637
急 性 気 管 支 炎 患 者 か ら のCklamydia
pneumoniaeの
分 離 と血 清 抗 体 価 広 島県 衛生 研 究 所 金
本
康
生
県 立 広 島病 院 小 児 科 坂
Key words:
野
(平成3年11月25日
受付)
(平成4年1月14日
受 理)
Chlamydia pneumoniae, microimmunofluorescence
TWAR test
要 急 性気 管支 炎 の患者 pneumoniaeが
(15歳 男 子)の
分 離 され た.こ
てCpneumoniaeに
C.pneumoniaeの
TWARと
(MIF)法
性 期,回
管 支 炎,上
分 離 し,モ
よ る 染 色 性 か ら,YK-41株 る こ と を 確 認 し た.ま
の 上 昇 が 認 め られ た.こ れ ら の 結 果 は,本 症 例 が
性 咳1軟.
家 族 歴: 特 記 す べ き こ とな し.
気道炎 な ど
既 往 歴: 特 記 す べ き こ とな し.
ノ ク ロー ナ ル 抗 体 に
はC.pneumoniaeで
あ
た,microimmunofluores-
現 病 歴: 1991年5月17日
よ り乾 性 咳 嗽 な らび に
例 はC.pneumoniaeに
症
よ る 急 性 気 管 支 炎 と診 断
解 熱 す る も胸 部 痛 と
咳 嗽 は 消 えず,5.月29日 県 立 広 島病 院 を 受 診 した. 受 診 時 の 理 学 的 所 見 で 肺 野 聴 診 上 ラ音 を 認 め な か っ た が,胸 部 レ線 写 真 に て肺 紋 理 の増 強 が 認 め られ た (Fig.1).赤
法3)に よ る 血 清 学 的 診 断 か ら,本
phsma
沈26mm/h,
pneumoniae抗
(CCL)800mg/日
る.
快 した. Cpneなmoniaeの
材 料 と方 法
体 価 陰 性,各 種 ウ イル ス の
を投 与 し た.2日
後 には症状軽
分 離 と同 定
分 離 材 料: 初 来 院 時 の5月29日
症例
に,患 者 の 咽 頭
ス ワ ブ を採 取 し,こ れ を 輸 送 培 地 (SPG)の
子.
た 容 器 に 入 れ,培 養 に 供 す る ま で-80℃
島市 南 区宇 品 神 田1-5-70
広 島 県衛 生 研 究所 平成4年5月20日
性,M夕co-
以 上 よ り急 性 気 管 支 炎 と 診 断 し,Cefaclor
例 の 臨 床 経 過,C.pneumoniaeの
別 刷 請 求先:(〒734)広
CRP陰
分 離 は い ず れ も陰 性 で あ っ た.
分離 な らびに血 清学 的 検査 成 績 に つ いて報 告 す
15歳,男
に よっ
復期 両 血清 に はそ
38℃ の 発 熱 を生 じ,5月20日
ジ ア (YK41株)を
患 者:
胞 を 用 い,Cklamydia
呼 ば れ る新
者 らは 急 性 気 管 支 炎 の患 者 か ら ク ラ ミ
し 得 た の で,症
た,急
主 訴: 発 熱,乾
文
さ れ て い る1)2).
(MIF)
胞 とHL細
体 が 検 出 さ れ た.ま
体 が 検 出 さ れ,4倍
各 種 急 性 呼 吸器 感 染 症 の 起 炎 菌 の一 つ と して 注 目
cence
旨
の患 者 の 急 性 期 血 清 中 に は,microimmunofluorescence
のIgG抗
pneumoniae
し い ク ラ ミジ ア が 肺 炎,気
今 回,著
acute bronchitis,
感 染 に よ る急 性 気 管 支 炎 で あ っ た 可 能 性 を 強 く示 唆 し て い る も の と 思 わ れ る.
序 Cklamydia
infection,
咽 頭 ス ワ ブ か らHeLa細
対 す る 抗 体 価160倍 のIgM抗
れ ぞ れ 抗 体 価40倍,160倍
尭
金本
康生
入っ
で保存 し
た 。 培 養 に 際 して は,凍 結 咽 頭 ス ワ ブ を融 解 後,
金本
638
Fig.1
Chest
康生 他 Ortho
radiograph
Diagnostic
Systems)に
よ り染 色 し,蛍
顕 微 鏡 で ク ラ ミ ジ ア 封 入 体 の 観 察 を し た.残
光 る2
本 の 平 底 培 養 器 の カ バ ー ス リ ップ上 の 細 胞 を ラ バ ー ポ リス マ ン で,掻 粉 砕 し た 後,こ
細 胞 を
れ を 同様 の 方 法 で 次 代 へ 継 代 培 養
を 行 っ た.次
に,カ
pneumoniae特 ington
き取 り,sonicationで
バ ー ス リ ヅ プ 上 の 細 胞 をC.
異 性 モ ノ ク ロー ナ ル 抗 体
Research
Foundation)お
(Wash-
よ びCklamydia
trackmatiS特
異 性 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体(Micro
Trak
Company)に
(R);Syva
よ り染 色 し,蛍
微 鏡 で 封 入 体 の 観 察 を し た.分
光顕
離 株 の モ ノ ク ロー
ナ ル 抗 体 に 対 す る 性 状 の 比 較 に,C.pneurnoniae (TW183株),Ckhmydia
trackornatiS
よ びChlamydia
psittaci
(budgerigar
(L2株)お 株)を
対照
と し て 用 い た. C.pneumoniae血 月29日 採 血)と
清 抗 体 価 の 測 定: 回 復 期(8月8日
清 に つ い て,MIF法3)に す るIgM,IgGお
採 血)と
の 両血
よ りC.pnewnoniaeに
対
よ びIgA抗
体 価 を 測 定 し た.抗
sonicationで
細 胞 を 粉 砕 し た 後,800rpmで5分
原 と し て は,C.pneunwniaeはTW-183株
間 遠 心 し,上
清 を 培 養 細 胞 へ の 接 種 材 料 と し た.
ington
沈 渣 は ス ラ イ ド ガ ラ ス 上 に 直 接 塗 布 し,C pneumoniae特
異 性 モ ノ ク ロー ナ ル 抗 体
ingto nResearch
Foundation)で
(Wash-
染 色 し,蛍
光顕
分 離 に はHeLa229細
用 い て,Kuoら4)の
作 所)に
胞 とHL細
ず 平底培養器
カ バ ー ス リ ッ プ を 入 れ,そ
を 含 む10%FCS加EagleMEMを
(ト ミ イ 製
れ ぞれの細胞 加 え て 培 養 し,
カ バ ー ス リ ッ プ 上 に 細 胞 のmonolayerを た.検
体 接 種 直 前 にEagle
胞 をDEAE-dextran添 た の ち,各
MEMを
加Hanks
加Eagle
BSSで
洗 浄 し
に検査材料
間 遠 心 後,検
養 液 をcycloheximide添 MEMに
用 意 し
査材料 を
加 の10%FCS
置 き 換 え,35℃
で48時 間 培 養 を
同 定:平
底培 養器 の カバ ー
ス リ ッ プ 上 の 細 胞 を メ タ ノ ー ル 固 定 し,ク
ラ ミジ
ア 属 特 異 性 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体(Cultureset(R);
BED,
psittaci は budgerigar
株 の そ れ ぞ れ のEBを
用 い
体 お よ びIgA抗
体(い ず れ もCappel)
を 使 用 し,エ
バ ン ス ブ ル ー(0.04%を
7.4)をcounter
PBS
GF)とC.
識 ヤ ギ 抗 ヒ トIgG抗
体,IgM抗
pH
CJHI,
抗 体 と し てFITC標
(pH
stainに
7.4)で10倍
含 むPBS,
用 い た.被
か ら2倍
体 価 は 特 異 的 なEBの
検血清 は
段 階 希 釈 し た.抗
蛍 光 が 観 察 され る最 高 希 釈
倍 数 の 逆 数 と し た. 成
績
ク ラ ミ ジ ア の 培 養 お よ び 検 出: HeLa細
胞 とHL細
直 接,咽
ク ラ ミジァ は
胞 と に よ り分 離 さ れ た.
頭 ス ワ ブの 沈 渣 を ス ラ イ ドガ ラ ス上 に
塗 布 し,C.pnemnoniae特
異 性 モ ノク ロ ー ナ ル 抗
体 で 染 色 した 場 合 に も ク ラ ミ ジ ア 様 粒 子 の 存 在 が 認 め られ た
行 っ た. C.pneumoniaeの
照 抗 原 と し てCtrackomatiSの
取 り除 き,細
細 胞 あ た り平 底 培 養 器3本
を 接 種 し,2,000rpmで1時 除 去 し,培
胞 を
細 胞 培 養 法 を 一 部 改 変 した 以
下 の 手 順 で 実 施 し た.ま
(EB)を,対
(Wash-
Foundation)のelementary
4つ の 抗 原 群(L1∼L3,
た.2次
微 鏡 で ク ラ ミジ ア 粒 子 を 観 察 し た. 分 離 法:
body
Research
急 性 期(5
(Fig.2).
各 種 モ ノ ク ロー ナ ル 抗 体 に 対 す る 分 離 株 の 性 状:分
離 さ れ た ク ラ ミ ジ アYK-41株
Table
1に 示 す よ う に,ク
に つ いて は
ラ ミジ ア 属 特 異 性 モ ノ
感 染 症学 雑 誌
第66巻
第5号
急 性 気 管 支 炎 患 者 か ら のChlamydia
Table
1
Characteristics
Chlamydia
stained
of
Chlamydia
with monoclonal
1) Cultureset (R) (Ortho Diagnostic
The inclusion body (arrow)
in throat swab stained with TWAR specific 400)
ク ロ ー ナ ル 抗 体 とC.
pneumoniae
YK-41
(Washington
of Chlamydia
Fig. 3
Research
The
異性 モ ノ ク
と し て 用 い たC. 成 績 で あ っ た,
tra-
異 性 モ ノ ク ロ ーナ ル 抗 体 に よ る 染 色 2
Detection
of antibody
1) TW183 strain 2) budgerigar strain 3) 71 days passed since the onset of infection 平 成4年5月20日
Foundation)
inclusion
bodies
of
で は 封 入 体 は 認 め ら れ な か っ た.こ
光 を 発 す る 封 入 体 を 認 め た が(Fig.3),C.
Table
other
Chlamydia
pneumoniae strain YK-41 in HL cell culture stained with FITC conjugated with TWAR specific monoclonal antibody 400)
ロー ナ ル 抗 体 とに よ る染 色 で 細 胞 内 に特 異 的 に蛍
chomatis特
and
antibodies
with FITC conjugated monoclonal antibody
pneumoniae特
639
分離
Systems)
2) TWAR specific monoclonal antibody 3) Micro Trak (R) (Syva Company)
Fig. 2
pneumoniaeの
in patient
pneumoniae
血 清 学 的 検 査 成 績HMIF法 sera to Chlamydia
by MIF tests
の 性 状 は対 照
TW183株
と同 様 の
に よる各種 ク ラ ミ
金本
640
ジ ア に 対 す る 抗 体 価 をTable2に pneumoniaeに 既 に160倍 体 価10倍
対 す るIgM抗
示 し た.C.
体 は,急
の 抗 体 価 が 認 め ら れ た が,71日 に ま で 低 下 し た.一 方,IgG抗
期 に40倍,71日
後 に は160倍
るIgMとIgG抗
後 には抗
体価 は急性
psittaciに
対す
体 は わ ず か な が ら 認 め ら れ た.
trachomatisに
対 す る 抗 体 価 は い ず れ も10倍 以
分 離 に はHeLa229細
れ て い る が,最
近,Clesら15)はHeLa229細
べ てC.
pneumoniaeの
考 ク ラ ミ ジ ア 属 は,C.
trachomatisとC.
に 分 類 さ れ て い た が,最
pneumoniae5)が
近,新
加 え ら れ3種
C. pneumoniaeは
psittaci し い 種 のC.
に 分 類 さ れ て い る.
急 性 上 気 道 炎,気
管 支 炎,肺
炎,
pneumoniaeの
細 胞 で もC. 代48時
MIF法
に よ る 抗 体 価 の 測 定 で はIgM抗
性 期 に,ま た,IgG抗 て4倍
riaで
体 は 急 性 期 か ら回 復 期 に 向 け
は512倍
染症 の血 清学 的 診 断 基準 に合 か し な が ら,Graystonら 以 上 のIgG抗
た,著
症 例 で は 発 症 か ら71
体 は160倍
対 す る薬剤 感 受 性試 験 で は
い る.し
生 物 質9)と い わ れ て い る.本
ペ ァ 血 清 に よ る 抗 体 価4倍
症 例 に投 与 され た
細 胞 壁 合 成 を 阻 害 す る こ と に よ り殺 菌 的
に 作 用 す る セ フ ェ ム 系 薬 剤10)で あ り,細 た な い ク ラ ミ ジ ア に は,CCLは い.し
か し な が ら,CCL投
い,完
治 後,再
度C.
与 後,患
pneumoniaeの
と こ ろ 陰 性 で あ っ た.従
胞壁 を持
有 効 とは考 え に く
っ て,自
C. pneumoniaeに
昇 ま た はIgM抗
以 上 のIgG抗
れ る. C. pneumoniae感
染 症 の 診 断 に は,ま
分離 を試みた
を 確 認 し な け れ ば な ら な い17).細 般 の 診 療 機 関,検 MIF法
対 す る 抗 体 調 査11)12)では,本
症 例 患 者 と 同 世 代(12∼15歳)の
健 常 者 で 既 に半
数 が 抗 体 を 保 有 し て お り,本
邦 で の若 年 層 の 侵 淫
同 定 に 用 い るC.
pneumoniae特
異 モ ノ ク ロー ナ
ル 抗 体 と血 清 学 的 診 断 に 用 い るMIF用 い ず れ もWashington
Research
邦 に お け る咽 頭 材 料 か らの
分 離 は,唯
一,山
トン 大 学 に 検 査 材 料 を 送 っ て,米 報 告14)が あ る の み で あ っ た.従
崎 らが ワシ ン 国で分離 された 来 よ り,C.
英 文 に よ る 通 信 事 務,煩
の抗 原 は
Foundationか
ら 購 入 し な け れ ば な ら な い.こ
ら の 知 る 限 り で は,本
た,
は 技 術 的 に も 熟 練 を 必 要 とす る.分 離 株 の
ル ー トか ら の 入 手 は 困 難 で あ り,購
が 分 離 さ れ る ま で は,著 者
体 価 の上 昇
胞 培 養 施 設 は一
臨 床 材 料 か ら のC.pneumoniaeの 困 難 で あ り13),YK-41株
ず患者 か
査 室 で は 取 入 れ に く く,ま
状 況 は か な り高 い も の と思 わ れ る.し か し な が ら, 分離 は極 め て
体 の上
体 の 確 認 が 是 非 と も必 要 と思 わ
ら 菌 の 分 離 培 養 ま た は 抗 原 の 検 出,抗
能 性 が 強 い も の と考 え ら れ る.
月以 内
た が っ て 血 清 学 的 診 断 を 行 う場 合 に は,
者 は快 方 に 向
然 治 癒 に よ る可
体
に 肺 炎 な どの 既 応 歴 が な い 健 常 者 の 例 を経 験 し て
テ トラサ イ ク リン とエ リス ロマ イ シ ンが 有 効 な 抗
C. pneumoniaeの
の 上 昇 に留
者 ら11)12)は512倍 以 上 のIgG抗
を 保 有 し て お り な が ら血 清 採 取 日 の 前3ヵ
C. pneumoniaeに
CCLは
のcrite-
体価 が認 め られれ ぽ
最 近 の 感 染 と し て い る が,本 日 経 過 し た 血 清 でIgG抗
で あ っ た.
体 が急
抗 体 価 の 上 昇 が 認 め ら れ,Graystonら6)の
ま っ た.ま
頭 痛 な ど症 状 は軽 度
胞 内で よ
りす ぐ れ て い る こ と が 確 認 さ れ た.
い た も の の,咳
熱,咽
pneumoniae
胞 よ り もHL細
症 例 は 胸 部 レ線 写 真 で は 気 管 支 炎 の 病 像 を 呈 し て 漱,発
か し初
胞 内 に比
胞 内 の ほ うが 大 き く,C.
致 し て い た.し
の感 染 に よ る急 性 気 管 支 炎 の 可 能 性 を 示 唆 した 本
分 離 さ れ た.し
間 培 養 で の 封 入 体 は,HeLa229細
染 症 の 病 原 体6)∼8)と考 え ら れ て お り,次
第 に病原
回の
胞 の み な ら ずHeLa229
pneumoniaeが
C. pneumoniae感
pneumoniae
胞 を
分 離 に 成 功 し て い る.今
著 者 ら の 症 例 で は,HL細
慢 性 閉 塞 性 肺 疾 患 の 急 性 増 悪 な ど の各 種 呼 吸 器 感
的 意 義 が 明 ら か に な りつ つ あ る.C.
胞 に比
増 殖 性 の 高 いHL細
の 増 殖 性 はHeLa229細
察
胞 が 用 い ら
見 つ け た.こ の 細 胞 を 用 い て 山 崎 ら14),Gnarpら16)
し てHL細
下 で あ っ た.
の2つ
pneumoniaeの
はC.
ま で 上 昇 し た.IgA抗
体 は 変 動 が 認 め ら れ な か っ た 。C.
C.
性期血 清 に
康生 他
れ らの試 薬 は商 業 入 す る際 に は
雑 な 税 関 手 続 き,さ
らに
輸 送 に か か る 多 額 の 経 費 な ど が 必 要 と な る.こ ら の こ と か ら,C.
pneumoniae感
れ
染 症の診 断は限
ら れ た 研 究 施 設 で 行 わ れ て い る に す ぎ な い.し が っ て,本 邦 で 分 離 さ れ たC.
pneumoniae株
感 染 症学 雑 誌
第66巻
た を用
第5号
急 性 気 管 支 炎 患 者 か ら のChhzmydia
pneumoniaeの
い た 迅 速 か つ 感 度 の よ い 抗 原 検 出 系 やC. pneumoniae特
異 抗 体 を 測 定 で き るELISA法
の
早 急 な 開 発 が 望 ま れ る. 本 論文 の要 旨は第61回 日本 感 染 症学 会 西 日本地 方 会 総会 (1991年11月,岡
山市)に お いて 発表 した.
文 献 1) Grayston, J. T., Kuo, C.C., Wang, S. P. & Altman, J.: A new Chlamydia psittaci strain, TWAR, isolated in acute respiratory tract infections. N. Engl. J. Med., 315: 161-168, 1986. 2) Marrie, T. J., Grayston, J. T., Wang, S. P. & Kuo, C.C.: Pneumonia associated with the TWAR strain of Chlamydia. Ann. Inter. Med., 106: 507 -511
gonococcal Urethritis and Related Infections. (Hobson, D. & Holmes, K.K., ed.), p. 237-248, American Society for Microbiology, Washington, D.C., 1977. 4) Kuo, C.C., Wang, S. P., Wentworth, B. B. & Grayston, J. T.: Primary isolation of TRIC organisms in HeLa 229 cells treated with DEAE-dextran. J. Infect. Dis., 125: 665-668, 1972. 5) Grayston, J. T., Kuo, C.C., Campbell, L. A. & Wang, S. P.: Chlamydia pneumoniae sp. nov. for Chlamydia sp. strain TWAR. Int. J. Syst. Bacteriol., 39: 88-90, 1989. 6) Grayston, J. T., Wang, S. P., Kuo, C.C. & Campbell, L.A.: Current knowledge on Chlamydia pneumoniae, strain TWAR, an important cause of pneumonia and other acute respiratory diseases. Eur. J. Clin. Microbiol. Infect. Dis., 8: 191 , 1989.
7) 岸 本 寿 男, 正 俊, 中 浜 Chlamydia
平 成4年5月20日
中 島 正 光,
中 川 義 久,
力, 沖 本 二 郎, 矢 木 pneumoniae,
TWAR株
日 野 二 郎,
渡辺
晋, 副 島 林 造: に よ る一 肺 炎
感 染 症 誌,
64:
510-515,
1990.
8) Hahn, D.L., Dodge, R.W. & Golubjatnikov, R.: Association of Chlamydia pneumoniae (strain TWAR) infection with wheezing, asthmatic bronchitis, and adult-onset asthma. J. A.M. A., 266: 225-230, 1991. 9) Kuo, C.C. & Grayston, J. T.: In vitro drug susceptibility of Chlamydia sp. strain TWAR. Antimicrob. Agents Chemother., 32: 257-258, 1988. 10)
吉田
正,
clorのin
11)
, 1987.
3) Wang, S. P., Grayston, J.T., Kuo, C.C., Alexander, E. R. & Holmes, K.K.: Serodiagnosis of Chlamydia trachomatis infection with the micro-immunofluorescence test. In N on-
-202
例.
641
分離
亀 田 康 雄, 元 川 清 司, 村 上 和 久:
Cefa-
vitro抗
27 (S-
菌 作 用.
7): 71-97,
1979.
尾 内 一 信,
金 本 康 生,
Chlamydia
pneumoniaeと
Chemotherapy,
牛 尾 光 弘:
日本 に お け る
そ の 他 の ク ラ ミジ ア の
年 齢 別 抗 体 保 有 率 の 検 討.
感 染 症 誌,
65:
19-25,
1991.
12) Kanamoto, &
Usui,
Chlamydia 13)
Y., Ouchi, T.:
K., Mizui,
Prevalence
pneumoniae
29: 816-818,
金 本 康 生,
尭,
to
in Japan.
J.
1991.
牛 尾 光 弘:
感 染 症 患 者 か ら のChlamydia 離 と 血 清 抗 体 価.
M.
antibody
TWAR
Clin. Microbiol., 坂野
M., Ushio,
of
Prog.
Med.,
小 児 急性 上 気 道
pneumoniaeの 11:
分
1992-1995,
1991.
14) Yamazaki, T., Nakada, H., Sakurai, N., Kuo, C.C., Wang, S. P. & Grayston, J. T.: Transmission of Chlamydia pneumoniae in young children in a Japanese family. J. Infect. Dis., 162: 1390-1392, 1990. 15) Cles, L.D. & Stamm, W. E.: Use of HL cells for improved isolation and passage of Chlamydia pneumoniae. J. Clin. Microbiol., 28: 938-940, 1990. 16) Gnarpe, J., Gnarpe, H. & Sundelof, B.: Endemic prevalence of Chlamydia pneumoniae in subjectively healthy persons. Scand. J. Infect. Dis., 23: 387-388, 1991. 17) Barnes, R.C.: Laboratory diagnosis of human chlamydial infections. Clin. Microbiol. Rev., 2: 119-136, 1989.
642
金本
Isolation of Chlamydia pneumoniae
康生 他
from a Patient
with Acute Bronchitis
Yasuo KANAMOTO Division of Microbiology,Hiroshima Prefectural Institute of Public Health Takashi SAKANO Department of Pediatrics, Hiroshima Prefectural Hiroshima Hospital
Chlamydia was isolated from the throat of a 15-year-oldmale patient with acute bronchitis. The Chlamydia isolate, YK-41, was stained with FITC-conjugated monoclonal antibodies specific to C. pneumoniae and the genus Chlamydia, whereas staining of monoclonal antibody specific to C. trachomatis was negative. These results indicated that the strain YK-41 could be identified as C. pneumoniae. Serum IgM antibody against C. pneumoniae was detected in high titer in the patient in the acute phase using the microimmunofluorescence (MIF) test, serum IgG antibody against C. pneumoniae demonstrated a fourfold antibody titer rise between acute and convalescent serum using MIF test. Thus, our patient almost certainly contracted acute bronchitis caused by C. pneumoniae.
感 染症 学 雑 誌
第66巻
第5号
急 性 気 管 支 炎 患 者 か ら のCklamydia
pneumoniaeの
分 離 と血 清 抗 体 価 広 島県 衛生 研 究 所 金
本
康
生
県 立 広 島病 院 小 児 科 坂
Key words:
野
(平成3年11月25日
受付)
(平成4年1月14日
受 理)
Chlamydia pneumoniae, microimmunofluorescence
TWAR test
要 急 性気 管支 炎 の患者 pneumoniaeが
(15歳 男 子)の
分 離 され た.こ
てCpneumoniaeに
C.pneumoniaeの
TWARと
(MIF)法
性 期,回
管 支 炎,上
分 離 し,モ
よ る 染 色 性 か ら,YK-41株 る こ と を 確 認 し た.ま
の 上 昇 が 認 め られ た.こ れ ら の 結 果 は,本 症 例 が
性 咳1軟.
家 族 歴: 特 記 す べ き こ とな し.
気道炎 な ど
既 往 歴: 特 記 す べ き こ とな し.
ノ ク ロー ナ ル 抗 体 に
はC.pneumoniaeで
あ
た,microimmunofluores-
現 病 歴: 1991年5月17日
よ り乾 性 咳 嗽 な らび に
例 はC.pneumoniaeに
症
よ る 急 性 気 管 支 炎 と診 断
解 熱 す る も胸 部 痛 と
咳 嗽 は 消 えず,5.月29日 県 立 広 島病 院 を 受 診 した. 受 診 時 の 理 学 的 所 見 で 肺 野 聴 診 上 ラ音 を 認 め な か っ た が,胸 部 レ線 写 真 に て肺 紋 理 の増 強 が 認 め られ た (Fig.1).赤
法3)に よ る 血 清 学 的 診 断 か ら,本
phsma
沈26mm/h,
pneumoniae抗
(CCL)800mg/日
る.
快 した. Cpneなmoniaeの
材 料 と方 法
体 価 陰 性,各 種 ウ イル ス の
を投 与 し た.2日
後 には症状軽
分 離 と同 定
分 離 材 料: 初 来 院 時 の5月29日
症例
に,患 者 の 咽 頭
ス ワ ブ を採 取 し,こ れ を 輸 送 培 地 (SPG)の
子.
た 容 器 に 入 れ,培 養 に 供 す る ま で-80℃
島市 南 区宇 品 神 田1-5-70
広 島 県衛 生 研 究所 平成4年5月20日
性,M夕co-
以 上 よ り急 性 気 管 支 炎 と 診 断 し,Cefaclor
例 の 臨 床 経 過,C.pneumoniaeの
別 刷 請 求先:(〒734)広
CRP陰
分 離 は い ず れ も陰 性 で あ っ た.
分離 な らびに血 清学 的 検査 成 績 に つ いて報 告 す
15歳,男
に よっ
復期 両 血清 に はそ
38℃ の 発 熱 を生 じ,5月20日
ジ ア (YK41株)を
患 者:
胞 を 用 い,Cklamydia
呼 ば れ る新
者 らは 急 性 気 管 支 炎 の患 者 か ら ク ラ ミ
し 得 た の で,症
た,急
主 訴: 発 熱,乾
文
さ れ て い る1)2).
(MIF)
胞 とHL細
体 が 検 出 さ れ た.ま
体 が 検 出 さ れ,4倍
各 種 急 性 呼 吸器 感 染 症 の 起 炎 菌 の一 つ と して 注 目
cence
旨
の患 者 の 急 性 期 血 清 中 に は,microimmunofluorescence
のIgG抗
pneumoniae
し い ク ラ ミジ ア が 肺 炎,気
今 回,著
acute bronchitis,
感 染 に よ る急 性 気 管 支 炎 で あ っ た 可 能 性 を 強 く示 唆 し て い る も の と 思 わ れ る.
序 Cklamydia
infection,
咽 頭 ス ワ ブ か らHeLa細
対 す る 抗 体 価160倍 のIgM抗
れ ぞ れ 抗 体 価40倍,160倍
尭
金本
康生
入っ
で保存 し
た 。 培 養 に 際 して は,凍 結 咽 頭 ス ワ ブ を融 解 後,
金本
638
Fig.1
Chest
康生 他 Ortho
radiograph
Diagnostic
Systems)に
よ り染 色 し,蛍
顕 微 鏡 で ク ラ ミ ジ ア 封 入 体 の 観 察 を し た.残
光 る2
本 の 平 底 培 養 器 の カ バ ー ス リ ップ上 の 細 胞 を ラ バ ー ポ リス マ ン で,掻 粉 砕 し た 後,こ
細 胞 を
れ を 同様 の 方 法 で 次 代 へ 継 代 培 養
を 行 っ た.次
に,カ
pneumoniae特 ington
き取 り,sonicationで
バ ー ス リ ヅ プ 上 の 細 胞 をC.
異 性 モ ノ ク ロー ナ ル 抗 体
Research
Foundation)お
(Wash-
よ びCklamydia
trackmatiS特
異 性 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体(Micro
Trak
Company)に
(R);Syva
よ り染 色 し,蛍
微 鏡 で 封 入 体 の 観 察 を し た.分
光顕
離 株 の モ ノ ク ロー
ナ ル 抗 体 に 対 す る 性 状 の 比 較 に,C.pneurnoniae (TW183株),Ckhmydia
trackornatiS
よ びChlamydia
psittaci
(budgerigar
(L2株)お 株)を
対照
と し て 用 い た. C.pneumoniae血 月29日 採 血)と
清 抗 体 価 の 測 定: 回 復 期(8月8日
清 に つ い て,MIF法3)に す るIgM,IgGお
採 血)と
の 両血
よ りC.pnewnoniaeに
対
よ びIgA抗
体 価 を 測 定 し た.抗
sonicationで
細 胞 を 粉 砕 し た 後,800rpmで5分
原 と し て は,C.pneunwniaeはTW-183株
間 遠 心 し,上
清 を 培 養 細 胞 へ の 接 種 材 料 と し た.
ington
沈 渣 は ス ラ イ ド ガ ラ ス 上 に 直 接 塗 布 し,C pneumoniae特
異 性 モ ノ ク ロー ナ ル 抗 体
ingto nResearch
Foundation)で
(Wash-
染 色 し,蛍
光顕
分 離 に はHeLa229細
用 い て,Kuoら4)の
作 所)に
胞 とHL細
ず 平底培養器
カ バ ー ス リ ッ プ を 入 れ,そ
を 含 む10%FCS加EagleMEMを
(ト ミ イ 製
れ ぞれの細胞 加 え て 培 養 し,
カ バ ー ス リ ッ プ 上 に 細 胞 のmonolayerを た.検
体 接 種 直 前 にEagle
胞 をDEAE-dextran添 た の ち,各
MEMを
加Hanks
加Eagle
BSSで
洗 浄 し
に検査材料
間 遠 心 後,検
養 液 をcycloheximide添 MEMに
用 意 し
査材料 を
加 の10%FCS
置 き 換 え,35℃
で48時 間 培 養 を
同 定:平
底培 養器 の カバ ー
ス リ ッ プ 上 の 細 胞 を メ タ ノ ー ル 固 定 し,ク
ラ ミジ
ア 属 特 異 性 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体(Cultureset(R);
BED,
psittaci は budgerigar
株 の そ れ ぞ れ のEBを
用 い
体 お よ びIgA抗
体(い ず れ もCappel)
を 使 用 し,エ
バ ン ス ブ ル ー(0.04%を
7.4)をcounter
PBS
GF)とC.
識 ヤ ギ 抗 ヒ トIgG抗
体,IgM抗
pH
CJHI,
抗 体 と し てFITC標
(pH
stainに
7.4)で10倍
含 むPBS,
用 い た.被
か ら2倍
体 価 は 特 異 的 なEBの
検血清 は
段 階 希 釈 し た.抗
蛍 光 が 観 察 され る最 高 希 釈
倍 数 の 逆 数 と し た. 成
績
ク ラ ミ ジ ア の 培 養 お よ び 検 出: HeLa細
胞 とHL細
直 接,咽
ク ラ ミジァ は
胞 と に よ り分 離 さ れ た.
頭 ス ワ ブの 沈 渣 を ス ラ イ ドガ ラ ス上 に
塗 布 し,C.pnemnoniae特
異 性 モ ノク ロ ー ナ ル 抗
体 で 染 色 した 場 合 に も ク ラ ミ ジ ア 様 粒 子 の 存 在 が 認 め られ た
行 っ た. C.pneumoniaeの
照 抗 原 と し てCtrackomatiSの
取 り除 き,細
細 胞 あ た り平 底 培 養 器3本
を 接 種 し,2,000rpmで1時 除 去 し,培
胞 を
細 胞 培 養 法 を 一 部 改 変 した 以
下 の 手 順 で 実 施 し た.ま
(EB)を,対
(Wash-
Foundation)のelementary
4つ の 抗 原 群(L1∼L3,
た.2次
微 鏡 で ク ラ ミジ ア 粒 子 を 観 察 し た. 分 離 法:
body
Research
急 性 期(5
(Fig.2).
各 種 モ ノ ク ロー ナ ル 抗 体 に 対 す る 分 離 株 の 性 状:分
離 さ れ た ク ラ ミ ジ アYK-41株
Table
1に 示 す よ う に,ク
に つ いて は
ラ ミジ ア 属 特 異 性 モ ノ
感 染 症学 雑 誌
第66巻
第5号
急 性 気 管 支 炎 患 者 か ら のChlamydia
Table
1
Characteristics
Chlamydia
stained
of
Chlamydia
with monoclonal
1) Cultureset (R) (Ortho Diagnostic
The inclusion body (arrow)
in throat swab stained with TWAR specific 400)
ク ロ ー ナ ル 抗 体 とC.
pneumoniae
YK-41
(Washington
of Chlamydia
Fig. 3
Research
The
異性 モ ノ ク
と し て 用 い たC. 成 績 で あ っ た,
tra-
異 性 モ ノ ク ロ ーナ ル 抗 体 に よ る 染 色 2
Detection
of antibody
1) TW183 strain 2) budgerigar strain 3) 71 days passed since the onset of infection 平 成4年5月20日
Foundation)
inclusion
bodies
of
で は 封 入 体 は 認 め ら れ な か っ た.こ
光 を 発 す る 封 入 体 を 認 め た が(Fig.3),C.
Table
other
Chlamydia
pneumoniae strain YK-41 in HL cell culture stained with FITC conjugated with TWAR specific monoclonal antibody 400)
ロー ナ ル 抗 体 とに よ る染 色 で 細 胞 内 に特 異 的 に蛍
chomatis特
and
antibodies
with FITC conjugated monoclonal antibody
pneumoniae特
639
分離
Systems)
2) TWAR specific monoclonal antibody 3) Micro Trak (R) (Syva Company)
Fig. 2
pneumoniaeの
in patient
pneumoniae
血 清 学 的 検 査 成 績HMIF法 sera to Chlamydia
by MIF tests
の 性 状 は対 照
TW183株
と同 様 の
に よる各種 ク ラ ミ
金本
640
ジ ア に 対 す る 抗 体 価 をTable2に pneumoniaeに 既 に160倍 体 価10倍
対 す るIgM抗
示 し た.C.
体 は,急
の 抗 体 価 が 認 め ら れ た が,71日 に ま で 低 下 し た.一 方,IgG抗
期 に40倍,71日
後 に は160倍
るIgMとIgG抗
後 には抗
体価 は急性
psittaciに
対す
体 は わ ず か な が ら 認 め ら れ た.
trachomatisに
対 す る 抗 体 価 は い ず れ も10倍 以
分 離 に はHeLa229細
れ て い る が,最
近,Clesら15)はHeLa229細
べ てC.
pneumoniaeの
考 ク ラ ミ ジ ア 属 は,C.
trachomatisとC.
に 分 類 さ れ て い た が,最
pneumoniae5)が
近,新
加 え ら れ3種
C. pneumoniaeは
psittaci し い 種 のC.
に 分 類 さ れ て い る.
急 性 上 気 道 炎,気
管 支 炎,肺
炎,
pneumoniaeの
細 胞 で もC. 代48時
MIF法
に よ る 抗 体 価 の 測 定 で はIgM抗
性 期 に,ま た,IgG抗 て4倍
riaで
体 は 急 性 期 か ら回 復 期 に 向 け
は512倍
染症 の血 清学 的 診 断 基準 に合 か し な が ら,Graystonら 以 上 のIgG抗
た,著
症 例 で は 発 症 か ら71
体 は160倍
対 す る薬剤 感 受 性試 験 で は
い る.し
生 物 質9)と い わ れ て い る.本
ペ ァ 血 清 に よ る 抗 体 価4倍
症 例 に投 与 され た
細 胞 壁 合 成 を 阻 害 す る こ と に よ り殺 菌 的
に 作 用 す る セ フ ェ ム 系 薬 剤10)で あ り,細 た な い ク ラ ミ ジ ア に は,CCLは い.し
か し な が ら,CCL投
い,完
治 後,再
度C.
与 後,患
pneumoniaeの
と こ ろ 陰 性 で あ っ た.従
胞壁 を持
有 効 とは考 え に く
っ て,自
C. pneumoniaeに
昇 ま た はIgM抗
以 上 のIgG抗
れ る. C. pneumoniae感
染 症 の 診 断 に は,ま
分離 を試みた
を 確 認 し な け れ ば な ら な い17).細 般 の 診 療 機 関,検 MIF法
対 す る 抗 体 調 査11)12)では,本
症 例 患 者 と 同 世 代(12∼15歳)の
健 常 者 で 既 に半
数 が 抗 体 を 保 有 し て お り,本
邦 で の若 年 層 の 侵 淫
同 定 に 用 い るC.
pneumoniae特
異 モ ノ ク ロー ナ
ル 抗 体 と血 清 学 的 診 断 に 用 い るMIF用 い ず れ もWashington
Research
邦 に お け る咽 頭 材 料 か らの
分 離 は,唯
一,山
トン 大 学 に 検 査 材 料 を 送 っ て,米 報 告14)が あ る の み で あ っ た.従
崎 らが ワシ ン 国で分離 された 来 よ り,C.
英 文 に よ る 通 信 事 務,煩
の抗 原 は
Foundationか
ら 購 入 し な け れ ば な ら な い.こ
ら の 知 る 限 り で は,本
た,
は 技 術 的 に も 熟 練 を 必 要 とす る.分 離 株 の
ル ー トか ら の 入 手 は 困 難 で あ り,購
が 分 離 さ れ る ま で は,著 者
体 価 の上 昇
胞 培 養 施 設 は一
臨 床 材 料 か ら のC.pneumoniaeの 困 難 で あ り13),YK-41株
ず患者 か
査 室 で は 取 入 れ に く く,ま
状 況 は か な り高 い も の と思 わ れ る.し か し な が ら, 分離 は極 め て
体 の上
体 の 確 認 が 是 非 と も必 要 と思 わ
ら 菌 の 分 離 培 養 ま た は 抗 原 の 検 出,抗
能 性 が 強 い も の と考 え ら れ る.
月以 内
た が っ て 血 清 学 的 診 断 を 行 う場 合 に は,
者 は快 方 に 向
然 治 癒 に よ る可
体
に 肺 炎 な どの 既 応 歴 が な い 健 常 者 の 例 を経 験 し て
テ トラサ イ ク リン とエ リス ロマ イ シ ンが 有 効 な 抗
C. pneumoniaeの
の 上 昇 に留
者 ら11)12)は512倍 以 上 のIgG抗
を 保 有 し て お り な が ら血 清 採 取 日 の 前3ヵ
C. pneumoniaeに
CCLは
のcrite-
体価 が認 め られれ ぽ
最 近 の 感 染 と し て い る が,本 日 経 過 し た 血 清 でIgG抗
で あ っ た.
体 が急
抗 体 価 の 上 昇 が 認 め ら れ,Graystonら6)の
ま っ た.ま
頭 痛 な ど症 状 は軽 度
胞 内で よ
りす ぐ れ て い る こ と が 確 認 さ れ た.
い た も の の,咳
熱,咽
pneumoniae
胞 よ り もHL細
症 例 は 胸 部 レ線 写 真 で は 気 管 支 炎 の 病 像 を 呈 し て 漱,発
か し初
胞 内 に比
胞 内 の ほ うが 大 き く,C.
致 し て い た.し
の感 染 に よ る急 性 気 管 支 炎 の 可 能 性 を 示 唆 した 本
分 離 さ れ た.し
間 培 養 で の 封 入 体 は,HeLa229細
染 症 の 病 原 体6)∼8)と考 え ら れ て お り,次
第 に病原
回の
胞 の み な ら ずHeLa229
pneumoniaeが
C. pneumoniae感
pneumoniae
胞 を
分 離 に 成 功 し て い る.今
著 者 ら の 症 例 で は,HL細
慢 性 閉 塞 性 肺 疾 患 の 急 性 増 悪 な ど の各 種 呼 吸 器 感
的 意 義 が 明 ら か に な りつ つ あ る.C.
胞 に比
増 殖 性 の 高 いHL細
の 増 殖 性 はHeLa229細
察
胞 が 用 い ら
見 つ け た.こ の 細 胞 を 用 い て 山 崎 ら14),Gnarpら16)
し てHL細
下 で あ っ た.
の2つ
pneumoniaeの
はC.
ま で 上 昇 し た.IgA抗
体 は 変 動 が 認 め ら れ な か っ た 。C.
C.
性期血 清 に
康生 他
れ らの試 薬 は商 業 入 す る際 に は
雑 な 税 関 手 続 き,さ
らに
輸 送 に か か る 多 額 の 経 費 な ど が 必 要 と な る.こ ら の こ と か ら,C.
pneumoniae感
れ
染 症の診 断は限
ら れ た 研 究 施 設 で 行 わ れ て い る に す ぎ な い.し が っ て,本 邦 で 分 離 さ れ たC.
pneumoniae株
感 染 症学 雑 誌
第66巻
た を用
第5号
急 性 気 管 支 炎 患 者 か ら のChhzmydia
pneumoniaeの
い た 迅 速 か つ 感 度 の よ い 抗 原 検 出 系 やC. pneumoniae特
異 抗 体 を 測 定 で き るELISA法
の
早 急 な 開 発 が 望 ま れ る. 本 論文 の要 旨は第61回 日本 感 染 症学 会 西 日本地 方 会 総会 (1991年11月,岡
山市)に お いて 発表 した.
文 献 1) Grayston, J. T., Kuo, C.C., Wang, S. P. & Altman, J.: A new Chlamydia psittaci strain, TWAR, isolated in acute respiratory tract infections. N. Engl. J. Med., 315: 161-168, 1986. 2) Marrie, T. J., Grayston, J. T., Wang, S. P. & Kuo, C.C.: Pneumonia associated with the TWAR strain of Chlamydia. Ann. Inter. Med., 106: 507 -511
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平 成4年5月20日
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641
分離
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642
金本
Isolation of Chlamydia pneumoniae
康生 他
from a Patient
with Acute Bronchitis
Yasuo KANAMOTO Division of Microbiology,Hiroshima Prefectural Institute of Public Health Takashi SAKANO Department of Pediatrics, Hiroshima Prefectural Hiroshima Hospital
Chlamydia was isolated from the throat of a 15-year-oldmale patient with acute bronchitis. The Chlamydia isolate, YK-41, was stained with FITC-conjugated monoclonal antibodies specific to C. pneumoniae and the genus Chlamydia, whereas staining of monoclonal antibody specific to C. trachomatis was negative. These results indicated that the strain YK-41 could be identified as C. pneumoniae. Serum IgM antibody against C. pneumoniae was detected in high titer in the patient in the acute phase using the microimmunofluorescence (MIF) test, serum IgG antibody against C. pneumoniae demonstrated a fourfold antibody titer rise between acute and convalescent serum using MIF test. Thus, our patient almost certainly contracted acute bronchitis caused by C. pneumoniae.
感 染症 学 雑 誌
第66巻
第5号
