日耳鼻

石 田=騒 音 下 内耳LDHの

LACTATE

DEHYDROGENASE

ACOUSTIC

(LDH)

ACTIVITY

MINORU

paper

pig, the organ

78-249

IN THE INNER EAR UNDER

OVERSTIMULATION

Department This

変化

ISHIDA, M.D.

of Otorhinolanryngology,

gives

the results

of Corti

organ,

of LDH stria

The Center for Adult Diseases , Osaka

activity

vascularis

of various

tissue

and perilyirphatic

in the fluid

inner

under

ear

acoustic

of a guinea overstimula-

tion.

47 normal guinea pigs, with good preyer

reflex, were used for these experiments.

These

guinea pigs were exposed to white noise of 115 dB for various duration of time from 10 minutes to 72 hours. After acoustic stimulation, inner ears of animals were exposed by operation and perfused with LDH incubation. After animals were decapitated, the inner ear were fixed with Karnovsky's solution and embedded with paraplast . With the LDH staining method, aboundant deposits of reduced tetrazolium dyes were shown to be in the organ of Corti and stria vascularis. After exposure to noise for 60 minutes, almost all the formosan disappeared in both the organ of Corti and the stria vascularis.

However, after exposure to noise for 15 hours, LDH activity

in-

creased in these areas again. As the next step of the experiment,

the LDH activity

in the organ of Corti and the stria

vascularis were biochemically measured by socalled microbiochemieal technique. of guinea pigs, their inner ears were put into 4°C physical

NaCl solution.

After decapitation Using the surface

preparation method, the organ of Corti and the stria vascularis of each turn were separately obtained and homegenated in minute glass tubes. After centrifusion, quantitative measurement of LDH activity and protein content was performed

on the supernatant fluid. In normal guinea pigs,

the organ of Corti and the stria vascularis showed almost the same level of LDH activity. The stria vascularis in the second turn showed the highest LDH activity, then first turn, third and the lowest activity in the fourth turn. After exposure to the noise for 60 minutes, the LDH activity

of the stria vascularis

through the run. highest level.

After

decreased markedly

exposure

in all turns and indicated the lowest level

to noise for 15 hours, however, its activity increased to the

After 72 hours, the LDH activity decreased again and returned to the normal level.

The behaviour of LDH activity in the organ of Corti after acoustic overstimulation the same as it in stria vascularis.

In perilymph,

the LDH activity

seemed to

showed its highest level ( 5

times higher than normal level) on 15 hours exposure to the noise and then decreased gradually to the normal level.

騒 音 負 荷 下 に お け るモ ル モ ッ ト内 耳 の 乳 酸脱 水 酵 素(LDH)の 変化 について 大阪府立成人病 センター耳鼻姻喉科 石

田

緒言 われ われ 耳 鼻 科 医 は 日常 の診 療 に お い て,い わ ゆ る 騒 3-43

稔 音 の た め に起 つ た と考 え られ る難 聴 患 者 に しば しば遭 遇 す る.音 響 に よ る 内 耳 障害 を解 明 す る た め に古 く よ り,

78-250 石

田=騒

音 下 内 耳LDHの

多 くの 臨 床 的 お よ び 基 礎 的 研 究 が な され て き た.

来,い

1975

液 の 浸 透 を容 易 に した.断 頭 後 再 びLDH染 に注 入 した の ち37°Cで

す な わ ち 音 響 外 傷 の 病 理 組 織 学 的 研 究 と し て は,Wittmaack(1907)以

変化

ろい ろ の 報 告 が あ り,主

と して

色 液 を充 分

規則 的 に振盪 作 用 させ た.1時

間 後 軽 く水 洗 した の ち,Kamovsky14)(Formaldehyde-

有 毛 細 胞 や 神 経 線 維 の 状 態 に っ い て 検 討 が な さ れ た.近

glutaraldehyde)固

年 こ の 方 面 で は,い

正 円 の 両 窓 お よ び蝸 牛 頂 の 小 孔 よ り も固 定 液 を注 入 し,

わ ゆ るsurface

preparationや

電子

顕 微 鏡 を 用 い て の 研 究 が 盛 ん で あ る. 電 気 生 理 学 的 に は,騒 nics,endocochlear

音 負荷 下 のcochlear

potential,action

micropho-

potentialな

どの 変

が 測 定 さ れ て い る.

化

組 織 化 学,お よ び 酵素 組 織 化 学 に おい て もVosteen2) 3),4)ら の 詳 細 な る 研 究 が あ る . 生 化 学 的 に は,主 Rauch5)以 に,内

来,種

と し て 外リ ン パ 液 の 組 成 に つ い て 々 の 定 量 測 定 が な さ れ て き た .し

耳 組 織 や リ ン パ 液 の 構 成 成 分 を,い

chemical

technique(LOWRY)6)で

か る

わ ゆ るmicro-

測 定 し,定

量 的に検

索 し た 研 究 は 多 くな く.,わ ず か にMatschinsky,7),8),9), ),11)12)Thalmann11)12)13)ら

の 10報 告 を み る に す ぎ な

い

定 液 を注 入 した.こ

の 場 合 も卵 円,

充 分 に 固 定 を行 つ た.水

洗 後10%EDTA-2Na(PH=

7,4)に

ラ プ ラ ス トに包 埋,8μ

て1週 間 脱 灰,パ

の 組織 標 本 を作 製 した.LDH染

NAD

の厚 さ

色 液 と して は,

in aqua dest

133mg in 2ml

Phosphat puffer 0.06M(PH

7.4)5.0ml

Na-Lactatlasung(50%)

1.0ml

Mgc120.05M

2.0ml

NaCN0.1M

2.0ml

TNBT1mg/ml 5.0ml の も の を用 い,こ れ ら を20m1の

蒸 留 水 に 溶 解し た.

〔II〕 生 化 学 的方 法 (1)外

リンパ 液 の採 取

騒 音 負荷 終 了 後 直 ち に動 物 をNembulal(0.7ml/kg)に そ こ で 今 回,解 糖 系 酵 素 の1つ で あ るLDHを

し て,騒 音 負 荷 後,経 時 的 に,内

指標 と

耳 組織 に お け るLDH

活 性 に つ い て検 討 した.ま ず組 織化 学 的検 索 を行い っ い で 同条 件 下 でstria

vascularis(各 回転別),コ

ル チ 器,

リンパ 液 のLDH活

性 を生 化 学 的 に測 定 し,音 響 負 荷 の

内 耳 代 謝 に お よ ぼす 影 響 に 関 して若 干 の知 見 を 得 た の で 報 告 す る.

て麻 酔 し,正 円 窓 よ リガ ラ ス毛 細 管 で 約2μlの 外 リンパ 液 を採取 した. (2}コ ル チ器 とstria vascularisの 採 取 断 頭 後,迷 路骨 胞 を摘 出し,4°C以 に入 れZeiss-顕

微 鏡 下 にCorti器

stria vascularisは 片 を直 径1.5mm,長

実 験 方 法

衝 液 と して,4℃

実 験 動 物 は モル モ ッ トを使用 し た.体重240∼360gr の ほ ぼ 同 年 令 の 雌20匹,雄27匹

下 の 生 理 的食 塩 水 を取 り出 し 同 時 に

各 回転 別 に採 取 した.こ さ4cmの

の微細組織

細 い ガ ラ ス管 に 入 れ,緩

以 下 に冷 却 した生 理 的 食 塩 水約30μl

を入 れ た.組 織 片 を よ くホ モ ジ ナ イ ズす るた め に微 粒 子

を用 い 耳鏡 検 査 で 耳 垢 な

の砂 を加 えた.組 織 を よ くす りつ ぶ した の ち,約3000G

く,鼓 膜 正 常,耳 介 反射 正 常 な る も の,か つ 平衡 機 能 に

の遠 心力 で 遠 心 分 離 し た.遠 心 分 離 後 そ の 上 清 を用 い て

異 常 の な い モル モ ッ トを使 用 し,一 定 期 間同 一 環 境 下 に

定 量 を行 つ た.こ

て 飼 育 した の ち実 験 を行 つ た.動 物 に ほ ぼ均 等 に音 響 を

他 の10ｵlをFolin法

作 用 させ るた め に30個 の ス ピー カ を動 物 の周 辺 に散 在 さ せ,50Hzよ

り10kHzの

音 負 荷 した.騒

周 波 数 を もつwhite

音 の 強 さ は全 実 験 群 と も115dBの

を か け た.作 用 時 間 は0分,30分,1時 ,48時間,72時

noiseで 騒

間 の7点

間,2時

強さ 間,15

とし,対 照 群10匹 を使 時間 用し

た.

定量方法 量 に はZeiss-spektrophotometer(MQII)を

て366nmの

吸 収 波 長 を,蛋

は,Boehringer

用

白 定 量 に は750nmの

長 を 使 用 し て 測 定 を 行 つ た.LDH活 MannLeim社

な おBoehringer社

モ ル モ ッ トを騒 音 負 荷 終 了 後直 ち に,Nembutal(0.7 て 麻 酔 し,耳

I 0.53M

波 い

性 測 定試 薬 として

より の テ ス ト液 を 使用 し,

色 液 を注 入 し た.こ の 際

色 液 を充 分 にscala mediaに

注入す るためアブ

ミ骨 を圧 迫 脱 臼 させ蝸 牛 頂 お よび 各回 転 に小 孔 を 開 け て

のLDHテ

0.63mM II11mM

ス ト液 に は

phosphatpufferPH=7

後 部 切 開 に よ り 正 円窓 に到 り,

あ らか じめ 作製 したLDH染 LDH染

LDH定

性 値 の 測 定 に,

に よ る蛋 白定 量 に 用 い た.

蛋 白測 定 の 標 準 曲 線 に は ア ル ブ ミ ン を 用 い た.

〔1〕 組 織 化 学 的 研 究 方 法

ml/kg)に

( 3)LDHの

の際,10ｵlをLDH活

.5

Pyruvat

NADH

5μl

Sample の 如 きI,II,III液

300ｵl

10μ1 III を 混 合 し て 測 定 し た.

3-44

日耳鼻

石 田=騒 音 下 内 耳LDHの

な お,Folin法

変化

78-251

に よ る 蛋 白 測 定 に は,INFolin-Cioal-

tenReagensを

使 用 し た.

その 詳 細 は, Ⅰ

2%

Ⅱ

Na2CO3 10H2O

a)

0.1%

ｂ)

0.05%

Ⅲ a)

in0.1N

CuSO4 5H2O

in

Na2SO4

in 0.2%

9Teil 1)十1

NaOH

2%

Trinatriumcitrat Trinatriumcitrat

Teil IIa

使 用 前 に 混 ぜ 合 せ る. b) の 如

9Teil

1)+1

Teil

IIb使

用 前 に 混 ぜ 合 せ る .

く で あ つ た.

実 験結 果

写真2

〔Ⅰ〕 組織 化 学 的 実 験 結 果

115dB  white  noisl 騒 音 負 荷60分

組織 化学 的方 法 で は,従 来 よ りい われ て い る如 く,同 一 条 件 下 で 染 色 し て も必 ず し も ,均 等 な成 績 は 得 に く

のLDH染

後 の corti  器

色

い'. 今 回 実 験 方 法 で述 べ た よ うにscalamedia内 分 にLDH染

に ま で充

色液 を注 入 し,な お1時 間 振盪 作 用 させ,

ほぼ 安 定 した 結 果 を得 た. ω

正 常 蝸 牛(写 真1)

写 真 の如 く強 陽 性 部 位 とし て は,外 有 毛 細 胞 の核 の周 辺,prominentia は,stria

cell,根細 胞 が 挙 げ られ る.中 等 度 反 応

vascularis,内 有 毛 細 胞 に認 め られ た が内 外 有

毛 細胞 で の 活 性 の 差 は少 な かつ た. （2)60分 騒 音 負 荷 後(写 真2)

写 真3

正 常群 で 強 い 活 性 のみ られ た 外 有 毛 細 胞 や 支 技 細 胞 な どで は 著 しい 活性 の低 下 を認 め た.ま た,中 等 度 陽 性 で あつ たstda

ll5dB,white  器 のLDH染

noise  騒 音 負 荷15時

間 後 の Corti

色結果

vascularis,内 有 毛 細 胞 で も活 性 の低 下 は著

明 で ほ とん ど フ ォル モ ザ ン の色 素顆 粒 形 成 はみ られ な か つ た.

(3)15時

間騒 音 負 荷 後(写 真3)

この群 で は通 常 の組 織 標 本 にみ られ る如 く,騒 音 負 荷 後 の細 胞 の膨 化,核

の変 位 な ど を認 めた が,LDH活

性

は再 び上 昇 してお り,正 常 群 に似 た反 応 を示 した. 以 上 組 織 化 学 的 実 験 結 果 を表 に ま と め る と表1の 如 く で あ る.

表1

写真1 正 常 モ ル モ ッ トcorti器

３-45

のLDH染

色

78-252

石田=騒

音 下 内耳LDHの

変化 1975

〔II〕 生 化 学 的 実 験 結 果 実 験 方 法 で述 べ た如 く,騒 音 負荷 前,お 分,60分,2時

間,15時

問,48時

間,72時

よび負 荷 後10 間 の7点 に つ

い て検 索 し た. 各 点 当 り平 均5匹

の モル モ ッ トを用 い外 リ ンパ液 お よ

び 内 耳 組 織 に つ い て のLDH活

性 値 を生 化 学 的 に 測 定

し,騒 音 負 荷 後 の経 時 的 変 化 に つ い て検 索 した. 以 下 の この 実 験 成 績 を外 リンパ 液 コル チ器Stria

vos-

culasisの 順 に述 べ る. 外 リンパ 液 (1) 図 王は,縦 軸 に外 リンパ 液lml当 をmu単

りのLDH活

性値

位 で表 わ し,横 軸 に騒 音 負 荷 時間 を表 わ した も

図2

の で あ る. LDH活

騒 音 負 荷 下 に お るCorti器 性 値 は騒 音 負 荷60分 ,2時

縦 軸 はmg蛋白

もに増 加 し,15時 間 後 には 正 常 値 の 約5倍 量 の 値 を示 し た.そ の 後48時 間,72時

15時 間 値,騒 音 負 荷15時 間値 と48時 間 お よび72時 間値 と の 間 に は統 計 学 的 に 明 らか に有 意 差 が認 め られ た(P< ).し

か し 正 常 値 と48時 間 お よび72時 間値0.0001 との 間

に は有 意 差 は認 め られ な か つ た . コル チ器 図2は,縦 LDH活

性 値 をあ

の 問 に は 有 意 差 は少 な か つ た(Pく0.05)

.し かし1時間

を認 め た.ま た 正 常 値 と72時 間値 とは 有 意 差 を認 め なか つ た. (3) Stria Vascularis 3は 縦 軸図 に 各回 転 別 にstria

ル ブ ミン 当り の

性値 を示 し,横 軸 に は 時 間 的 経 過 を と つ た .騒

音 負 荷 後 短 時 問 でLDH活

質 あ た りのLDH活

値 と15時 間値,正 常 値 と15時 間値 で は 有 意 差(P