原
著
本 態 性 高 血 圧 症
とkallikrein-kinin系
の 研 究
と く に 尿kallikrein-kinin系
とrenin-
angiotensin-aldosterone系
の 研 究
東北大学医学部第二内科 色川 伸夫 清野 正英 桜
阿部
圭志◇
保嶋
実
千葉
知
伊藤
徹
宮崎 佐藤
青爾 牧人
今井 春山
潤 敏明
日下 大塚
隆 庸一
竹田総 合病院 斉藤
STUDIES ON KALLIKREIN-KININ
井
豊
斉藤敬太郎 立 吉永
漢長 馨
内科
鉄男
SYSTEM IN ESSENTIAL HYPERTENSION
URINARY KALLIKREIN-KININ
:
SYSTEM AND RENIN-ANGIOTENSIN-
ALDOSTERONE
SYSTEM
Keishi ABE,MD, Nobuo IROKAWA, MD, Masahide SEINO,MD, Yutaka SAKURAI, MD, Minoru YASUJIMA, MD, Satoru CHIBA,MD, Toru ITO, MD, Keitaro SAITO,MD, Seiji MIYAZAKI, MD, Yutaka IMAI,MD, Takashi KUSAKA, MD, Kanchoo RITZ, MD, Makito SATO,MD, Toshiaki HARUYAMA, MD, Yoichi OTSUKA, MD and Kaoru YOSHINAGA, MD The Second Department of Internal Medicine, Tohoku University, School of Medicine ( Director: Prof. Kaoru Yoshinaga, MD) Tetsuo SAITO,MD Department of Internal Medicine, Takeda General Hospital, Aizuwakamatsu
概要
尿kininと
尿kallikreinの
簡 便 なradioimmuaoassay法
の 病 態 生 理 と腎kallikrein-kinin系
と の 関 係 を研
を 確 立 させ,こ
れ を用 い て 本 態 性 高 血 圧症
究 し た 。 本 態 性 高 血 圧 症 で は 尿 中kinin排泄
kallikrein排 泄 量 と が 正 常 老 の そ れ に 比 し 明 ら か に 減 少 し て い た.kallikrein-kininの renin活 性 或 い は 血 漿aldostorone濃 のrenin分
泄 量 が 増 加 し,angiotensin II限
方,尿
塩 食 摂 取 後 に は 減 少 し,腎kallikre魚
ら れ た.renin-angiotensin-aldosterone系
中 やrostaglandin
E排
を 作 動 させ た 際 の 腎kallikreinの
高 血 圧 症 で 正 常 者 に 比 し 明 ら か に 低 下 し て い た.腎ka11ikrein-kinin系 の で,本
〔 昭和52年10月14日
昭 和53年5月10日
泄 量 はfurosemide立
産生 能 と腎prostaglandin E産生
(17)
が 腎kallikrein 位 負 荷後 に増
能 と の間 に 解 離 が み
産 生 遊 離 の 反 応 性 は,本
態性
は 腎性 減 圧 系 物 質 の一 つ で あ る
態 性 高 血 圧 症 で は 腎 性 減 圧 系 の 機 能 低 下 が あ る と考 え ら れ た,
受稿 〕
位
害 薬 投 与 や 抗aldosterone
泄 量 が 減 少 し た こ とか ら,renin-angiotensin-a1dosterone系
の 産 生 を 調 節 し て い る と 考 え ら れ た.一 加 し た が,減
量 と尿 中 量 と血 漿
度 と の 間 に は 有 意 の 相 関 々 係 が み ら れ た 、 減 塩 食 やfurosemide立
泌 刺 激 負 荷 後 に は 尿 中ka1likrein排
薬 投 与 に よ り尿 中kallikrein排
尿 中排泄
484
本 態 盤 高 血圧 症 とkallikrein-kinin系
I. 緒 最 近,生
言
間 を 負 荷 し,R-A-A系
体 の 減 圧 系 ペ プ チ ドで あ るkallikrein-
kinin(K-K)系
の研 究
し た.一
の 尿 中排 港量 が 本態 性 高血 圧 症
方,一
と尿K-K系
との 関係 を検 索
部 の 症 例 で はangiotensin II阻
害 薬
で あ る1-sar-8-ile-angiotensin II(100∼600ng/kg/
で 減 少 し て い る こ と が 明 らか に さ れ1)∼4),本 症 の
minの 速 度 で 静 脈 内 に60分 間 投 与)や 抗a1dosterone
成 因 な ら び に 病 態 生 理 に 関 す るK-K系
薬 で あ るspironolactone(100mg/日
を7日
与 し,尿
中K-K系
時 に 尿 中prosta-
g1andin
E(PGE)排
目さ れ て い る.一
方,原
の役 割 が注
発 性 ア ル ドス テロン 症 で
は 尿 中kallikrein排 泄 量 が 増 加 し て い る こ と か ら, K-K系
とrenin-angiotensin-aldosterone(R-A-A)系
PGEと
の 関 係 に も興 味 が も た れ て い る1)4). 従 来,尿kallikreinやkininの
用 い て い る.
近,筆
者 ら
尿 は 冷 蓄 尿 あ る い は 酸 性 蓄 尿 を 行 な つ た.bioassay
れ と
法 で は 尿10∼20mlをpH2.0に
munoassayを
の 後butano1相
尿kallikrein活 性 の 測 定 に 応 用 し,本
水 を 行 な つ た の ち,石 水4m1と2mlで
ラ ン ス やR-A-A
と の 関 係 に つ い て も検 討 を 加 え た の
燥 し た の ち,1m1の
で 報 告 す る.
油エー
えて 脱
テ ル10m1を
逆 抽 出 し た.さ
塩
抽 出 し た.そ
に 無 水 硫 酸 ソ ー ダ10gを加
尿 中K-K系
体 のNaバ
調 整 し た の ち,食
量 のn-butano1で2回
態 性 高 血 圧 症 な ら び に 原 発 性 ア ル ドス テ ロン 症 の
加 え,
らに水 相 を 凍 結乾
水 に 溶 か し,中
性 化 した の ち
イ ヌ の 股 動 脈 の血 流 量 に 及 ぼ す 作 用 で 測 定 し た. II. 対 象 な ら び に 方 法
対 象 は 正 常 対 照 者51例,本
標 品 に は 合 成bradykininを
態 性 高 血 圧 症46例
は 手 術 を 行 な い,7例
Radioimmunoassay法
な
ち8例
で
tyrosin
で 腺 腫 が 発 見 さ れ た)で
あ
mCi/mM)を
ら び に 原 発 性 ア ル ドス テ ロン 症10例(う
bradykinin
用 い た.
で は 標 識kininと (specific
る 。正常 対 照 者 は人 間 ドッグで 明 らか な異 常 所 見
10倍 希 釈 し た 尿0.1∼0.2mlと 倍 希 釈 抗 血 清(Henry
性 が40例 に 対 し女 性 が
で あ つ た.一
血 圧 症 で は 男 性 が34例
に 対 し 女 性 が12例 で 年 令 は
4℃ で24時
41±2才
発 性 ア ル ドス テロ ン症 は 男
charcoa1を
に 対 し女 性 が7例
態性高
Laboratory,
11 例 で 年 令 は46±2才
で あ つ た.原
方,本
Researh
で 年 令 は35土3才
血 圧 患 者 で 降 圧剤 を 服 用 し て い た も の で
は,2週
間 以 上 の 休 薬 を 行 な つ た の ち 検 索 し た.
原 発 性 ア ル ドス テ ロン 症 で は 全 例 手術前
標 識kininと16,000 Hospital,
Dr. Carreteroよ
Hypertension り供 与)と
た の ち,dextran
を
coated
用 い て 遊 離 型 と 結 合 型 を 分 離 し,char-
2.尿ka11ikre血
の測定法
筆 者 ら はTAMEesterase活
に検 索 し
性 とbioassayとradio-
尿 中kallikrein排
泄 量 を 測 定 した .
な おkallikreinの 測 定 に は 冷 蓄 尿 し た 試 料 を 用 い
食 摂 取 下 に24時 間 冷 蓄 尿 を 行
た.
な つ た.さ ら に そ の 翌 朝 空 腹 安 静 臥 床 時 に 採 血 し,
Bioassayで
に 保 存 し た.
一 部 の 症 例 で はrenin分 泌 刺 激 と し て 減 塩 食(29/ 日)摂 取 やfurosemide(1mg/kg)静
Ford
間incubateし
immunoassayで
血 漿 を 分 離 し た の ち 尿 と共 に-20℃
800∼1000
に よ り測 定 した.
た. 全 例 が 入 院 し,常
し て125I-8-
coalに 吸 着 さ れ た 遊 離 型 の 放射 能 を 計 測 す る こ と
であ
つ た.高
activity
用 い た .燐 酸 緩 衝 液(0.1M,ｐH8.4)で
を 認 め な か つ た も の で,男
性3例
用 い て き た が,
可 能 と し,こ
を 飽和 し,2倍
系 と尿K-K系
と腎
尿 中 に はkinin破 壊 酵 素 が 含 ま れ て い る の で 採
bioassayと を 比 較 検 討 した .さ ら にkininのradioim-
を 検 索 し,生
投
定法
最 近 で はradioimmunoassay6)を
時 に 多数 の 検
体 を 測 定 す る こ とが 困 難 で あ る.最 はkininのradioimmunoassayを
泄 量 を 測 定 し,K-K系
筆 者 ら は こ れ ま でbioassay5)を
測定操作が 煩雑で
高 度 の 技 術 が 要 求 さ れ る 上 に,一
間)を
の 関 係 も検 索 した.
1.尿kininの測
測 定 に はbioassayが
用 い られ て き た が,bioassayは
を 検 索 し た.同
入 し,血
は 透 析 し た 尿 を 直 接 イ ヌ股 動 脈 に 注
流 量 の 増 加 を 指 標 と し て 測 定 し た.
Radioimmunoassayで
注 と 立 位2時
(18)
は 尿0.1mlと
田内 会 誌
ウ シ血 清 低 分
第67巻
第5号
阿部 圭志
子kiainogen5μg(大
阪 大 学 蛋 白 質 研 究 所,加
雄 博 士 よ り供 与)と
を 加 え た の ちEDTA(30mM)
と8-hydroxyquinoline(3mM)を 液(0.1M,pH8.4)で
え,さ
485
藤久
含 ん だ燐 酸 緩 衝
容 量 を0.4m1に
℃ で20分 間incubateす
他16名
る.続
調 整 し,37
い て1mlの
冷水を加
ら に80℃ で15分 間 加 熱 し た の ち,0.1m1中
に 含 ま れ るkiainをradioimmunoassayで 3.血
漿renin活
Haber法 血 漿1m隻
測 定 し た.
性 の 測 定 法(PRA)
を 改 良 し た 筆 者 ら の 方 法7)を 用 い た . をpH5,5に
加 え,37℃
調 整 し た の ちEDTAとDFPを
で6時
間incubateし
た の ち生 食 水 を 加 図1.Kinin
え て10m里 と し,100℃
で15分 間 加 熱 した の ち 遠
心 分 離 し て 除 蛋 白 し,上 さ れ たangiotensin
清0.05m1を
用 い て 産生
Iをradioimmunoassayで
CIS社
度 の 測 定(PAC)
のaldosterone
にbradykininを
radioimmunoassay
kitを 用
Kininaseで
中PGEの
尿5∼10m1を
測 定 法8)
溶 解 し,さ
え た の ち 室 温 に1時
PGEをPGBに
変 換 さ せ た.次
い でpH3∼4に
調整
清(clinical 測 定 し た.
bradykininの
用
の 特 異
次 い でradioimmunoassayに
生 成 す る が,こ
にbradykininに
変 換
ka11idinとbradykininと
昭和53年5月10日
血 清
者 な ら び に 本 態 性 高 血 圧 症 患 者32例
はkallidin(1ysy1-
ら び にkallidinの 血 清
そ れ の160%で
よ る 測 定 値 とb1・ass-
ayに よ る 測 定 値 と の 相 関 に つ い て 検 索 し た.正
い たkinin抗
し た も の で あ る.抗 ka1Hdinの
反 応 が み ら れ,測
た.
つ い て 作 製 し た も の で あ る9).図
1はbradykininな
そ れ は0.4∼2%の
よ びangiotensin IIも 殆 ど 交 叉 反 応 が み ら れ な か つ
果
のradioimmunoassay法
で
分 解 産 物 は0.5∼2
そ れ は0.8∼2%,methiony1-1ysyl-
定 に は 殆 ど間 題 に な ら な か つ た.angioteasin Iお
性 に 関 す る成 績 本研 究
で60分間incu-
抗 血 清 の 反 応 に薄 す る阻 害 を 検索 し
の 成 績 で はbradykininの
%,ka11idinの
画
を 分 離 し,減 圧 濃 縮 し た の ち 抗PGB血
III.結
た.そ
よび
れ ぞ れ を 破 壊 し た の ち125I-8-tyrosin.
bradykininと
ン ゼ ン と醋
混 合 液 を 用 い てPGE分
用 い てradioimmunoassayで
bateし,そ
らに 減 圧
Assay社)を
bradyklnin)に
分 解 産 物 とkinin
500ngとchymotrypsin100μgを37℃
ら に11V,KOHを
乾 固 し た の ち 珪 酸 カ ラ ム に 充 填 し,ベ
1.尿K-K系
使 用 した.
破 壊 さ れ たkininの
kallidin,methionyl-1ysyl-bradykininの100ngお
酸緩
間 放 置 す る こ とに よ り
した の ち醋 酸 エ チ ル を 用 い て 抽 出 し,さ
酸 エ チ ル(60:40)の
研 究 のbioassayの 標 品
抗 血 清 と の 交 叉 反 応 を 検 索 す る た め,bradykinin,
凍 結 乾 燥 し た の ち,0.05M燐
衝 液 頭7.4,1mlに
シ 血
使 用 した の で,radidmmunoassay
で もbradykininを
い て 測 定 し た. 5.尿
検 量 曲 線.Bk; LMW-kgn;ウ
測定 し 定 し な け れ ば な ら な い.本
4.血漿aldosterone濃
lidinを
kallidin.
清 低 分 子kininogen.
た.
1 ml加
radioimmunoassayの
bradykinin. Lys-Bk;
検 量曲
とbradykininの
線
は 図2に
さ れ る.し
結 合率 は
一方
容 易
,尿
老 の 問 に はr=0.76,P
中kallikreinの 基 質 と し て 用 い た ウ シ
叉 反 応 を 示 さ な か つ た.し 尿kallikreinのradidmmunoassay法
者 を 同 時 に測
(19)
の成 績 で
明 ら か な 相 関 が み られ た.
血 清 低 分 子kininogenは,Mnin抗
た がつ て尿 中 には
が 存 在 し,両
示 す よ うに,両
著
本 態 性 高 血 圧 症
とkallikrein-kinin系
の 研 究
と く に 尿kallikrein-kinin系
とrenin-
angiotensin-aldosterone系
の 研 究
東北大学医学部第二内科 色川 伸夫 清野 正英 桜
阿部
圭志◇
保嶋
実
千葉
知
伊藤
徹
宮崎 佐藤
青爾 牧人
今井 春山
潤 敏明
日下 大塚
隆 庸一
竹田総 合病院 斉藤
STUDIES ON KALLIKREIN-KININ
井
豊
斉藤敬太郎 立 吉永
漢長 馨
内科
鉄男
SYSTEM IN ESSENTIAL HYPERTENSION
URINARY KALLIKREIN-KININ
:
SYSTEM AND RENIN-ANGIOTENSIN-
ALDOSTERONE
SYSTEM
Keishi ABE,MD, Nobuo IROKAWA, MD, Masahide SEINO,MD, Yutaka SAKURAI, MD, Minoru YASUJIMA, MD, Satoru CHIBA,MD, Toru ITO, MD, Keitaro SAITO,MD, Seiji MIYAZAKI, MD, Yutaka IMAI,MD, Takashi KUSAKA, MD, Kanchoo RITZ, MD, Makito SATO,MD, Toshiaki HARUYAMA, MD, Yoichi OTSUKA, MD and Kaoru YOSHINAGA, MD The Second Department of Internal Medicine, Tohoku University, School of Medicine ( Director: Prof. Kaoru Yoshinaga, MD) Tetsuo SAITO,MD Department of Internal Medicine, Takeda General Hospital, Aizuwakamatsu
概要
尿kininと
尿kallikreinの
簡 便 なradioimmuaoassay法
の 病 態 生 理 と腎kallikrein-kinin系
と の 関 係 を研
を 確 立 させ,こ
れ を用 い て 本 態 性 高 血 圧症
究 し た 。 本 態 性 高 血 圧 症 で は 尿 中kinin排泄
kallikrein排 泄 量 と が 正 常 老 の そ れ に 比 し 明 ら か に 減 少 し て い た.kallikrein-kininの renin活 性 或 い は 血 漿aldostorone濃 のrenin分
泄 量 が 増 加 し,angiotensin II限
方,尿
塩 食 摂 取 後 に は 減 少 し,腎kallikre魚
ら れ た.renin-angiotensin-aldosterone系
中 やrostaglandin
E排
を 作 動 させ た 際 の 腎kallikreinの
高 血 圧 症 で 正 常 者 に 比 し 明 ら か に 低 下 し て い た.腎ka11ikrein-kinin系 の で,本
〔 昭和52年10月14日
昭 和53年5月10日
泄 量 はfurosemide立
産生 能 と腎prostaglandin E産生
(17)
が 腎kallikrein 位 負 荷後 に増
能 と の間 に 解 離 が み
産 生 遊 離 の 反 応 性 は,本
態性
は 腎性 減 圧 系 物 質 の一 つ で あ る
態 性 高 血 圧 症 で は 腎 性 減 圧 系 の 機 能 低 下 が あ る と考 え ら れ た,
受稿 〕
位
害 薬 投 与 や 抗aldosterone
泄 量 が 減 少 し た こ とか ら,renin-angiotensin-a1dosterone系
の 産 生 を 調 節 し て い る と 考 え ら れ た.一 加 し た が,減
量 と尿 中 量 と血 漿
度 と の 間 に は 有 意 の 相 関 々 係 が み ら れ た 、 減 塩 食 やfurosemide立
泌 刺 激 負 荷 後 に は 尿 中ka1likrein排
薬 投 与 に よ り尿 中kallikrein排
尿 中排泄
484
本 態 盤 高 血圧 症 とkallikrein-kinin系
I. 緒 最 近,生
言
間 を 負 荷 し,R-A-A系
体 の 減 圧 系 ペ プ チ ドで あ るkallikrein-
kinin(K-K)系
の研 究
し た.一
の 尿 中排 港量 が 本態 性 高血 圧 症
方,一
と尿K-K系
との 関係 を検 索
部 の 症 例 で はangiotensin II阻
害 薬
で あ る1-sar-8-ile-angiotensin II(100∼600ng/kg/
で 減 少 し て い る こ と が 明 らか に さ れ1)∼4),本 症 の
minの 速 度 で 静 脈 内 に60分 間 投 与)や 抗a1dosterone
成 因 な ら び に 病 態 生 理 に 関 す るK-K系
薬 で あ るspironolactone(100mg/日
を7日
与 し,尿
中K-K系
時 に 尿 中prosta-
g1andin
E(PGE)排
目さ れ て い る.一
方,原
の役 割 が注
発 性 ア ル ドス テロン 症 で
は 尿 中kallikrein排 泄 量 が 増 加 し て い る こ と か ら, K-K系
とrenin-angiotensin-aldosterone(R-A-A)系
PGEと
の 関 係 に も興 味 が も た れ て い る1)4). 従 来,尿kallikreinやkininの
用 い て い る.
近,筆
者 ら
尿 は 冷 蓄 尿 あ る い は 酸 性 蓄 尿 を 行 な つ た.bioassay
れ と
法 で は 尿10∼20mlをpH2.0に
munoassayを
の 後butano1相
尿kallikrein活 性 の 測 定 に 応 用 し,本
水 を 行 な つ た の ち,石 水4m1と2mlで
ラ ン ス やR-A-A
と の 関 係 に つ い て も検 討 を 加 え た の
燥 し た の ち,1m1の
で 報 告 す る.
油エー
えて 脱
テ ル10m1を
逆 抽 出 し た.さ
塩
抽 出 し た.そ
に 無 水 硫 酸 ソ ー ダ10gを加
尿 中K-K系
体 のNaバ
調 整 し た の ち,食
量 のn-butano1で2回
態 性 高 血 圧 症 な ら び に 原 発 性 ア ル ドス テ ロン 症 の
加 え,
らに水 相 を 凍 結乾
水 に 溶 か し,中
性 化 した の ち
イ ヌ の 股 動 脈 の血 流 量 に 及 ぼ す 作 用 で 測 定 し た. II. 対 象 な ら び に 方 法
対 象 は 正 常 対 照 者51例,本
標 品 に は 合 成bradykininを
態 性 高 血 圧 症46例
は 手 術 を 行 な い,7例
Radioimmunoassay法
な
ち8例
で
tyrosin
で 腺 腫 が 発 見 さ れ た)で
あ
mCi/mM)を
ら び に 原 発 性 ア ル ドス テ ロン 症10例(う
bradykinin
用 い た.
で は 標 識kininと (specific
る 。正常 対 照 者 は人 間 ドッグで 明 らか な異 常 所 見
10倍 希 釈 し た 尿0.1∼0.2mlと 倍 希 釈 抗 血 清(Henry
性 が40例 に 対 し女 性 が
で あ つ た.一
血 圧 症 で は 男 性 が34例
に 対 し 女 性 が12例 で 年 令 は
4℃ で24時
41±2才
発 性 ア ル ドス テロ ン症 は 男
charcoa1を
に 対 し女 性 が7例
態性高
Laboratory,
11 例 で 年 令 は46±2才
で あ つ た.原
方,本
Researh
で 年 令 は35土3才
血 圧 患 者 で 降 圧剤 を 服 用 し て い た も の で
は,2週
間 以 上 の 休 薬 を 行 な つ た の ち 検 索 し た.
原 発 性 ア ル ドス テ ロン 症 で は 全 例 手術前
標 識kininと16,000 Hospital,
Dr. Carreteroよ
Hypertension り供 与)と
た の ち,dextran
を
coated
用 い て 遊 離 型 と 結 合 型 を 分 離 し,char-
2.尿ka11ikre血
の測定法
筆 者 ら はTAMEesterase活
に検 索 し
性 とbioassayとradio-
尿 中kallikrein排
泄 量 を 測 定 した .
な おkallikreinの 測 定 に は 冷 蓄 尿 し た 試 料 を 用 い
食 摂 取 下 に24時 間 冷 蓄 尿 を 行
た.
な つ た.さ ら に そ の 翌 朝 空 腹 安 静 臥 床 時 に 採 血 し,
Bioassayで
に 保 存 し た.
一 部 の 症 例 で はrenin分 泌 刺 激 と し て 減 塩 食(29/ 日)摂 取 やfurosemide(1mg/kg)静
Ford
間incubateし
immunoassayで
血 漿 を 分 離 し た の ち 尿 と共 に-20℃
800∼1000
に よ り測 定 した.
た. 全 例 が 入 院 し,常
し て125I-8-
coalに 吸 着 さ れ た 遊 離 型 の 放射 能 を 計 測 す る こ と
であ
つ た.高
activity
用 い た .燐 酸 緩 衝 液(0.1M,ｐH8.4)で
を 認 め な か つ た も の で,男
性3例
用 い て き た が,
可 能 と し,こ
を 飽和 し,2倍
系 と尿K-K系
と腎
尿 中 に はkinin破 壊 酵 素 が 含 ま れ て い る の で 採
bioassayと を 比 較 検 討 した .さ ら にkininのradioim-
を 検 索 し,生
投
定法
最 近 で はradioimmunoassay6)を
時 に 多数 の 検
体 を 測 定 す る こ とが 困 難 で あ る.最 はkininのradioimmunoassayを
泄 量 を 測 定 し,K-K系
筆 者 ら は こ れ ま でbioassay5)を
測定操作が 煩雑で
高 度 の 技 術 が 要 求 さ れ る 上 に,一
間)を
の 関 係 も検 索 した.
1.尿kininの測
測 定 に はbioassayが
用 い られ て き た が,bioassayは
を 検 索 し た.同
入 し,血
は 透 析 し た 尿 を 直 接 イ ヌ股 動 脈 に 注
流 量 の 増 加 を 指 標 と し て 測 定 し た.
Radioimmunoassayで
注 と 立 位2時
(18)
は 尿0.1mlと
田内 会 誌
ウ シ血 清 低 分
第67巻
第5号
阿部 圭志
子kiainogen5μg(大
阪 大 学 蛋 白 質 研 究 所,加
雄 博 士 よ り供 与)と
を 加 え た の ちEDTA(30mM)
と8-hydroxyquinoline(3mM)を 液(0.1M,pH8.4)で
え,さ
485
藤久
含 ん だ燐 酸 緩 衝
容 量 を0.4m1に
℃ で20分 間incubateす
他16名
る.続
調 整 し,37
い て1mlの
冷水を加
ら に80℃ で15分 間 加 熱 し た の ち,0.1m1中
に 含 ま れ るkiainをradioimmunoassayで 3.血
漿renin活
Haber法 血 漿1m隻
測 定 し た.
性 の 測 定 法(PRA)
を 改 良 し た 筆 者 ら の 方 法7)を 用 い た . をpH5,5に
加 え,37℃
調 整 し た の ちEDTAとDFPを
で6時
間incubateし
た の ち生 食 水 を 加 図1.Kinin
え て10m里 と し,100℃
で15分 間 加 熱 した の ち 遠
心 分 離 し て 除 蛋 白 し,上 さ れ たangiotensin
清0.05m1を
用 い て 産生
Iをradioimmunoassayで
CIS社
度 の 測 定(PAC)
のaldosterone
にbradykininを
radioimmunoassay
kitを 用
Kininaseで
中PGEの
尿5∼10m1を
測 定 法8)
溶 解 し,さ
え た の ち 室 温 に1時
PGEをPGBに
変 換 さ せ た.次
い でpH3∼4に
調整
清(clinical 測 定 し た.
bradykininの
用
の 特 異
次 い でradioimmunoassayに
生 成 す る が,こ
にbradykininに
変 換
ka11idinとbradykininと
昭和53年5月10日
血 清
者 な ら び に 本 態 性 高 血 圧 症 患 者32例
はkallidin(1ysy1-
ら び にkallidinの 血 清
そ れ の160%で
よ る 測 定 値 とb1・ass-
ayに よ る 測 定 値 と の 相 関 に つ い て 検 索 し た.正
い たkinin抗
し た も の で あ る.抗 ka1Hdinの
反 応 が み ら れ,測
た.
つ い て 作 製 し た も の で あ る9).図
1はbradykininな
そ れ は0.4∼2%の
よ びangiotensin IIも 殆 ど 交 叉 反 応 が み ら れ な か つ
果
のradioimmunoassay法
で
分 解 産 物 は0.5∼2
そ れ は0.8∼2%,methiony1-1ysyl-
定 に は 殆 ど間 題 に な ら な か つ た.angioteasin Iお
性 に 関 す る成 績 本研 究
で60分間incu-
抗 血 清 の 反 応 に薄 す る阻 害 を 検索 し
の 成 績 で はbradykininの
%,ka11idinの
画
を 分 離 し,減 圧 濃 縮 し た の ち 抗PGB血
III.結
た.そ
よび
れ ぞ れ を 破 壊 し た の ち125I-8-tyrosin.
bradykininと
ン ゼ ン と醋
混 合 液 を 用 い てPGE分
用 い てradioimmunoassayで
bateし,そ
らに 減 圧
Assay社)を
bradyklnin)に
分 解 産 物 とkinin
500ngとchymotrypsin100μgを37℃
ら に11V,KOHを
乾 固 し た の ち 珪 酸 カ ラ ム に 充 填 し,ベ
1.尿K-K系
使 用 した.
破 壊 さ れ たkininの
kallidin,methionyl-1ysyl-bradykininの100ngお
酸緩
間 放 置 す る こ とに よ り
した の ち醋 酸 エ チ ル を 用 い て 抽 出 し,さ
酸 エ チ ル(60:40)の
研 究 のbioassayの 標 品
抗 血 清 と の 交 叉 反 応 を 検 索 す る た め,bradykinin,
凍 結 乾 燥 し た の ち,0.05M燐
衝 液 頭7.4,1mlに
シ 血
使 用 した の で,radidmmunoassay
で もbradykininを
い て 測 定 し た. 5.尿
検 量 曲 線.Bk; LMW-kgn;ウ
測定 し 定 し な け れ ば な ら な い.本
4.血漿aldosterone濃
lidinを
kallidin.
清 低 分 子kininogen.
た.
1 ml加
radioimmunoassayの
bradykinin. Lys-Bk;
検 量曲
とbradykininの
線
は 図2に
さ れ る.し
結 合率 は
一方
容 易
,尿
老 の 問 に はr=0.76,P
中kallikreinの 基 質 と し て 用 い た ウ シ
叉 反 応 を 示 さ な か つ た.し 尿kallikreinのradidmmunoassay法
者 を 同 時 に測
(19)
の成 績 で
明 ら か な 相 関 が み られ た.
血 清 低 分 子kininogenは,Mnin抗
た がつ て尿 中 には
が 存 在 し,両
示 す よ うに,両
