タイ産 植 物 Momordica

と Phyllanthus

charantia

urinaria

抽 出物 の血糖 降 下 作 用(第 一 報) 東野

英 明*， 鈴 木

有 朋*， 田 中

康 雄**，KrisanaPootakham***

近畿 大 学 医学 部 薬 理 学 教 室*，(同)薬 学 部 生 薬 学 教 室** タイ 国 チ ェ ンマ イ大 学 薬 学 部 生 薬 学 教 室*** (1992年7月16日)

要 約:東 南 ア ジ ア地 域 で広 く食 用 に供 され る ニ ガ ウ リ(Momordica charantia:M．c．)は を軽 くす る と伝 え られ ， コ ミカ ン ソウ(Phyllanthus urinaria:P．u．)は

糖 尿 病 の病 状

糖 尿 病 に よ る尿 路 感 染症 を 治癒

させ る との 伝 景 か ら ， タ イ 国 産 の 両 植 物 の 血 糖 降 下 作 用 を ラ ッ トを用 い て 調 べ た ．M．c． とP．u． の50% メ タ ノー ル抽 出 物 は ，30m9/k9の の 血 糖 値 を そ れ ぞ れ25%と24%低

経 口投 与 で3時 間 後 に ス トレプ トゾ トシ ン(SZ)処

下 させ た ， そ の抽 出 物 よ り得 ら れ たM．c． の エ チ ル エー テ ル ，n・ブ タ

ノー ル ， 水 易 溶 画 分 の10mg/kgと30mg/kgの 34，16%SZ処

置高血糖 ラ ッ ト

経 口 投 与 は ，3時 間 後 にそ れ ぞ れ18，26，15%と19，

置 ラ ッ トの 血 糖 値 を低 下 さ せ た ．P．u．の エ チ ル エ ー テ ル ，n・ブ タ ノー ル ，水 易 溶 の各 画

分 は10mg/kgと30mg/kg投

与量 で そ れ ぞ れ6，23，17%と27，39，25%血

ウ糖 経 口負 荷 試 験(1．Og/k9)を

試 み た と こ ろ，両 植 物 のn・ ブ タ ノー ル抽 出物 の30m9!k9の

糖 値 を低 下 させ た ． ブ ド 経 ロ投 与

は 同程 度 に 血糖 上 昇 を遅 延 させ た が ，腹 腔 内へ のブ ドウ糖 負 荷 試 験 で はM．c． が 血糖 値 上 昇 抑 制 作 用 を示 した の に反 し，P．u．で は全 く効 果 が な か った ． した が っ て ，M．c． とP．u． の 両 植 物 は ，n・ブ タ ノー ル に 可 溶 性 の 高 い 中 等 度 非 極 性 の血 糖 降 下 作 用 物 質 を含 み ， そ の 作 用 機 序 は ，M．c． 抽 出 物 で は イ ン ス リン 様 ま た は イ ンス リン を介 して作 用(ス ル フ ォニ ル 尿 素 系(SU)剤

様)す る の に対 し，P．u． 抽 出物 で は糖 代

謝 の促 進作 用 や腸 管 で の ブ ドウ糖 吸 収 抑 制 作 用(ビ グ アナ イ ド系(BG)剤

様)で あ る こ とが 示 唆 され た ．

させ る もの の ， そ れ ぞ れ の 副 作 用 の た めか 延 命 効 果 が 期 緒

言

待 ほ ど大 き くな い ． 古 くか らの伝 承的 治療 法 が故 に ，上

タイ 国 は 熱 帯 か ら亜 熱 帯 に位 置 す る た め多 種 類 の植 物

記 の 薬 草 抽 出 物 が そ れ らの薬 剤 に勝 る作 用 を も って い る

資 源 に 恵 まれ て お り， そ の 中 に は既 知 の薬 物 に優 る薬 効

可 能 性 も否 定 で きな い ． そ こで ， 両植 物 の血 糖 値 低 下 作

を 持 つ薬 用 植物 もあ る の で は な いか と想 像 され る ． ツ ル

用 を ラ ッ トを 用 い て 調 べ ， そ の活 性 度 と利 用 可 能 性 を

レイ シ属 の ニ ガ ウ リ(ル㎞o纏

探 った ．

ακ 加 鵤"勧:M．c．)の

ウ

リ果 汁 は ， タイ ， 西 イ ン ド， 中南 米 諸 国 で糖 尿 病 に 効 果 が あ る と さ れ1)，

トウ ダ イ グ サ 科 の コ ミ カ ン ソ ウ

(．P勿 砺 π飾鋸 π万紹 痴:P．u．)は 中 国 で糖 尿 病 に起 因 した 尿 路 感 染 症 に 頻 用 され る2・3)とい う． 両 植 物 共 ， タイ 国

実

験

方

法

1．被 験 薬 草 と成 分 の抽 出 被 験 薬 草 と して ， チ ェ ンマ イ大 学 農 学 部 で栽 培 され た

に 自生 す る 比較 的 ポ ピ ュ ラー な薬 草 で あ るが ，詳 細 で確

M．c．の 地 上 部 分(葉 と花)お よびP．u．の 地 上 部 分(茎

か な 薬理 作 用 の 研究 は少 な い ．現 在 ，経 口糖 尿 病 薬 と し

と葉)を 用 い た ．採 集 後 温 風(40∼60℃)に

て ス ル フ ォ ニル 尿素 系 と ビ グア ナ イ ド系 の化 合 物 が 主 と

ミキ サ ーで 粉 末 に した ． そ の 粉末 状 試 料 に50%メ

して 皿型 糖 尿 病 に 用 い られ て い るが ，共 に血 糖 値 を 低 下

ルー 水 液 を 加 え ， 数 日間 浸 潰 して 得 た 濾 液 を40℃ 以 下 で

*〒589大 **〒577東

***Chiang

阪 狭 山 市 大 野 東377-2 大 阪 市 小 若 江3-4-1

Mai

, 50002, Thailand

減 圧 乾 固 して 得 た 残 渣 を50%メ

て 乾 燥 し， タノー

タ ノー ル抽 出物 と し， そ

れ よ りエ チ ル エ ーテ ル 易 溶 画分 ，n一 プ タ ノ ー ル易 溶 画 分 ， 水 易 溶 画 分 を 調 製 した ．

操 作 手 順 お よび 各画 分 の収 量 を上 に 示 す ．

行 った ．

これ らの 画 分 を ，10%ポ

4． ブ ドウ糖 負 荷試 験

(PEG)と10%エ

リエ チ レ ン グ リ コ ー ル400

タ ノ ー ル を 含 む 生 理 食 塩 水 に溶 解 し，

ラ ッ トへ の ブ ドウ糖 負荷 試 験 は経 口 と腹 腔 内投 与 法 の

主 と して 胃 ゾ ンデ に よる経 口投 与 法 に よ り動 物 に投 与 し

2法 に 依 った ． す なわ ち，18時 間 以 上 絶 食 したSZ非

た．

置 ラ ッ トを 用 い て ， 薬 液 の経 口投 与20分 後 に20%ブ

2． 使 用 動物 と ス トレプ トゾ トシ ン処 置

糖 液(大 塚 製 薬)を1．Ogブ

血 糖 値 に 対 す る薬 草 抽 出 物 の 影 響 は ，Wistar系 ラ ッ ト(24週 齢 前 後 ， 体 重300∼350g)に トシ ン(ICNBiomedicals)処

置 を し， 糖 尿 病 化 して 観

察 した ． す な わ ち ，50mMク

エ ン酸 緩 衝 液(pH4．5)

に ス トレ プ ト ゾ トシ ン(SZ)を35mg/m1の し， ラ ッ ト尾 静 脈 よ り35mg/kg量

濃 度 で溶 解

を注 入 した ．処 置 後

2週 間 経 過 して も血 糖 値 が200mg/dl以 の(200∼400mg/dl，

雄性

ス ト レプ トゾ

上 持 続 した も

平 均334±12mg/d1)をSZ処

置高

血 糖 ラ ッ トと して12時 間絶 食 後 実験 に供 した ． た だ し， 一 部 の実 験 と ， 経 口お よび 腹 腔 内 ブ ドウ糖 負荷 試 験 に は 18時 間 絶 食 したSZ非

重 の割 り合 い

で 負 荷 した ． 経 口投 与 法 に お い て は 胃 ゾ ンデ に よ り経 口 的 に ，腹 腔 内 投 与 法 で は 注射 器 に よ り腹 腔 内へ 投 与 した ． 以 後30分 毎 に120分 後 ま で 尾 静 脈 よ り採 血 して ブ ドウ糖 負 荷 試 験 と した ． 5． 値 の 統 計 処 理 得 られ た 血 糖 値 は 個 体 毎 お よび実 験 毎 に高 低 が 生 じた の で ，集 計 時 に 薬 液 投 与 前 値 を100と して百 分 率 に 変 換 して平 均 値 を 求 め ， 各 群 間 で 比較 した ．本 実 験 に おけ る 有 意 差 の 検 定 は ，Studentの 用 い ，P