1523

日 内 分 泌 会 誌.(Foliaendocrino1.jap.)55,1523∼1533.1979

未 梢 血 漿 中のACTH分

泌 調 節 因子

岡山大学医学部第三内科 橋

本

浩

三,柚

木

昌

高

原

二

郎,大

藤

真

Factor(s) Controlling the Secretion of Adrenocorticotropin (ACTH) in Peripheral Plasma Kozo HASHIMOTO, Sho YUNOKI, Jiro TAKAHARA and Tadashi OFUJI Third Department of Internal Medicine, Okayama UniversityMedicalSchool, Okayama 700, Japan The factor(s) controlling the secretion of ACTH in peripheral plasma are not well known. The effects of non-extracted and extracted plasma on ACTH secretion were investigated

using rat anterior

pituitary

cell cultures. Medium ACTH was assayed by

radioimmunoassay, and the corticotropin releasing activity (CRA) was expressed as ACTH released. One hundred ul of non-extracted plasma showed significant CRA, whereas greater volumes of plasma showed reduced activity. Non-extracted reduced the secretion of ACTH evoked by hypothalamic extracted

plasma (250-500u1)

rather

extract (HE). When plasma was

with 0.2 N-acetic acid-acetone and divided into an acid phase and an acetone-

ether phase by adding ether, the CRA was recovered in the acid phase while no significant activity was observed in the acetone-ether phase. The acid phase extract of plasma showed a positive dose-response relationship between the amount of plasma extract (50-800 ul plasma equivalent) and ACTH release in pituitary cell cultures. The organic phase of plasma extract inhibited HE-induced release of ACTH, and this ACTH-release inhibiting activity was presumed to be corticosterone. When the acid phase extract of 20 ml plasma was applied to a Sephadex G-25(fine) and eluted with 0.2 N acetic acid, two peaks of CRA were observed. One eluted in the region of void volume and another eluted in the retarded region where no activity was found in chromatography of HE. HE increased both ACTH and cyclic AMP release, but the plasma extract reduced cyclic AMP release. These results suggest that plasma contains both CRA and ACTH release inhibiting activity which can be extracted separately, and that plasma CRA is different from the hypothalamic corticotropin releasing factor.

第55巻

第12号

未梢 血 漿 中 のACTH分

1524

泌 調節 因子(橋

緒

言

視 床 下 部 の正 中 隆 起 部 よ り分 泌 さ れ たACTH放 体 前 葉 に 到 達 し てACTHを

放 出 させ,0方

下 垂 体 に 抑 制 をか け,ACTH分 と こ ろ で あ るが,未

副 腎 か ら分 泌 され た 糖 質 コ ル チ コ イ ドが,視 床 下 部 及 び 泌 の 調 節 機 構 は 一 般 に 認 め られ て い る 3) 泌 調 節 因 子 に 関 す る報 告 は 少 な い 。Brodishら は視

定 系 に お い て,強

度 の ス トレ ス を加 え られ た 視 床 下 部 障 害 ラ ッ

活 性 が 上 昇 す る こ と を報 告 し て い る 。 ま た,Yasud、&161Greerはinvitr。

系 で や は り無 抽 出 の 血漿 がACTH放

出 活 性 を示 す こ と を報 告 し て い る 。 我 々 は,今 回,ラ

体 前 葉 細 胞 の 単 層 培 養 系 を用 い たCRF測 垂 体 か ら のACTH分

垂 体 門 脈 を 経 由 して 下 垂

泌 を抑 制 す る とい うACTH分

床 下 部 破 壊 ラ ッ トを用 い たCRF測

定 系 を 利 用 して,無

ッ ト下 垂

抽 出 な い し抽 出 し た 未 梢 血 漿 が,下

験

方

法

漿 サ ンプ ル

実 験 に は 体 重200 一 350 gのSpraque-Dawley雄

ラ ッ トを使 用 し,無 麻 酔 下 に 断 頭 屠 殺 し て 採 血 し,

遠 沈 し て 血 漿 を分 離 し 一20℃ に 保 存 す るか,抽 出 に供 した 。血 漿 の 抽 出 は,3倍 セ トン(0.2規

定 の 濃 度 に 酢 酸 を 含 む ア セ トン)を 加 え混 和 し,蛋

そ れ と等 量 の エ チ ル ・エ ー テ ル を加 え て 混 和 し,こ れ を水 層(酸 エ ― テ ル 層)に

分 離 し,水

層 は凍 結 乾 燥,有

の メ タ ノ ー ル を 加 え て 除 蛋 白 し,上 メ タ ン 層 に 分 け,そ

量 の0.2N酢

酸 ・ア

白成 分 を遠 沈 除 去 した 後,上 清 に 性 層)と

有 機 溶 媒 層(ア

機 溶 媒 層 は 完 全 に 蒸 発 乾 固 し た 。 ま た,血

清 に ジ ク ロ ル メ タ ン を加 え て,水

れ ぞ れ を蒸 発 乾 固 させ た 。 実 験 に は 直 前 に,こ

セ トン ・

漿 に3倍

視 床 下 部CRFと

れ ら抽 出 乾 固 物 に,抽

出に提 供 加 えて

を使用 した。 して はNIHよ

alamicextract(HE)/0.1mlと

2.下

量

・メ タ ノ ー ル 層 とジ ク ロ ル

した 元 の 血 漿 量 に 相 当 す る 量 のDulbecco'smodifiedEaglemedium(DMEM:GIBCO)を 再 溶 解 し,そ の0部

DMEMで

の

泌 に い か な る影 響 を及 ぼ す か に つ い て 検 討 し た 。 実

1.血

出 因 子(CRF)が,下

梢 血 中 に 存 在 す るACTH分

トの 未 梢 血 中 にCRF様

本,他3名)

り提 供 さ れ たNIAMD-Rat-HE-RP-1を0.01N-HC1で5hypothな る よ う希 釈 して 凍 結 保 存 し,実 験 直 前 に 適 当 な 濃 度 に な る よ う,

希 釈 して 使 用 した 。 垂体 前葉 細胞 の単 層培 養

SpraqueDawley又

はWistar系

nks-HEPES緩

遊 離 細 胞 と し た 。 即 ち,下 nks-HEPES緩

雄 ラ ッ ト(200―350g)を

断 頭 屠 殺 し,下 垂 体 前 葉 を と りだ しHa13) の方法 に 多 少 の修 飾 を加 え て

衡 液 中 で メ ス で 細 片 に き ざ ん だ 。 そ れ ら をValeら 垂 体 を0.3%collagenaseと

衡 液 中 で45分 間,95%O、,0.5%CO,の

沈 に て 上 清 を 除 去 後,0.25%pancreatinと1%BSAを

牛 血 清 ア ル ブ ミ ン(BSA)を

含 む10mlのHanks-HEPES緩

に10分 間,温 浴 中 で振 盟 させ,細 胞 の 遊 離 を完 全 に した。遠 沈 に て上 清 を除去 後,10%馬 児 血 清,1%非

含 む10mlのHa-

ガ ス 下 に37℃ の 温 浴 中 で 振 盤 させ,つ

いで 遠

衡 液 中 でさら 血 清,2.5%牛

胎

必 須 ア ミ ノ酸(GIBCO)fungisone(2.5μ9/ml)penicillin(50U/ml),strepto-

mycin(50μg/ml)等

を含 むDMEM(PH7.4)3m1を

用 い て,4∼5回

遠 沈 操 作 を く り返 す こ と

に よ り細 胞 を 洗 浄 し た 。 洗 浄 し た 細 胞 を最 終 的 にDMEMに

再 浮 遊 させ,減

の 培 養 皿(Falcon,35mm×10mm)に2-4×105/1.5mlと

な る よ うに 調 整 して 加 え た 。通 常1下

垂

体 よ り3皿 を 得 た 。 こ れ ら を95%air,5%CO2,水

蒸 気 の 充 満 し た37℃ の イ ンキ ュベ ー タ0中

で

4日 間 培 養 した 。

第55巻

第12号

菌 した プ ラ ス チ ッ ク 製

日 3.CRF活 培 養4日

内

分

をCRF及

び 分 泌 さ れ たACTHの

ベ ー タ 中 で3∼4時 含 むDMEMを

の 後 材 料 を溶 解 し たDMEMを

に 保 存 してACTHの

1525

誌

加 え た 。 ま た,ト

ラ ジmル100μ1(1.000U)

崩 壊 を 防 ぐ目的 で加 え,総 量 が2.Omlと

な る よ う に し て,イ ンキ ュ

加 えて

混 入 をチ ェ ッ ク し た 。 培 養 後 メ ジ ウ ム を集 め,-20℃

測 定 に供 した 。 試 料 中 にACTHの 泌 量 を 求 め た 。cRF活

混 入 が あ る 場 合,そ れ を メジ ウム 中 の 総AC性 は 各dishに

分 泌 さ れ たAcTHの

量 で示

表 現 した。

4.SephadexG-25に 血 漿20mlを0.2N一 た 。 これ を0.2M酢

よ る 血 漿CRF活

性 の ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー

酢 酸 ・ア セ トン で抽 出 し,エ ー テ ル を加 え て 脱 脂 し た もの の 水 層 を凍 結 乾 燥 し 酸 に 溶 解 し,sephadexG-25(fine)の1×60cmの

用 い て 溶 出 し,3mlず

カ ラ ム に 加 え,0・2M酢

つ の 分 画 を 集 め そ れ ぞ れ を凍 結 乾 燥 して,酢 酸 を除 去 し,DMEMで

養 細 胞 に 加 え,そ

れ ぞ れ の 分 画 のCRF活

酸 を

再 溶解 し

性 を検 定 し た 。

ジ オ イ ム ノア ッセ イ

メ ジ ウ ム 中ACTHは はNIH提

雑

血 漿 量 と同 量 加 え た 。細 胞 を含 ま な い培 養 皿 に も試 料 を含 むDMEMを

よ り差 引 い て 真 のAcTH分

しng/cultureで

5.ラ

会

間 静 置 培 養 し た 。又,無 抽 出 の 血 漿 を培 養 細 胞 に加 え る場 合 は,対 照 群 に は5%

同 様 に イ ン キ ュ ベ ー ト し,試 料 中 のACTHの

て,培

学

後 に 培 養 皿 に 附 着 した 細 胞 を,抗 生 物 質 と非 必 須 ア ミ ノ酸 を 含 む(血 清 は含 ま ない)DM洗 浄 し,そ

TH量

泌

性 測定 法

EMで2回

BSAを

本

供 の1-39

抗 ブ タACTH抗 ACTHを

体 を希 釈 して 最 終 希 釈3500倍

用 い た 。 最 少 検 出感 度 は25pg/tubeで

測 定 が 可 能 で あ っ た 。cyclicAMPはYAMASAcyclicAMP測 検 出感 度 は12.5fmol/tubeで

Fig. 1.

で測定 した。 標 識 及び標 準 品に メ ジ ウ ム50μ1を 用 い て,直

あ った。

Effect of non-extracted rat plasma on ACTH release in pituitary cell cultures. ACTH RELEASE (ng/culture) indicates the amount of ACTH released in each dish.

第55巻

接

定 キ ッ トを 用 い て 測 定 し た 。 最 少

第12号

未梢 血 漿 中 のACTH分

1526

泌調 節 因子(橋

結 1.無

抽 出 血 漿 のACTH分

無 抽 出 血 漿 の100∼500μ1を ら か なACTH活

果

泌 に及 ぼ す 影 響 培 養 細 胞 系 に加 え て イ ン キ ュ ベ0ト

性 を 示 し た が,そ

出活 性 が 認 め られ た(Fig.1)。

び500μ1の 血 漿 を視 床 下 部 抽 出 物(HE)と

床 下 部 抽 出 物 に よ るACTH分

HEに

泌 に 相 加 的 影 響 を 認 め た が,500μ1血

よ るACTH分

Fig. 2.

Fig.

3.

し た 所,100∼200μ1の

泌 に 及 ぼ す 影 響 を検 討 した 所,100μ1血

Effect of non-extracted rat plasma on hypothalamic extract (HE)-induced release of ACTH in pituitary cell cultures. HE-induced ACTH release is inhibited by adding 500/21plasma.

cell

of acid-acetone cultures.

acetone-ether pended

extract

Acid-acetone phase

in a volume

by

of

rat plasma

extract

was

adding

of DMEM

ether. equal

第55巻

on

devided Each

ACTH into

extract

to the original

第12号

共 に,培 漿 は0.03

漿 の 添 加 で は そ れ を 認 め ず,反 対 に0 .3HE

泌 を 明 ら か に 抑 制 した(Fig.2)。

Effect

血漿 は 明

れ 以 上 の 量 で は 活 性 は む し ろ低 下 す る と い う,二 相 性 のACTH放 又,100μ1及

養i細胞 に加 え て,視

に よ るACTH分

本,他3名)

release an was

plasma

acid

in pituitary phase

dried volume.

and

and

an

resus-

日 2.血

漿 か ら のCRF活

本

内

分

学

会

雑

1527

誌

性 の抽 出

血 漿 を 酢 酸 ア セ トン で 抽 出 した 乾 固 物,な 水 層 とア セ ト ン ・エ0テ た 所,水

泌

い し酢 酸 ア セ トン で抽 出 した 上 清 に エ ー テ ル を加 え て

ル 層 に分 離 して 蒸 発 乾 固 させ た,そ

層 の 方 にCRF活

性 が 回 収 さ れ,ア

れ ぞ れ の 乾 固 物 のCRF活

セ トン ・エ0テ

ル 層 に はCRF活

性 を検 討 し

性 は認 め られ なか った

(Fig, 3 ) o 酢 酸 ア セ ト ン抽 出 物 そ の もの のCRF活 い た め,DMEMへ 固 物 と,メ

性 は,む しろ 水 層 抽 出 物 の そ れ よ り低 く,これ は 脱 脂 し て な

の 溶 解 が 充 分 で な い た め と も考 え ら れ た 。ま た5血 漿 を メ タ ノー ル で抽 出 した 乾

タ ノー ル 抽 出 物 を更 に ジ ク ロル メ タ ン で脱 脂 し た場 合 の,水

メ タ ン 層 のCRF活

性 を検 討 し た 所,水

・メ タ ノー ル 層 と ジ ク ロ ル

・メ タ ノ ー ル 層 に最 も高 いCRF活

性 が 回 収 され た(Fig.4)

脱 脂 して い な い メ タ ノ0ル 抽 出 物 そ の もの のCRF活

性 は,水

も こ の 乾 固 物 がDMEMに

と考 え られ た 。 な お,試

充 分 溶 解 し な い こ とが0因

・メ タ ノー ル 層 の それ よ り低 く,こ れ 薬 ブ ラ ン ク と し て,蒸

留 水 に こ れ ら抽 出 用 の 有 機 溶 剤 を加 え て 同様 に 処 理 し た場 合 の,そ れ ぞ れ の 乾 固 物 はACTHの

放出

に影 響 を与 え な か っ た 。

Fig.

4.

Effect

of

cultures. and

methanol

extract

of rat

Methanol

extract

of

a dichlormethane

視 床 下 部 抽 出物o.25HEに 単 独 で は 著 名 なCRF活 0.25HEと

phase

plasma

plasma

by adding

on ACTH

was

devided

血 漿250μ1を 加 え た 場 合 のCRF活

よ るACTH分

into

CRFに

よ るACTH分

性 をFig.5に

活 性 と共 に,視 床 下 部CRFに

示 し て い る 。o・25HE 漿250μ1と

泌 を有 意 に 抑 制 し た 。 こ れ ら の 混 合 物 を 酢 酸 ア セ 層 が 最 も高 いCRF活

性 も水 層 に 抽 出 さ れ る こ と を示 す と と も に,血

泌 を抑 制 す る物 質 が,エ

ま た 。 こ の抑 制 活 性 はACTHの

cell phase

意 の 活 性 を示 さず,又,血

トン で抽 出 し,エ ー テ ル に て 水 層 と有 機 溶 媒 層 に 分 離 し た場 合,水 た 。 こ れ は視 床 下 部CRF活

in pituitary a methanol

dichlormethane.

性 を示 し,血 漿250μ1単 独 で は,有

の 添 加 で は,0.25HEに

release

性 を示 し

漿 に 存 在 す る視 床 下 部

ー テ ル ・ア セ トン層 に 除 去 さ れ る こ とを示 してい る 。

基 礎 分 泌 に は 有 意 の 影 響 を 示 さ な か っ た 。以 上 よ り血 漿 にはCRF様 よ るACTH分

泌 に 抑 制 的 に 働 く物 質 が 存 在 す る こ とが 示 さ れ た 。 こ

れ ら を よ り明 らか に す る た め 以 下 の 実 験 を行 っ た 。 第55巻

第12号

1528

未梢 血 漿 中 のACTH分

Fig. 5.

Effect of acid-acetone extracts

泌 調 節 因子(橋

本,他3名)

of rat plasma and hypothalamic

extract

(HE) on ACTH release in pituitary cell cultures. When 2501.41plasma containing 0.25 HE was extracted with acid-acetone and separated into an acid phase and an ether-acetone phase, the acid phase retained virtually all of the corticotropin releasing activity in the ether-acetone phase .

Fig.

6.

Dose-response and shows

3.血

ACTH

relationship release

positive

漿 抽 出 物 のACTH基

血 漿 を酢 酸 ア セ トン,次 し,そ れ らの20∼800μ1の

dose-response

the

cell

amount

cultures

. Acid

of

rat

phase

plasma

extracted

extract

of plasma

relationship.

礎 分 泌 に及 ぼす影 響 い で エ ー テ ル で処 理 した 時 の 水 層 抽 出 物 を乾 固 し

,そ れ をDMEMで

血 漿 相 当 量 を培 養 細 胞 に加 え た 場 合,こ

は正 の 用 量 反 応 関 係 が 認 め ら れ た(Fig 相 当量 は,ACTH基

between

in pituitary

.6)。

又,ア

セ ト ン ・エ ー テ ル 層 乾 固 物 の50∼500μ1血

礎 分 泌 に 有 意 の 影 響 を 与 え な か っ た(Fig 第55巻

れ らの 抽 出 物 と そのCRF活

第12号

.7)。

溶解 性に 漿

日

Fig. 7.

4.血

本

内

分

泌

学

雑

Effect of acid-acetone extract (acetone-ether ACTH release in pituitary cell cultures.

漿 抽 出 物 の視 床 下 部CRFに

よ るACTH分

HEと

共 に 培 養 細 胞 に 加 え た 場 合,200∼400μ1の

TH分

泌 を抑 制 し た(Fig.8)。

1529

誌

phase) of rat plasma on

泌 に及 ぼす影響

血 漿 の ア セ トン ・エ ー テ ル 層 抽 出 乾 固 物 をDMEMに

Fig. 8.

会

溶 解 し て,そ の100∼400μ1血

漿 相 当 量 をO.25

血 漿 相 当 量 は 容 量 反 応 的 に,0.25HEに

Effect of acid-acetone extract (acetone-ether phase) of rat plasma on hypothalamic extract (HE)-induced release of ACTH in pituitary cell cultures. 第55巻

第12号

よ るAC-

1530

未 梢 血漿 中のACTH分

Fig. 9.

5.血

漿CRF活

泌調 節 因 子(橋

本,他3名)

Sephadex G-25 (fine; 1 X 60cm) chromatography of rat plasma cortico tropin releasing activity. Acid phase extract of 20m1 plasma was applied and eluted with 0.2M acetic acid. 性 のSephadexG-25に

血 漿 水 層 抽 出 物 をSephadexG-25で き た 。 一 つ はvoidvolumeに れ て 溶 出 さ れ た 小 ピ0ク

よ る ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー 分 離 し た 場 合,二

近 く,ACTHよ

つ のCRF活

性 の ピ ー ク を認 め る こ とが で

り 前 に 溶 出 さ れ た 大 き い ピ ー ク で あ り,他 は つ っ と遅

で あ っ た 。Na+やK+が

溶 出 され た 部 位 に は 明 らか な 活 性 を認 め 得 なか っ た

(Fig,9)。

Fig. 10.

Effect of hypothalamic extract (HE) and plasma (acid phase extract) on cyclic AMP release in pituitary cell cultures. HE increases cyclic AMP release but plasma extract reduces cyclic AMP release. 第55巻

第12号

日

6.血

本

内

漿 水 層 抽 出 物 のcyclicAMP放

血 漿 水 層 抽 出 物100,400μ1及

泌

学

会

雑

1531

誌

出に及 ぼす影 響

び0.25HEを

ル を 測 定 し た結 果 をFig.10に

培 養 細 胞 に 加 え た 時 の メ ジ ウ ム 中cyclicAMPレ

示 した 。 抽 出 され た 血 漿 に はcyclicAMPは

に は3.5 pmo 1のcyclicAMPが 放 出 を促 進 し た が,血

分

検 出 され た 。0.25HEの

漿 抽 出 物 はACTHの

ベ

検 出 で き ず,0.25HE

添 加 は 有 意 に メ ジ ウ ム 中へ のcyclicAMPの

分 泌 と は 逆 にcyclicAMPレ 考

ベ ル を低 下 させ た 。

按 1)

血 漿 中 のCRF活 血 漿 のACTH放

性 に 関 す る報 告 は 少 な い 。1962年BrodishとLongは

交 換 血 液 循 環 法 を用 い て ・

出 活 性 を報 告 して い る。 そ の 後,視

加 え た 場 合,血

漿 にCRF活

床 下 部 障 害 ラ ッ トに 持 続 的 で 強 力 な ス トレ ス を 12) 性 が 上 昇 す る こ とがLymangroverとBrodishに よ り報 告 さ れ て い る。

Invitr。 の 方 法 で はYasud、

とGree,16み 下 垂 体 細 胞 の 単 層 培 養i系を 用 い て,無 抽 出 の 血 漿 にCRF活

性 を証 明 して い る 。 今 回 の 我 々 の 検 討 で は 無 抽 出 の 血 漿 は 二 相 性 のACTH放 250∼500μ1の ACTH分

血 漿 は 視 床 下 部 抽 出 物 に よ るACTH産

泌 に 刺 激 的 に 働 く因 子 と視 床 下 部CRFに

出 活 性 を 示 し,又,

生 に 抑 制 的 に働 く こ とが 認 め られ ・ 血 漿 に は 拮 抗 的 に 働 く因 子 とが 存 在 す る こ とが 示 唆 さ れ,

そ れ ら を 分 離 し て 抽 出 す る こ とが 可 能 で あ っ た 。 有 機 層 に 抽 出 さ れ た 抑 制 因 子 は,視

床 下 部 抽 出 物 に よ るACTH分

分 泌 は 抑 制 し なか っ た 。又,無 抽 出 の 血 漿 が 二 相 性 のCRF活 血 漿 のCRF活

有 機 層 に 抽 出 さ れ て お り,Fig.6に

相 当 量 を加 え た場 合 の,メ は,、-1。

床 下 部CRFに

ACTH分

示 した 実 験 に 於 い て,有 機 層 抽 出 物 の400μ1血 漿

ジ ウ ム の 最 終 コ ル チ コ ス テ ロ ン 濃 度 は23ng/mlで

。ng/mlの

よ るACTH分

す る に は,こ

厳

床 下部 外性 の調 節騰

た る 役 割 を は た して い る こ とは よ く認 め られ て い る と こ ろ

の 存 在 も示 唆2)5)さ れ て い る.Br・dish3)は 梢 血 中 に 上 昇 す るACTH放

がACTH放

性 が,こ

充 分 で は な い が,少 SephadexG-25に idvolumeに0致

く と もK+やcyclicAMPで

AMP),th-

知 の 物 質 で あ るか につ い て は 今 回 の 検 討 で は

性 は,視 床 下 部CRF活

し た ピ ー ク と そ れ に 続 く2つ の ピー ク)と

性 の 抽 出 部 位(vo-

は 異 な る部 位 に も 溶 出 さ れ る こ とや,

放 出 を促 進 す る が,血 漿 抽 出 物 で は そ れ が 認 め ら れ な い こ と よ り,

は 異 な るCRF活

性 が 存 在 す る こ とが 示 唆 され た 。 こ れ ら の 本 体,性

等 に つ い て は 今 後 の 検 討 力泌 要 で あ る.16) Yasudaら

は種 々 の 条 件 下 で 有 意 の 変 化 を示 さ な か っ た と して い るが,抽

は 無 抽 出 の 血 漿 で は そ のCRF活 出 し たCRF活

必 要 が あ る と思 わ れ る。 い ず れ に して も,無 抽 出 血 漿 が 二 相 性CRF活 出 活 性 を 示 さ ず,視

cyclic

は な い こ とは 今 回 の 結 果 よ り明 らか で あ る 。 又,

よ る分 離 の 結 果,血 漿 抽 出 物 のCRF活

血 漿 に は 視 床 下 部CRFと

ラッ

出 促 進 作 用 を有 す る こ とが 報 告 さ れ て い る ・ 今 回 認 め ら れ た 血

れ ら の い ず れ か で あ るか,又,未

視 床 下 部 抽 出 物 はcyclicAMPの

視床 下部磯

出 活 性 を,組 織 性CRFと

名 づ け て い る 。 又,vas。4 pressin)・6)・9),angi。13 tensin)II,n・15) repinephrine,11 e。11 phyllin,)K+10)等

がACTH放

基 礎 分 泌 及 び視

漿 の 抑 制 活 性 を コ ル チ コス テ 「 ロン と

の 点 に 問 題 が 残 る。

トに 強 力 な ス トレ ス が 加 え られ た 場 合 に,末

生理 的議

あった。我 々 の以前 の

の コ ル チ コス テ ・ ン は こ の 測 定 系 で はACTHの

泌 の い ず れ を も抑 制 し て お り,血

泌 調 節 に視 床 下 部CRFが,主

で あ る が,視

漿 中CRF活

基礎

性 に も抑 制 的 に 作 用 す る こ とが 示 唆 さ れ た 。 本 抽 出法 に よ る と・血 漿 コル チ コ ス テ ロ

ン の 約80%は

検 討8)で

泌 を抑 制 した が,ACTHの

性 を示 し た こ とに よ り・こ の 抑 制 活 性 は

床 下 部 抽 出 物 に よ るACTH放

梢 血 液 総 体 と して は,下 垂 体 レベ ル で視 床 下 部CRFに 第55巻

第12号

状, 性

性 を指標 に再 検 討 の

性 を示 し,よ

り多 量 の血漿

出 を む し ろ 抑 制 して い る こ とよ り,末

拮 抗 す る 働 きが 主 で あ り・そ の 抑 制 活 性 が 低

未 梢 血 漿中 のACTH分

1532

下 す る時(例

泌 調 節 因子(橋

本,他3名)

え ば コ ル チ コス テ ロ ン 濃 度 が 非 常 に 低 い 時 や 視 床 下 部 障 害 の あ る時 な ど)に 血 漿CRF

活 性 の 働 きが 前 面 に 出 て く る こ と も推 定 され る 。 著 者 は視 床 下 部 破 壊 ラ ッ トに 持 続 ス トレ ス を加 え た場 合,こ

の 系 で遅 廷 性 に 血 漿CRF活

提 唱 す る 組 織i生CRFと

同0の

性 の 上 昇 を 認 め る こ とが で き た の で,こ の 活性 がBrodishの

物 質 の 可 能 性 も推 定 され る が,そ れ ら につ い て も今 後 の 検 討 が 必 要 で

ある。 結

語

ラ ッ ト下 垂 体 前 葉 細 胞 の 単 層 培 養 系 を用 い たCRF測 液 のACTH分

定 系 を利 用 して,抽 出 な い し無 抽 出 の 未 梢 血

泌 に 及 ぼ す 影 響 に つ き検 討 し以 下 の 結 果 を得 た 。

1)無抽 出血 漿100-200,u1の

血 漿 は 明 らか なACTH放

む し ろ低 下 す る とい う二 相 性 のACTH放 床 下 部 抽 出物 に よ るACTH分

出 活 性 を示 した が,そ れ 以 上 の 量 で は 活性 は

出 活 性 が 認 め ら れ た 。 又,250∼500μ1の

無 抽 出血 漿 は視

泌 を抑 制 した 。

2)血漿 を 酢 酸 ア セ ト ン で抽 出 し,エ ー テ ル を加 え て 水 層 と ア セ トン ・エ ー テ ル 層 に 分 離 し た 所, 水 層 にCRF活

性 が 抽 出 さ れ,有

れ た 。 水 層 抽 出 物 の20∼800μ1血

機 層 に 視 床 下 部CRFに 漿 相 当 量 とACTH分

ア セ トン ・エ ー テ ル 抽 出 物 の100―400μ1血

よ るACTH分

泌 を抑 制 す る 活性 が抽 出 さ

泌 には正 の容 量 反応 関 係 が 認 め られ た 。 又

漿 相 当 量 は,視 床 下 部 抽 出 物 に よ るACTH分

泌 を容 量

反 応 的 に 抑 制 し た 。 こ の 抑 制 因 子 は コル チ コス テ ロ ン で あ る可 能 性 も示 唆 さ れ た 。 3)視 床 下 部 抽 出物 はACTHの

放 出 と共 に,cyclicAMPの

放 出 を促 進 し た が,cyclicAMPの

放 出 は む しろ 低 下 させ た 。

4)血 漿 の 水 層 抽 出 物 をSephadexG-25で て 溶 出 さ れ る ピ0ク

の 二 つ のCRF活

分 画 し た 所,voidv・lumeに

(尚,本

近 い ピ0ク

は 異 な るCRF活

研 究 の一 部 は 著 者 が,BowmanGray医

性 が 存 在 す る こ とが 推 定 さ れ た 。

科 大 学,Dr.AlvinBrodishの

も と で行 っ た も の

論 文 の 要 旨 は 第26回 日本 内 分 泌 学 会 西 部 部 会 総 会 に お い て 発 表 し た 。 文

献

1) Brodish, A. and Long, C.N.H.: ACTH-releasing hypothalamic blood. Endocrinology,

と,ず っ と遅 れ

性 を認め た。

以 上 よ り,末 梢 血 液 に は視 床 下 部CRFと

で あ る こ と を付 記 す る 。 又,本

放 出 も促 進 し た が,血 漿 抽 出物 はACTH

71: 298-306,

1962.

neurohumor in peripheral

2) Brodish, A.: Effect of hy-

pothalamic lesions on the time course of corticosterone secretion. Neuroendocrinology, 5: 33-47, 1969. 3) Brodish, A.: Brain-Pituitary-Adrenal Interrelationships. 128151. Ed, by A. Brodish and E.S. Redgate, Kager, Basel, 1973. 4) Buckingham , J. and Hodges, J.R.: The use of corticotrophin production by adenohypophysial tissue in vitro for the detection 72: 187-193,

and estimation

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trauma in dogs with isolated pituitaries. Endocrinology, 66: 200-210, 6) Fleisher, N. and Vale, W.: Inhibition

of vasopressin-induced

pituitary by glucocorticoids in vitro. Endocrinology, 83: 1232-1236, 7)橋

本 浩 三,高

assayを

原 二 郎,細

用 い たACTH放

木 秀 美,大

藤 信 子,安

出 活 性 のinvitro測

原 東 陽 子,森

正 彦,大

定 法 ― 各 種 薬 剤 のACTH放

第55巻

第12号

藤

1961. ACTH release from the 1968. 眞:ACTHradioimmuno.

出 活 性 一 日内 分 泌 誌,52:114

日

本

内

分

泌

学

会

雑

誌

1533

8) Hashimoto, K., Yunoki, S., Takahara, J. and Ofuji, T.: ACTH , 1976. release in pituitary cell cultures. Effect of neurogenic peptides and neurotransmitter substances on ACTH release induced by hypothalamic corticotropin releasing factor (CRF). Endocrinol. Jap., 26: 103-109, 1979. 9) Hiroshige, T., Kunita, H., Ogura, C. and Itoh, S.: Effects on ACTH release of intrapituitary injections of posterior pituitary hormones and several amines in the hypothalamus. Jap. J. Physiol., 18: 609-619, 1968. 10) Kraicer, J. Milligan, J.R., Gosbee, J.L., Conrad, R.G. and Branson, C.M.: In vitro release of ACTH: Effects of potassium, calcium and corticosterone. Endocrinology, 85: 1144-1153, 1969. 11) Lang, R.E., Hilwig, I., Voigt, K.H., Fehm, H.L. and Pfeiffer, E.F.: Growth in monolayer culture of rat pituitary cells which synthesize and release ACTH. Acta Endocrinol., 79: 421-430, 1975. 12) Lymangrover,J.R. and Brodish, A. Tissue CRF: An extra-hypothalamic corticotrophin releasing factor (CRF) in the peripheral blood of stressed rats. Neuroendocrinology, 12: 225-235, 1973. 13) Maran, J.W. and Yates, F.E.: Cortisol secretion during intrapituitary infusion of angiotensin II in conscious dogs. Am. J. Physiol., 233: E273—E285, 1977. 14) Vale, W., Grant, G., Amoss, M., Blackwell, R. and Guillemin, R.: Culture of enzymatically dispersed anterior pituitary cells: Functional validation of a method. Endocrinology, 91: 562-572, 1972. 15) Vale, W. and Rivier, C.. Substances modulating the secretion of ACTH by cultured anterior pituitary cells. Fed. Proc. 36: 2094-2099, 1977. 16) Yasuda, N. and Greer, M.A.: Demonstration of corticotrophin-releasing activity in rat and human peripheral blood. Acta Endocrinol., 84: 1-10, 1977. 一124

第55巻

第12号