YAKUGAKU ZASSHI 135(3) 331―332 (2015)  2015 The Pharmaceutical Society of Japan

331

―Foreword―

学習成果基盤型教育に基づいて 6 年制薬学教育の学習成果を考える 中 村 明 弘,a 長谷川洋一, ,b 亀井美和子c

Learning Outcomes of Six-year Pharmaceutical Education Program ,b and Miwako Kameic Akihiro Nakamura,a Yoichi Hasegawa, aSchool

of Pharmacy, Showa University; 158 Hatanodai, Shinagawa-ku, Tokyo 1428555, Japan: of Pharmacy, Meijo University; 150 Yagotoyama, Tenpaku-ku, Nagoya 4688503, Japan: and cSchool of Pharmacy, Nihon University; 7 71 Narashinodai, Funabashi, Chiba 2748555, Japan.

bFaculty

学習成果基盤型教育( outcome-based education;

日本薬学会主催の第 3 回薬学教育者のためのアド

OBE)は,平成 25 年度の薬学教育モデル・コアカ

バンスト WS は,平成 25 年 10 月 12 日から 14 日

リキュラム改訂の基本となった教育理論であり,今

まで 2 泊 3 日で東京にて開催された.6 年制薬学教

後各大学でもカリキュラム構築に取り入れていく必

育課程を有する全国 69 大学(学部)の教員 69 名と

要があるとされている.そこで本誌上シンポジウム

日本薬剤師会からの 9 名,日本病院薬剤師会からの

では OBE を中心テーマとし,平成 25 年度に日本

9 名が参加し,計 87 名が「学習成果基盤型教育に

薬学 会薬 学 教育 委員 会 が開 催し た 2 つ のワ ー ク

基づいたカリキュラムをデザインできる人材の育

ショップ(WS)から本テーマに関連したプロダク

成」をテーマに討議を行った.WS 開催の経緯と概

トを二部構成で紹介する.

要は以下の通りである.

まず第一部として,平成 25 年 8 月 10 11 日に開

 ◯

WS 開催の経緯

催した第 3 回全国学生 WS「医療への貢献,社会へ

教育者を対象とした「薬学教育者のためのワーク

の貢献:これから薬剤師としてどのように行動する

ショップ」又は「認定実務実習指導薬剤師養成ワー

か」のセッションから,「6 年制薬学教育の学習成

クショップ」には,既に全国薬科大学・薬学部のほ

果と課題」を中心に WS 参加学生(6 年生)が報告

とんどの教員及び実務実習指導薬剤師が参加し,カ

する.第二部としては,平成 25 年 10 月 1214 日に

リキュラム (目標・方略・評価) の立案方法を学び,

開催した第 3 回薬学教育者のためのアドバンスト

教育の現場で活用してきた.近年,医学教育の分野

WS「学習成果基盤型教育(Outcome-Based Educa-

では,「卒業時の到達目標(学習成果, outcome )

tion; OBE )に基づいて 6 年制薬学教育の学習成果

を設定し,それを達成できるようにカリキュラムを

を考える」のプロダクトの中から, OBE に基づい

含む教育全体をデザインする教育法」である OBE

たカリキュラム構築の具体例を実行委員が報告する.

が注目を集めている.OBE は平成 25 年度の薬学教

日本薬学会主催の第 3 回全国学生 WS について

育モデル・コアカリキュラム改訂の基本となった教

は,第一部「6 年制薬学教育の学習成果~第 3 回全

育理論であり,6 年制課程卒業時に必要とされる資

国学生ワークショップより~」として,亀井美和子

質(能力)が「薬剤師として求められる基本的な資

実行委員長が WS 開催の経緯と概要を紹介した上

質」として具体的な改訂に先だって設定された.そ

で,参加者を代表して 4 名がプロダクトを報告する.

こで,これらの資質を身につけるためにはどのよう なカリキュラムが必要となるのか, OBE に基づい

a昭和大学薬学部(〒 142  8555

東京都品川区旗の台 1 5 8 ),b 名城大学薬学部(〒 468 8503 名古屋市天白区 八事山 150),c 日本大学薬学部(〒 2748555 千葉県船 橋市習志野台 771) e-mail: yhasegaw@meijo-u.ac.jp 日本薬学会第 134 年会シンポジウム S33 序文

たカリキュラム構築の具体例を検討し,6 年制薬学 教育が向かうべき方向性を考える機会として本 WS を企画した.  ◯

WS の概要

本 WS の目標は,6 年制薬学教育の改善・充実を

332

YAKUGAKU ZASSHI

Vol. 135 No. 3 (2015)

推進するために,教育への関心を深め,カリキュラ

に向けた問題点への対応と提言を討議・発表し,本

ム開発能力を高めるとともに,新たな教育方法や

WS の総括を行った.また,3 日間の日程の中で,

リーダーシップなどを学び,各大学・施設において

安井浩樹氏(名古屋大学医学系研究科地域医療教育

ファカルティ・デベロップメントを企画・運営でき

学) ,田中克之氏(北杜市立甲陽病院) ,木下牧子氏

る能力を修得することとした. WS 1 日目は,“自身の大学・施設の薬学教育で

やってみたいこと”をワールドカフェ形式で,また “新カリキュラム構築に向けた問題点”を KJ 法で

(医療法人愛の会織畠病院)にそれぞれ講演頂き, 医療人教育と評価の考え方,実践例を学ぶことがで きた.  WS プロダクト:カリキュラム構築の例 ◯

討議し,発表した.2 日目は,カリキュラム構築の

日本薬学会第 134 年会シンポジウムでは,カリ

中心となる 6 年制課程卒業時に必要とされる資質

キュラム構築の例を紹介するため, WS において

(能力)の中から 3 つのテーマ(「薬剤師としての心

テーマの 1 つとした 「薬物療法における実践的能力」

構え」 「 ,薬物療法における実践的能力」, 「研究能力」 )

について, 1 つのグループのプロダクトを紹介し

について具体化し,その基本的能力をどのように評

 資質の具体 た.本誌上シンポジウムにおいても,◯

価し,そして 6 年間を通じてどのような順次性を

 評価方法,◯  順次性のあるラセン型カリキュ 化,◯

もって卒業時の資質レベルに到達するかを討議し,

ラムについて,3 名の実行委員がプロダクトを報告

カリキュラム作成を体験した.基本的能力をどのよ

する.WS でテーマとしてとり上げた 3 つの資質に

うに評価するかという点においては,ルーブリック

関する各グループのプロダクトについては,WS 報

を作成してみることで,“学生自身の行動指針が明

告書(http://www.pharm.or.jp/kyoiku/)を参照し

確になり,学生自ら学習活動を評価できる”という

て頂きたい.

利点を共有できた.3 日目は,新カリキュラム構築

[Learning outcomes of six-year pharmaceutical education program].

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