 な ど を 投 与 す る よ うな 医 療 11)
(ed)
12)
Chapt.
of the eusta-
26.
Otolaryngology.
in Paparella WB Saunders,
II, 1991, pp1289-1315.
DB, Dru D, House
JW et al:
A review
Acute
of 54 cases.
masLaryn-
93:568-572,1983.
安 部 治 彦,井 上 都 子,河 原 秀 明:救 急 性 中 耳 炎.耳
とは,こ れ か ら の 耳 鼻 咽 喉 科 医 で あ る我 々 の 使 命 で あ
and disorders
ear.
in children:
goscope
を す るの で は な く,そ の 中 耳 炎 に鼓 膜 切 開 術 の 適 応 が
中 嶋 慶 則,服
急 外来 にお け る小 児
展32:65-69,1989. 部 康 夫:小
児 急 性 中 耳 炎 の 臨 床 的 観 察.
日耳 鼻92:347-352,1989.
,急 性 感 染 症 が 未 治 療 で 放 置 さ
13)
れ た り,不 適 切 に 治 療 さ れ た りす る こ と に原 因 が あ る と考 え ら れ て い る.鼓
PA,
JH, Sloyer
condition.
児 の 中 耳 炎.耳
基 礎 医 学 は著 し く進 歩 し,臨 床 医 学 に お い て も検 査
る と考 え る. 一般 に慢性 感染 症 は
他:
の 病 因 ・病
of the continuum
Ann Otol Rhinol Laryngol
9) Bluestone
あ る か ど うか を 見 極 め 適 確 に 対 処 で き る よ う に す る こ
otitis media J 7:442-445,
喉56:655-660,1984.
Schachern
VM, Ploussard
8) Shambaugh
る こ とな く施 行 す べ き で あ る こ と は 言 う まで も な い.
下 の 観 察 も含 め た 視 診 が 重 要 で あ る.鼓 膜 が 赤 い か ら
Dis
mastoiditis-そ
(ed) Otolaryngology. お わ りに
141
1975.
が,換 気 チ ュ ー ブ 留 置 術 な ど を 要 す る場 合 に は 躊 躇 す
6.
or
Lancet:
of acute
Infect
correlates
7) 佐 藤 昭 美,飯
す る こ と に よ り換 気 を促 進 す る こ と も重 要 で あ る.症 例 に よ っ て は 頻 回 に 鼓 膜 切 開 す る こ と も必 要 で あ る
MM,
prone"
正
な抗 生 物 質 の 投 与 だ け で な く,鼓 膜 切 開 し排 膿 ・排 液
N et al: Randomised
in infants.
Pediatr
Otopathologic
性滲 出性
中 耳 炎 の 治 療 す な わ ち そ の連 続 性 を 断 つ た め に,適
106:441
泰 雄,星 野 知 之,鈴 木 一 元,芹 沢 泰 博,藤 川 和 成
出性
with Effusion(急
GH:
effusion.
を必 要 と す る よ うな 乳 幼 小 児 の 急 性 中 耳 炎 は,滲
Acute Oitis Media
otitis media
態 お よ び 治 療-.耳
診 時 に鼓 膜 切 開 術
of
media;
amoxycillin/clavulanate,
成 人 に み ら れ るsubacute
狭 義 に と ら え て い た と解 釈 され る.
今 回 の 検 討 を終 え た 現 在 で は,初
otitis
1988. 4) 森
性 の滲 出 性 中 耳 炎 に急 性 中 耳 炎 が 併 発 した と考 え られ る が,AOMEを
Treatment
Acta otolaryngol
D, Cohen D, Strauss
3) McCracken
れ は潜 在
M:
purulent
-143 ,1989.
同 義 語 と考 え られ る.
に 掲 げ た.こ
of acute
of myringotomy,
both for acute
著 者 ら は,後 上 部 の膨 隆 が 著 しい に も か か わ ら ず 前
適 応 条 件 で あ る局 所 所 見 の1つ
A, Thore
early
2) Engelhard
慢 性 中耳 炎 に移行 しうる
のPOME(化
M, Flodstrom
-447 ,1988.
よ り強
たPOMEとSOMEは
性 滲 出 性 中 耳 炎)の
95-63
室 形 成 術 な どの 適 応 とな る慢 性
中耳 炎 症 例 は現 在 な お 多 数 存 在 し て い る22).し か し発 症 頻 度 と反 復 性 の 高 い乳 幼 児 期 に 発 病 す る 急 性 滲 出 性 中耳 炎 と呼 ぶ べ き病 態 を 適 切 に治 療 して い れ ば,小
児
期 の 滲 出 性 中 耳 炎 の 発 症 頻 度 は 低 下 し,ひ い て は 癒 着 性 中 耳 炎 や 真 珠 腫 性 中 耳 炎 も含 め て 慢 性 中 耳 炎 の 発 現 す る 可 能 性 の 芽 を断 つ こ とが で き る と考 え られ る.
芦 川 英 通,山 根
仁:0歳
児 急 性 中 耳 炎 の 統 計 的 観 察.
耳 鼻 臨 床80:1827-1832,1987. 14)
浦 野 正 美,高 橋 的 観 察.耳
15) Harsten acute
姿,中 野 雄 一:小
児急 性 中 耳炎 の 臨床
展32:353-360,1989.
G, Prellner otitis
K, Heldrup J
media.
Acta
et al:
Otolaryngol
Recurrent 107:111-
119,1989. 16) Harsten failure
G, Prellner in acute
K, Heldrup
otitis
media.
J et al: Treatment Acta
Otolaryngol
95-64
森 ・他=急
108:252-258,1989. 17)
森
泰 雄,園
炎 の5症 18)
Ann Otol Rhinol Laryngol
田 真 紀 子,星
例.耳
星 野 知 之:外
1992
性 滲 出性 中 耳 炎
野 知 之,野
末 道 彦:耳
性髄 膜
喉56:497-502,1984. 科 治 療-鼓
室 形 成 術-慢
99:23-27,1990. 性 化 膿 性 中 耳 炎.耳 喉 ・頭 頸
No.
11金
出 性 中 耳 炎. 原 出 版,東
ご校 閲 頂 きま した浜 松 医 科 大 学 耳 鼻 咽喉 科 学 教 室 野 末 道 彦 教授 に深 謝 します.ご 指 導頂 い た星 野知 之助 教 授 に深
京,1989,187-193頁.
19) Juhn SK, Paparella
星 野 知 之:鼓
62:1061-1066,1990.
膜 穿 刺 ・切 開.滲
耳 鼻 咽 喉 科 ・頭 頸 部 外 科MOOK
22)
MM, Kim CS et al: Path-
く謝 意 を表 し ます.
Ann Otol Rhinol Laryn-
な お 本論 文 の 一部 は,第31回日 耳 鼻 静 岡 県地 方部 会学術
gol 86:481-492,1977. 20) Teele DW, Klein JO, Rosner BA: Epidemiology of otitis media in children. Ann Otol Rhinol Laryn-
講 演 会 な らび に第18回 日 本 臨 床耳 科 学会 講 演 会 にお いて発
ogenesis of otitis media.
gol 89: Suppl 68:5-6,1980. 21) Yoon TH, Paparella MM, Schachern
表 した.
(1991年4月19日
PA: Mor-
phometric studies of the continuum of otitis media.
別 刷 請 求先
〒421-04榛
受稿
1991年7月26日
受 理)
原 郡 榛 原町 細 江2887-1
榛 原 総合 病 院 耳鼻 咽 喉科
森
泰雄